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長編10
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おふくろの実家にて

F子とS君は東京での仕事や生活に疲れてるようだ

もうそろそろこちらへ戻りたいとS君の胸の内を聞いた

しかし、我が家にはもはや2人も住める場所がない

あるとすればおふくろの実家だ

しかし・・・住める館は2つのみだ

あとは使われていない館が複数ある

2人の新居というか住める場所は改修しないと住めれない館ばかり

改修費用も高くつく

こちららへ戻って家賃の安い物件を探したほうがいいように思える

「とにかく疲れた・・・ストレスがすごいよ・・・

やはり・・・ここが一番いい・・・ホッとする

しかし・・・この家も俺ら2人も無理だな・・・

とりあえずは安い物件を探すよ」

とS君は疲れた顔で私に話してくれた

F子もだいぶ疲れているみたい

写真集の売り上げはそう悪くはない

事務所側もそう言ってるようだ

だが・・・元は田舎の人間だ

都会でのせせこましい環境にはやはり無理があった

「アニキ・・・疲れたよ・・・東京へ行けばなんとかなると思ってた

でも・・・現実は厳しい・・・Sアニキと一緒に頑張ってきたけど

もう限界だよ・・・アニキ・・・ここへ戻るよ」

と珍しくF子の弱音を聞いた

もちろんおやじとおふくろは大喜びをしていた

可愛い娘を東京なんぞに行かせたくはなかったのが本音だ

子供たちも大賛成

「とりあえずは安い物件を早く見つけるよ」

2週間後にどうやら安いアパートを見つけてきたようだ

商店街の裏のアパートらしい

商店街なら買い物や食事は困らないし家からも近い

アパートも決まって引っ越しをした夜にS君とF子が我が家にやってきた

「ふぅ~~、やっと引っ越しが終わったよ・・・

疲れた~~~」とF子がS子に話しかけた

「おっちーー!!お疲れなんだぞ!!」

「お姉ちゃんたち、商店街の裏のアパートに引っ越したんだ、そこなら遊びにいけるよね」と楓がF子に話しかけた

「うん!!楓ちゃんや葵ちゃん、いつでもおいで!!」

「やったーー!!!」

「うれしいんだぞ」

久々に全員がそろっての食事

話が弾む弾む

「ところで、Sちゃん、そのアパートの家賃はどのくらいするの?」とおふくろがS君に聞いてきた

「えーーと、おふくろさん、たしか・・・ですね」

「安いわね・・・」とおふくろの顔が一瞬だけ不安そうな顔になった

「引っ越しのほうは終わったの?」

「はい、今日終わりました」

「そうなの、近くに引っ越してくれてありがたいわね

今日はとりあえずは家に泊っていきなさい」

「はい!そうします」

久々の大家族

夜も11時を過ぎた

子供たちやS子、F子たちは自分たちの部屋へ行った

今晩はおやじとS君は客室の部屋で寝てもらう

早々にこの2人は客室へ行ってしまった

おふくろと私だけになった

「F・・・今さっきのSちゃんの家賃の話・・・ちょっとね・・安すぎやしないかと思ってね」

「はい?・・・どういうこと?おふくろ」

「あの辺の土地の相場はそんなに安くないのよ・・・あのアパートの家賃は私は知ってるからね

ほかの部屋よりも1万円ほど安いのよ・・・何かあるんじゃないかと思ってね」

「1万円・・ね・・・まぁ・・いわゆる事故物件じゃないかと?」

「そう・・・でも・・・あのアパートの悪い噂は聞いたことがないのよね

一度・・・あのアパートの大家さんに聞いてみるわね」

そんなに無茶苦茶安いわけじゃないと思うけどな

事故物件ならもっと安いと思うけど

「まぁ・・・決めたわ・・私の実家の数ある館を一つ、選んでそこへ住んでもらおうかしらね・・・今から手配して改修工事をしないとね・・私が仕事をしている館の裏に小さな館があるでしょ?あそこがいいわね」

「え!?・・・せっかくアパートを探したんだよ・・・」

「わかってるわよ・・でもね・・・もし事故物件ならそこに住まわせるわけにもいかないでしょ」

「たしかに・・・」

おふくろが仕事をしている館の裏に小さな館がある

元はお客の控えの館だそうだ

この館で招待をしたお客が休憩をする館だった

まぁ・・・あそこならちょうど2人分なら十分だろう

おふくろとあーだーこーだと話してるうちに午前2時を過ぎてしまった

久しぶりにおふくろと長時間話をした

頭の回転の良さには正直驚いた

頭のいい人間はこういうものなのかな

3日後におふくろは大家に会い家賃の件に話を聞いてきた

結論から言えば事故物件ではないとのこと

ただ・・・どういうわけか・・・あの部屋は出入りがあって困っているそうだ

家賃を下げてもおよそ1か月ほどで引っ越しをしていくみたいで大家としても貸した住人にいろいろと聞いても答えてもらえずにいた

「本当に?事故物件じゃないの?なんで短期間で入れ替わりするんだよ

なにかあったんじゃない?」

「いろいろと私も聞いたのよ

でもね・・・事故物件ではないとはっきりと言ってくれたのよ

自殺や事件などあの部屋では1度も起きてないと言ってたのよ」

「そっか・・・とりあえずはおふくろの実家の裏の館の改修工事はもうしたほうがいいよ」

「そうだわね・・・明日に業者を選んで見積もりを出してもらうわね」

「おふくろ、この件は秘密にしよう」

「そうだよね、あの2人には聞かれないようにね・・明日、わたし、その部屋をのぞいてくるわね」

だが・・・やはり・・・というべき事態が・・・

2日後の

深夜3時過ぎに電話がかかってきた

「起こしたかな?F・・・ちょっとな・・・困った・・・

今からF子と一緒にそっちへ行くから・・・」

一体何か起きたのか・・・

およそ30分後に2人がやってきた

「アニキ・・・こんな夜遅くにごめんね・・・」

「F・・すまねぇ・・・」

2人とも・・・顔色が悪い

「大丈夫かい・・・相当疲れてるんじゃない?・・・」

「いや・・・それもあるけど・・・あのな・・」

とS君から

やはりというかおふくろが心配してたことが起きたようだ

S君の話だと

引っ越しを終えた翌日に2人とも違和感を感じたそうだ

ちゃんと茶わんやお皿は片づけて出たのに帰ってみたらテーブルの上に茶わんやお皿があり誰かが食事をしたような感じだったそうだ

もちろん2人は1日中一緒なので片方が家に帰ることはあり得ない

夜中の1時過ぎにお風呂場からシャワーの水の音がするので2人でお風呂場へ行き覗いたのだが何もなかった

シャワーのノズル付近を見たが水滴が全然付いていなかった

F子が目が覚めると閉じてあったダンスの扉が開いていたそうだ

もちろんS君がF子の部屋には入っていないと言っていた

2人がリビングでTVを見ているときに廊下を誰かが走っていく音が聞こえて

S君がリビングから廊下を見たが誰もいなかった

などなど

怪異的な事が起きてついに私に電話をしてきたのだ

やはり・・・あの部屋には何かある!!

大家や管理会社は何か隠してるんじゃないかと私は疑っている

あ・・・でも・・・その土地に憑いている地縛霊だと・・・可能性はあるよな

おふくろの心配が見事に的中した

業者の見積もりを検討して来週から改修工事を始める

その前にS君やF子にこのことを説明をした

2人とも納得してくれた

明後日におふくろの実家へ行きその館の内部を確認する

というのもおふくろもその館には一度も入ってことがないんだそうだ

私やF子も然り

当日

オヤジ・おふくろ・私・F子・S君・葵

朝早くに家を出て少し休憩をしたのちに

すぐに控えの館の前に集まった

どうにか館の鍵をおふくろが見つけてきた

「なんとか・・・見つけたけれど・・・錆がひどいわね・・・

開くかしらね」

鍵を鍵穴に入れて時計回りに回した

ガチャ、という音が鳴ってドアが開いた

「開いたんだぞ!!ばっちゃ!!」

「開いたわね・・・私もはじめてだからね、どういう間取になっているかドキドキするわね」

電気はきてると思うけれ漏電の場合もあるから懐中電灯を各自持って中に入った

かび臭い・・・

埃もすごい

「こりゃ・・・ちょっと・・・ひどいぞ・・・マスクをしないと無理!!」

「1回外へ出ましょう」

こりゃ・・・まずは掃除業者を呼ばないと・・・とその前に電気の状態を調べてもらわないとね

おふくろが電気業者と掃除業者に電話をした

2つの業者はお昼過ぎに来るとのこと

お昼過ぎに電気業者と掃除業者が来た

まずは電気の状態を調べてもらった

一応、電源盤には異常は無しとのこと

しかし、各部屋の電灯などは各部屋に行き調べないとうかつに電源を入れられないと言っていた

まずは入口のところの掃除を業者に頼んだ

順に掃除・電気の検査と交互に繰り返しながら各部屋を回った

終わったころにはもはや夜の9時を過ぎていた

2つの業者の人たちにお礼を言って帰ってもらった

まぁまぁの部屋の数と広さだ

2人にとっては広すぎるかもしれない

「思ってたほど結構広かったわね・・・2人だと広すぎるように思える

これは・・・どうしようか・・・」

「おふくろさん、ここでいいです。

たしかに2人きりは広すぎるけれど撮影のスタジオとして十分に使えると思う」

「そうだわね・・・撮影スタジオとして使えばまぁまぁの広さだわね

後は少し改修工事をしてそのあとにここへ引っ越しをすればいいわね」

「おふくろさん・・・ありがとう・・」

「何を言ってるのよ、Sちゃん、私たちは家族なのよ、遠慮はいらないわよ」

「アニキ・・・ここならいろいろなセットが組めるよ、いちいち外へ行かなくても

いい、ママの屋敷内でも十分にロケができるし・・・ここなら旅費などかからないし・・

撮り直しもできるし・・・ここでいいよ、ありがとう、ママ!!」

本館へ戻り遅い食事をした

「さぁさ、葵ちゃんはもうそろそろ寝ましょうね」

「うん!ばっちゃ!」

葵を寝かせた後に今後のことを話し合った

S君とF子は当分、本館のところで寝泊まりをしてもらうことにした

夜も1時過ぎ

昼間の疲れが出てきたのかみんなあくびをし始めた

「パパ!!!大変!!今さっきのところの2階の部屋の電気が点いてるんだぞ!」

と半分泣きながら葵が走ってきた

「え!?・・・ほんとう?葵」

「うん!!パパ、来て確かめて見るんだぞ」

全員、葵が寝ていた部屋に行った

「ほら!あそこ!点いてるでしょ」

「確かに・・・おかしいな・・・全部、電灯を消したはずだけどな

消し忘れたのかな・・・」

「いや・・全部消してきたぞ・・・」

おかしい・・・

たしかに2階のある部屋の電灯が点いていた

「使用人が中に入ったのかな・・・」

「ううん、使用人は今は誰もいないはず・・・鍵がしまってるから入れないはずだよ」とおふくろは頭を横に振って否定した

「パパ!!人影が見えたんだぞ!!!」

たしかにスゥーーと人影が窓に映った

「こりゃ・・・泥棒かもしれん・・オヤジ!見てこよう」

「おうよ、俺も人影を見たぜ、Sちゃん、留守番頼むぜ」

「おやっさん、気を付けて!!」

私とオヤジで控えの館へ向かった

心配そうにみんなこっちを見ていた

さっそく鍵を開けて中に入った

静かに2階へ上がった

問題の部屋の前に立った

「あれ・・・電灯が消えてる・・・うそだろ」

「用心しろよ・・・いきなり襲い掛かってくるかもしれん」

そぉーとドアを開けた

部屋の中は真っ暗け

「おい!!!誰かいるのか!!出てこい!!」と突然オヤジが大きな声を出した

シーーン

「おい、F、スイッチをいれろよ」とオヤジが小声で私にスイッチを押せと言ってきた

部屋の電灯が点いた

誰もいない

「おかしいな・・・どうなってるんだよ・・」

「オヤジ・・・もうそろそろ出よう」

「そうだな・・・」

その部屋の明かりを消して館から出た

「パパ、アニキ、大丈夫だった?」

「どうなってるんだよ、明かりが消えてたぞ、それに誰もいなかった」

「あのな・・・おやっさんたちが館へ入ったときに2階の部屋の電灯が消えたんだよ

しばらく、入口を見てたけど誰も出てこなかった

おかしいよな・・・どうなってるんだ?」

「マジか・・・こりゃ・・・」

「パパ・・・怖いからパパたちと一緒にいたいんだぞ」

もう夜中も3時過ぎていた

「まぁ・・・とりあえずは改修工事はしましょう」とおふくろは全員に言った

「そうだね・・・改修工事が終わり次第、和尚様に来てもらおう」

全員、うなづいた

改修工事も無事終わった

私は事の詳細を和尚様に話をした

「う・・・ん・・一度屋敷へ行きましょう

明後日には行きますわい

オヤジさんと葵ちゃんと楓ちゃんとF子さんは必ず連れてきてくだされ

もしも・・・のときの保険ですわい、ワッハッハ

こちらも準備をしますわい

何かあったら連絡してくだされ」

3日後、家に和尚様が来た

この3日間は何も起きてはいないようだった

たまにおふくろに控えの館の様子を見てもらっていた

こちらも準備はできていた

すぐに出発した

およそ1時間後に屋敷へ着いた

控えの館の前に和尚様を案内をした

「う・・む・・・何も感じませんわい・・・」

「中へ入ってもらいましょう」とおふくろが和尚様を館の中へ案内をした

「ううう・・・何も感じませんわな・・・これは・・・夜中じゃないと感じないかもしれませんわい・・・」

夜の0時にまた館の中へ入った

「和尚様、何か感じますか?」と私は和尚様に聞いた

「いや・・・なにも感じませんわ・・・・

もうすこし・・・夜中の2時ごろにもう1度館の中に入ってみましょう」

夜の2時過ぎ・・・

和尚様と私とオヤジの3人で館の中へ入った

「おかしいですわな・・・何も感じませんわい・・・」

「そうですか・・・」

和尚様には3日間屋敷にいてもらい控えの館の様子を見てもらった

しかし・・・何も感じないと言う

どういうことだろう?

あの人影は何だったのか?

「おそらくここに住んでもいいとは思いますわい

改修工事ですごくいい感じになってますわい

もしなにかあれば連絡してくだされ」

あれから何事もなく2人は仕事場として家として使っている

怪異的な現象は起きていないということだ

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