最近、娘の楓がお友達を呼ぶようになった
お泊りもたびたびするようにもなった
もともと楓は活発な娘で少し人見知りはするがすぐに人の輪の中に入っている
そして、楓の特殊能力はオヤジより強いと和尚様は言っていた
ということは反面、いろいろな怪異に遭遇する確率が高いといえる
顔たちは美人のほうだ
やや目が吊り上がってはいるがF子より美人になるだろうとオヤジなどは言っていた
たまにS君やF子と一緒に東京へ行き子役のモデルとして撮影を行っている
すぐに撮影スタッフと仲良しになり評判がいいとF子が言っていた
「楓ちゃんの人見知りしないですぐに人の輪の中に入れるなんで私には無理
本当にうらやましい」と笑いながら言っていた
お友達も多くクラスでは結構人気者らしい
S子やF子の子供時代とはえらく違うなと思う
兄妹の中でもはっきりとものを言う性格
たまに長男の匠と喧嘩をしているようだがやはり気が強い楓の口撃に匠はタジタジ
その点、一番末の娘、葵はおっとりとしてる
さて・・・
お友達がお泊りした日のことだ
楓とお友達のA子ちゃんと葵が一緒の部屋で遊んでるときに怪異なことが起きたらしい
楓と葵には別段怪異ではないのだがA子ちゃんにとってはびっくりしただろう
なんとオハルちゃんが遊びに来たらしい
突然現れたオハルちゃんを見てA子ちゃんはびっくりして声をあげてしまった
「楓ちゃん!!!誰?その子!!突然現れたよ!!!」
「うん!オハルちゃんというんだよ、私たち一族のご先祖様だよ」
「え!?ご先祖様?何言ってるの?楓ちゃん!!」
「う・・・んと、やはりご先祖様としか説明できないや・・・」
「意味が分かんない・・・でも・・・え?楓ちゃんの妹の葵ちゃんにそっくりだけど
・・・」
「でしょ!葵にそっくりでしょ!だから私たちのご先祖様だよ」
「あたち・・・オハルちゃんとよく似てるのかな・・・」
「似てるよ!そっくりじゃない」
「あたち、オハルちゃんとお友達だよ」
「オハルちゃんって言うんだね、突然現れたからびっくりしちゃった」
などとびっくりしながらも4人で遊んだらしい
私たちから見ればもうオハル・オアキちゃんを見ることはできないからうらやましい
声は聞こえるのだが姿が見えない・・・それだけ心が腐った証拠かな・・・
ある日の晩のことだ
もう夜の23時を過ぎていた
玄関でなにか声が聞こえた
「はて?・・・玄関で何か声が聞こえたけど・・・誰が来たのかな?」
私はドアフォンで外の様子を見た
誰もいない
気のせいかな・・・
まだ子供たちはリビングで遊んでいた
騒がしい
「さぁさ・・あんたたち、もう寝る時間だよ」とおふくろが寝るようにと言った
「ばあちゃ!!明日は休みだからもうちょっと遊んでいたいんだぞ」
「葵ちゃんは毎日休みじゃないかい・・・あんまし夜更かしはよくないからね、お兄ちゃんたち、もうそろそろ自分の部屋へ行っておくれ」
「えええ!!!明日休みだよ、ばあちゃん、せっかく盛り上がってたのにさ」
「ばぁちゃ、もうちょっと遊んでいたいよ」
「もう・・・仕方ないわね・・・私とじいちゃはもう先に寝るからね」
とおふくろとオヤジはリビングから出て行った
4人が揃って遊ぶのは珍しい
普段はそれぞれがすれ違っていて一緒にいることが少なくなった
特に葵はお兄ちゃんたちと久しぶりに遊んでもらえて非常に喜んでいる
普段はなかなか遊んでもらえないからね
「うわぁ・・・もうそろそろ俺は寝るぜ」と匠はさっさとリビングから出て行ってしまった
そのあとに仁も後について行ってしまった
「え!兄ちゃんたち!!ずるいんだぞ」と楓が文句を垂れた
葵と楓は仕方なしにソファに座っておしゃべりをはじめた
「おっちーー!!お兄ちゃんたちはもう自分の部屋へ行ったんだぞ!楓ちゃん葵ちゃんももうそろそろ寝る時間なんだぞ」とS子が自分の部屋へ行くように催促をした
「ママ!!もう・・・・眠くないんだよね、ねぇ、葵」
「そうなんだぞ、楓姉ちゃんの言うとおり眠くないんだぞ!!」
「ダメダメ!!夜更かしはよくないんだぞ!」
「パパ!!!もうすこしここにいたいよ」
「困ったなぁ・・・じゃあパパたちはもう寝るけど・・・2人でリビングにいるかい?」
「えええ・・・それはちょっと・・・」
「冗談だよ、ママはもう寝るからね、パパはもうすこしここにいるから」
「おっちーー、ママは眠くなってきたんだぞ、先に寝るんだぞ」と言いながらS子はリビングから出て行った
3人だけになった
別段・・・なにすることもなし
私はTVを見ようとソファにこしかけてTVを見た
やはり・・・ろくな番組ばかり・・・
ピンポーーン
とチャイムが鳴った
葵と楓はびっくりして飛び跳ねてしまった
私もびっくり
もう午前0時過ぎだぞ
一体誰だよ
ドアフォンで確かめてみたが誰もいない
悪戯かな・・・・
「おかしいな・・・誰もいないぞ」
「え?でもたしかにチャイムが鳴ったよ、パパ」
「だよな・・・でもいないんだよ」
「うそぉ・・・イタズラかな、パパ」
「ありえるかも・・・こんな夜中にな・・・迷惑なことだよ」
「迷惑なんだぞ」と葵もプンプン
「「楓ちゃん・・・いる?・・・私だけど・・・」」
え・・・玄関に誰かいるのか・・・確かに玄関から声が聞こえた
「楓・・・今、声が聞こえたよな?」
「うん、聞こえた、私を呼んでいたけど・・・誰だろう?」
私はリビングから顔を出して玄関を見た
玄関は明かりが点いていないが誰もいなかった
「玄関には誰もいないよ・・・おかしいな・・・確かに声が聞こえたんだけどな」
と言うと楓もリビングから顔を出して玄関を見た
「いないよね、パパ、おかしいな・・」
3人とも顔を合わせ何だろう?という顔になった
まぁ・・・気のせいだろうということにした
もう夜の1時過ぎ
「もうそろそろ寝る時間だよ」
「全然眠くないよ、パパ」
「あたちも眠くないんだぞ」
こっちは眠気がしてきた
「パパはもう寝るけど2人でリビングにいる?」
「ええ・・・2人だけはちょっと怖いよ、パパ」
「怖いんだぞ・・・パパ」
2人だけではやはり無理かな・・・
「ううう・・困ったな・・・仕方ないな・・パパはソファで寝るからね」
「うん、パパがリビングにいてくれると安心」
私はソファで寝ることにした
葵と楓は安心したのかまたおしゃべりをはじめた
「よく話すネタがあるね」と言うと
「うん!!葵とおしゃべりするとなぜか落ち着くんだよね、パパ」
「あたちも楓姉ちゃんとおしゃべりすると楽しいんだぞ」
「そんなもんなのかな・・・パパはもう寝るからね
もし眠くなったら自分の部屋へ行くんだよ・・・でも・・2人で2階へ行けれるかな?」
「・・・少し怖いよ、パパ・・・もうこんな時間だもん・・・眠くなったらソファで寝るよ、パパ」
「そうだな、ソファで寝ればいいよ」
といつつ葵と楓はソファに寝そべってウトウトとしはじめていた
私は明かりを小さな点灯にしようとした時だ
「「楓ちゃん・・・私だよ」」
とまた玄関先から声が聞こえてきた
「ええええ!!!何?今の声?パパ、誰が来たんじゃない?」
「こんな夜中だぞ・・・一体誰だよ」
ドアフォンで確かめてみた
人影が見えた
玄関の外に誰かがいるようだ
「楓、玄関の外に誰かいるみたい
パパ、確かめてくるからね」
「ええ・・・こんな夜中に?大丈夫なの?パパ!!」
「まぁ・・・でも・・・外にいるのは間違いないからね」
私は内心ビビっていた
ドアフォンで見たときは確かに人がいるようだった
私は意を決して玄関のドアを開けた
「「こんばんわ!おじさん!!楓ちゃんに用事があるの・・・」」
「ええ・・あ・・・楓のお友達なのかな?」
「「うん!!」」
「ちょっとまっててね、楓を呼ぶからね」
私は楓を呼んだ
楓がやってきた
「楓、お友達が来てるよ」
「え・・・こんな夜中にお友達?・・・・」
楓が玄関の外を見た
「パパ!!誰もいないじゃない!!ふざけないでよね」
「え・・・あれ・・・いまここにいたんだよ、おかしいな・・・」
「もう!!パパ、冗談はきついよ、もうこんな夜中だよ」
「いや・・確かにいたんだよ・・・」
たしかにいたんだ
目の錯覚?
寝ぼけていたからなのかな・・・
でも玄関先から声が聞こえたのは楓も聞いていたはずだ
「おかしいな・・・でも楓も声は聞こえただろう」
「声は聞こえたけど・・・おかしいよね」
とりあえず玄関のドアを閉めて鍵をかけた
リビングに戻りソファでまたウトウト
「「こんばんわ!!楓ちゃん!!!」」と先ほどよりも大きな声が聞こえてきた
「えええ!!誰?パパ!!誰が来たみたいだよ?」
「うん・・・パパも聞こえた・・・」
ドアフォンで確認してみた
確かに小さな子が映っていた
「楓、見て、この子、楓の知っている子?」と聞いてみた
「どれ・・・え・・・誰?この子?私知らないよ、パパ」
「え!?楓のお友達じゃないの?なんで楓の名前を知ってるんだろう」
「わかんない・・・パパ・・・・・・こんな深夜にそれに一人で・・・おかしいよ、パパ」
「確かにな・・・・とりあえず、パパは様子を見てくるよ、ここで待ってておくれ」
「パパ、気を付けてね!!」
楓の知らない子がこんな深夜にそれも小さな子が一人で・・・
不安が頭をよぎっていた
「はい、今、開けるからね」
「「うん・・・」」
玄関のドアを開けた
今度はちゃんと少女が立っていた
「あのぉ・・・今時間、こんな時間に何か用事なの?」と聞いてみた
「「うん・・あのね・・・楓ちゃんに宿題を教えてもらいたくて来たの」」
「「え・・宿題って・・・ごめんね・・もうこんな深夜だよ、朝とかお昼にもう1度来てほしいんだけどね」
「「うん・・・そのぉ・・・・わたし・・・もう時間がないの、おじさん・・・」」
「時間がないって?今日は学校休みでしょ・・・朝とかお昼なら十分間に合うと思うんだけどな・・・」
「「ううん・・・そうじゃなくて・・・私自身・・・もう時間がないの・・・」」
「私自身って・・・どういう意味なのかな?」
「「うん・・・楓ちゃんとはクラスが違うけど・・・一度、楓ちゃんと話をしたかったから来たの・・・宿題が出てて難しいの、それで楓ちゃんにおしえてもらおうかなと来たんだけど・・・それに・・・私・・・時間がないの・・・」」
「困ったね・・・こんな深夜に一人で・・・おうちの方は知ってるの?」
「「うん・・・知ってる・・はず・・・」」と歯切れが悪い返事だった
なんとなく不審に思えた
楓も知らない子と言っていたし・・・
この子は・・・・
「ごめんね・・・もうこんな時間だよ・・・家族も心配してるだろうし
おじさんが一緒にお家までついていってあげるから今日は帰ったほうがいいと思うよ」
「「うん・・・でも・・・時間が・・・でも・・・今度にする・・」」
と言い頭を下げて玄関から立ち去った
リビングから覗いていた楓は顔色が悪かった
「パパ・・・あの子・・・本当に私、知らない子だよ」
「そう?でもクラスが違うからと言ってたけど」
「私のクラスは全部で3クラスしかない、その3クラスの子はほぼ全員知ってるよ
でも、あの子は見たことが一度もないよ、パパ」
「え、そうなの・・・でもあの子は楓のことをよく知ってる風だったけどな」
「そうなの?パパ・・・でも・・・なんか変・・・こんな夜中に一人で他人の家へ訪ねてくるかな?」
「あの子・・・なんか知らないけど「時間がない」と言ってたよ
なんだろうね、「時間がない」って」
「何だろう・・・私、月曜日に3クラス全部放課後に行ってあの子がいるかどうか確かめてくるね、パパ」
「だよな・・・気になるもんな」
「うん、パパ」
ともう深夜2時を過ぎていた
もう眠気も吹き飛んでしまった
書斎室でお寺さんから届いている資料を整理しよう
楓と葵も手伝ってくれた
月曜日になり会社から帰ってくると楓が不思議そうな顔で私に話しかけてきた
「パパ、やはりね、3クラス全部覗いてきたけど、あの子、いなかったよ」
「え!そうなの・・・どういうことだろうね
もしかして学校が違うのかな・・・幼稚園の時にあの子を見たことないの?楓」
「幼稚園の時・・・覚えてないよ、パパ・・・」
「そっか・・・」
それきりあの子は我が家に現れなかった
それからおよそ1か月が過ぎた
「パパ!!!大変!!!」と楓が頬を膨らませながら話しかけてきた
「パパ、1か月前に家に来た、あの子のこと、覚えてる?」
毎日が多忙で忘れかけていた
「1か月前・・・あの子・・・ああ!!思い出した、あの子か
あの子がどうかしたの?」
「うん・・・あのね、私のお友達の子の家にお泊りしたときにその子のお姉ちゃんからアルバム写真を見せてくれたの・・・色々な思い出話を聞いてたの、そしたらね、そのお姉ちゃんが突然泣き出したんだよ、パパ」
「え!?なんで泣き出したの?」
「うん・・・そのお姉ちゃんの話だとね、もう5年前のことだけどね
当時、クラスに病弱な同級生がいてね、病院を入退院してた子がいたんだって
ちょうど私と同じ年の時だってさ
その子がやはり・・・病気で死んだって・・・クラス全員の子が泣いたんだって
そのことを思い出してそのお姉ちゃんが泣き出したんだよ」
「そっか・・・体の弱い子がいたんだね」
「うん・・・そのアルバム写真でお姉ちゃんが「この子だよ、病気で死んだの」と指さして教えてもらったんだけど・・・私、その指さした子を見てびっくりしちゃった」
「なんでびっくりしたのさ」
「パパ、驚かないでよ、死んだ子は1か月前に家に来た子だったんだよ」
「え!?うそだろ・・・ありえないだろ・・・もう5年前に死んでるんだよ
パパ、その子と会話したんだよ」
「うん、私もパパと会話してるのを見てたからね
でもね、写真に写ってた子は間違いなく家に来た子だよ」
なんでこった・・・私は幽霊と話してたのか
別に驚きはしなかったけれど・・・相手が幽霊だとは思えなかった
霊感がゼロだから何も感じなかった
「パパ・・・私ね・・・あの時に・・・もうあの子、この世の人じゃないと思ってたよ
でも、確信が持てなかったからパパに話せなかった・・・」
やはり、楓は感じていたのか・・・特殊能力があるということはあまりいいことではないなと感じた
「あの1か月前のことをそのお姉ちゃんに話したら・・・そのお姉ちゃんが真っ青な顔したんだよ
「楓ちゃん・・・やばいよ・・・もしかして「宿題を頼みに来なかった?」と聞いてきたから「うん、そうだよ」と言ったらお姉ちゃんの顔がさらに真っ青になったよ
「あのね・・・楓ちゃん・・・あの子が死んでからね、当時のクラスメートのお家に深夜にね「宿題を教えてほしい」と訪ねてきたんだよ、それでね・・・もうみんなその子が死んでるのをわかってたからね、断ったんだよね・・・気持ち悪いでしょ・・・死んでる子が訪ねてきたんだよ・・・その断った子全員になにかしら原因不明の病気になったんだよ
病院へ行っても原因が分からないと言われてね
かくいう私も原因不明の病気で2週間ほど体調が悪かったんだよね
クラスの子ほぼ全員が原因不明の病気になってね
欠席する子が多かった
それで・・・クラスの子が「あの子の祟りじゃないかな」と言い出したのよ
全員・・・真っ青になっちゃってね
慌てて・・・クラスメート全員がその子のお墓参りへ行ったんだよね
そのあとは嘘のように病気が治ったんだよ
あの子・・・相当なこの世に未練を残して死んだんじゃないのと思うの
ほかのクラスメートも同じ思いをしてた
特にね、あの子は病院を出たり入ってたりして宿題をまともに提出したことがなかったのよ
それが・・・心に残ったのかな・・・・
楓ちゃん・・・今体調は大丈夫なの?」と聞いてきたから「私は全然平気だよ」と答えたらお姉ちゃんが慌てて「え?全然平気なの?マジ?・・・やばいよ、楓ちゃん
早くその子のお墓参りをしないと大変なことになるよ」と言われた
「何で大変なことになるの?」と聞いたら「あの子・・・断った時に「あんたさ、もし体調が悪くなってもさいずれ治ると思うけどもし体調に変化が無かったら1か月後に死ぬ」と笑いながら言ったんだよ
あの子はもはや死神だよ
楓ちゃん、早くあの子のお墓参りをしないと・・・」
私それを聞いてゾッとしたんだよ、パパ
私・・・どうしよう?パパ」
なんと・・・呪いの言葉をかけに来たんじゃないか
こりゃ大変だ
おいおい・・・もうそろそろ1か月目になるじゃないかよ
楓が死んじゃう
私は慌てて和尚様に連絡をした
「なんと!!!なんでこった・・・あきませんわ
いますぐにそっちへ行きますわい」
「はい、おねがいします」
「正確にその子が現れたのはいつだったか思い出せますかいの?」
「はい・・・というか・・・正確には・・・たしか・・・だったとおもいます」
「え・・・もう2日しか余裕がないですわい
急いでそっちへ行きますわい」
あわわ・・・2日しかないとは・・・
今晩に和尚様が来てほしいけど・・・・
「いいですかい、F君、楓ちゃんを結界の外へ絶対に出してはいけませんわい
明日とあさっては学校を休ませてほしいですわい
家の中にずっといてほしいですわい
一応・・・結界があるから・・・でも・・・あの結界は餓鬼ともに効くように調整してあるんですわい・・・う・・・ん・・・
とりあえず急いで行きますわい」
歯切れの悪い言葉を言って電話が切れた
私はオヤジがいる部屋に行って事の詳細を話をした
「おい・・・テメェ!!!なんで早く言わなかったんだよ
もう2日しかないじゃねーかよ
相手は死神だぞ
呪った相手を殺すまでしつこくつきまとってくるぞ
なんでこった・・・・」
オヤジの悲痛な言葉を聞いて段々と心配になってきた
「おい・・・F!・・・クソ坊主が来るまで楓ちゃんをわしらで守らないとな
クソ坊主が言うように結界は餓鬼ともには有効だが死神には効くかどうかわからんぞ
とりあえずは楓ちゃんを家から出すなよ
薬とお守りを肌身離さずにしてろよ
それと・・・F子ちゃんを東京から呼び戻すか・・・
仕方ない・・・呼び戻すしかない
F!スマホを貸せ」
と言われ私はスマホをオヤジに渡した
オヤジはF子と話をしていた
「急いでF子ちゃんが帰ってくる」
「なんで、F子を呼び戻したのさ?」
「あのな・・・F子ちゃんも楓ちゃんも特殊能力を生まれつき持って生まれてきたんだよ
その力はよ
あの閻魔大王と同じレベルの力を持ってるんだよ
俺も同じだよ
だから、閻魔大王は俺を避けてるのさ
3人の力を合わせれば何とかなると思う」
そういうことか・・・
後・・・2日・・・・
楓の命があと2日・・・・
相手は死神
この後・・・すげぇ・・・ことになった
翌日の昼に和尚様が来てくれた
ことの詳細を楓から聞いて和尚様の顔が険しくなった
相当やばいのかと思う
「F君・・・今回はちょっとややこしい
普通の除霊では無理かもしれない
楓ちゃんとF子ちゃんの力を貸してほしい
もちろんオヤジ殿も力を貸してほしい
4人でなんとか楓ちゃんを助けたい
後は楓ちゃんの体調次第で決まる
その子のお墓ではなくこの家の仏間で除霊をするから
結界の力を借りて一気に除霊するつもりですわい」
「はい・・・F子は今夜には帰ってくる予定です
S君と一緒にね
あと
必要なものはないですか?」
いろいろと準備をしないといけなくなった
心配そうに楓は私たちの会話を聞いていた
「あと・・・葵ちゃんを絶対に仏間に入らせないでほしいですわい
いえ・・除霊中にですわい
楓ちゃんにはF君が傍にいてほしいですぞ
楓ちゃん!!大丈夫だからね!
わしらがすべて解決するわい」
「うん!!和尚様なら安心!!じいちゃもいるし!!」
元気な声で返事をしてくれた
「F子ちゃんが帰ってから少し休憩をしてもらって
夜中の0時あたりに除霊をしますわい
いろいろな現象が起きると思うけれど何時もの如く冷静にしてほしいですわい
葵ちゃんは早めに寝ててほしいですわい」
「あたち、早く寝るんだぞ!和尚様の言いつけは守るんだぞ」
夜にF子とS君が帰ってきた
「ただいまーー」
「おっちーー!!おかえりなんだぞ」
「楓ちゃん、大丈夫なの?」
「今のところはね、さぁ!上がって!!」
リビングへS子とS君とF子が入ってきた
「お疲れ様ですわい
少し休憩してほしいですわい
その後に説明するですわい」
夕食がはじまり今夜の除霊など和尚様から説明を受けながらにぎやかな夕食時になった
夕食も終わり匠と仁は早々に2階へ上がっていった
葵はおふくろと台所で後片付けのお手伝いをしていた
楓はF子やS子と一緒におしゃべりをして緊張感を和らげようと楓の趣味の話をしていた
和尚様は仏間にて除霊の儀式の準備でオヤジとなにやら話しながら準備をしていた
夜も11時が過ぎた
除霊の準備も終わり和尚様とオヤジはリビングでくつろいでいた
「いよいよですわい・・・楓ちゃんの体調次第で決まりますわい
何か起きても冷静にお願いしますわい
除霊は時間がかかると思いますから少しでも気分が悪くなったら部屋から出てもいいですわい
客間にいてくれればいいですわい
客間にはS君は必ずいてほしいです」
0時5分前になった
仏間にオヤジ・楓・和尚様・私・F子の5人が部屋に入った
部屋中、線香の匂いで充満していた
ビシッ!バシッ!
ドンドン
ラップ音が部屋中に響いた
私たちを脅かそうとすごい音を立てていた
「いよいよ来ましたな・・・
皆さん座ってくだされ
私がお経を唱えますので耳を澄ませて聞いててくだされ
ラップ音や怪異現象が起きてもお経の声だけを集中して聞いててくださればよろしいですわい
特に楓ちゃんは怖い思いをすると思うけど集中してお経の声を聴いて目を閉じていればいそれでいいですわい」
「うん!!わかった、和尚様!!」
楓の元気な返事で少し部屋の緊張感が和らいだように感じた
0時になり和尚様はお経を唱え始めた
部屋中から奇怪な音が鳴り始め死神のささやき声も聞こえてきた
しかし、和尚様の言うとおりにお経を集中して聞いていたのでそれほど怖いとは感じなかった
死神もお経の声に反応して段々と怪異現象を起こしていった
楓がびっくりして声を出すかと思っていたが隣にオヤジが座って楓の手を握っていてくれた
ますます死神も面白くないのか幻聴や幻覚を私たちに仕掛けてきた
仕事の疲れもあってかF子が早々に部屋から出て行ってしまった
「アニキ・・・ごめんね・・・気分が悪いからSアニキのところへ行くね」
と小さな声で私に話しかけてきた
「おう・・・静かに出て行ってくれ
ありがとな」
1時間が過ぎた
なかなか死神もあきらめない
あらゆる手段を使って私たちを脅かしている
しかし、和尚様のお経を集中して聞いているので部屋で何か起きているのかわからない状態だ
疲れもそう感じない
和尚様のお経の声が一気にでかくなった
死神の声が少し小さくなったような気がした
その時だ
楓が倒れてしまった
「パパ・・じっちゃ・・・息が苦しいよ・・・」と弱弱しい声で訴えてきた
和尚様のお経の声がさらに大きくなった
「目が見えない・・・じっちゃ・・・パパ・・どこ?」
楓の息が荒くなってきた
すかさずオヤジは楓の小さな手を力強く握った
「じっちゃ・・・」
和尚様は最後のお経を大きな声で力強く唱えた
死神は苦しそうな声をあげていた
((くそぼうず!!きさま!いずれ地獄へ落としてやるぞ
お前ら一族もな!!!これで終わったと思うなよ!!
おまえら一族は一族が死滅するまで呪われてることを忘れるな
ヒャッヒャッ!!!キッキィーーー))
死神の断末魔
除霊は成功したのか?
「ふう~~~、なんとか・・・一応は除霊は成功ですわい
ですが・・・油断すればまた悪霊などが憑いてきますわい
楓ちゃんに憑いていた死神は地獄の閻魔大王へ送りもうしたわい
楓ちゃんは1時間ほど休養すれば元へ戻りますわい
楓ちゃんは仏間にて寝かせておきましょう」
和尚様は新しい線香に火をつけた
塩を四方八方に撒いた
楓は静かに寝ていた
仏間は死神が暴れたせいでグチャグチャになってしまった
障子は破れ木の柱は爪で引っ掻いたのか深い傷が残っていた
天井の一部に穴が開いていた
こりゃ修理代がすごそうだ
おふくろが様子を見に来た
「あらら・・・こりゃひどいわね
大工さんを呼ばなきゃね」と困った顔をしていた
2時間が過ぎた
もう朝の4時ごろになっていた
楓は目を開けて周りをキョロキョロと見まわしていた
「じっちゃ!!!怖かったよ」とオヤジを見ながら小さな声でオヤジに話しかけた
「もう大丈夫だぞ!楓ちゃん!!じっちゃがついてるからな」
オヤジはソッと楓の背中を支えながら起こした
隣から葵が心配そうに入ってきた
「楓姉ちゃん・・・葵なんだぞ!!」と楓のそばによって話しかけた
「葵・・・怖かったよ」と葵を見ながら怖かった様子を話していた
「あれ・・・オハルちゃん・・・葵の横に座ってる・・」
「うん・・お経がはじまってすぐにあたちの横に現れたよ
「「葵ちゃん、楓ちゃんは大丈夫・・・私たちも除霊のお手伝いをしてるからね」」と言ってくれたんだぞ」
「そっか・・・オハルちゃんありがと!!」
「あ・・・オハルちゃんが消えていく・・・もっと話したかったのに・・・」
「パパ・・・オハルちゃんが私を救ってくれたよ」
「そっか・・・パパたちにはオハルちゃんが見えないんだよ、よかったね、楓」
「うん!!!」
「よかったですわい!!元へ戻りましたな
部屋の修理が終わったらすぐに結界を作ってくだされ
この仏間だけは最後の砦だと思うでくだされ」
「はい、和尚様」
文章では表現ができないくらい死神は怪異現象を起こしてくれた
幻覚や幻聴など
脅しや誘いなど心の隙を見つけようと死神はあらゆる手段を使ってきた
しかし、和尚様のお経を集中して聞いていたおかげで何事もなく無事に終わった
仏壇も少し壊れていた
和尚様の顔は怒りでいっぱいだった
破れた障子から朝の陽ざしが射し込んできた
作者名無しの幽霊
なかなか文章では表現できないほど死神は暴れていたようだ
各々お守りとお薬を身に着けているので死神は手を出せなかったようだ
あの少女も成仏して天国へ昇って行ったと和尚様は朝の食事の時に話してくれた
楓とF子ちゃんの力はすごいと和尚様は感心していた
途中でF子が抜けてどうなることかと内心思っていたそうだ
ただ・・・私たち一族の呪いは解けていないので油断はしないようにと言われた