長編9
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F子と黄泉の国

大変なことになってしまった

なんとF子の体から餓鬼が出てきたのだ

いつのまにF子の体に潜り込んだのだ

そして・・・F子の魂は黄泉の国へ・・・・

「お兄ちゃんーーーどこへ行くの?私も行きたいよ~~」

「なんで私を置いていくの!!お兄ちゃん!!」

高熱も下がりみんな少し安堵した

だが・・・・F子が嘔吐した途端に黒い塊が出てきた

オヤジはすぐに餓鬼だとわかって顔をゆがめた

和尚様も驚き慌てて言語のよくわからないお経を唱え始めた

和尚様曰く「黄泉の国へ連れていかれる寸前ですわい」とびっくりする発言をした

「オヤジ殿!!!F子ちゃんの手をもっと強く握って語りかけてください」

「おう!!わかったぜ、くそ坊主!!!」

「F子ちゃん、パパはここにいるよ、どこにも行かないから安心していいんだよ」

「F君!!!F君も妹さんにやさしい言葉をかけてあげてほしいですわい」

「はい!!F子、お兄ちゃんはいつもF子のそばにいるからね、どこにもF子を置いてどこにも行かないからね」

「お兄ちゃん・・・・パパの声が聞こえた・・・F子はここだよ・・」

「F子ちゃん、パパはここだよ、こっちにおいでよ」

「パパ・・・姿が見えない・・・どこ?」

「声が聞こえたということはまだ意識はこっちの世界にいますわい

もっとたくさん話しかけてくだされ」

「F子!!!お兄ちゃんはここだよ、小さいときはかくれんぼや鬼ごっこをたくさん2人で遊んだね、もっと遊ぼうよ」

「F子ちゃん、パパだよ、パパの自慢の車でよくドライブしたよね

あちこちドライブしたよね、もっともっとF子ちゃんとドライブしたいな」

「パパ・・・お兄ちゃん!!!あれ・・・Sお兄ちゃんがいないよ・・・S子ちゃんはどこ?」

「S君もF子ちゃんに話しかけてくだされ」

「F子!俺だよ、いつも下手っぴな写真を撮ってごめんな

もっともっとうまくなってF子を撮るよ、戻っておいで」

「うん・・・Sお兄ちゃん・・・いつも私を綺麗に撮ってくれてありがとう・・・

私の大事な人だよ・・・」

「おおお!!!はじめて聞いたぞF子!!俺も同じくF子が好きだーーー!!!」

和尚様はどんどん訳のわからない言語で唱和していた

「もうそろそろですわい・・・オアキちゃんがF子ちゃんを黄泉の国の入り口から引き戻してくれますわい・・・・」

<<大きなお兄ちゃん!!大きなお姉ちゃんを今から助けるからね

オアキお姉ちゃんと一緒に助けるからね

和尚様、もっと大きな声で唱和して!!!>>

「わかりもうしたわい!!」

和尚様はオハルちゃんの声が聞こえたらしく力強くお経を唱えた

「オアキちゃんが見える・・・オハルちゃんもいる・・・私の手を握ってくれてる

温かい・・・柔らかい手・・・力強い手・・・パパ!!!の手も見えるよ

もっと強く私の手を握ってほしい」

「おう!!!わかったぜ、F子ちゃんの頼みなら何でも受け入れるぜ」

オヤジはF子の手をさらに強く握った

<<もうすぐだよ、大きなお姉ちゃん!!!さぁ!!もっと強く握って!!!

あともう少し・・・・>>

パチッと大広間の電気が消えた

「わぁ!!パパ、電気が消えたよ、怖いよ」

「大丈夫だよ、楓、もうすぐ点くからね」

しばらくしてから大広間に電気が戻ったらしく明かりが点いた

「F子!!!!おいおい!目を覚ましてくれ!!パパだよ」

F子は静かに寝ていた

呼吸はしているのだが意識がないのか目をつぶったまま

「和尚様、大丈夫なのかな・・・」

「もういいと思いますわい

オハルちゃんから大きなお姉ちゃんを引き戻したからと言ってきましたわい

オハル・オアキちゃんに連れられて戻ってきてるはずですわい」

「そっか、よかった」

「おっちーーー、早く目を覚ましておくれ」

しばらくするとゆっくりとF子の瞼が開いた

「パパ・・・アニキたち、S子ちゃん・・・みんな・・・いる・・・私戻ってきたんだね・・」

「そうだよ、F子、お帰り・・・辛かったね・・・もうF子を置き去りなんかさせないからね」

「え???置き去り?私が?・・・」

「うわ言でうなされていたんだよ、F子」

「そうだったの?全然記憶がないよ、アニキ」

「おっちーーー、目が覚めたんだぞ、よかったんだぞ」

「S子ちゃん・・・Sアニキ・・・」

「おうよ、ここにいるぞ、F子!もうどこにも置き去りはしないからな」

「うん・・・よくわからないけど・・・」

戻ってきたF子

安堵した家族

しかし・・・いつ餓鬼はF子の体に入り込んだのだろう・・・

私は落ち着いてきたF子に今までの状況をすべて話した

「そうだったの・・・みんなに迷惑をかけちゃったね・・・

餓鬼がぁ!!!私の体から出てきたの?・・・」

「そうだよ、なにか心当たりないかな?」

「う・・・ん、肌身離さずにお守りと薬は首にかけてるんだよ

お風呂のときもこれ防水用だからお風呂の中でも首にかけていたんだけどね

でも・・・思い当たるとしたら仕事場かな・・・モデルだから次々と衣装を着替えなきゃいけないんだよね

そのときに外したのかも・・・覚えていないけどね・・・」

「そっかぁ・・・」

「今度から気を付けるね!アニキたち」

「ねぇねぇ・・・F子お姉ちゃん!!Sおじさんのこと大好きなの?」

突然楓が爆弾発言をした

「え?えええぇ・・・楓ちゃん・・・何を言い出すのよ、恥ずかしいじゃん」

F子は赤面しながらうつむいてしまった

「パパより好きなのかな?・・・」

「え・・・楓ちゃん・・・」

F子は楓の耳元で何かささやいていた

「え!マジで!!!お姉ちゃん」

「パパ!!!よかったね、いつも鈍感なパパだけど、F子お姉ちゃんはパパが大好きだよ、とお姉ちゃんが言ってくれたよ!!」

「キャ!楓ちゃん、内緒にしてって言ったじゃん」

F子はさらに赤面して完全にうつむいてしまった

「F!!!てめぇ!!しばくぞ、こらぁーー」

「さらにさらに!!!Sおじさんが大好きだって!!!」

これには大爆笑になった

「もう!!楓ちゃん!!!内緒っだって!!!」

「パパ、よかったね、鈍感なパパだけどね」

「なにが?よかったん?S子!!」

「パパ、素直に喜ばなきゃ、不細工なパパなんだからさぁ」

「おい!!!」

「ママァ!!言いすぎだよ!!本当のこと言ったらダメじゃん!!」

さらに爆笑の渦になってしまった

もう緊張感が一気に無くなってしまった

「本当にいい家族ですなぁ・・・うらやましいですわい

F子さんも無事に戻ってきたしヤレヤレですわい

本当にオハル・オアキちゃん達にはいつも助けてもらってますわい

ありがたいことですわい」

「たしかに・・・いつもピンチになると助けてくれてる・・・

私・・・そしていつもアニキたちに助けられてるね・・・

オアキちゃんが見えた時にてっきり自分だと思った

でも・・・仕草やしゃべりかたは上品で本当に綺麗な人だったよ

わたしもオアキちゃんみたいな品のある女性になりたい・・・」

「オアキちゃんかぁ・・・もう1度会いたいなぁ・・・」

「なに!Sアニキ!そんなにオアキちゃんが好きなの?」

「え・・・いや・・そのぉ・・・」

「なに!!はっきりと言ってよね、私とオアキちゃんどちらが好きなの?」

「どちらと言われても・・・困ったな・・・」

「どっち!!!なのよ!!!もう優柔不断なんだから」

怒りが頂点になりすごい形相になった

「F子お姉ちゃん・・・きつい・・・よね、パパ・・」

「あははははは」

「F子ねえちゃん、きついんだぞ」と葵がさらに追い打ちをかけたから全員が苦笑いをしていた

「やはり・・・私の娘だね・・」と余計なことをいうおふくろ

やっといつもの家族に戻った

「F子は当分ここで静養だな

仕事は当分しないほうがいいよ

ゆっくり休養してくれ」

「え!駄目だよ、アニキ!今写真集の特集で撮影中なんだよ

これを逃したら私たちの仕事来なくなるよ、ね、Sアニキ!!!」

「まぁ・・・そうだな・・・難しいな・・・少し休養するかぁ・・・

まぁ・・・締め切り日までまだ余裕あるし・・・なんとかなるかな」

「えええ・・・大丈夫なの?アニキ・・・撮影が終わっても編集などしないといけないでしょ、間に合うの?」

「いや・・ギリギリだな・・・」

「でしょ・・・なにせアニキの腕では一発で決まったことないもん!!!」

「おーーい!!!ここでばらすなよな」

「あっ!しまったわたしとしたことかぁ・・・」

「ぎゃはははは、そんなのわかってるよ、うちのアニキの撮影下手は知ってるんだぞ

編集作業は神業だけどね!」

「おい!!!S子!!!」

「ママァ・・・能天気すぎるぞ・・・Sおじさんがかわいそう・・・私の時も3回ほど撮影の撮り直しをしたんだから・・・」

「うわぁ!!楓ちゃん秘密だよ、ヒミツ!!!」

「俺って・・・そんなに下手ではないと思うけどな・・・」

「パパ!!!F子おねえちゃんと私の時だけ、なんか撮り直しが多いんだよ

Sおじさん、他の綺麗なおねえさんのモデル撮影の時は一発で綺麗に撮っているのに

おかしいでしょ、パパ」

「そうそう、楓ちゃんの言う通り、Sアニキ!わざとでしょ?」

「いや・・・そっかな・・・」

「ソッカナ?(ジロリ)」

F子はS君を睨みつけていた

まぁとにかく無事にF子が戻ってきてくれた

しかし、不思議なことはあの竹藪の中にあった祠は一体なんだったのか?

「不思議なことはあの竹藪で見た祠・・・あれって幻影だったのかな?」

「それ!私も気になってたの・・・あそこにいた人は全員祠を見たはずだよね

でももう1度行ってみたら無かったし遊歩道になってた

これって・・・もしかしたら別の次元の世界だったのかもしれないよ

本当に遊歩道が出来る前は祠ってあったのかな?」

「前にも言った通り私はここで生まれてここで育ったの

竹藪は確かにあったよ、でもね、竹藪の中に祠を見たことはないのよ

ちょっとまって、じぃやばぁやを呼ぶわね」

おふくろは電話で執事のじぃやばぁや老夫婦を呼んだ

「お嬢様!何事でございましょうか?」

「いや用ということはないんだけどね

一つ聞きたいんだけど遊歩道が出来る前は確かに竹藪だったよね?」

「はい!竹藪でございました」

「その竹藪の中に祠ってあったの?」

「はい?祠?ですか?・・・じいは見たことがありません」

「ばあやも見たことはないです、お嬢様」

「だよね・・私も見たことがないからね

でもね、この子たちが竹藪の中で祠を見たっていうのよ」

「さようですか・・・もしかしたらじいやばあやがここに来る前にあったのかもしれませんよ、お嬢様」

「それはありうるけれどね・・・今の使用人の中で長年この屋敷に仕えているのはじぃやばぁやしかいないのよ・・・そのじぃやばぁやが見たことがないとなると難しいわね」

じぃやばぁやが仕える前ならありうるかも・・・

でもそれを証明するものがひとつもない

あ!・・・・まさか・・・あの古い屋敷の中にそういう関係の書類があったのかもしれない・・・写真とか図面とか・・・

「もしかしたら・・・あの古い屋敷の中に祠に関しての資料があったのかも・・・」

「あああ!!!そういうことかぁ・・・餓鬼たちは証拠隠滅のために火を放ったのかも・・

でも・・・何のために?証拠隠滅をしたんだろう?」

「別に祠があっても隠す必要ってあるのかな?」

「ちょいまち、あの祠ってあの山頂へ行く途中にある祠とよく似てると和尚様が言ってたよな・・・もしかして・・・あの祠はもともとはこの屋敷の中にあったのを山頂の神社の中腹に移転させたんじゃないの?だからよく似てるんじゃない?」

「あ!そういうことか・・・・でもなんであんな場所に移動させたんだろう?」

「俺さ・・・あの祠は誰かが見てるような気がしてならないんだよな

要は今でいうなら監視カメラみたいな感じかな・・・」

「なるほど!!それは・・・そうかもしれない

餓鬼が他のだれかがあそこの中腹からお寺を監視してるのかも」

「わしゃ・・・あの祠からは見られてるという感じは一度もしたことはないですわい

生まれた時からあそこにありましたからのぉ・・・

でもF君やS君やF子ちゃんは見られてるという感覚・・・なにかありますわな・・・」

「何かあるんだろう、気になるよな」

あれこれと意見が飛んだのだが結局わからずじまい

もし調査をするのなら山腹にあるあの祠を調査しないとな

とりあえずはこれで一件落着

全焼だからどうしようもない

焼け跡から有用なものが見つかるとは思えない

とりあえずはF子とS君はおふくろの実家で休養することになった

(建前上は休養なのだがS君には使用人の行動を監視してくれるように頼んだ

もちろんおふくろには承諾をもらった

おふくろはあまり気のりはしていなかったが万が一ここの使用人がなにかしらのこの事件に関与しているのであれば追求しないと次から次へと怪事件が起きそうな気がしてならない

その旨をおふくろに話をしたらしぶしぶ承諾した)

その結果は大みそかの和尚さんのお寺ではっきりと結果が出た

やはり・・・と今は言うしかない

Concrete
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