私が住んでいる家ではおかしなことがよく起こった。
中でも一番気持ち悪かったことは寝室の壁のシミだ。
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壁のシミをよく見てみると、どうにも人の顔に見えて仕方がない。
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ある夜、寝ていると、
「あそぼ、あそぼ」
とどこからともなく聞こえてきた。
なんだ?と思いつつも、あたりを見渡して驚愕した。
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壁のシミの人の口にあたる部分が動いている。
そして、声を発しているのだった。
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恐怖に身を縮こまらせ、その日は朝まで寝た。
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翌朝みてみると、やはりいつものシミであり、特に変わった様子もない。
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しかし、次の夜も、また次の夜も同じことが起きるので、どうしたものかと頭を抱えた。
そこで私は妙案を思いついた。
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顔の形になっているシミを上からマジックでなぞってやろうと。
そうすれば、口は動かないだろうと思った。
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案の定口は動かず、声もでなくなった。
その代わりに「んー、んー、んー」
という苦しそうな呻きが聞こえるようになったけどね・・・はぁ
壁-完-
作者ジンジン