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【夏風ノイズ】二流だけど(右京編)

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【夏風ノイズ】二流だけど(右京編)

 助手席からゼロを降ろし、彼の家のインターホンを押した。

「はーい」

 出てきたのは中学生ぐらいの少女、ゼロの妹である神原琴羽ちゃんだ。

「悪いな、疲れて寝ちゃってるから、部屋まで連れてくよ」

「あっ、すみません!お兄ちゃん、怪我してる・・・」

「色々と想定外なことが起こってさ。ゼロが、ほとんど戦ってくれたから」

 ゼロは一流の呪術師であり、天才超能力者でもある。それに比べて俺は、呪術師としての腕前は二流といったところか。俺なんかが藤堂家を引き継いでいいものかと、最初は戸惑ったこともあった。

「ごめんな。俺が強ければ、もっとゼロをサポートできたかもしれないのに」

 俺はゼロをベッドに寝かせながら言った。

「右京さんは、お兄ちゃんのこと十分サポートしてくださってると思いますよ。そもそもお兄ちゃんが無茶ばかりするのがいけないんです。本当、迷惑かけてばかりですみません」

 琴羽ちゃんは俺にペコリと頭を下げた。

「そんな・・・迷惑なんて思って無いさ。ゼロには、いつも助けてもらってるからさ」

「右京さん、今後も、兄のことをよろしくお願いします」

「ハハ。じゃあ、これで失礼するよ」

「ありがとうございました!」

 俺はゼロの家を出て車に戻った。

「さて、しぐちゃん。呪術の修練に行くぜ!」

「お願いします!先生!」

 先生か。こんな二流でも、俺を慕ってくれる誰かがいる。嫁の沙耶も、娘の蛍も、しぐちゃんも・・・みんな俺のことを思ってくれているのか。そう思うと、また頑張ろうって思えるんだよな。

「おう、任せとけ!」

 俺は胸を張って言った。二流だけど、それでもいい。俺は俺らしく頑張ればいいんだ。また明日も、これからもずっと。

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@月舟 さん、読んで頂けて嬉しいです!ありがとうございます!
毎週更新できるよう頑張ります!!

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