あの事件の後、3人は次の怪談についての話し合いをしていた。
C「A君、怪我の方は大丈夫なの?」
A「怪我の方は大丈夫です。それより2つ目の怪談について話し合いを…」
B「先生に怒られた俺の心配もしてくれよ。」
C「それは、Bがカッコつけて責任を取るなんて言ったからでしょう!それより2つ目の怪談、落ちる女について話し合いましょう。」
A「名前は知ってるんですけど、どういう怪談なんですか?」
B「本当にお前って奴は…落ちる女ってのはな、この大学の屋上から落ちる女の霊の事だ。確か7月13日の夜9:00に出るっていう話らしい。」
A「7月13日って明日じゃないですか!」
C「そうね。それで、明日は、どうする予定なの?」
B「準備はいつも通り俺に任せろ。」
C「それじゃあ準備はお願いするわね。それにしても、落ちる女って何で死んだ後も落ち続けるのかしら?」
A「それ、僕も思いました。」
B「これは、俺の予想だが、もともとその霊は、この大学の生徒だったらしい。内気な性格だったがためにいじめられて、自殺をしたっていう話だ。事故の衝撃で記憶がなくなっていて死んだ事を忘れてしまったから、死ぬために何度も落ちるんじゃないかな。」
A「さすが、B先輩は詳しいですね。」
B「これくらいは、心霊研究サークルとしては、当たり前だろ。言うのを忘れていたけど、明日は、8:30校舎前集合だからな。忘れんなよ。」
A&C「了解です。」
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P.M8:30校舎前
B「皆揃ったな。今回は怒られないために、先生にも許可を取ってある。屋上までは、外の非常階段を使って登る。わかったな。」
A「OKです」
C「分かったわ」
AとCは、Bの後に続き屋上へと登って行った。屋上に着くと暗闇の中1つの影があった。
B「止まれ!」
Bが小さな声で言い、他の2人も止まった。現在の位置は、屋上の1歩手前の階段だ。
C「どうしたの?」
B「あそこにいるのがおそらく落ちる女だ。ここで様子を確認しよう。」
そう言ってビデオカメラを取り出し、撮影を始めた。女は、全く動く様子がない。5分後、何も起こらないままB達が帰ろうとした時…
A「ぶえっくしょん」
B「馬鹿!何やってんだ!」
何とAがくしゃみをしてしまったのだ。
A「すいません」
C「別にいいわよ。それよりあの女は?」
カメラを見ると女は体をこちらの方に向け明らかにこっちを見ていた。
A「これってもしかしたりもしかするとヤバイ状況じゃないですか」
B「もしかしたりしなくてもヤバイ状況だ。とにかく逃げるぞ!」
Bの呼びかけで、3人が逃げようと足を動かそうとした時…
「助けて」
その声で3人の動きが止まった。その声の方向を見ると、その声はどうやら女から聞こえてくるものだった。
女「助けて」
A「どうします先輩?」
B「どうするって逃げるしかないだろう。」
C「でも、助けてって言っているのよ。話ぐらい聞いてあげてもいいんじゃない。」
B「Cがそこまで言うなら…とりあえず話を聞いてみよう」
そう言って3人は、女に近づいていった。
B「何を助けてほしいんですか?」
女「私を解放して。」
B「解放してって言われても・・・」
女「私は、10年前にある女をいじめて自殺させてしまったの。その女は死ぬ直前に私に呪いをかけていたらしく私も死んだの。」
女は、悲しい顔でそう言った。
女「普通は死んだ後は成仏するのだけれども、あの女が邪魔をしてきたせいで私はこの屋上の地縛霊となってしまったの。そして、あの女の命日の今日になるとあの女が現れて私を何度も突き落としてくるのよ。」
C「ねぇB、いじめたことはいけないことだけれどもこの話を聞いたら、可哀想になってきたの。どうやったら助けられるかは分からないけど助けてあげましょう。」
B「お、おぅ。でも、どうやって?」
「ふふ、ずいぶん楽しそうね。私をいじめたゴミのぶんざいで。」
殺意の込められた声でそう言い放たれた。声のする方を見ると長髪の女が非常階段の出口を塞ぐようにして立っていた。
長髪女「あなた達はこの女の仲間なの?」
C「そうです!」
B「おい!何を言っているんだC」
C「じゃあこの子だけ突き落とされのを見ていろっていうの!そんなの私には出来ないよ!」
B「でも、俺たちがいても何もできないだろ!」
BとCが言い争いをしていると長髪の女が鋭い声で言った。
長髪女「ならお前達も死ね!」
次の瞬間、長髪の女から黒い煙が出たと思ったら、全員の体が動かなくなり、次第に勝手に体が動き始めた。
そのまま、屋上の端に向かい体が動き始めた。
B(クソ、どうすればいいんだ!このままじゃ!」
長髪女「あの女も、あの女の仲間も許さない。あなた達はゴミ以下の存在よ。さぁ、皆死になさい。」
A「ゴミはどっちだよ!よりにもよってあの男の力を借りるなんて」
そう言ってAはポケットからお札を取り出し長髪の女に向かってなげた。するとお札は、一直線に飛び長髪の女の頭に張り付いた。
長髪女「何故!あの力を使ったはずなのに何故動けているのよ!」
A「先輩達を傷つける奴は誰であろうと許せない!お前が今から行く場所は地獄だ。地獄で自分の罪を償え。」
そう言って、Aは、呪文を唱え始めた。直後、長髪の女から悲鳴があがった。
長髪女「いやぁぁぁぁ」
長髪の女は、みるみる消えていき、ついには、全て消えてしまった。
A「大丈夫ですか先輩!あいつはもういなくなりました。」
そう言ってAは、BとCの前に近づいてて行った。しかし、Bの発言でAは動きを止めた
B「Aお前は一体何者なんだ。」
続く…
作者時雨
Aの正体は、次回、明らかになります。