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長編12
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新社会人になって

この前の思い出話・・・

家族の危機という場面に遭遇して

改めて家族・兄妹は大切にしないといけないなと思い出しながら自分の家の小さな庭を見ながらそう思った

京都のお寺の庭園を見ていつかは自分の家にもあのような落ち着いた庭が欲しいなと思っていた

まぁ・・・小さいながらも庭園は出来たけれど

庭先の小さい椅子に座ってコーヒーを飲みながら小さな庭を見るのがほぼ日課になっていた

ふと・・・また思い出したことがある

あれは私が学校を卒業してはじめて勤めた会社の出来事や仲良し4人組が関係した話であるけれどね

あの日は不思議な体験をした

私の妹F子は人見知りが激しくて人の輪の中に自分から飛び込んでいくということがなかなかできない子だった

しかし、その分予知能力みたいな感じの能力は秀でていた

そのおかげで私や4人組は結構命拾いをしてきた

私が新社会人・新人としてはじめての会社へ行くときにそれは起きた

各企業をまわって何とか内定をもらった

夕食の時に内定をもらった旨を話した時にF子が真っ先に

「アニキ!!すごいじゃん、内定もらえるとはね、正直・・・このまま・・引きこもりをするのかと思ってた」とおもっきし笑われた

おやじも

「F、なんか裏取引でもしてきたんじゃねーのか、しばくぞ、こらぁ」といつもながらイチャモンをつけてきた

素直に喜んでもらえると思って話だが・・・意味なかった

特にF子から馬鹿にされたから余計にショックだった

後からS子にも笑われた

「Fアニキ!!!ギャハハハハ、F子ちゃんから聞いたんだぞ、会社受かったんだってーーー

なんかインチキしたんだろ」と言われた

もう怒る気持ちは無くなった

能天気S子から笑われても腹が立たなかったというのが正直なところ

不思議と小さい時からS子からいじめらしきことや意地悪されても怒るという感情が湧かなかった

なぜだろうと常常思ってた

将来S子と結婚したときにその意味が分かったけれどね

さて・・・

初出勤の日

少し余裕をもって

家を出ようと思い1時間ほど早く目を覚ました

私は用を出そうと部屋から出ようとしたときに

ドアの向こうでF子が立っていた

「アニキよ、早いじゃん・・・今日大雨が絶対に降るよ、傘をもっていってね、

それと駅でS子ちゃんに遭うかもしれないよ

おしゃれにも気を付けないといけないよ、それと・・・階段から落ちるかもね」と

とんでもないことを言ってきた

「はぁ?・・・なに?おまえ、予言者?」と言いF子の頭を軽く叩いた

「イタァ!アニキ・・・せっかく心配してあげたのに・・・ベェ~~だ」と言いながら下へ降りていった

なんなんだありゃ・・・と思った・・・が・・・・・

「おい!!!、F、テメェーー、俺のかわいいF子ちゃんの頭どついたろ、しばくぞ、こらぁ」と朝からおやじが絡んできた

うっとうしい・・・

親父を無視して私は朝ごはんを食べた

隣には大人しく食事をしているF子がいた

しばらくF子をみてると気づいたのか

「アニキ・・・キショーー、あっち向いててよ」と言われた

「いや・・・その・・・」と言い訳をした

なんだろうな・・・とその時は気づかなかった

あのオハルちゃん達に会うまでは・・・ね

オアキちゃんに会ってはじめてF子がオアキちゃんそっくりだということが分かったけれどね

朝食もおわり背広を着て家を出ようとしたときにF子が

「アニキ!!!傘、傘は?ほら、もっててよね、私も同じ駅だから一緒に行こう」と

F子が話しかけてきた

F子は駅通学をしていた

S子も同じ

高校は違うけれどね

F子のおしゃべりが止まらない

よくしゃべるなとおもいつつ適当に相槌をうっていた

しかし・・・視線がきびしいほどつきささるな・・・

F子と一緒に歩いてると男の視線・・・というか嫉妬の視線・・・

隣にいるのは俺の妹だ、と言いたい気分になる

さらに怖い視線が・・・親父だ・・・これは怖いぞマジで・・・

ずっと前にF子と買い物をしに出掛けた時に、

後ろから「俺のかわいいF子ちゃんとデートするのは10年早い」と耳元で囁かれたときには

体が半分飛び跳ねたよ

振り向くとおやじだった

心臓が止まりそうになった

およそ2Km歩くと商店街を抜けて駅がある

例の墓地の隣の道を歩くのは気持ちいいもんじゃないから遠回りをしている

そろそろ駅に着こうとしたときに大雨になった・・・

「アニキ、傘をもってきてよかったね」と言われた

大雨・・大当たりだ

まぁ・・・空を見上げれば曇だからな・・・いずれは雨は降るだろう

駅に着いた

「おっちーーーF子ちゃん、おはよーー」

出たーーおっちー娘

「S子ちゃん、いつも元気だね」

「おっちーー、もちろんさ!F子ちゃんはいつも美人だぞぉーー」

「いやだぁーー、今日は大雨だからね、転ばないように歩かないとね」

「おっちーー、そうだね、せっかくかわいい服を着ても濡れちゃったら意味ないもんね」

「うん、今日は早く帰りたいよね」

「おっちーー、そうそう、雨降りの日は早く帰りたいんだぞ」

「ところで・・・後ろにいる背広着たダサイのは誰なの?F子ちゃん」

「え・・・」

「F子ちゃんを発見してここまで来るときに後ろの奴、F子ちゃんの後ろからついてきてたよ、

F子ちゃん美人だから気を付けないといけないよ」

S子・・・・おまえ・・・知っててわざと言ってるんだろ・・・

「あんた、そう、あんたさ、後ろ向いてないでさ、こっちむいたらどう!

今さっきからこの子の後をついてきてるでしょ!この変質者!!

警察を呼ぶんだぞーー」

「S子ちゃん・・・・」

「だからさ、こっち向いて・・・」

「げっ!アニキ・・・ダサッ!!!何その背広・・・ギャハハハハッハ!!!

地味~~~」

「S子、おまえーーー、よくも笑ってくれたな・・・」

「おっちーーー、アニキだからこそ、本音を言ってるんだぞ

なにそれ・・・今日は何?入社式なの?」

「そうだよ、今日は入社式だよ、だから背広着てるんだよ」

「ギャハハハハハ・・・うちのアニキも昨日、入社式で背広を着てた

すごく、ダサいの、朝その背広を着たアニキを見て「アニキ、その背広、ダサイ」と言ったら

ゲンコツもらった・・・両アニキたちさ・・・もっと服のセンスを磨いた方がいいよ

絶対に女子にモテないよね、F子ちゃん」

「え!・・・・S子ちゃん、ちょっと言いすぎだよ・・・」

「そっかな・・・まぁ・・・アニキたちだから・・・センスをよくしろといっても無理だな」

S子、よくもまぁ本人がいる前で言いたいこと言ってくれたな・・・

ダサくて悪いか!くそっ!

それよりも周囲の視線が・・・・

女子高生と変なおっさんのコラボ

どう見ても・・・俺、変質者としか見られてないよな・・・

((ねぇ・・・あの女子高生たち、まさか痴漢にあったんじゃない・・・ほら、近くに変な背広を着た人いるでしょ、あいつが絶対に犯人だよ))とボソボソと小さい声で話してたのが聞こえた

俺・・・痴漢の犯人になってる・・・こりゃやばい・・

「おい、S子たち、早くホームへ行こう」

「え!あっ!もうそろそろ電車が来る時間だよ、F子ちゃん、行こう」

「うん・・・」

S子とF子は手をつないでホームまで小走りで走り出した

S子たちは定期だからスムーズにホームまで辿り着いたが

俺は定期を持っていないので切符を買いに自動切符売り場まで走った

ジリジリジリと電車が近づいてくるベルが鳴った

「わぁ・・やばい、電車が来ちゃった」

と小声を出して走り出し階段を駆け上ったときに踏み外して階下まで転げ落ちた

「あったた・・・落ちちゃったよ・・・」

幸いにもそんなに階段を上っていなかったのでケガをせずに済んだ

足を引きずりながら私はホームまで歩いた

「あ!・・・アニキ・・・足、どうしたの?」とF子が心配そうに声をかけてきた

「階段から転げ落ちた・・」

「え・・・だから、私、朝に転ぶから気を付けてね、と言ったじゃない」

「まさか・・・転ぶとは思わなかったよ」

「アニキさ・・・ホントマジでダサッ!ケガしなかっただけでも良かったけど・・・

今日の入社式マジで大丈夫なのか?」

「S子・・・おまえ・・・目が笑ってるぞ・・・」

「あっ!ばれたか・・・えへへへ」

電車のドアが開いた

各々3人は目的地の駅が違うので順に目的地の駅で降りていった

F子の予言!!!大当たり!!!!

こんな具合にF子の予言は必ず当たる

夕方になり入社式も無事に終わった

会社近くの駅へ向かう途中でF子らしき人物を発見した

学校の服ではなく普通の服を着てた

おかしいな・・・と思ったが

学校が早く終わってここらへんまで遊びに来たのかな、と思った

わたしはF子らしき人物の近くまで来たときに

「おい!!F子、一緒に帰ろう」と声をかけたがこっちを振り向かずにさっさと歩いて行ってしまった

なんなんだ・・・

人違いだったのかな・・・でもよく似てた・・・俺が声を掛けたらF子は必ず返事はしてた

学校で何かあったのかな・・・

いろいろと考えていたが・・考えていても仕方ない

電車に乗り3つ目の駅に止まった時に後ろから声がした

「アニキ!!!入社式無事に終わったの?」とF子が声をかけてきた

私は後ろを振り向いて目が点になった

学校の服を着てるF子だった

「え!・・・F子なのか?」とつい聞いてしまった

「私だよ、アニキ、大丈夫?」と逆に心配された

私はF子に今さっきの出来事を話した

「そうだったの、アニキ、そんなに私に似てたの?」

「そう、瓜二つ、だから、声をかけた」

「私とそっくりさん、この近所に住んでいるのかな・・・

アニキ・・私も・・というか・・アニキが見た人と同じ人なのかわからないけどね

1か月前に私、家へ帰るときに見知らぬ女の人から声をかけられたの

「大きなお姉ちゃん、お久しぶりですね、私が小さい時に本当に助けてもらって感謝しています

今の時代の子は自由でおしゃれで活き活きとしててうらやましいです」と

話しかけてきたの

私、何の話をしているのかわからなかったから無視していたら

「大きなお姉ちゃん、将来、また私と会うかもしれませんね」と言いながら顔を上げたの

そしたら、「私」そっくりな女の人だったから心臓が止まりそうになったよ

その人は顔を上げて笑顔でそのまま歩いて行ってしまったけれどね

私、しばらく動けなかった

どう見ても「私」だった

でも・・・あちらの女の人の方が凛として品があったような気がした

アニキが見た「私」そっくりな人と同じ人なのかな・・」

「わからないけれどね、F子にそっくりだった

でも不思議だな」とF子と話してた

やはり・・・周りの視線が・・・F子は私と腕を組んで話をしている

ダサい背広男と美人の女子高生・・・あり得ないコラボ

どうみても兄妹とは見えないだろうな

私が高校生の時にF子と商店街に用事があって一緒に歩いているのを同級生が見てたらしく

「おい!!F、昨日、俺見ちまったぞ、おまえ、あんな美人の彼女がいたのかよ」と言われた

私は否定をして妹だ、と説明をしたが

そいつは謙遜するなよな、という顔をしてた

男の嫉妬した視線を感じながら電車を降りた

駅から商店街を抜けてそのまま家へ帰ろうとF子とおしゃべりをしながら

歩いてると後ろ姿がなんとなくS子に似てる子が前を歩いていた

「あれ・・・アニキ?前の人ってS子ちゃん?

おかしいな・・・今朝ね、S子ちゃんは今日は早く帰りたいんだけど

部活など今忙しくて早く帰れない、と言ってたのに・・・」

「確かに・・・後ろ姿や歩き方はS子だな

声をかけてみるか」

「うん・・・」

「おい、S子!部活早く終わったのか?」と私は前を歩いていた女性に

声をかけた

だが・・・聞こえているのか聞こえていないのか・・・無視して前を歩いている

「声を掛けたら必ずS子なら「おっちーー」というはずだけどな

人違いだな、F子」

「だよね、S子ちゃんなら必ず返事してくれる」

しばらくその女性と私たちは同じ方向を歩いていた

その女性がある店で止まって商品を見ていた

私たちも止まって様子を見ていた

「おっちーーー、おばちゃん、このきゅうりとなすを頂戴」と女性はお店のおばちゃんに話しかけた

「え!!!!!今、「おっちー」と言ったぞ

やっぱ、S子だよ、あいつ無視しやがって」と私はその女性に近づいた

「あ!大きなお兄ちゃん!!!あれ!!!大きなお姉ちゃんもいる!!!

おっちーーー、うれしいんだぞ!

本当に私が小さい時にいろいろとご迷惑をかけました

今日はお姉ちゃんと久しぶりに町へ出て買い物や見物をしてるんです

そうそう、私のお姉ちゃん見ませんでした?はぐれちゃって・・・」

え!---誰?大きなお兄ちゃん?大きなお姉ちゃんって何?

たしかに顔はS子そっくり・・・あの「おっちー」もだ

でも・・・この子とは一度も会ったことないぞ

でも・・・この子・・・何となく現代の子じゃないような・・・

服装はかわいい服を着てるのだが・・・顔が素直そのもの・・・

どういうこと?

「おい、F子、この子知ってる?」

「アニキ・・・知らないよ、S子ちゃんそっくり・・・

もしかして・・・お姉ちゃんというのはアニキが見た「私」なのかな

今日は予言がズバリ大当たりして自分でも驚いてるけど・・・」

「いずれ・・・私たち姉妹のことがわかると思います

私、もうお姉ちゃんとは会えないものと諦めていましたから

お兄ちゃんたちは・・・・

トトカカ様も・・・・」

何の話をしてるのだろう?

目が点だ

いずれ・・・何がわかるというのか・・・

その女性はお店の人から商品をもらって私たちに笑顔で会釈してその場から歩き去ってしまった

あの笑顔は満面でうそのない笑顔

まさにS子だ

「どういうことだ・・・意味が分からん」

「だよね、アニキ・・・私たち感謝されることしたかな?」

そうなのだ・・・あの時にオハル・オアキちゃんに会っていたのだ

あの小さい時のオハル・オアキちゃんじゃないよ

もう両方とも18歳~20歳前後かな

すっかり娘になっていた

その当時は全然わからなかった、当然だよな

もう1度オハル・オアキちゃんに会いたい

もっとゆっくりと話がしたいといつも思ってる

ほかの3人も同じ思いをしている

でも・・・かなわない夢だな・・・・

しばらく立ったままになっていた

「おっちーー!!!F子ちゃん!アニキ!!!

ここで何してるの?」とS子が走ってきた

「ギョ!!本物のS子だ!」

「え?本物?私は本物だぞーー」

S子は何だろう?という顔をしている

F子がS子に今起きてたことを話した

「え!!!私そっくりな子がいたの?

「おっちー」と言ったの

ええええ、「おっちー」は私だけかと思ってた

あ!そういえば・・・・15分前だったかな・・・駅からこっちへ来るときに不思議なものを見たんだぞ

「F子ちゃん」が道路の反対側を歩いてたのを見つけたんで私、声をかけたけどその「F子ちゃん」

こっちを見ないばかりか聞こえてない様子

あれ?・・・と思ったよ

もう1度言おうかなと思ったときに私、目が点になったよ

走ってきたのは「私」だもん

その「私」が走りながら「おっちーーーお姉ちゃん!、見っけ!」と聞こえたんだぞ

私はF子ちゃんを一度も「お姉ちゃん」と呼んだことはないからね

その「お姉ちゃん」が振り返って顔を見たらF子ちゃんそっくり

もうね、私、パニックになりそうだった

どういうこと?と考えながら歩いてたらアニキたちがいたから声をかけたんだぞ」

とS子はまだ動揺をしてる様子

私たちはお互いに「何」を見たのだろう?

S子やF子そっくりなあの子たちは一体誰なんだろう?

本当にその日は不思議なことばかり起きその当時は理解できなかった

****************

葵がチョコチョコと歩きながらこっちへ来た

「パパ!ユウショ、の時間だぞーー、ママが言ってんだぞ」と私に声をかけてきた

「おっし!一緒に行こうか、葵」

「ウン・・・パパ、いつも庭でボーとしてるね、ママがいずれボ?ケるんだぞ、と言ってんだぞ」

ほっとけ!S子め!

小さい葵に思い出話はちょっと早すぎるかな・・・

Concrete
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