「夜だし怖い話でもするか。」
僕の親戚のおじさんが急にそんなことを言った。僕は、おじさんに誘われて2人だけでキャンプに来ていた。キャンプは2泊3日で今日は2日目である。時刻は12:00を過ぎたので寝袋で寝ようとした時に言ってきた。
僕「いいよ。」
僕は怖い話が好きだったので、そう返事をした。
おじさん「せっかくだから、100物語みたいな形式でやってこうか。ロウソクはないけどランプをロウソク代わりにしようか。」
僕は、怖い話には自信があったけれど僕自身はお化けを見たことがなかったので、おじさんの提案した100物語にとても興奮していた。話は僕から順番に僕、おじさんの順番でしていった。おじさんの話は僕何かの話の何倍も怖かった。そんなこんなで2時間くらい過ぎた頃だろうか。次の話でちょうど100話目であった。最後の話をするのは、順番的におじさんだった。
おじさん「今から話すのは、今までの話とは比べものにならないほど怖いけど、聞くか?でも、お前にはまだ早いかな。」
僕「大丈夫だから話してよ。」
僕は、ただでさえ怖かったおじさんの先ほどまでの話と比べものにならないほど怖いと聞き、正直聞きたくなかったけど、おじさんの最後のセリフを聞いて聞き捨てならなかったので結局聞くことにした。
おじさん「それじゃあ話すぞ。チビっても知らないからな。これは、俺が中学の時の話だ。」
そう言っておじさんは、話始めた。
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当時、おじさんが中学生のころ。おじさんは宿題を学校に忘れてしまい夜の学校にきていた。今では、夜になってまで学校に忘れ物をとりに行くことは、少ないのかもしれない。
だけど、おじさんが中学生の頃は、先生が殴る蹴るの時代だったらしいので、面倒くさかったけど仕方なくとりに行くことにしたらしい。おじさんは、学校の正面玄関から学校に入った。夜の学校というのは、昼間の学校とは全く雰囲気が違かった。
怖かったおじさんは、足早にクラスに向かった。クラスに着くと自分の机の中から宿題を取り出し、早く校舎を出ようと隣の教室の前の廊下を通りかかった時、ドアの窓から教室の中に女の人の姿が見えた。その女の人は教室の窓から外を眺めていて、後ろ姿しか見えなかったけれど、その後ろ姿におじさんは心当たりがなかったらしい。でも、昔はクラスの数もとても多くて知らない人もいたので特別不思議には思わなかった。おじさんは、1人で帰るのが怖かったので、その女の子に声をかけた。
おじさん「君も忘れ物?よかったら一緒に帰ろうよ。」
女の子からの返事はなかった。おじさんは、聞こえてないのかなと思い、女の子のいる教室に入りもう1度同じことを言った。
おじさん「君も忘れ物?よかったら…」
そこでおじさんは気づいてしまった、その女の子の下半身がない事に。
おじさん「うわぁああああ」
おじさんは叫びながら気づくと校舎を出ていた。おじさんはさっきの女の子が気になり校舎の方を見た。すると先程まで居たはずの教室に女の子の姿はなくその教室の下の階の教室に女の子の姿が見えた。女の子は、おじさんの方をずっと見て笑っていた。おじさんはヤバイと思い校門の方へ向かって走り出そうとした時…後ろからドサッという音が聞こえた。そして……………
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「キャハハハッ」
おじさんが急にデカイ声を出したので僕はびっくりした。
おじさん「そんで、その後の記憶はないんだけど気付いたら家のベッドの中で丸まって震えていたんだ。」
僕「えっ、そんだけ?」
僕は正直期待ハズレであった。どんな話かと思えばよくあるベタな話だ。唯一怖かったと言えばおじさんが大声を出したことだろうか。
おじさん「残念だが、これだけじゃないんだな。」
そう言ったおじさんは続きの話を聞かせてくれた。
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次の日、学校に行くとクラスの中がやけに騒がしかった。おじさんは何事かと思い友達に何があったのか聞いた。
おじさん「何かクラスが騒がしいけど、何かあったの?」
友達「お前まだ聞いてないのか?同じクラスの〇〇が昨日学校に忘れ物を取りに行ったまま家に帰って来てないらしいんだよ。」
おじさんは〇〇と、とても仲が良かったためそれを聞いて驚いた。おじさん達が〇〇のことで騒いでいると、先生がクラスに息を切らしながら走って来た。皆が何事かと思い、先生の方を向くと先生は息を切らしたまま話し始めた。
先生「皆も〇〇が行方不明になったのはもう知っていると思うが、その〇〇が今さっき、学校の屋上で死体が発見された。殺された形跡が残っていたためこの後はすぐに下校になるそうだ。」
おじさんは、突然の事に声が出なくなった。クラスはおじさんと同じように驚いている人や泣いている人でいっぱいだった。その後は皆すぐに下校し、今日は外出しないように先生に言われた。おじさんは〇〇が死んだことが信じられず先生に詳しいことを聞きにいった。
おじさん「先生!〇〇は本当に死んだんですか。そんなの信じられません。誰が殺したんですか!」
先生「俺も詳しいことは聞いていないんだけど、〇〇を殺した奴は相当ヤバイ奴らしいんだよ。殺され方がちょっと異常だったらしいんだ。何でも〇〇の死体は下半身が無くってどこを探しても見つからなかったって話だ。」
おじさん「うえぇぇ」
おじさんはそれを聞いて吐いてしまった。
先生「ごめんな。子供に話すべきじゃなかったな。片付けは俺がやっとくから、お前もすぐに帰れ。まだ近くに殺人犯がいるかもしれないからお前も今日は外出しないようにしろよ。」
おじさんは先生にお礼を言って家に帰った。家についたおじさんは、昨日の今日で色々な事が起きたため、食事やお風呂を早く済ませその日は、早く寝ることにした。次の日になると親宛にメールが来ており警察の調査があるため1週間、学校が休みとのことだった。1週間の内に〇〇の葬儀がありクラス全員が参加した。1週間というのはすぐに過ぎていき、今日は学校登校日だったのでおじさんは学校に行った。学校に着くと〇〇のことについての全校集会があった。結局、殺人犯の指紋や証拠は何一つ見つからなかったらしく、捜査はわずか1週間で打ち切りになってしまったそうだ。集会が終わりクラスに戻るとこんな噂が広まっていた。
「夜の学校に行くと、下半身が無い女がいて見つかると追いかけられ、捕まると下半身を奪われてしまう。〇〇はその女に捕まってしまったから下半身が無い死体で発見された。」
友達に何でこんな噂が流れているのかを聞いた。
おじさん「何でこんな噂が流れているんだ?」
友達「これは俺が流したんだ。俺みたいな経験して欲しく無いからな。昨日の夜、学校に忘れ物を取りに行ったら変な女に追いかけられたられたんだよ。」
おじさん「お前先生に外出するなって言われてただろ!もし犯人に殺されたらどうするんだよ!」
友達「その犯人のことなんだけどさ、多分幽霊とかそういう類のやつだと思うんだよ。」
おじさん「はぁ?何を言ってんだ?」
友達「〇〇が死ぬ前に忘れ物して夜に学校に行ったことがあるんだ。そしたら隣の教室に下半身が無い女がいて、ものすげぇ勢いで追いかけられたんだよ。何とか家まで逃げ切ったんだけど…」
おじさん「お前も追いかけられたことがあるのか!」
友達「お前もってことは、お前も追いかけられたことがあるのか。なら話が早い。その女を見てから夜の学校に行くのも怖かったんだ。〇〇が死んでからもっと行きたくなくなったけど、先生に怒られたくなかったからしょうがなく昨日は行くことにしたんだ。そしたら、隣の教室に例の女がいたんだよ。でもよ、その女前に見た時と何か違うなと思ったら、下半身があったんだよ。でさ、こいつもしかして〇〇の下半身奪ったんじゃないかなと思って…」
おじさん「でもそれが何で下半身を奪うことになるんだよ!」
友達「〇〇が死んで辛いのは分かるが落ち着け。そんで怖かったんだけどその女をよく見たら上半身は女子用の制服なのにさ下半身男子用の制服だったんだよ。その日は追いかけられずに家に帰れたんだけど、絶対によるの学校には行っちゃ駄目だと思ってクラスの奴らが行かないようにこの話を流したんだよ。」
おじさんはこの話を聞いて友達と同じようにクラスや学校の人が夜の学校に行って欲しくなかったので、話を広めるのを手伝った。すると噂はすぐに広がり、先生たちの耳にも届くほどになっていた。噂や〇〇のこともあって、これ以上子供達を不安にさせないために、夜には、先生達が交代で泊まり込みの見回りをすることになった。
それからというもの先生達の間でも噂の女を見たという人が出てきて、遂には先生を止めてしまう人まで出てきたため、学校は異例の措置としてすぐ近くにある有名なお寺からお祓いのためにお坊さんを呼んだのであった。
お祓いの日は、生徒は休みだったのだが、噂を流したおじさん達は何かに取り憑かれていたら大変だということで特別に参加することになった。
先生「このままだと生徒達に危害が加わってしまうかもしれません。お祓いの方はよろしくお願いします。」
お坊さん「任せてくだされ。」
お坊さんは低い声で言うとポケットから何やら数珠のようなものを取り出して、お経(?)のようなものを言い出した。
お坊さん「○△□○△□」
だが、お経を唱えていると急に数珠がパチンと音を立てて割れてしまった。すると、お坊さんはおじさんの肩を揺らして震えながら言った。
お坊さん「この数珠が割れるってことは、相当ヤバイものがここにいるってことだ。君たちは、夜の学校で何を見たんだい?」
お坊さんは、先生達に詳しい話を聞いていないようだった。おじさん達はお坊さんに言われた通りに夜の学校で見たものについて話した。すると、お坊さんの顔が見る見る青くなっていった。お坊さんの異様な光景にその場にいる誰もがどれだけ大変な事態なのかを知った。お坊さんは、足を震わせながら言った。
お坊さん「これはワシにはどうにもできません。多分どんなに強い霊力を持った人でも払えないでしょう。それくらい危険なものなんです。私から言えることはただ一つです。夜の学校には誰一人入らないようにしてください。」
そう言うと、足早に帰ってしまった。その後、おじさん達は家に帰らされ、先生達は、夜の学校に入れないように玄関に鍵をつけた。おじさんと友達は学校にいたものの正体が気になり家に帰った後一緒に先程のお坊さんがいる寺を訪れた。お寺に着くとお寺はとても大きくて弟子のような人達がたくさん見られた。おじさん達は、その人達に声をかけお坊さんのところまで案内をしてもらった。お坊さんはお経のようなものを唱えていたが、おじさん達が着くとお経を唱えるのをやめて言った。
お坊さん「何をしに来たんだ?」
おじさん「〇〇を殺した(?)夜の学校にいたものの正体知りたいんです。」
お坊さん「そうか、君達亡くなった子と仲がよかったそうだね。アレはね、奪身蛇(だっしんじゃ)というんじゃ。」
夜の学校で見たものは、奪身蛇(だっしんじゃ)とも奪身女(だっしんにょ)とも呼ばれているらしい。
お坊さん「アレは、虫や動物の呪念がたまってできているんだ。元々は蛇の頭にしかなれないのだが、生きている人達を襲い身体を奪っていくのだ。そうして完全な人の形になると一人の人間として生きていくのだが、アレは、そうそういるものじゃない。長い年月をかけて呪念が溜まることであぁやって実体化できるんだよ。君達は運が悪かったんだ。まぁ完全な身体にならないとはじめに生まれた場所でしか行動できないし、夜にしか動けないからこれ以上被害が出ることはないだろう。」
友達「でも、前に見た時は上半身も下半身もありましたよ。」
お坊さん「学校にいた奴は、間違えて上半身は女、下半身は男の身体を奪ってしまったから大丈夫だよ。普通は、女だけの身体を奪うはずなのだが、君達のお友達は残念だったね。」
おじさん達はお坊さんにお礼を言ってそれぞれ家に帰った。その後、学校で被害にあった人はいなかったらしい。
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おじさん「こういう話なんだけどね。どうだ怖かったか?」
僕「うん。なかなか怖かったんだけど、〇〇の前に襲われた人って誰なの?」
おじさん「分からねぇ。少なくとも学校でいなくなったのは、〇〇だけだしな。」
おじさんにも、最初に襲われた人が誰なのか分からないようだったった。
僕「何それ。ある意味怖いんだけど。そういえば100目終わったよね。」
おじさん「ロウソクじゃないと何も起こらないのかね。もう遅いし寝るか。」
結局何も起こらず次の日になり、キャンプは終わった。
帰り際、おじさんの車で帰っている途中
おじさん「来年も一緒に来ような。」
僕「うん。それよりさ、あそこにいる女の人何か怖いね。」
それは、髪が腰まで付いていて、簡単に言えば貞子みたいな感じだった。制服を着ているから女子高生だろうか。
おじさん「そうだ…」
そう言いかけた途端いきなりおじさんがアクセルを思いっきり踏み、時速を見ると100㎞を超えていた。
僕「どうしたの?そんなに飛ばしたら危ないよ。」
山道だったので、もう少しスピードを下げてもらおうとしたのだが、次の言葉を聞いて家に帰るまでスピードを下げてもらおうなど思わなかった。
music:3
おじさん「あの女、下半身だけ男子用の制服だったんだよ!」
作者時雨