この間、ニュースで高齢者夫婦が老々介護に疲れたために、降圧薬を飲んでいる夫にグレープフルーツのジュースを飲ませたと自首した妻が居たが、結局セパミットやカルブロックなどのカルシウム拮抗薬ではなかったため、夫に異常はなく、一応殺人未遂ではあったものの、妻の刑期は短く2人とも施設に入る話で纏まった。
そう。
私もそうだ。
夫は82歳、私は79歳。
最近、認知症の症状も出てきて夫が煩わしい。
昔の面影はどこに行ったのか。
私が看護師として働いていた時にも、家事をしろ、子育てをしろとうるさかったあの男が。
けれど、その苦悩とも最早おさらば。
幸い、夫は脳梗塞の既往があり、ワーファリンを飲んでいる。
医者からは、納豆と青汁はとってはいけないと言われている。
そんなこと、元看護師の私が知らない訳がない。
ワーファリンを飲んでいる人は、ビタミンKの摂取がいけないのだ。
つまり、青じそも、ほうれん草も、春菊も、バジルやパセリだって摂取しない方が良い。
最近、医者からは薬の効き目が悪いようですが、納豆など食べていませんかと言われた。
私は、納豆は食べさせていませんと答えた。
検査入院をしましょうと医師が言う。
肺塞栓のリスクは4日以上の寝たきりで発症する。
1週間ほど、面倒を見てもらえると助かりますと私は言った。
分かりましたと医師が言う。
検査入院ならば、リハビリの適応外となるし、夫は自分から進んで動くタイプではない。
1週間後の退院日が楽しみだ。
作者適当人間―駄文作家
旦那さんや奥さんが憎らしくても、絶対に真似しないでください。