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中編3
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寝ている時

 寝ている時の自分が、どんな風になっているのかなどということは、監視カメラなどを仕掛けてみないと分からない。

 それか、誰かが近くで見ていれば、後で聞くという手もあるだろう。

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 夢遊病という寝ている最中でも身体が動いてしまうという病気がある。

 何かのテレビでも数回は放映されていた。

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 その時は、寝ている人間が突然起きだして、料理をするという映像だった。

 もともと、料理などしたこともない人であるが、その動きが淀みなく、見事であったのを覚えている。

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 意識が閉じている時、私はどうなっているのだろう、という疑問をわりと考えることが多い。

 動いているのか、止まっているのか、

 声を出しているのか、傍に何か居たりしないか。

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 そのような私自身の様子を見るためには、現状、ぼっちをこじらせており、誰かに頼むということはできない。

 ただ、一度、友人が私の寝ている状況についての感想を述べたことがあった。

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 高校二年生の頃だ。

 それなりに親しい友人ができて、その日、友人が我が家に泊まることになった。

 

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 「先に寝ても、悪戯はしないように」

 友人は、寝るのに時間がかかるタイプらしい。

 1時間くらい妄想しながら眠気を待つとの事。

 私は、気分によって変わるが、直ぐに寝れるときは物凄く早い。

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 「はいはい」

 と、友人のおざなりな返答を聞いて、危機感を覚えたが、眠気には勝てなかった。

 

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 「おやすみなさい」

 私は、友人よりも先に、意識を閉ざした。

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 その日、特に何か夢を見たわけもなく、朝の雀の声を聞く。

 友人は既に、目が覚めていたようで、私がのそのそ布団から出てくるのをじぃっと見ていた。

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 「おはよう、早いね」

 「おは、大体いつも5時起きやから」

 

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 「何か負けた気分やなぁ」

 携帯で時刻を確認すると、大体、6時を過ぎたくらいだ。

 起床時間としてはまずまずな早さであったが、どこか敗北感があった。

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 「あのさぁ、夜中のアレってなんやったん?」

 友人が、唐突に聞いてきた。

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 「夜中のアレって何?」

 あまりに抽象的で良くわからない質問であったため、私は友人に聞き返す。

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 「夜中の2時くらいやったかな。

 突然、あんたが布団から立ち上がってさ。

 いきなりどうしたん?って聞いても、

 無言のまま首を何回も降ってさ。

 そのまま、布団に倒れてったやん」

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 全く身に覚えがなく、最初は友人が、冗談を言っているのだろうと思った。

 しかし、嘘ではないらしい。

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 「え、何それ怖い」

 「こっちの方が怖かったわ!」

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 何か夢でも見ていて、身体の動きに反映されたのだろうか。

 振り返って考えてみても、身に覚えがなくて、不思議だった。

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 あの時のことを話すと、友人は、何かに憑りつかれていたのではないか、と言う。

 別段、肩が重いだの、身体がだるいなどといった症状もないけれども。

 

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 もしかしたら、今でもあの不思議な動作は続いているのかもしれない。

 

 

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