ボクはね、家からちょっと遠いところにあるアスレチック場にね、自転車に乗っていつも遊びに行くんだ。
とってもスピードの出るターザンロープとか、木でできたおっきなジャングルジムとか、丸太でできた高~い登り棒とか、落っこちちゃいそうになる吊り橋とか、そんな遊具がい~っぱい置いてあるんだ。
でもね、行くときはね、いつもひとりだよ。
それはね、前に何度か友だちと遊びに行ったことがあるんだけどね…。
運動が苦手なボクはね、いつもみんなにおいてけぼりにされちゃって、バカにされちゃうんだ。
だからね、いつもひとりで行ってね、みんなみたいにカッコよく遊べるように練習してるの。
高いのとか、速いのとかが苦手だからね、ターザンロープは一番高いところからスタートできないし、高~い遊具はテッペンまで登ったことはないし、吊り橋だって最後まで渡りきったことがないんだ。
だからね、帰るときはいつも「今日もカッコよく遊べなかったなぁ」って、ションボリしちゃうの。
でもね、いいこともあったんだよ!
新しいお友達ができたんだ。
ミキちゃんっていうの。
ミキちゃんはね、ボクといっしょで、とっても運動が苦手なの。
だからね、ボクとおんなじで、練習をしにきてるんだってさ。
ボクはね、ミキちゃんの前でカッコ悪いところばっかり見せちゃうんだけど、
ミキちゃんのは絶対にボクのことをバカになんかしないよ。
ころんでケガをして涙が出ちゃったこともあるけど、「もうちょっとだね」「がんばって」「次はきっとできるよ」って、いつも励ましてくれるの。
でね、ミキちゃんに応援してもらえるのが嬉しくてね、
ボクもミキちゃんのことをい~っぱい
応援してあげるんだ。
それでもやっぱり、ふたりとも全然カッコよく遊べないんだけどね。
でもね、ミキちゃんたら凄いの!
ある日ね、急にカッコよく遊べるようになっちゃったの!
ターザンロープだってスピードつけてピュンピュン行けるし、高いところだってスイスイ登っちゃうし、吊り橋だってひょひょいのひょいなの!
なんだか、急に背中に羽根でも生えちゃったみたいにさ!
でね、ミキちゃんがお手本を見せてくれるから、ボクも勇気を出してやってみたの…。
そしたら…できたの!できたの!
ターザンロープだって、背の高い遊具だって、やる前はスッゴく恐かったけど、一回上手にできたら、もう恐い気持ちなんて吹き飛んじゃったよ。
それでね、ボクたち約束したの。
「毎週日曜日はここで一緒に遊ぼうね」って。
それからはね、日曜日になると必ずアスレチック場に行ってね、ミキちゃんと一緒に遊んだよ。
ターザンロープは二人乗りするとスピードが出て面白いし、高いところに登って、ふたりで紙ひこうきやシャボン玉を飛ばしたりするのが、とっても楽しかったんだよ。
ボクはね、ミキちゃんに会える日曜日がとっても楽しみになったの。
こういうのデートっていうのかなぁ?フフフ♪
毎週毎週こんな楽しい日曜日がやってくると思うと、楽しくて仕方なかったよ。
けどね、ある日ね、いつもみたいにアスレチック場で遊んでね、夕方になったから帰ろうとしたときにね、ミキちゃんがこんなことを言ったの…。
「もう明日からは一緒に遊べなくなるの。ごめんなさい」って…。
ミキちゃんはとっても淋しそうに涙を流してたよ。
ボクはビックリして「なんで?どうして?」って聞いたの。
そしたらミキちゃんね、「七回目の日曜日が来ちゃったからね」って言ったの…。
なんだかよくわからなかったけど、とにかくもう、ミキちゃんには会えなくなる気がして、とっても悲しい気持ちになったよ。
目からいっぱいいっぱい涙があふれてきたよ。
それでね、前が見えなくなって、服でゴシゴシ涙を拭いて、顔を上げたら、ミキちゃんはもういなくなってたよ。
ミキちゃんとお別れした、その日の帰り道は今までで一番悲しかったよ。
ミキちゃんが最後に言った言葉…。
「七回目の日曜日」っていうのが、
「四十九日」っていう意味だってわかったのは、それから何年も経ったときだったよ。
作者とっつ
切ない物語を書いてみたやつです。