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長編18
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正月前とラーメン屋

今年もそろそろ終わりに近づいてきた

11月に入り季節は晩秋だが体感的に初冬のような寒さだ

コート無しでは外へ出るのは無理

今年もいろいろな怪異的なことや不思議なことがあったな

今年の大みそかは家で過ごそうと思っている

去年までは和尚様のお寺で大晦日・正月を迎えていた

やはりお寺で初日の出を見るのは格別な感じだった

今年のお寺では大晦日及び正月は予約で埋まりとても忙しいということだ

和尚様は楓や葵と会うのが一番の楽しみにしていたからとても残念がっていた

子供たちもお寺へ行くのが楽しみだったのだがしょうがない

ところがおふくろがおふくろの実家で大晦日と正月を迎えたいと言い出してきた

しかし・・・あの屋敷は個人的に私は嫌だった

子供たちはあの広い屋敷で過ごせると大喜びをしていたが

私の気乗りしない顔をおふくろは察知したのか自分の家で正月を迎えようということになった

子供たちはがっかり

狭いながらも我が家で過ごすほうがいいと思うけれど

S君やF子も帰ってくるし・・・・

にぎやかになると思う

それから1か月が過ぎた

12月も末、会社も正月前になりやることがなくソファで座っていたら

いきなりS子から「パパ!!暇なら外へ行ってて!今から掃除するんだぞ

葵ちゃんを連れてどこかに行っててよ」

巧と仁と楓はそれぞれ友達の家へ遊びに行ってしまった

おふくろとおやじは例の如く商店街の忘年会に行ってしまった

家に残ってるのは私とS子と葵だけ

暇つぶしにぶらぶらと散歩するかな・・・

葵は寒空でも中庭の手入れをしていた

「おーーい、葵、パパと一緒に散歩に行こう」と葵に声をかけた

「うん!!もう少しで終わるんだぞ、少し待っててほしいんだぞ!」

葵の庭いじりが終わって外へ出た

とにかく寒い

おチビちゃんを連れてはそうそうに遠くへも行けれない

裏山あたりを散歩しよう

のんびりと歩いていた

山のふもとの神社についた

ここで少し休憩

葵はあちこち歩きまわっていた

私はスマホをいじりながらたまに葵の様子を見ていた

「パパ・・これ落ちてたんだぞ!」と私に問いかけてきた

「え・・・どれどれ・・・」

木の箱みたいな感じ

木の箱を持った時にビリビリと電気が走ったような気がした

木の箱は軽かった

中身が入ってるのかどうか確かめようと蓋を開けようとしたらなかなか開かない

鍵がかかってるようには見えないのだが力を入れても蓋が開かない

「おかしいな・・・蓋が開かないぞ、葵」

「そうなの?どうして開かないんだろうね、パパ」

「ダメだ・・・開かない・・・葵、元の場所へ置いてきておくれ」

「うん、わかった」

葵は木の箱を持って本堂の裏へ行った

「さぁて・・・商店街へ行ってお昼にしよう」

「うん!!ラーメンを食べたいんだぞ!」

<<私も・・・食べたい>>

「え!?・・・空耳!?かな・・・」

「どうしたの?パパ、きょろきょろして」

「いや・・耳元でなにか聞こえたんだよ」

耳元で囁くように声がした

空耳だろうと軽く流した

お昼前だったけれど・・・ラーメン屋へ着いた

貼紙が貼ってあった

「あ!!今日は商店街の忘年会だよ・・・うっかりしてた

今日は休みだよ、葵」

「ええ!!・・・」

「駅前のラーメン屋へ行こう」

「うん!!」

うっかりしてた忘年会だった

駅前のラーメン屋へ向かった

「え・・・休み・・・」

駅前のラーメン屋も休みだった

裏通りのラーメン屋へ向かった・・・・休み・・・

うそだろ・・・

少し離れているがあそこのラーメン屋へ向かった・・・・休み・・・

そんな馬鹿な・・・・

歩き疲れた・・・葵も少しつらそうだ

スマホでラーメン屋を探したが・・・なぜか・・・休みが多かった

ようやく営業をしている店を見つけた・・・2Km先かぁ・・・

私は葵を背負って歩いた

「パパ・・・お腹すいたんだぞ」

と訴えてきた

ようやく目的のお店についた

なんか・・・古くさい・・・開店休業中のような感じ

大丈夫かな・・・

とりあえず店の中へ入った

店の中も・・・古くさい・・・なんか終戦直後のような・・・実際に終戦直後の時代を生きたわけじゃないけどTVなどの番組でこういう感じのを見たことがあったから

店の中はお客は誰もいなかった

店の奥からおばあさんが顔を出した

「おやおや・・・お客さんかい・・・注文はなんだい?」

「うんと・・・豚骨ラーメンを一つ」

「あたちも豚骨ラーメンなんだぞ」

「お客さん・・・すまんのぉ・・・材料が品切れてて・・・塩ラーメンなら作れるんだけど・・・」

「え!?品切れ・・・まぁ・・・塩ラーメンを二つ」

おいおい・・・品切れって・・・お客なんで入ってないだろ・・・

「戦争が終わったのはいいけど・・・終わってから5年たつけど・・

まだまだ・・こうも物がないんじゃね・・・

なかなか材料も手に入らないし・・・お店を開けてても出す品がなけりゃ・・困ったもんさ」と話しかけてきた

私は一瞬何を話してるんだと思った

このおばあさん・・・もしかして痴呆症かな・・・

こりゃ早々に帰らなきゃ・・・

「お客さんは満州から帰ってきたのかぇ?大変じゃったろ?」

なんだ?満州?・・・

「いえいえ・・・私たちは隣町から来ましたけれど・・・」

「そっかぇ・・・隣町からかぇ・・・ここも空襲で焼け野原になっちまったけれど・・・

あんさんも気を確かに持って生きなきゃなぁ・・・かわいい娘さんもいることだし・・」

あかん・・・完全に痴呆症だよ・・・

お店の戸が開いた

土方風の男たち3人組が入ってきた

「おい!!ばあさん、いつものもんたのむわ」

「おれも」

「おれもだぜ」

「はいよ・・・なかなか材料が集まらないんでねぇ・・・塩はたくさんあるから塩ラーメンを作るわい」

「げっ!いつものやつかぁ・・・なにか他の物ないんか?」

「ないよ!日本中、物不足だぞ!我慢せい!!」

「うえぇ・・・仕方ない・・・」

私は食べ終わり葵も食べ終わっていた

早くこの店から出たい

「あのぉ・・・勘定を・・」

「はいはい!えーーと・・・2人で40円だよ」

「え!!40円・・・って・・・」

「どうしたのさ、お客さん・・・高かったかねぇ・・・」

「いやいや・・・めちゃくちゃ安い!!ほかの店では800円もするし・・・」

「800円!!!どこの店かねぇ・・・ぼったくりしてるお店だね・・いくら品薄でもちょっとひどいわね」

いや・・・別に・・・物が不足してるわけじゃないけどな・・・

なんか調子狂う・・・

私は代金をおばあさんに渡した

「・・・ちょっとお客さん・・・からかわないでおくれ・・・こりゃおもちゃかい?」

「え!?いや本物の40円だけど・・・」

「・・・まぁ・・・いいさぁ・・・はじめてのお客さんだし・・・警察へ突き出すのはやめておくよ・・・」

「だから・・・本物だって・・・」

「ばあさん・・・勘定!!ほらよ」

「はいよ・・・また明日も来ておくれ」

「何もないお店へくるわけねーだろ!!」と言いながら土方風の3人組は出て行った

よくみると・・・お金のデザインが違う!!

見たことないぞ!!

ちょいまち・・・今どんな時代なんだよ・・平成だろ・・・

私は今さっき土方風の人が渡したお金をよく見た

昭和24年と刻印されていた

げぇ・・・終戦後・・・

お店にあった新聞を見た

昭和25年12月27日と書いてあった

ゲゲゲ・・・平成じゃない・・・

私はおもいきっておばあさんに聞いてみた

「はい!?いまは昭和25年の12月27日だよ・・・あんさん・・・大丈夫かい?」

いや・・・完全に頭の中はパニックだよ

いつのまにやらタイムスリップしていた

別にタイムスリップは経験しているからいいけど・・・昭和25年代の知識が全然ない

「あんさんたち・・・よくみると服装はキレイだねぇ・・・あんさんかたは・・金持ちの方かぇ・・・」

「いや・・そのぉ・・・金持ちじゃないですよ・・・」

「そうかね・・・しかし・・・娘さんも綺麗にしてるし・・・」

もうここにいたら何を聞いてくるかわからない

「あのぉ・・・すいませんが・・・お金を取りに行きますので・・・」

「いいんだよ・・・別に・・・」

「いやいや・・・」と言いながら私は葵の手を握って足早に店を出た

お店から出た・・・・目に映ったのは・・・・何もない・・・雑木林や田んぼや畑ばかり・・・

散歩しながらいろいろと景色を見てきたけど・・・こんな風景じゃなかったぞ

こりゃ・・・昭和25年にタイムスリップしてる・・・

こりゃ困った・・・この時代の知識はゼロだし・・・この時代のお金を持っていない

どうすればいいんだよ

スマホの呼び出し音が鳴った

「えええ・・スマホ・・・」

「パパ!!!起きてよ!!スマホが鳴ってるんだぞ」

「うううう・・・」

眠い目をあけた

スマホの呼び出し音がさらに大きく鳴っていた

慌ててスマホに耳を当てた

「パパ!!掃除は終わったんだぞ!葵ちゃんを連れて帰ってくるんだぞ」

S子からだった

どうやらいつのまにか寝てしまっていたらしい

夢だった・・・良かった・・・とため息をついた

葵を連れて家へ帰る途中にまたスマホの呼び出し音

S子からだった

「パパ!私も外で何か食べたいから・・・」

うちへ帰った

S子が「私も外で何か食べたい」と言ってきた

「私、久しぶりにラーメンが食べたいんだぞ、商店街のラーメン屋行こうよ」

「え!おいおい・・・商店街のラーメン屋は忘年会で休みだよ」

「あ!そうだった・・・駅前のラーメン屋へ行こうよ」

「そこは今日は休みだよ」

「え、そうなの?・・・裏通りの例のあのお店へ行こうよ」

「そこも休みだよ・・・・」

「えええ・・・そんな・・・ねぇ・・・少し遠くてもいいからどこかラーメン屋はないの?」

「スマホで検索してみるよ・・・あった!!うちからおよそ4Kmほどにお店やってるよ」

「ちょっと遠いね・・・葵ちゃんもいるし・・・自転車で行こうよ、パパ」

「そうだな・・・でも・・・自転車は1台しかないぞ・・・」

「実家から自転車を持ってくるから・・・」

S子は実家から自転車を借りてきた

葵を後ろに乗せて出発した

スマホを頼りに走った

風が冷たい・・・

「もうそろそろつくよ・・・あの角を曲がったらあるよ」

「うん!!!」

角を曲がった・・・・唖然とした・・・私の夢の中に出てきたあのボロボロのラーメン屋だった

うそだろ・・・ここは初めて来た場所・・・

お店の横に自転車を置いた

鮮明に夢の内容が浮き上がってきた

あのボロ屋のラーメン屋だ

嫌な予感がしてきた

「S子・・・ここはやめよう・・ほかのラーメン屋を探すから」

「せっかく来たんだからさ・・・入ろうよ、パパ」

「いやいや・・・・」

「パパ・・・お腹すいたよ」と葵が訴えてきた

仕方ない・・・あれは夢の中・・・大丈夫さ・・・と自分に言い聞かせた

お店の中に入った

中には・・・・夢の中にいたおばあさんがいた!!

唖然とした

夢の中の服装と同じ服装だ

メニュー表も同じ

背筋がゾクゾクとした

「おやおや・・・昨日のお客さんじゃないかい

今日は奥さんを連れて来たんだね」

うそだろ!!!

私は一度もこの店に来たことがない

あれは夢の中だ

「なに!パパ、昨日ここに来てたの?「初めてだ」と言ってたんだぞ」

「いや・・・このお店は今日初めて来たんだよ」

「うそなんだぞ」

危うく大喧嘩になりそうだ

「さぁ!メニュを-決めよう」とごまかした

「あたちは・・・豚骨ラーメンなんだぞ」

「私は・・・醤油ラーメンなんだぞ」

「パパは何するの?」

「俺は・・・塩ラーメンで・・・」

「え!?パパ・・・いつもは葵ちゃんと同じで豚骨ラーメンじゃないの?」

「いや・・・その・・・」

「お客さん悪いね・・・あいにく品切れでね・・・塩しかないんだよ

塩ラーメンなら作るよ」

「まぁ・・そういうことさ」

「え・・・パパ・・・」

3人分の塩ラーメンを持ってきた

「え・・・何も具が入ってないんだぞ、パパ」

「あたちのも・・・入ってないんだぞ」

「まぁ・・・そのぉ・・・」

「すまないねぇ・・・戦争が終わって5年になるけど・・

なかなかここら辺では材料が入ってこなくてね・・・

お店を開けても品切れじゃ・・・お客さんにはご迷惑をかけてるよ」

「え!?戦争!?・・何のこと?パパ」

「まぁ・・そのぉ・・・」

「ここらへんも空襲があってな・・・たくさんの人が亡くなったよ

あんたらの町も空襲があったじゃろ?」

「おっちーー!!空襲などなかったんだぞ

日本はずぅーと平和なんだぞ

戦争はずっと前に終わったんだぞ」

おーーいーーおいーーーおい

あちゃちゃ・・・能天気S子爆裂

「なに!!日本が平和だったって・・・あんたら・・・空襲の後遺症にかかってるんだねぇ・・無理もないわねえ・・・」

いや・・・違うし・・・

お店の戸が開いた

土方風の男たち3人組が入ってきた

「おい!!ばあさん、いつものもんたのむわ」

「おれも」

「おれもだぜ」

「はいよ・・・なかなか材料が集まらないんでねぇ・・・塩はたくさんあるから塩ラーメンを作るわい」

「げっ!いつものやつかぁ・・・なにか他の物ないんか?」

「ないよ!日本中、物不足だぞ!我慢せい!!」

「うえぇ・・・仕方ない・・」

ええええ!!!夢の中のセリフと同じだ

それも土方3人組・・・同じだぞ

私は一刻も早くこの店から出たい

「あのぉ・・・勘定を・・」

「はいはい!えーーと・・・3人で60円だよ」

「え!!60円・・・って・・・パパ!!めちゃ安いんだぞ」

「どうしたのさ、お客さん・・・高かったかねぇ・・・」

「おっちーー・・・めちゃくちゃ安い!!ほかの店では一人800円もするんだぞ」

「800円!!!どこの店かねぇ・・・ぼったくりしてるお店だね・・いくら品薄でもちょっとひどいわね」

私は代金をおばあさんに渡した

「・・・ちょっとお客さん・・・からかわないでおくれ・・・こりゃおもちゃかい?」

「え!?いや本物の60円だけど・・・」

「・・・まぁ・・・いいさぁ・・・はじめてのお客さんだし・・・後遺症もあるし・・警察へ突き出すのはやめておくよ・・・」

「だから・・・本物だって・・・」

わわわ!!!夢と同じようなセリフ

店を出た

夢の中に出てきた風景と同じだ

「パパ・・・ここどこ?・・・なんか・・・おかしいんだぞ」

「あのさ・・・信じろとは言わん・・・この風景な俺の夢の中に出てきたのと同じなんだよ」

「え?・・夢の中・・・嘘だぁ!!でも・・・いつも住んでる町と違うのはわかる・・・」

とりあえずは自分の家へ帰ろう

「うちへ帰ろう」

「うん!!」

自転車に乗って一路わが家へ・・・・

もちろんないわな・・・・

「わ!家がないんだぞ!!」

「そりゃないわな・・・今の時代は昭和25年だよ

おやじやおふくろも生まれてないよ」

「えええええ・・・どうするのさ、パパ」

「とりあえずは・・・オヤジの実家へ行ってみるか?」

「うん・・・・」

とりあえずはオヤジの実家へ行くことにした

もちろんオヤジは生まれてない

わたしからすれば祖父はまだ若いはずだ

遠くからオヤジの実家の屋根が見えてきた

「お!見えてきたよ」

「おっちーー!!むちゃきれいなんだぞ、あのボロボロの家じゃない」

自転車を止めた

家の中から人の声がする

しばらくすると祖祖父と祖父(まだ小学生)が出てきた

「あのぉ・・・あんたら家の前で何をしてるんじゃ?」

「いや・・・そのぉ・・・道に迷いまして・・・」

「そっかい・・・大変じゃな・・・ここらへんでは見かけん顔じゃな」

「あ・・はい・・・」

初めて見た祖祖父・・・優しそうな人のよう

祖父も小学生で・・・なんとなくオヤジに似てるな

「ちいちゃい子を連れては大変じゃの・・・わしは今から買い出しじゃで・・・すまんが・・こいつのめんとうをみてやってくれんかいのぉ・・・家の中に入って一休みするとといいよ」

「え・・・いや・・そのぉ・・・はじめて会ったのにそれはちょっと・・・」

「なに!遠慮はいらん、お互い様じゃでな」

「はぁ・・・では遠慮なく」

「○○(祖父の名前)!このおじちゃんたちの言うことを聞いておとなしくしてるんだぞ」

「うん・・・父ちゃん!!」

「おじちゃん・・どこから来たの?」と祖父から聞かれた

「え!・・・どこって・・・隣町から来たよ」

「そうなんだ!!」

「おじちゃん!この子はおじちゃんの子なの?」

「そうだよ・・・葵というんだよ」

というかじいちゃん、ひ孫だよ

「あたち、葵と言うんだよ」

「うん、ぼくは○○(祖父の名前)というんだ」

なんかなぁ・・・祖父からおじちゃんと言われてもなぁ・・・

「ただいまーー」と女の人の声がした

「あ!母ちゃんが帰ってきた」

どうやら祖祖母が帰ってきたらしい

「○○!!(祖父の名前)、おやつを買ってきたよ」

「わーーいい、おやつだぁ!!!」

いつの時代も変わらない

私が幼少の時におふくろがおやつを買ってきて大喜びをしていた

「おんや?あんたら誰?勝手に人の家に入り込んで・・・」

「母ちゃん、このおじちゃんたち、父ちゃんの知り合いだよ」

「そうかい、こりゃ失礼したわね」

祖祖母はおんわかとした優しそうな人のようだ

葵はこの祖祖母の遺伝子を受けついたのかも

「おやおや・・ちっちゃい女の子だね、かわいいね」

「えへへへ、あたちは葵と言うんだよ」

「葵ちゃんかねぇ、かわいい名前だね、いまいくつ?」

「あたちは今4歳なんだぞ」

「そうかい、かわいい盛りだね」

「あんたらはどこから来た?」

「え・・・そのぉ・・・隣町からです」

「そうかい、だいぶ街も復興してきたけどまだまだという感じだね

品不足で買いたいものも買えないよ」

「おっちーーー!!大丈夫なんだぞ!!日本はすごく豊かになるんだぞ!!

なんでも手に入るんだぞ!!」

おーーい、能天気S子しゃべるなよ

「そうかい・・・そうは見えないんだけどね」

あかん・・・印象が完全に空襲後遺症と思われる

「あんたたち、よくみると・・・どう見ても他人とは思えないんだけどねぇ・・

不思議だね・・・「お父さん」はなんとなく私の息子の雰囲気そっくり

葵ちゃんはなんか私と同じような気がするんだけどねぇ・・・」

するどいな・・・この祖祖母なら私たちの素性を明かしてもいいような気がする

「あのぉ・・・私たち・・・一応血のつながりはあるんですよ・・・

どう説明したら・・・」

「そうかい・・・まぁ・・・わたしらの血族はもともと神官系というか・・・神様に使える一族だからねぇ・・・そういう系の話は幼少のころから聞いてるから大抵は大丈夫だよ」

「はい・・・そのぉ・・私たちは未来から来たんです・・・私からするとあなたは祖祖母にあたります・・・」

「おや・・・そうかい・・・少し信じられないわね・・・でも・・・葵ちゃんを見てると・・少し納得はできるわね・・それにその服装・・・今の時代じゃ・・・見たことないし・・」

「は・・い・・・」

「でもね・・・雰囲気的には私たち一族の香り?というかほかの人にはわからない独特の匂いが私たち一族にはあるのよ・・・特に葵ちゃんにはその匂いがかすかに匂うのよね・・

「お父さん」にも匂いはするわね・・・「お母さん」は・・・しないわね・・・」

「匂いですか・・・」

「そう、私は他家から嫁いだから匂いはないわね、「お母さん」さんと同じで・・・

でも・・・「お母さん」さんにはなにかすごい力を持った人たちがうしろにいるわね・・・

「お父さん」さんと「お母さん」さんは・・・他家だけど・・・同じ一族同士で結婚してるのかな・・」

すごい!!!

当たってる

「当たってます・・・すごい!!」

「私は元々霊感はすこしはあるのよ・・・それで今の旦那さんと会ったときに「あ!この人だ」と思い結婚したのよね・・・でも・・まさか・・・今日に私の子孫と会えるとは思いもよらなかったわね・・・」

「そうですか・・・ちなみに私は霊感はゼロです」

「そうなの?・・・おかしいわね・・・「お父さん」さんは私たち一族の血が混じっているはずなのにね・・」

私は祖祖母にF子と娘の楓の話をした

「そうでしょ!!絶対に受けつかれているはずだからね

特に楓ちゃんにはすごい力強い者たちが楓ちゃんを守っているはずだよ

これから・・・楓ちゃんは良いも悪いもいろいろな体験をするでしょうね」

それとオヤジの話もした

「まぁ・・・なんとなくわかるような気がするわ・・・

私の息子の息子でしょ・・・「お父さん」さんにはかわいそうだけど・・・子供は親を選ぶことはできないからねぇ・・・F子ちゃん・・・やめましょうかぁ・・・」

いろいろと話をして聞いて時間がどんどん過ぎていった

祖祖父が帰ってきた

「おや!!ありがとな!せがれを見てくれてな」

「いえ・・・はい!!!」

祖祖母は祖祖父に私たちの素性を話をした

「そうかい!!あんたら俺の子孫かい!!」

このしゃべりかたはチンピラオヤジそっくりだ

祖祖父の顔をよく見るとオヤジの顔に輪郭的というか顔の線というかそっくりだ

ただ、目は普通なんだよな

なんで・・・あのオヤジは怖い顔をしてるんだろ

幼少の祖父を見てもそんなに怖い顔じゃない

不思議だ

わたしはオヤジのことを話をした

「孫はそんなに怖い顔をしてるんかい!!

子供は親を選ぶことはできんからなぁ・・・仕方ないよ・・・あきらめな

一度その孫と対面したいな・・・」と嬉しそうに話をした

祖祖父の体は神官系というより肉体労働関係者みたいな体をしている

ごつい!!

チンピラオヤジは細身ながら筋肉質だ

だから喧嘩は強い

この両者の気質はそっくりだから・・・気が合えば相当な仲良しになれるけれど気が合わなければ即喧嘩だな・・と勝手に想像をした

祖祖父はさっそく酒を飲みだした

この仕草・・・オヤジそっくりだ

しゃべりかたや雰囲気はオヤジそのもの

いや・・・なんか我が家のいる気分だ

葵は祖父と仲良しになっておしゃべりをしていた

「パパ!!○○(祖父の名前)ちゃんとお友達になれたよ」

いや・・・お友達というか葵からすれば祖祖父に当たるから・・・

「おやおや!葵ちゃん、私の息子と仲良しになってくれたんだね、おばさん、うれしいよ」

「おうよ!!葵ちゃん、ありがとな!!」

このしゃべりかたはオヤジだ

「じいちゃんだ!!あたちのじいちゃんのしゃべりかたと同じなんだぞ」

「そうかい!!葵ちゃんのじいちゃんと同じかい!!うれしいぞ!!

葵ちゃんのじいちゃんと会ってみたいな」

「うん!!会うといいんだぞ!!面白い話をたくさんしてくれるから葵はじいちゃんが大好きなんだぞ!!」

「そうかい!!面白い話をしてくれるのかい」

もう完全に我が家にいる気分だ

「さぁてと私たちはこれでおいとまします」

「え・・・もうすこしいてほしいわね、いろいろとお話を聞きたいし・・・」

「俺もよぉ、もっと聞きたいぞ、特にオヤジさんのことをよ

ますます会いたくなってきたぜ」

「しかし・・・もうこんな時間ですし・・・」

「あぁぁ・・・そうだな・・・」

「あんた・・・仕方ない・・・」

私たちは頭を下げて実家を出た

実家を出るときに葵と祖父はお互いに泣き出した

「あたち、ここから帰りたくないんだぞ、○○(祖父)ちゃんともっと遊びたいんだぞ」

「ぼくも・・・葵ちゃんと遊びたい・・・」

お互いの親は困った

「困ったわね・・・もう葵ちゃんたちはおうちへ帰る時間なんだよ・・・」

「でもぉ・・・ぼく・・・」

「あたちも・・」

「おう!せがれ、あきらめな、葵ちゃんとはな、また会える時がくるって、な!」

「うん・・・父ちゃん」

葵は泣きべそをかきながらS子に寄り添っていた

「おっちーー、泣かないでおくれ・・ママも悲しくなるんだぞ」

「うん・・・ママ」

ほんわかとした時間を過ごした

もう夜の10時過ぎ

一応・・・我が家へ帰ろう・・・

角を曲がった・・・

人と車が往来していた

「え・・・パパ・・・」

「う・・ん・・・戻ったのかな」

我が家へ着いた

リビングへ行った

リビングではオヤジが酒を飲んでいた

背中越しから聞いてきた

「おうよ!どこへ行ってた?」

「いや・・・そのぉ・・・ラーメン屋へ」

「そうか!!小ちゃいときの俺のオヤジにあったろ?」

「え!?・・・」

「パパ・・・・」

「葵ちゃん、せっかく俺のオヤジと仲良しになってくれてありがとよ」

とオヤジの背中越しから聞こえた

オヤジはこちらを向いた

「おうよ!どこ行ってた?」

「だから・・・ラーメン屋だ」

「そうかい!帰りが遅いんで心配してた

どうした?びっくりした顔をして?」

「今さっき・・・オヤジ・・・なにかしゃべったろ?」

「なにを?俺はなにもしゃべっちゃいないぜ」

え!?どういうことだ?今さっき背中越しから聞こえた声は何だ?

私はリビングにいたオヤジとおふくろと楓に今日あった出来事を話をした

「不思議な話だね!パパ」

「おい!!F!!作り話じゃねーのかよ!しばくぞ、コラァーー」

「作り話じゃないよ!!」

「そうなんだぞ!本当にあったんだんだぞ」

「そうかい・・S子ちゃんが言うのなら事実だな」

「おい!!S子なら信じるわけか!」

「あたりまえだろ!おまえみたいなボンカス誰が信じるかよ」

オヤジ!!確かに子供は親を選べない・・・生まれた時から一生付き合うことになる

「おい、祖祖父に俺も会いたいぞ、一度タイマン張りてぇーー」

「いや・・・無理だろ・・・今日のは単に偶然だからさ」

「F!!どうにかしろ!」

「無茶言うなよ!」

オヤジがスゥーーと私に近づいてきてガンを飛ばした

「しばくぞ」

怖い顔を近づけるなよ・・・

息子だからなんとか耐えれるが・・・他人ならションベン漏らすぞ

「まぁ・・・いいさ」と諦めたようだ

絶対にこのオヤジ・・・私たちの一族じゃない

次の朝・・・例のラーメン屋へ行った・・・もちろん・・・無かったよ

Concrete
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