長編15
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「天国」と餓鬼たち

深夜に私のスマホに和尚さまから電話が入った

和尚様の話だと和尚様の奥さんが3日前に倒れて昨日、退院して今はお寺で静養してるとか

奥さんの背中に「天」という文字が浮き上がっているとか

和尚様がお経を唱えてもその文字が消えずに困り果てて私のところへ電話をかけてきたようだ

それと宿泊の仕事は主に奥さんがしていて宿泊客の対応に和尚さん一人で対応しているとか

奥さんと宿泊客の面等はさすがにきついと言っていた

お寺さんの宿泊は盛業だとか

1年先まで予約でうまり奥さん一人で宿泊業務をしていたとか

1日3組限定だが毎日の仕事で疲れが出たのだろう

私は前々からいつか倒れるんじゃないかと思っていた

案の定、倒れてしまった

宿泊料金もほかの旅館よりも安くこれといった名所はないが癒し空間が抜群だと評判でTVや雑誌の取材が幾つも来ていたようだ

お寺の料理も格別なものは出してはいない

お寺特有の料理だがすべて奥さんの手料理だ

素朴な味ですんなりと食すことができた

宿泊客の多くは静けさを求めてきておりお寺内の散策やお寺近くにある山に登るなど

自然な環境で都会で疲れた体を癒すために来ているようだ

本当にお寺周辺は自然が豊か

気軽に山登りはできるし頂上からは京都市内がよく見える

特に夜は絶景だ

きれいな湧水でのどを潤おすこともできる

夜はバスで露天風呂やホテルの風呂を借りてお湯につかることもできる

本堂での和尚様のお話や座禅も組むことができる

和式の結婚式もできる

これで宿泊料金が安いのだ

もともと和尚様や奥さんは金儲けなどという考えは一切持ってはいない

地元の活性化のお手伝いをしたいだけだと言っていた

お盆とお正月に私たち家族も無料で泊めさてもらっている

それも特別の部屋を貸してもらっている

だから人を雇うような余裕は全然ない

朝食時に奥さんの話になった

「え・・・倒れたの?パパ」

「そうみたいだよ、S子

今週の金曜日の夜にお寺へ行く

楓と葵はパパたちと一緒に来るんだよ

それと・・・S子・・・匠と仁をよろしくな」

「うん・・・?パパ、どうしたの?妙な顔で・・大丈夫?」

「奥さんの背中に漢字の「天」らしきものが浮き出てるんだよ

なにかの暗示だとは思うけど・・・今回の騒動は単に過労じゃないような気がする

「天」という漢字から連想すると「天国」しか連想できないんだよな

なにか「天国」でまた異変が起きてるのかもな」

「パパ・・・そのスマホの写真を楓に見せてほしいな」

と楓は私にそのスマホの写真を見せてくれるように頼んできた

「あぁ・・・これだよ、楓」

「う・・・・これは・・・パパ・・・なんとなくだけどね・・・もう一刻の猶予もない感じがする・・ううん・・・おばさんじゃないよ・・・これ・・・餓鬼たちが天国で何か悪さをしてる暗示のような気がする」

「楓がそういうのなら間違いないだろうね

でもパパは仕事があるし楓は学校があるからね

「なにか天国で異変でも起きてるのかな・・・」

「私はそう感じたよ、パパ・・・」

「今週の金曜日の夜に家を出よう」

「うん・・・」

金曜日の夕方

私は仕事先から早急に帰宅した

必要な荷物だけを車に載せた

今回は軽のボロ車で行く

後部の荷物置き場はすぐに埋まり窮屈な感じになってしまった

まぁ今回は4人だけだからね

おやつやジュースなど高速へ入る前にコンビニで買っておいた

オヤジのくだらない話が始まり高速へ入った

オヤジが妙に後ろを振り返って後ろの様子を見ている

「おい!F!後ろからずーとついてくる車があるぞ」

「え・・・気のせいだろ、オヤジ」

「いや、気のせいじゃない・・・高速へ入った時からずーとうしろからついてきてる

ぞ」

「まじか・・・・」

「次のSAに入れよ

少し様子を見ようぜ」

「そうだな、わかった」

たしかに後ろからずーとつけてる感じだ

しばらくするとSAの案内看板が見えてきた

そのままSAに入り一旦ここで休憩を取ろう

後ろからついてきている車もSAへ入って停まった

「やはり・・・怪しいぜ・・・俺よ、あの車を監視するぞ

おまえらはトイレなどしてこいよ」

「うん、じっちゃ!!」

娘2人とトイレへ行きパンなどを買って車に戻った

「あの車から人が降りてこないぜ・・・ますます怪しいぞ

とりあえずはトイレへ行ってくる」と言いながら車から降りた

私もその車の様子を見ていた

誰も降りてこない

オヤジが戻ってきた

「怪しいな・・・人が降りてこないよ」

「少し休憩をしたらここを出よう」

30分ほど休憩をして高速へ戻った

「あれ・・・あの車、停まったままだな」

お寺さんまでは時間がかかる

高速も半分が過ぎた

「え・・・おい・・・・例の車が後ろにいるぞ

いつのまに・・・・」

「ほんとだ・・・全然気づかなかった」

夜だから仕方ないかもしれないが

いつのまにか後ろにいた

不思議だ

静かに後ろについた感じだ

もうそろそろ高速から降りる

最後のSAが見えてきた

ここで少し休養しよう

というか例の後ろについていた車はそのSAに止まらずに素通りしていった

「え・・・通過していったぞ」

「まさか・・・高速を降りての待ち伏せしてるんじゃねーのかよ」

「ありえるな」

とりあえずは少し休憩だ

ここから・・・世にもおかしな世界・・というか・・・

例の車は待ち伏せはしていなかった

順調にお寺へ車を走らせた

お寺まで後4Kmだ

ここを左へ曲がれば後4Kmでお寺に着く・・・はず・・・だった

「もうそろそろお寺に着くよ」

「うん!!!和尚様にあえるんだぞ」

時刻はもう夜の1時過ぎだ・・・

休憩時間を取り過ぎたかな

眠気もすごくなっていた

車を左折させた・・・

いつもの自販機があった

後まっすぐに進めばお寺が見えてくるはず

カーナビも「もうそろそろ到着します」とアナウンスした

「もうそろそろお寺が見えてくるよ」

「うん、パパ」

カーナビが「現場付近に到着しました」とアナウンスしてきた

だが・・・・肝心のお寺が無い

「え!パパ、お寺はどこ?」

「うそだろ!寺はどこだよ」

お寺が見当たらない

お寺があった場所は整地されていた

「そんな馬鹿な!!寺がない」

車から降りてお寺があった場所へ行った

整地されていた

私は何度もスマホの地図アプリで確認をした

地図アプリにはお寺のマークとお寺の名称が載っていた

私は不安になり和尚様へ連絡をした

「どうしました?もうそろそろ着くと思うのですが・・・何かあったんですかのぉ?」と和尚様の声

「はい・・・確かに着きました・・・けれど・・・お寺が見当たらないんですよ」

「はい?お寺が見当たらないとは?・・・もしかして・・・迷子になりましたかいのぉ?」

「いえ、ちゃんとカーナビで来ましたから迷子ではないはずです・・・けれど・・・お寺がないんですよ」

「よくわかりませんのぉ・・・どこかで道を1本間違えたんじゃないんですかのぉ・・・

でも・・・お寺へ行く道は1本しか無いはず・・・う・・ん・・困り申したのぉ・・・」

「はい・・・どうしましょ?」

「とりあえず・・まわりを走ってみてくだされ・・・」

「そうします」

とりあえずここら辺をまわってみるか・・・

しかし・・・まわってみてもお寺は見つからない

完全に狐に包まれたような感じ・・・

きつね?・・・・

まさか!!!あの車に乗ってたのは狐!?

完全に困った

お寺が見つからない

「パパ!お寺はどこ?」と楓が聞いてきた

「わからないんだよ、住所はここで合ってるのにお寺がないんだよ」

「えええ・・・そんな・・・どうするの?パパ」

「どうしようもないよ・・・とりあえずは車の中で周りが明るくなるのをまとう」

和尚様に電話をした

「まわってみたんですかいのぉ・・・お寺が無い・・・困りましたのぉ・・・

めんどくさいと思いますけれど・・・もう1度高速の出口へ戻りやり直したらどうでしょうかのぉ?」

「はい、そうします」

どこかで道を間違えたのかな・・・

高速の出口へ戻り再スタートさせた

だが・・・カーナビのルートはちゃんとお寺へ行くルートになっていた

だが・・・お寺が無い・・・さっきと同じで整地されていた

寺は無いけど和尚様とは連絡がついている

どういうこと?

もう1度和尚様に連絡をした

「え・・・ダメでしたか・・・おかしいですなぁ・・・・何か道中で変わったことが起きなかったですかのぉ?」

「それが・・・後ろからついてきた車があったんです

最後のSAによるのかなと思ってたらスルーをしていったんです」

「ほぉ・・・怪しいですなぁ・・・しかし・・・お寺が見つからないとは・・・」

途方にくれた

途中で異世界へ入ったのかな・・・

どうしようもない

ここで車中泊だな

「仕方ない・・・ここで寝よう」

「うん」

どうしようもない

まわりが明るくなったらもう1度周辺を探索しよう

4人全員爆睡した・・・

ドンドン!!ドンドン!!

窓を叩く音がした

「わぁ!!!」

と叫んでしまった

「起きてくだされ!!!大丈夫ですかいのぉ!!!」

飛び上がり声をする方向へ顔を向けた

和尚様だ

「はい!!和尚様!!え!?・・・和尚様!?・・・」

「大丈夫ですかのぉ・・・朝起きていつもの散歩をしようと外へ出たら

見覚えのある車が止まっていたんで・・・急いで車のそばへきたらオヤジさんたちじゃないですか・・・」

「と・・・どういうこと?・・・」

私はお寺の駐車場へ車を止めた

とりあえずは仏間へ行った

「びっくりしましたわい

見覚えのある車がなぜか道路の脇に止まってたんで・・・

もしかしたら・・・夢をみてたんじゃないんですかのぉ」

「ありえるかも・・・でも・・・4人が同時に同じ夢を見ることができるんですか?」

「4人は・・・夢じゃなかったんですかのぉ・・・ちょっとまって・・・着信履歴・・

あっ!・・・確かに電話がかかってますなぁ・・・でも・・・この時間帯はわしゃ・・・寝ておりましたわい・・・どういうことですかのぉ?」

「ええええ・・・着信履歴があるということは夢ではなくリアルだったのか!!」

ますますわからん

夢ではないことは確かだ・・・

「和尚様、奥様の容態はどうですか?」

「はい?・・・家内の容態とは?」

「はい?・・・いや私たちは和尚様の奥様が倒れたということで来たんですけれど・・」

「いや・・家内は確かに少し傷を負って実家へいますけれど・・・

はて・・・どういうことでしょう?」

どういうことだよ

「あのぉ・・・この日の夜に電話がかかってきたんです

覚えていますか?」

「ちょっと待ってくだされ・・・その日の夜は・・・送信履歴がないですわい

それにその時間帯はわしゃ・・・寝ておりましたわい」

「え・・・そんな・・・和尚様、私のスマホにはちゃんと和尚様からの着信履歴が残ってます」

「確かに・・・でも・・・かけた覚えはないですわい・・・」

「おい!!どういうことだよ・・・いったい誰がかけたんだよ?」としびれをきらしたオヤジが割り込んできた

全然話が合わない・・・

私は今の結果をS子に話をした

「ええ・・パパ・・・和尚様の奥さんは元気なの?

でも・・・一体誰がかけてきたんだろうね

悪戯にしては手が込んでるんだぞ

パパ・・・何かがおかしいんだぞ・・・

パパたち・・・本当に今いるところって和尚様のお寺なの?

え?・・・えーーとその時間帯のパパからの電話の着信履歴は残ってるんだぞ

残ってるということは夢じゃないんだぞ

パパたち・・・完全に異世界の空間にはまり込んでるんじゃない?

というか・・・もし異世界の空間にいるのなら電話って通じるのかな?

私には全然わからないんだぞ

とりあえず・・・パパたち、一旦そこを離れたほうがいいんだぞ

一度高速へ行ってSAでもう1度わたしに電話をするんだぞ」

とS子の動揺した声がさらに私を不安にさせた

おかしい・・・何かがずれてる・・・

S子の言うとおりに一旦SAへ戻ろう

「和尚様の奥様が実家にいるのなら私たちは帰りますね」

「そうですか・・・せっかく来てくださったのに・・・残念ですわい・・」

「おい!!もう帰るんかい!せっかく来たんだから泊まってうまい飯を食おうぜ」

疫病神!!!全然空気を読んでいない

オヤジだけ残して帰りたい気分だ

妙案かも・・・

オヤジを残してスパイさせるのも一興かも

「じゃあ・・オヤジだけ残ればいいよ、娘たちと一緒に俺は帰るよ」

「おぅよ!俺は残るぜ!くそ坊主のうまい酒を飲みたいから来ただけだからな」

まさに!疫病神だ!

早々にオヤジを残してお寺を出た

オヤジよ・・ありがとな・・・

オヤジもなにか感じたんだろうな

娘たちと私は急いではじめのSAへ行った

「S子!今、SAにいるよ

オヤジを残してきたからな」とS子に電話をした

「パパ!パパ(オヤジ)を置いてきたの?大丈夫なの?」

「大丈夫だよ・・今からオヤジに電話をして様子を聞くからな」

「うん・・・」

「オヤジ・・・生きてるか?」

「おう!生きてるぞ・・・ちょっとな・・・あのクソ坊主・・おかしいぞ

今な、お寺には宿泊客がいるんだ、昼からクソ坊主、どこかへ行くらしい

絶対にありえん

宿泊客を放置してどこへ行くんだろうな

その間に各部屋を見てくるから

何かがあるぞ

何かあったら連絡するからな」

私の推測は・・・どこかに和尚様夫婦を閉じ込めてるんじゃないかと思ってる

でも・・・あのお寺の部屋はすべて知ってる、もちろんオヤジも知ってる

もしそのすべての部屋に和尚様夫婦がいなければ・・隠し部屋みたいなところにいるはずだ

お昼過ぎに

オヤジから電話がかかってきた

「おい・・・全部の部屋を見てきた・・・おかしい・・・

蔵も見てきたがいなかったぜ

和尚と奥さんがいないので客たちが少し騒いでる

何かを見落としてるのかな・・・人を隠す場所って・・・思い当たらん

蔵が一番怪しいと思うんだが・・

俺にはわからん・・・」

「そっか・・・いなかったか・・・オヤジ・・すまんがもうすこし寺にいてくれ

いずれ何かが起きるはずだ」

「おう!わかったぜ」

しばらくするとスマホに着信があった

住職からだ

「F君・・・助けてほしい・・・家内も一緒だよ」

「はい?・・・助けてほしいといっても・・・どこにいるんですか?」

「わしゃもわからん・・・どこかの部屋に間違いないのだが・・・」

「和尚様・・・お寺には隠し部屋とかあるんですか?」

「いや!絶対にない・・・わしゃは生まれた時からお寺の内部はすべて知ってる・・・」

「和尚様、本当にないと言い切れますか?」

「え!?・・・と言うと?」

「和尚様が子供の時にお寺の改修や改築などしてませんか?」

「あ・・・確かにありましたわい・・・お寺の修復工事があったですわい!!!

でも・・・お寺全体の修復工事だったから・・・」

「もしかしたらその時にどこか一部に隠し部屋とか作ったのかもしれません

部屋の広さはわかりますか?」

「ありえるかもしれませんわい・・・・広さは・・・およそ8畳くらいですわい

暗くてスマホの明かりを点けてますわい・・・」

「バッテリーはどのくらいあるんですか?」

「バッテリーは今60%あるんですわい」

「和尚様、今、お寺にはオヤジがいます、そのスマホで何でもいいですから音を出してほしいです、その音でどこにいるかわかりますからね」

「なるほど!!わかりもうしたわい」

私はオヤジにお寺のどこかで音がするはずだから探してほしいと頼んだ

しばらくするとオヤジから電話がかかってきた

「おい!!わかったぜ、やはりな蔵の中だったぜ

でもな・・わかったんだが・・・出入り口が見当たらん・・・たしかに壁の向こうからくそ坊主の声がする」

「蔵の中かぁ・・・オヤジ今から寺へ行くからそこで待っててくれ」

「おう!!待つぜ」

私は急いでお寺へ向かった

「オヤジ・・・ここか?」

「おう、この壁の向こうにくそ坊主がいる」

「一見・・・壁に見えるけど・・・どこかに入口があるはずだ

蔵には電気が通っているからなにかしらの電子装置で開くかも・・・」

しかし・・・パネルらしきものが見つからない・・・

「めんどくせーー、壁を壊しちゃえばいいんだよ!声の大きさからして・・・およそ30CMくらいの厚さだろう・・材質はコンクリートだな・・・寺のどこかにドリルがあればいいけどな」

私は和尚様にドリルがないか聞いた

「オヤジ、ドリルを取りに行ってくるからな」

「おう!!」

偽の和尚が帰ってくる前に助けないとね

オヤジがドリルで壁に穴をあけた

「穴が開きましたわい!!!」

「よっしゃ!!ちょっとまってろ、檀家衆を呼んで壁を壊すからな!」とオヤジは和尚様に言って近くに住んでいる檀家衆のところへ行った

檀家衆たち6人ほど駆けつけてくれた

「えらいこっちゃな・・・今から壁を壊すからな」

「すまんのぉ・・・」

およそ30分ほどかかって人が通れるほどの穴をあけた

和尚様と奥さんを外へ連れ出した

とりあえずは和尚様夫婦を檀家の家に連れて行った

後は偽の住職をどうにかしないとな

夜になり偽の住職が帰ってきた

いかにもという感じでお客の面等をみてる

廊下を歩いている背後から私は声をかけた

「おい!!偽坊主!もう正体はばれてるんだよ」

「はい?・・・なんのことでしょうかのぉ・・F君」

「とぼけやがって!!」

私は塩と薬を投げつけた

「イタタターーーどうしたんですか?F君!!!」

全然効かない

「この偽物!!!」

「はぁ?偽物?・・・なんのことですかいのぉ?」

「和尚様夫婦を蔵の隠し部屋に閉じ込めただろ!!」

「え!?・・・もしかして!!あの部屋には餓鬼2匹を閉じ込めたですわい

それのことですかいのぉ?」

「え!?・・・餓鬼?・・・和尚様夫婦じゃない?」

「さようですわい・・・昨日の夜にお寺に2匹の餓鬼たちが来て暴れ申したわい

なんとか2匹をあの部屋に閉じ込めることができましてな・・・その際に家内が少しけがをしたんで実家へ私が連れて行き申したわい・・・」

「え・・ええええーーーー・・・」

やってしまった・・・

えらいこっちゃ

私はすぐにオヤジへ連絡をした

「オヤジ!!大変だ!間違えた!!!助けたのは餓鬼たちだよ」

「今かけるところだったぜ、くそ坊主夫婦がどこかに行ったぜ・・・今探してるんだよ・・

なに!?・・・餓鬼たちだって!!くそっ!!!やられた!!」

「とりあえず、娘と一緒にお寺へ来てくれ」

「おう、わかったぜ、檀家衆には事の詳細を伝えておくぜ」

30分後にオヤジと娘たちが来た

和尚様を蔵の隠し部屋に連れて行った

「あぁぁ・・・壊してしまったんですかいのぉ・・・せっかくここへ追い込んだのに・・」

「すいませんでした、和尚様・・・」

「いやいや・・・仕方ないですわい・・・」

「しかし・・・なんでここに部屋があったんですか?」

「わしゃも知らなかったんですわい・・・餓鬼たちを追いかけて蔵の中へ入って壁際に追いつめたんですわい、そしたらいきなり壁が動き出して餓鬼たちはあわててそこの中へ入っていたんですわい、壁が閉じて・・・餓鬼たちを閉じ込めたというわけですわい」

「何かのスイッチを押したのかな・・・これじゃ・・・無理かぁ・・」

壁を壊したのでどこにスイッチがあったのかわからない

「でも・・・あいつら壁くらいいとも簡単にすり抜けていけると思うけどな・・・」

「そうなんですわい・・・しばらく様子を見てたんですわい

そしたら餓鬼たちがものすごい悲鳴をあげてて・・・てっきり部屋の中になにか得体のしれないものがいるのかと思いましたわい・・・」

「でも・・・この部屋っていつからあったんだろ?」

「わしゃも全然知らなかったんですわい・・・おそらく先代の住職が作ったんだろうと思うんですわい・・・よくわからないですわい」

壁を完全に壊して部屋を見渡した

何もない部屋

単に部屋を作りましたという感じ

「何もないですなぁ・・・一体この部屋の目的は何でしょうかいのぉ・・・」

「でも・・・餓鬼たちがパニックを起こしたとするとなにかしらのエネルギーというか結界の役目を果たしてたんじゃないのかな・・・」

「おう!もしかしたらこの部屋よぉ・・・どこかに通じてたんじゃねーのかよ

あの餓鬼たち・・助けた時にはすごく弱ってたぜ、よくもまぁくそ坊主夫婦に化けていたけどよぉ・・・何かこの部屋にいたんだと思うぜ」

「どこかに通じているとなると・・・困りましたなぁ・・・この部屋を完全に埋めようと考えていましたですからのぉ・・・しばらくはそのまましておきますかいのぉ・・・」

あの深夜にかかってきたスマホの写真には奥さんの背中に「天」と浮き出ていた

あれはいったい何だろう

餓鬼たちはこの部屋から出ようと必死だったんだろうな

もしかしたら・・・この部屋のどこかに「天国」へ通じる場所があるのかも・・・

だから餓鬼たちはパニックを起こしたんだろう

奥さんの傷も治ったようでお寺へ戻ったと後日に和尚様ら電話をもらった

この事件の翌日に私はおふくろに頼んでホテル経験者たちをお寺へ派遣できないかと頼んだ

ことの事情を話をしたら即にOKが出た

和尚様夫婦はすごく喜んでいた

Concrete
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