久々の恐怖を味わってしまった
言葉の表現ではうまく言えないくらい
いろいろと家族には迷惑をかけたと思います
特に楓と葵は私たちの顔を見て安堵したのか目に涙が出ていました
本当に可愛い娘たちです
旅行は当分、和尚様のお寺だけになりそうです
後はおふくろの実家ですね
あの広い土地、たくさんある屋敷は自分個人的にはあまり行きたくはないですね
でもわたしはこの家系の長男ですから逃げることができずに困ってる
実際には息子の仁がおふくろの後を継ぐことが決まりました
仁は「僕にできるのかな」と弱音を吐いていますが
おふくろは心底、仁が総帥になればこの財閥の再興ができると思ってるようです
おふくろの頭の良さはすごいといろいろな場面を見て思いました
その場の展開が早いんです
ふと・・・わがご先祖様のおアキちゃんは容姿端麗で算術が得意だったと資料に書かれていました
確かに・・・おアキちゃんの面等を見てるときに引き算や足し算など少し教えただけで理解できましたから(特に九九を覚えるのは早かった)
おハルちゃんも同様で算術や読み書きはすぐに覚えてしまいました
とても小作人の娘がなんでこんなに早く理解できるのかと不思議に思っていました
昔の小作人は学問はいらないとされていましたから
それがおアキちゃんやおハルちゃんは短期間のうちに覚えてしまった
なぜだろう・・・と思ってました
Jさんと知り合って「なるほどな」と思ったものです
Jさんのお話だと
「おっちー」という口癖のお姫様が戦国時代にJさんの住んでいる辺りにいたらしいです
その姫を「おっちー姫」様とあだ名され何かあることに「おっちー」としゃべるので内心笑われていたとか・・・しかし、容姿は端麗でこの「おっちー」という口癖がなければ良かったのにと言われていたとか
戦国時代も末期にJさんの住んでる辺りも戦場になりおっちー姫様の一族は戦いに敗れ落ち人となり行方が分からなくなったとか
噂では敵方につかまり一族は皆処刑されたという
私はこれを聞いて「あぁーー」と思わず口に出してしまった
おハルちゃんたちのご先祖様は間違いなくおっちー姫の一族に違いないと確信した
だからこそ小作人の身分でも習いことを早く覚えることができたのだと思った
そのおハルちゃんも口癖が「おっちー」だからね
Jさんが言うにはおっちー一族の女子には額の髪の分かれ目辺りがハート型になっていると話してくれた
それでさっそく夕飯時に葵と楓の額辺りを見た
たしかにハート型だ
気づかなかった
S子も見た
S子も同様にハート型だ
おふくろもだ
義理の母も同じだろうと思う
おそらくF子も同じだと思う
もう間違いない「おっちー姫」の末裔が私たちだ
ということはあの噂の一族の処刑はデマだったということだ
F子が恐らくおっちー姫に近いのではと思う
おふくろが最近F子を見るたびに「私の母親そっくりな顔になってきてるわね、性格もどんどんきつくなってきてるし・・・F子とおしゃべりしてるとふと自分の母親と話してるような気分になるわ」と話していた
確かに・・・顔かたちがくっきりしてるから顔がきつく見える
楓も目が少し吊り上がっている以外はF子にそっくり
しかし・・・わが一族は誰に呪いをかけられたんだろうか・・・
これまでの数々の怪奇現象
我が家のお化け屋敷所以となる奇々怪々な現象
和尚様から資料を送ってもらって整理しながら古文書をなんとか読みながら原因を探っている状態だ
Jさんと知り合いになってよかったと思う
Jさんは元国語の教師でその町の郷土史家だそうだ
古文書にも通じていてコピーをした古文書を送って解読してもらっている
自分で古文書を解読していては時間がかかりすぎていた
和尚様にJさんのことを話すと「ぜひお会いしたいですわい」ということでお盆の日に私たち家族とJさん一家が和尚様のお寺へ集合した
和尚様も古文書を解読してもらっているがどうしても読めない文字がたくさんあり難儀をしていた
Jさんがお手伝いをしてくれるようになってから解読作業がどんどん進むようになった
その年のお盆の3日間ほどは一般客の予約を取らずに私たちのために部屋を空けてもらった
Jさん一家のお孫さんと私の子供たちがほぼ同年代だったので子供たち同士の繋がりもでき充実した日々を送った
特に葵は1こ年上の女の子と仲良くなり別れ際にはお互いに泣き出す始末だった
お互いの家が遠くて頻繁にあえないのは少しかわいそうだとは思う
でも葵にとってお友達が出来たことはJさん一家を招いてよかったと思う
しかし・・・Jさん一家を結果的に巻き込んでしまった
Jさんの家で怪奇現象が出始めたと電話で話してくれた
和尚様がお祓いをしに行ってくれた
今後ともJさんとは長く付き合うことになった
作者名無しの幽霊
Jさんと知り合いになっていろいろと助けてもらっている
古文書の解読
我が一族の言い伝え
などなど
今後、Jさんとの関わりの出来事が頻繁に起こるようになった
その話はおいおい話していきます