ふと思い出した・・・・
私たち4人組・・・・
そう・・・・たしか・・・私が小学校5年の時だ
近所にお墓だらけの墓地があった
通学路の途中にある
ここを必ず通らないと家へ帰れない
遠回りでも帰れないことはないけど・・・めんどくさい
私とF子
S君とS子
それぞれの家はおよそ1kmくらい離れてる
S君とは小学校1年生の時に会った
それからずーと仲良し
喧嘩はしたけれどすぐに仲直りした
その時は不思議だなと思っていたがまぁあの事件をきっかけに小さい時の不思議がすべて解決したけれどね
いつもの如く妹のF子は私の後ろにピタリとくっついて一緒に帰宅途中だった
「おっちーー!!!、F子ちゃん、Fおにいちゃん、まってょーーー」
遠くからおっちー娘が走りながら大きな声をかけてきた
「うわぁーー出たーーーおっちーー娘・・・」
「わーー、S子ちゃんだぁーー」
「やっと追いついた・・・一人で帰るのはさびしい・・・一緒に帰るんだぞぉーー」
「あれ?S君は?」
「あーー、お兄ちゃん?あれ?置いてきたかもだぞぉーー、後ろから来てるかと思ってたけどいないなぁ」
「え?置いてきたって・・・・」
「学校を出るときには一緒だった・・・でもおにいちゃん、「途中で寄り道していくからおまえは先に帰ればいいよ」と言ってたから・・・だから先に来たけど・・・」
「そっか・・・どこへ行ったんだろうね」
まぁ・・・何か用事でもあるんだろう
3人で一緒に帰ることにした
「やっと・・お話相手が来てくれた、F子うれしい」と小さな声でS子につぶやいた
「F子ちゃんいつも小声なんだね・・」
「うん・・」
「でもそこがかわいいからいいけどね、S子は逆に声が大きいから・・・みんな寄ってきてくれない・・・」
「うん・・・S子ちゃんのその大きな声がうらやましい」
「えへへへへ、ほめられたんだぞぉーー」
「うるさい!!、S子、声がでかいんだよぉ・・・近くにいるんだからもう少し声を小さくしてくれ」
「あはははは!!!、怒られちゃった!!ヨォ・・」
能天気なS子には・・・何を言っても無駄・・・
「面白い・・・おにいちゃん、夫婦漫才でもやればいいよ」と小声でF子がしゃべってきた
「俺は嫌だ!、なんでS子と夫婦漫才をしなきゃいけないんだよ」
「F子ちゃん!ナイス!!、照れるなよFお兄ちゃん」
「うわぁ・・・」背筋に電気が走った
冗談だと思ってたことが将来・・・まじになるとは・・・運命とは恐怖以外なにもない
「しかし・・・S君、全然来ないよ・・・どこに行ったんだろう」
「だよ・・どこいったんだろ・・・帰る道はここの道を通るはずだけど・・・ねぇ・・」
「まぁ・・・いいけど・・」
そろそろ例の墓地が見えるところまで来た
「ここ・・・F子・・・あんまし・・通りたくない」
F子のこの直感というか人見知りのせいなのか一見何もない場所でもF子はなにかしら見えるのか
いろいろと災いを教えてくれた
「怖がりだなぁ・・・おにいちゃんが傍にいるから大丈夫だよ」
「うん・・・でも・・・今日はなんか嫌な予感がするよお兄ちゃん」
「え・・・そっか・・・でもここを通らないと家へ帰れないんだよ、遠回りをしてたら30分はかかるんだぞ」
「うん・・わかってる・・・でも・・・」と小さな声でつぶやいていた
「あはははは!おっちーーー、大丈夫なんだぞぉーー、おにいちゃんがついているんだぞぉーー」
能天気S子・・・・おまえは・・・緊張感が無いのかよ
「やかましい!!、耳元で大きな声を出すなよ、S子!」
「えへへ、また怒られちゃったよぉ」
「面白い・・・」とF子はクスクスと笑っていた
すると突然墓場の出入り口から何かが飛び出してきた
「わっ!!!!!」
3人は一瞬固まった
振り向いたらS君だった
「きゃーーー」とF子の悲鳴
「わぁーーーびっくりした」
「きゃはははは・・・Sお兄ちゃんよ、ちっとも怖くないんだぞぉーー」
「ち!S子め!能天気すぎる」
「S君、ここで何をしてるんだよ」
「いや・・・その・・・暇でね・・・そしたら君たちが見えてきた
いっちょ、驚かせだろうかなぁと・・・」
「はぁ?こっちは心臓が飛び出るかと思ったよ」
「わたしも・・・びっくりして・・・普段大きな声を出さない私が・・・」
「はははっは、Sお兄ちゃんよ、修行がまだ足りんわ!」
「くそ!S子だけは・・と思ったが・・・よぉく考えたら能天気な奴にどんなびっくりをさせても
無駄たということがわかった」
「おっちーー、それはちと言い過ぎなんだぞぉーー、乙女の心は繊細で壊れやすいんだぞぉーー」
「オトメ?はぁ?」
「おっちーー、乙女・・・なんだぞぉ」と首をうなだれて小さな声でつぶやいていた
「あはははは、笑わせるよな、我が妹でも「オトメ」という言葉を使うこと自体、こっちがびっくりしたよ」と腹を抱えて笑い出した
「おっちーー、ひどいぞぉーー、笑うことないんだぞぉーー、おっちーは傷ついたんだぞぉー」
とS子はしゃがんで泣き出した
「ごめんごめん、お兄ちゃんが言いすぎだ」
「うん・・」
「さて・・・暇だなぁ・・・あっ!そうだ、墓場でかくれんぼしようぜ」
「え?ちょいまち・・・墓場はダメだよ・・・もしなにか倒したら大変なことになるよ」
と私は反対した
「おっちーーー、Sお兄ちゃんナイスアイデア!!!、隠れる場所がたくさんあって面白そうなんだぞぉーー」
「・・・私も反対・・・嫌な予感がするから」とF子は小さな声でつぶやいた
「だいじょうぶさ・・・かくれんぼだぜ、鬼ごっこじゃないんだからさぁ」
「いや・・・同じだよ・・・」
「おっちーー!!かくれんぼだぁーー、最初はSお兄ちゃんが鬼だぁーー、言い出しっぺが鬼なんだぞぉーー」
「えーーー、じゃんけんで決めようよ」
「おっちーー、Sお兄ちゃん、本当は怖いんだろ?弱虫だな」
「なにーー、弱虫じゃないぞ」
あかん・・S子の口車に乗せられてる
わたしもたまにいつのまにかS子のペースにはまることがある
「俺が弱虫じゃないところみせたるわーー」とS君、大きな声でわめいた
あちゃ・・・はまった・・・
「みんなそれぞれ隠れて・・・10秒数えるから・・・その間に隠れるんだぞ」
とカウントダウンを始めた
「10・・・9・・・8・・7・・6・・・5・・4・・」
「おっちーー、どこに隠れようかな・・・あそこがいい」
「お兄ちゃん怖いよ・・一緒に隠れようよ」とF子が後ろから小声でつぶやいてきた
「一緒に隠れてたらすぐにみつかるじゃんか、F子はどこか別の場所に隠れてろよ」
「いや・・・ここ怖いから・・お兄ちゃんと一緒がいい」と今にも泣き出しそうな顔をしていた
「・・あちゃ・・・隠れる場所が・・・ない・・お!あそこなら2人分隠れそうだ」と言いながら
F子の手を握りそのまま走ってその場所に隠れた
「1・・0・・・・さあてみつけるぞぉーー」
「おっちーー、ここなら絶対に見つからないんだぞぉーー」と
S子は大きなお墓の後ろに隠れていた
ところが・・・S子の後ろにS君ではなく大きな蛇が後ろにいた
S子が後ろを振り向いた時に蛇はS子を威嚇してきた
「おっちーーー!!!!ぎゃーーーー、ヘビーーーがいるんだぞぉーー」
S子は大絶叫した
とその時におもいあまって大きな墓石に体が当たってしまった
ドタンと大きな音とともに大きな墓石が倒れた
S子も一緒に倒れこんでしまった
「うわぁーーS子!!!おまえついにやりやがったな」とS君、慌ててS子の傍に来た
「おっちーー、イテテ、Sお兄ちゃん、手を貸して体を起こしてよ」
「ああぁぁ・・ほらよ、手を貸せ」
「うん・・・」
「よっこらっせ」
S子の手を握り体を起こした
「S子ちゃん・・・ケガはないの?」とF子がS子に小さな声で心配そうに聞いた
「おっちーー、ケガはないみたい・・・でも当たったところが痛いんだぞぉーー」
「おまえ・・・S子!これどうするんだよ、こんな大きなお墓を起こすことができないよ」
と私はS子に対して怒った
「ごめんよぉ・・・どうしよう・・・」と大きな声で泣き出した
「とりあえず・・・・かえろうかぁ・・・俺達じゃ・・・無理だし・・・」とS君が言い出した
「まぁ・・・あんまし・・・よくはないけど・・・」
「・・嫌な予感が当たった・・」とF子が小さな声でつぶやいた
とりあえず一番近い私の家でS子の体の傷があるか見ることにした
相当痛いとみえる
まだ泣いていた
「おっちーー、背中が痛いんだぞぉーー」と泣きながらとりあえず私の家に向かった
「大丈夫?S子ちゃん」とF子は小声でつぶやきながらS子の手を握り一緒に歩いていた
まるで姉のようにS子を心配していた
S子の方がF子より2つ上なのだ
しかし・・F子の方が姉に見える
なんでだろう・・と思ってた
家に着いた
「ママ~~大変~~S子ちゃんがケガをしたよ」と少し大きな声でF子がママを呼んだ
「なにぃ~~S子ちゃん、大丈夫かーー」となんとトンチンカン親父が走ってきた
「おおーー泣いてるじゃないか・・・どこか痛いのかい?S子ちゃん?」
「おじちゃん・・・背中が痛いんだぞぉーー」
「どれどれ」
S子を後ろに振り向かせて服をまくり背中を見た
「こりゃーーなんだ?真っ赤かになってるじゃないか・・・うん?え?なんで手形の跡があるんだよ、
おい!!!F、テメェーーS子ちゃんの背中をおもいっきし叩いたんだろ!」と
私の頭にゲンコツがきた
「イテェーー、とうちゃん、なにするんだよ、おれはなにもしてないよ」
「うそつけーー、このとおり証拠の手形が残ってるんだぞ、白状しろ!しばくぞテメェーよ」
なんちゅう親だろ
「俺じゃないよ、S子が勝手に墓石に当たって一緒に墓石と倒れたんだよ」
「はぁ?墓石?倒れた?・・・テメェーーもうちょいといい嘘を付けよ、この手形の痕を見てみろよ」
と親父に言われてS子の背中を見た
たしかに子供の様な小さな手形がくっきりとのこっていた
F子も見た
「なにこれ・・・」とF子は驚いた様子だった
「なになに?私の背中になにかついてるの?」
「何、ごちゃごちゃ言ってるんだ、F、テメェーーいつもS子ちゃんをいじめてるんじゃねーのかよ、
これがいい証拠だろ」
またゲンコツがきた
「おじちゃん・・・Fお兄ちゃんは私をいじめたことは一度も無いんだぞぉー、ゲンコツはやめてほしんだぞぉー」とS子がかばってくれた
「おお、S子ちゃんもかばってくれるのか、いいお友達だな、F、テメェーーは夕飯抜きだぁ!」
「えええええ、おれじゃないってば・・・」
「やかましい!!S子ちゃんに謝れよな、しばくぞ」
「パパ・・・Fお兄ちゃんは何もしてないよ、信じてよ」といいながら親父の腕をつかんだ
「おお、F子よ、こんなダメ兄貴をかばうとはいい妹だ、うん?」
といいながら親父はF子の瞳を見ていた
「どうやら・・・F子の言う通りかもな・・・ちっ!」
なにが「ちっ!」だよ、おやじ
「せっかく夕飯が2つ増えるかと思ったけどな・・仕方ないかぁ・・今回はF子に免じて許してやるぜ」
なんちゅう親だよ
やはり元不良だ・・いや今でも現役の不良だ
やることがガキそのものだ
玄関で大騒ぎをしているのが気になったのがおふくろがきた
「ママ~~S子ちゃん、ケガをしてる、手当てをしてあげてよ」とF子がママに頼んだ
「そっかい、S子ちゃん、ちょいと背中を見せてごらん・・・うっ!これは・・・」とおふくろは
固まった
「あんた、ちょいとあそこの神主を呼んで来な!!」
「え!なんで俺が行くんだよ、Fがいるだろ」
「なにぃ~~私に逆らう気かい?」
「いや・・・呼んでくる・・」
さすがおふくろ・・・完全におやじはおふくろの手下だよ
まさに猛獣使い・・・すごいな・・・あのいかつい顔なのにな
この夫婦・・こんな感じで親父は死ぬまでおふくろの手下だった
その反動で私がいつも馬鹿を見た
「パパ・・わたしも付いていく」とF子も一緒に行くことになった
「F子ちゃん、しっかりとパパを見張るんだよ、あとで教えてね、パパの行動をさ」
「うん・・・ママ」と言いながらパパの手をつかんでた
「見張るって・・・俺は素直に神主を呼んでくるさ」
「へぇ~~素直にね・・・」と半信半疑の顔だった
おやじとF子が一緒に手をつないで出て行った
「とりあえず上がりなさいな」とおふくろはS子を上がらせた
わたしもそのあとに付いていった
「S子ちゃん、背中に子供のような手形がついてるけど
どうしてついたのかわかる?」とおふくろはS子に質問をした
「おばちゃん・・・あのね・・」
と今までの墓場で起こったことをおふくろに話した
「やはり・・・F、この前も話したよね、あそこの墓場で遊んだらダメ、と言ったでしょ、
なんでいいつけを守らないんだよ、その結果がS子ちゃんのこの痕だよ」
「おばちゃん・・・Fお兄ちゃんは墓場で遊ぶのを反対したんだよ、F子ちゃんも反対してた、それを私とお兄ちゃんが押し切ってかくれんぼをしたんだよ、悪いのはS子だよ、ごめんよぉ、Fおにいちゃん」と泣きながら謝ってきた
「そっかい、まぁ・・・仕方ないけどさ・・・以前もねぇ・・昔・・あそこの墓場で遊んでて
大変な大騒ぎが起きたんだよ、・・・ホントはずかしいけれどね」
「はずかしい?どういうこと?かあちゃん」と私は質問をした
「ホントハンズカシイ・・・じい様の話を聞いて私も顔が真っ赤かになったわ・・・
その・・昔ね・・・あんたらと同じで子供たち数人があそこの墓場でかくれんぼをしてたのさ
その鬼の子がなかなか見つけられずにイライラがつのったんだろうね、八つ当たりに大きな墓石をおもっきり倒そうとしたんだよ、でも倒れなくてじゃあということで体ごと墓石に体当たりしたのさ・・・
そしたら勢いが余って墓石とその子が一緒に倒れたのさ
そして気を失ってね
子供たちが救急車を呼んだのさ・・・」
「へぇーー、S子と同じだ、んで、その鬼の子はどうしたの?」
「運ばれて・・・1時間ほどで目が覚めたらしい・・・でもね・・背中が痛いと泣き出したんだよ・・
医者が背中を見ると子供のような真っ赤な手形があったのさ
医者はてっきりいじめにあったのではと疑ったらしいけどね」
「まったくS子と同じだ、それから」
「まぁ・・いじめでなく墓石を倒したとその子が言ったからとりあえず医者は信用したらしいけど
・・・そのあとが大変になったらしいんだよ
その子、夜中にすごい熱が出て、体中が燃えるような感覚で「熱い!熱い!誰が助けてくれ」と
叫んでたらしい
「わぁ・・・そりゃ・・・大変だ・・・」
「医者はその原因がわからずにいたみたい、熱はたしかにあったらしいけど体がやけどみたいな感じでその子が叫んでいるのでとりあえず熱を下げる薬を飲ませたのよ、でもね全然効き目なし
医者もさじをなげたみたい・・・
それでその子の両親に病院へ来てもらうことにしたのよ
その子のお父さんがその手形を見てすぐに病院から連れ出して神主がいる
神社へ連れて行ったのよ
夜中だけど神主を叩き起こして
お祓いをしたのよ
そして1時間ほどでその痕が跡形もなく消えたのよ
とりあえず朝まで神社にいてもらいお日様が昇ってからお家へ帰ったみたい」
「うえぇ・・・すごいな・・・大変な目に遭ったね、その子」
「おばちゃん・・・その鬼っ子ってだれなのか知ってるの?」とS子が質問をした
「え?まぁ・・・
そのぉ・・・いいにくいけど・・・S子ちゃんの質問だから答えるけど
私の手下だよ、S子ちゃん・・・」
「おっちーー、おばさんの手下?だれなの?」
・・・もうわかった・・・おふくろの手下と言えば親父しかいないじゃないか・・・
あの現役不良・・・ならやりかねない・・・
「手下というのは・・・FやF子のパパだよ・・・」
「パパ・・・・ええええ!!!おっちーーーー、おじさんだったの・・・ぎゃははははは
おじさんもやるねぇーー」
能天気S子よ、笑いことじゃないよ・・・おまえさん・・これから親父と同じ目に遭うんだぞ
「S子!おまえ笑ってる場合じゃないよ、その鬼っ子と同じ目に遭うんだぞ」
「は!・・・・おっちーーー、おじさんと同じ目に・・・嫌なんだぞぉーー」
「しかし・・・おそいわねぇ・・・」とおふくろは少しいらついていた
玄関で誰かが呼んでる声がした
「すいません、妹のS子、いますかぁーー」と
S君の声が聞こえてきた
え?S君?
「はぁーーい、ちょっと待ってね」といいながらおふくろは玄関へ行った
おふくろも少しおかしいとおもってたようだが・・・
S君がおふくろと一緒に来た
「あ!いたいた、こらS子、全然お家へ帰らないから心配したぞ、パパが怒ってるぞ。
帰ろう」
「え?ちょいまち・・・S君、今さっき俺らと一緒に玄関にいたよね?」
「へ?玄関にいた?誰が?」
「はぁ?一緒に墓場でかくれんぼしたよね?」
「え?かくれんぼ?
いや・・・おれな・・S子と別れて自分一人で駄菓子屋へお菓子を買いに行ったんだよ
そしたらそこに同級生が大勢いてさ、そのお店でおしゃべりをしてたよ、
S子の分のお菓子も買ってそのまま家へ帰ったよ、ほらあそこの駄菓子屋って家へ帰るのちょうど中途半場なところだろ、いつもの道じゃなく大回りの道を通ったから墓場なんで行ってないよ」
一同愕然となった
じゃあいまさっきいた奴は誰だよ?
かくれんぼしてた奴は誰だよ?
そういえば・・・S子のことで夢中になってた・・・
「おっちーーー!!!、一緒にかくれんぼしてたのは誰なんだぞぉーー?」
「そうだよ・・・誰なんだよ?」
「え?・・・意味がよく分からんけど・・・」
私は今まで墓場でおこったことをS君に話した
S君も意味が分かったらしく顔が真っ青になった
「俺が2人いるのかな・・・
双子?
聞いてないぞ」
とブツブツと言い出した
「ただいまぁーーー」と親父の声がした
「やっと・・・帰ってきたね・・・」
親父とF子が手をつないだまま入ってきた
「おお!、S君、早いね・・・今さっき墓場の入り口付近でうろうろしてたろ」とS君に話しかけてきた
「いいえ、僕はここにいましたよ、それに今日は一度も墓場や墓場の付近には行っていませんけど」
「え?じゃあ・・・ありゃ誰だよ?たしかにS君だったぞ、なぁ、F子」
「・・・・あのぉ・・・パパ・・・そのぉ・・・私にはSお兄ちゃんじゃなく黒い影だったょ・・・」
「ええ?あれはS君だろ?パパはそうみえたぞ」
「ううん・・・あれは・・・黒い影・・・言おう言おうと思ったけれど・・・怖くて言えれなかった・・・」と小さな声でつぶやいた
「それよりあんたさ・・・神主を連れてきたの?」
「は!・・・忘れてた・・・F子と久しぶりに手をつないで外へ出たからうれしくてうれしくて
ついついお使いのことを忘れた・・・すまん・・・」
おふくろの顔がだんだんと機嫌悪そうな顔になってきた
「F子ちゃん・・・パパの行動をここで話しておくれ」
「ええ・・・今ここで・・・話すの?ママ?」
「そうだよ、包み隠さずに話しておくれ」
「そのぉ・・・パパね・・・途中までは神主様のお家へ向かってたの
そのぉ・・・途中でパパね、喫茶店へ寄ろうと言い出した
そのぉ・・・あそこのお姉さんとパパお話に夢中になってて
そのぉ・・・神主様のお家じゃなくてそのまま・・・お家へ帰ってきたの・・・」
こりゃ・・・あかんわ・・・
よりによってあそこの喫茶店はあかん
あそこの看板娘は美人で評判だった
たまにおふくろと私とF子と3人でその喫茶店によることがあった
おふくろも認めざるを得ない美人なのだ
おふくろもたしかに・・・若い時は・・・かわいかったからな・・・
そこのマスターからいろいろとおやじのしていることを聞かされていた
要は・・・ナンパ・・・
口説いているらしい・・・・
今のところ成功はしていないが・・・娘が有頂天になってるとマスターから聞かされていた
「うちの娘、もう有頂天で・・・「あんなかっこいいおじさんからお誘いがある、いつも私だけしか誘わない」と言ってくれてる、とまぁ・・・わしはあのかたは既婚者だからダメだよ、とは言い聞かせてるけどな」
おやじ・・・不良め・・・
嵐がきそうだ
私は急いでS君とS子とF子をわたしは急いで外へ出るように指示した
S子は相変わらず背中が痛いと言っているけれど
それよりもこれから起きる嵐は背中の痛みよりすごいことになる
とりあえずS子を家まで送ることにした
およそ1Km
外はもう真っ暗・・・街灯を頼りに歩いた
人の通りも少なく・・・
無事についた
S子ママが出迎えてくれた
「あらまぁ・・・こんなに遅く・・・どうしたの?S子?」
「おばさん・・・S子、背中に手形がついてる・・・痛いみたい」と
私は説明をした
「はい?背中に手形?・・・どれどれ・・・うう・・・おとうさんーー大変ーーはやくーー」と
S子ママはおじさんを呼んだ
「どうしたーー、こら、S子遅いじゃないか!パパは怒ってるんだよ、どうしたS子?」
「あなた・・・それよりもS子の背中を見て・・・」
「何?背中?・・・ううう・・・こりゃあかん、神主を呼んでくるわ」と
いいおじさんは急いで車に乗って走っていった
どうやら・・・一連の騒動をおばさんは高校の時におふくろから聞いていたみたい
おふくろも又聞きなので詳細は結婚してからじいさまに聞かされてすべて理解したみたい
だからあのような反応したのだ
私はいままでのいきさつをすべてS子ママに話した
「じゃ・・・今頃・・・大嵐だわね・・・○○君(オヤジの名前)、今日で人生が終わるかもね・・」
「おばさん・・・」
「は!ごめんなさいね、余計なことをしゃべって」
いや・・・図星だから・・・今日でおやじご臨終かも・・・正直半分はうれしかった
半分はこれからの生活はどうしようと子供ながら真剣に悩んだ
(どっこい・・・おやじのナンパ術・・・おふくろの弱いところを知っていた
それをうまくつかって難を逃れたらしい・・・悪運が強い・・・夜に仲良くニャンニャンしたそうだ(おやじの談話より))
「さて・・・大嵐では・・・家に帰れないわね・・・お泊りしていきなさいね」と
お泊りをさせてもらえることになった
しばらくするとおじさんが帰ってきた
「はやくー神主さん、娘を見てくれ」
「はいはいーー、慌てないで・・・」
どうやら神主を連れてきたようだ
「こりゃ・・・あかんわ・・・今夜が峠だな・・・
お祓いはするが・・・この子の気の強さが頼りじゃで
・・・はてさて・・・このようなことが以前にもあったような・・・
あぁ・・思い出した・・・
あのクソガキ・・・・
墓場で遊んでて墓石を倒したんじゃ
その祟りで背中に手形がぁ・・・
夜中にたたき起こされて・・・
お祓いをしてうまくいった
そのガキの父親は土下座してお礼をしていたのぉ
だが・・・肝心のあのクソガキ・・・
「ち!祟りだぁ~~ってくだらねーーぜ、じじぃーー本当にお祓いしたんだろうな
うそついてたら、しばくぞぉーこらぁーー」とぬかしよった
もう腹が立って立ってーくやしくてーー
おもわずそのクソガキにゲンコツをくらわしたわい
」
おやじ・・・・
「神主様、そのお話はここでするのはやめてほしいです」とS子ママは神主に言った
「はい?・・・
わしはゲンコツをくらわしたから少しは気が済んだ
クソガキのお父さんは土下座して謝ってたわい
こんな立派な父親なのに
このクソガキは生意気で礼儀知らずもいいところだ」と思い出しで少し怒ってた
「あの・・神主様・・・そのお話はもうそろそろおやめになって・・・」
「はい?なぜです?正直に言ってるだけです
今思い出しても・・・腹が立つ
もう1度あったらゲンコツをくらわしたるわい」
「神主様のお怒りの気持ちはわかりました
けれど・・・
ここでそういう話はやめてほしいです」
「はて?どうしてです
正直に話してるだけです」
S子ママは目の前にいるのがそのクソガキの子供たちだと神主に説明をした
説明を受けながら神主はこちらを見てがらS子ママの説明を聞いていた
神主の顔色がどんどんと真っ青になっていくのがわかった
「ええぇ・・・調子に乗っておしゃべりをしてしまった
そこのおぼっちゃま、おじょうちゃま
すまんのぉ」といいながら頭を下げた
しかし・・・おやじは生まれた時から不良じゃないかとおもう
もしかしたら生まれた瞬間に「しばくぞこらぁーー」と言ったんじゃないかと思う
なんか・・・あり得る・・・・
さて神主さんS子の背中を見て不良親父をお祓いした方法で試してみるとのこと
お祓いの準備が整った
夜はもう8時過ぎ
神主さんのお祓いが始まった
しばらくするとS子が苦しみだした
「熱いよ~~痛いよーー、助けてーーー」と連呼していた
神主さんはそれを無視してお祓いに集中をしていた
およそ1時間・・・
だいぶS子の状態が安定してきた
最後に大きな声でお祓いの言葉と同時にS子の背中をおもいっきし叩いた
すると・・・手形が嘘のように消えた・・・・
と同時にS子が気絶した
すぐに布団の中にS子を寝かせてあげなさいと神主さんはS子ママに指示した
お祓いが済み神主さんは少しさえない顔をしていた
「一応は手形は消したが・・・手形の主はこの子が倒したお墓の主だったよ
でもな・・・もうあと2体いるような気がするのぉ・・・・
今日・・・なにか変わったことはなかったかのう」と私たちに質問をしてきた
神主さんに今日のかくれんぼともう一人S君なのかF子が見た影なのか
よくわからないが今日1日の出来事を話した
「うーーん、もう一人と影かぁ・・・
いや・・・確かに・・1体は影法師じゃで
だがな・・・もう1体がよくわからん・・・
わしの力では恐らく太刀打ちできないと思う
まぁ・・・とにかくもう1体の影法師とやらをお祓いするかのぉ」といい
布団で寝ているS子に向かってまたお祓いの言葉をかけていた
布団の中のS子が苦しみだした
「おのれ~~、せっかく、いい宿主がみつかったのにぃ~~
こやつの生気をすべて吸いだすつもりだったのに~~~
おのれ~~~
あ!おまえは~~~〇〇(絶叫していて聞き取れなかった)
おまえがなぜいるんじゃ
ううううおまえーーいる場所が違うだろうーーー
やめろ~~俺を喰うな~~やめろ~~~・・・・・」とすごい絶叫をしたのち沈黙した
S子の声ではなかった
図太い声、そう悪魔の声みたいな感じだった
沈黙したまんまだった・・・
あまりにも現実離れした光景に誰もが言葉を失った
F子はもう泣きそうな顔をしていた
私はあわててF子を他の部屋へ連れて行った
「おにいちゃん・・・今のあれなに?S子ちゃんの声じゃなかったよ
S子ちゃん大丈夫なの?」と私に問いかけてきた
「大丈夫だよ、すべてうまくいったから
F子はしばらくお兄ちゃんと一緒だよ、いいね」とF子を諭した
「うん・・・お兄ちゃんと一緒なら安心
やはり・・・私の予感、当たったね・・・
S子ちゃんがかわいそう
あの影法師にお兄ちゃんたち騙されたんだね
お兄ちゃん・・・実は・・・パパ・・
本当は神主さんを連れてくるはずだったの
でも・・・パパ・・神主さんの顔を見て・・・顔が真っ青になった
それで・・喫茶店に寄ったの
今頃・・・パパ・・・お陀仏かな?」
おいおい・・・お陀仏というなよ
「パパ・・なんでああもママに弱いんだろうね?
パパのあの顔は竹内力と同等の顔をしてるのにね・・・
ママはかわいい感じなのになんでパパいつもペコペコしてるんだろう・・・
いつも不思議に思ってる」と小声でしゃべってきた
「だよね・・・不思議だよな」
「ママ・・なんでパパと結婚したんだろう
ママはお嬢様だよ
パパは不良だよ
どうみてもバランス悪いよ
この前、ママのお家へ遊びに行ってきた
本当に大きな家でおじいちゃんやおばあちゃんが出迎えてくれたよ
そしてお使いの人からママを「お嬢様お帰りなさいませ」といわれてた
だけど・・・
パパのお家は・・・今にも崩れそうな小さなお家だよ
おかしいよね・・・」とまた小声で話しかけてきた
今日はやけによくしゃべるよな・・・
私も不思議で仕方ない
完全に正反対な家柄だ
普通は大反対するだろ
身分が全然違う
ところが・・・両家の親はなぜか大喜びしたとか・・・よくわからん
子供の時はそう関心はなかったが・・・大人になるにつれて世間というものがみえてきたときに
昔、F子が話した不思議を思い出した
たしかに身分が全然違う
そこで・・・父方のじいさんに聞いた
「あぁ・・・まぁな・・あの馬鹿垂れがほれこんだんだよ
口説いて口説いてやっとものにした・・・とあの馬鹿垂れはそう言いよったわい
たしかにA子(私の母の名前)さんはかわいい感じのお嬢様
実際に金持ちのお嬢様だからな
わしは身分が違うから付き合うのはやめたほうがいいぞ、と言ったんだがな
あの馬鹿垂れは「やかましい!じじぃ!俺がほれこんたんじゃ、だまっとれや」と啖呵を切ったんだよ
まさか・・・本当にお嬢様と結婚するとは思わなかった
そりゃ、わしは大喜びしたさ
馬鹿垂れにお嫁さんが出来たんだから
両家のごあいさつのときにあちらのお父様から
「息子さんは顔は怖いが根は正直でいい人ですね
正直に言いますと私の娘は普段は大人しいのですが・・・・
一旦切れると手に負えません
まぁ・・・親の口から言うのは・・・猛獣を息子さんが抑えてくれると
期待しております
それに・・・娘には結構なお見合いが舞い込んできてたんですよ
しかし・・・いざお見合いでお相手の男子を見ると・・・正直・・・娘じゃなく
財産を狙っているな、とわかったんです
お見合いはほぼ財産狙いでしたね
ですが・・・あなたさまの息子さんは本当に一途に娘にほれてるんだなとすぐにわかりました
娘の方もまんざらでもない様子だったのでこれはうまくいくかもと期待しておりました
まぁ・・・確かに身分の差はあります・・・だけど・・・財産をねらってるようなところへ娘をやるわけにはいきませんから
息子さんは財産ではなく娘を本当に愛してくれてるんだと信じています
今日、あなたさまに会って確信しました
ええ・・・聞いてます・・・ヤンチャな男の子でしたからね
娘からよく聞かされていました
一番驚いたのは息子さんの頬を3発ピンタしたと聞いた時にはさすがに私も引きましたよ
それからですよ
息子さん私の娘に口説き始めたのは
まぁ私は別に反対はしておりませんでした
家内もです
普通はピンタをくらったら娘には誰も相手にはしませんよね
でも息子さんは娘を口説いてくれました
一応親としては「反対」という立場で
息子さんに会いました
私の職業柄いろいろな人物と会ってきました
まぁ・・外見は・・・いいにくいのですが・・チンピラですね
でも目を見た時に純粋な目をしてると感じました
私は若いころは野心家でいつかは大金持ちになりたいという欲望でいっぱいでした
家内を嫁にするときも家内の実家の財産はどのくらいあるのかという今に思えばおはずかしい・・・
私はそういう人間です
だから財産狙いの目つきは一目でわかります
ですが息子さんは野心家の目ではないとすぐにわかりました
単に娘が好きなだけだとわかりました
その日からわたしは娘の門限を撤廃しました
○○君(オヤジの名前)なら大丈夫だと思ったからです
門限を撤廃したことは○○君には伝えておいたにもかかわらず
ちゃんと門限までには娘を返してくれました
正直驚きました
てっきり深夜まで娘を連れまわすのではないかと思ったからです
こちらの要求には充実に守ってくれました
本当にいい息子さんですね」と言われたときにはわしは「うそだろう」と我が息子ながら疑ったわい」とじいさまは話してくれた
おふくろが猛獣・・・猛獣使いではなく猛獣・・・
おやじも猛獣
猛獣対猛獣
相性がぴったしだ
今はそのおふくろ猛獣がおやじ猛獣を抑えきっているというか完全に支配された
チンピラ・・・すごい言われ方だ
たしかにおふくろのおじいさまは目つきが鋭かったな
ああいう目が野心家の目つきなのかな
逆におばあさまはおっとりとしたお嬢様という感じだった
まさにF子そのものだ
「おーーい、F君、こっちへ来てくれ」とS君が呼びに来た
「本当にS君?」とわざと質問をした
「え?」とびっくりした顔になった
ああ本物だ
「いまいくよ」といいながらF子の手を握り元の部屋へ戻った
「一応・・・2体までは追い出したが・・・後1体残ってる
わしの力では太刀打ちは出来ない
おそらく将来・・・その3体目が暴れる日がくるだろうとおもう
まぁ・・・残念だが・・・ここまでじゃ」といいながら
神主さんは頭を下げて帰っていった
確かに神主さんが言った通り将来とんでもない事件でその3体目が暴れた
インチキな神主さんが多いのにこの神主さんは本物だ
さすが・・不良親父のお祓いをしたことだけのことはある
S子が目覚めた
「おっちーーー、気持ちのいい朝なんだぞぉーー」と言いながら目が覚めた様子
「おい!S子何が朝だよ、今は真夜中だよ、おまえS子か?」とS君がからかった
「おっちーーー、乙女に向かって失礼なんだぞぉーー」
「オトメ?あはははは、まさしく本物のS子だ」
その場の張りつめていた空気が一気に抜けた
無事にS子のお祓いが済んだ
今夜はS君の家に泊めてもらった
翌朝になり自分の家へ帰ることにした
「おにいちゃん・・・パパ・・・無事かな?お陀仏してたらどうしよう?」
「おいおい・・・F子、そのお陀仏という言葉を使ったらだめだよ」
「うん・・・家に帰るのが怖い・・・」
俺もだ・・・本当に親父がお陀仏になってたらどうしよう
家に着いた
そぉーと玄関を開けた
もしかしたら玄関先で親父がお陀仏になってるんじゃないかと恐怖心で一杯だった
「ただいま~~」とわたしは声をかけた
ドタドタと足音がした
デタ~~~不良親父
「お!F子ちゃん、お帰り・・・さぁ・・朝食だよ」
「うん・・パパ・・・お陀仏してなかった・・・よかった」
「お陀仏?誰が?」
「うん、パパ、ママにお陀仏されたのかと思ってた・・・」
「ママに?パパは元気だよ」
「うん、かっこいいパパだ」
「おい、F、テメェーだろ、F子に「お陀仏」という言葉を教えたのはよぉ、しばくぞ!!!」
素直にお陀仏しててくれればよかったのに・・・チーーン
あ!もちろんS子が倒した墓石はちゃんと直したから・・・
作者名無しの幽霊
いやはや
まさか墓場でかくれんぼをする羽目になるとは・・・
それも影法師に騙されてた
以外に不良親父のまじめさが見えて個人的に寒気がしたけどな
しかし・・・・S子の体に3体も得体のしれない物の怪が住んでいたとは・・・
やはりS子はただものではない
残り1体が例の事件の時に出てくるとはね
S子の食欲はすごいから
最低でも2人分は食べてた
それでも太らなかったから不思議に思ってた
S子の周りというかS子を中心にまだまだ珍事件というか不思議な出来事がたくさんあった
どれもこれもすべてあの事件につながるパーツだった
昔の思い出話のひとつでした・・・