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2年程前、とある県へ旅行に行った際の話です。
3人で行った女子旅行で、私はとても気味の悪い体験をしました。
今日はその話をさせて頂こうと思います。
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私は、旅行好きで2、3年前は空前の旅行中毒になっていました。私の旅行での目的は観光というよりは【自然に触れ合う事】で、あまり市街地に行くことはなく、どちらかと云えば辺鄙な山合いの旅館や民宿に泊まり、周辺の山々へ登山に行ったり、鍾乳洞、洞窟探検をしたり、川下りをしてみたり、シュノーケリングをしたりとアグレッシブな体験がメインでした。その日は、とある県にある有名な洞窟へ行くプランを立てていました。
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その洞窟は、少し変わっていて、中に入ると階段やロープなどの安全対策がほぼ無く、簡単に言えば【何処までも行ける探検型(怪我・失踪の責任は負えません)の洞窟】だったのです。好奇心旺盛な私は、その場所にとてつもないトキメキとロマンを感じました。しかも入場料が無い。タダ。何て素晴らしい。大阪人はお得感に弱いんです。
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新幹線・在来線・バス・徒歩の道のりを経て、お世話になる民宿へ到着したのは昼過ぎでした。荷物を置いて、武装装備し、いざ参らん。というタイミングで民宿の店主に声を掛けられました。
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「お嬢さんたち、〇〇洞窟に行くんですか?」
「そうです。其処へ行くのがメインで来ましたから。」
そう答えた私に、店主は言います。
「気を付けて下さいね。あそこは事故が多いから。ほら、これを持って行って下さい。暗くて危ないですから。」
そう云って渡された物は人数分の懐中電灯でした。
『え、電気すら通って無いの?マジでサバイバル。高まる…!』
そう思った私の顔は、さぞニヤニヤしていたことでしょう。
「洞窟へ入るのは3人で間違いないですか?いやね、一応確認してるんですよ。たまに、遭難っていうか…迷子になってしまう人がいますから。では、お気をつけて。」
店主にお礼を言い、私たちは民宿から徒歩10分の距離にある洞窟へ向かいました。
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夏真っ盛りの8月でしたが、洞窟内はとても涼しく、むしろ少し肌寒いくらいでした。
懐中電灯で足元を照らしながら、道無き道を進むにつれ、私たちのテンションは最高潮です。
不思議な形をした岩や、小さな結晶。緑色に見える池。
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iPhoneカメラのシャッターをたいてカシャカシャと撮影しつつ探検に夢中になっていると、不意に背筋に冷たい悪寒を感じました。
すると友人の1人が悲鳴を上げました。
「い、今…そこに女の人が…」
指さす先には、勿論と言いますか。そんな人はいません。
「帰ろう。」
そう言ったのとほぼ同時に3つの懐中電灯が急に付かなくなり、携帯の電源もオフになってしまったのです。
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友人2人は大パニック。私は2人の手首を掴み、足早に出口へ向かいました。
『おかしい。』
歩けど歩けど洞窟から出られないのです。
そんなにややこしい場所へ入ったわけでもないのに、地上の光すら見えません。
どれくらいの時間が経ったのでしょうか…
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「なあって!!ちょ…雪!!」
「待ってよ!!!何で置いていくんよ!!!うち、こういう場所慣れてへんねんから、もうちょいゆっくり行って!!呼んでも無視するし、怖いし、もう嫌や!!」
その声に振り向いた私は、一瞬思考が麻痺しました。
2mほど後ろから友人たちが息絶え絶えに歩いてきます。
『……じゃあ、今うちが掴んでるこの手首は誰や。』
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確認など出来るわけもありません。遅れて来た友人にこれ以上パニックになられてもいけない。そう思った私は、掴んでいた手をそっと離し、平静を装いつつ「ごめんごめん、テンパってたわ。」そう告げると、再び出口を求めて洞窟内を歩き始めました。
明かりが見えました。鳥の鳴く声もします。
『あぁ…良かった…。』
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___ポロン♪
スイマセン、ヨクワカリマセンデシタ。
私のiPhoneのSiriが起動しました。
Siriが読み取った質問は≪おしかった≫の一言。
じっとり汗ばんだ私の両手には所々に泥が付着していました。
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あの洞窟には一体何が彷徨っているのでしょうか。
皆さまも、洞窟に行かれる際はお気を付け下さい。
その洞窟はまだ自由に立ち入れる、探検推奨の場所みたいですから。
作者雪-2
この洞窟へ行かれる方は本当に気を付けて頂きたいです。
霊感の無い方でも見えてしまう程、良くない気が充満している場所でした。
悪い事に、それは入洞した直後などでは分からない事ですね。
知的な霊なのか、洞窟の奥の奥まで行かないと感知出来ない。
そんな場所でした。
※実体験です。
↓2月月間ランキング3位受理作品です↓
【赤ちゃん】
http://kowabana.jp/stories/28114
↓3月投稿した作品は下記より↓
【ファン②】
http://kowabana.jp/stories/28299
お暇の際に、お目汚しになればと思います。
※駄文失礼しました。