【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編4
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Sトンネル

あの日は、Tの方から連絡が来たんだ。Tと俺は仲がよく、しょっちゅうつるんででかけたり、Tが運転する車でドライブしたりしていた。

ラインももちろんつながっており、互いによく連絡を取り合っていた。

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そう、あの日は夜8時も過ぎた頃に、Tの方からラインで連絡が来たんだった。

T「今から肝試し行かね?」

  K(俺)「は?」

T「Sトンネルさ、最恐らしいよ。まじでw」

  K「もう、9時だべさ」

T「夜行かねえでどうするんだ!」

  K「俺、今、ゲーム中だっつーの」

T「なんだよ、行かねえのかよ」

  K「行くか!」

T「まあ、いいや。俺だけで行ってくっから」

  K「一人でか?!」

T「ああ、中継してやるよ、ラインで」

(1時間ほど連絡なし)

T「ついた。Sトンネル」

  K「まじで行ったのかw」

T「俺は二言のない男だ」

  K「普通そういうのってグループで行かね?」

T「冷たい親友に断られたんで・・・」

  K「そーでしたw」

(5分ほどたって)

T「車から出て、5分くらいあるかねえとトンネルつかね」

T「意外と寒いな、今日」

  K「やめとけって」

T「ここまで来たしな。ちょっと中覗いてくるだけ」

(また5分ほどして)

  K「おーい大丈夫か?」

T「無問題」(スタンプ)

  K「さよか」(スタンプ)

T「お、第一落書き発見!」

(フラッシュに照らされたヤンキーが描いたような落書きの写真が送られてくる)

  K「トンネル中?」

T「そう、歩いて5分くらい。意外と長いなこのトンネル」

  K「はよ戻ってこい!」

(数分後)

T「ビビった。まじで」

  K「どうした?」

T「ミッキーマウス」(スタンプ)

T「ネズミだわ。ビビる」

  K「こっちもビビったわw」

T「このトンネル長すぎね?」

T「そろそろ飽きたし戻るわ」

  K「おーそうしろ、そうしろ」

  K「それがいい」(スタンプ)

(10分ほど連絡なし)

  K「もう、出た?」

T「いや、まだ。なんかおかしい・・・」

  K「何が?」(スタンプ)

T「落書きんところすぎたらすぐ出口だったと思うけど、まだつかない」

  K「意味不明」(スタンプ)

(さらに5分ほど経過)

T「おかしい。出られない。

  何度も落書きのところに来る」

T「どうしたら・・・」

  K「T隊員、迷った?ww」

T「笑い事じゃない!迷いようがないのに」

(ライン電話が来る。以下、電話の会話)

K「どうした?」

T「おい、これおかしいって!(かなり焦った口調)」

K「何が?」

T「歩いても歩いても出口につかない。真っ暗だ。」

K「トンネルの中なんだから暗いんだろう?」

T「違う。出口の明かりが全く見えない。入ってから折り返すまで15分くらいなのに、もう20分近く歩いている。それに、さっきの落書きのところをもう2回も通り過ぎている。(息遣いが荒い)」

K「落ち着け!何か支道のようなところに入っちまったんじゃないか?」

T「そんなわけがない。一本道だ。それに、支道だったら、なんで同じ落書きに出くわすんだ!(かなり息が荒い)」

K「落ち着けよ。あまりむやみに動くな。もし本当に迷ったんなら警察呼ぶか?」

(正直、Tは断ると思っていた)

T「た、頼む。お願いだ。ここに長くいたくない」

K「わ、わかった・・・」

(俺は一旦ライン電話を切る。警察に通報し、友人がSトンネルで迷ってしまって困っていると通報した。)

(数分後、またラインが来る)

T「動いていない。でも、何かいる」

  K「何かって?」

T「わからない。ザワザワいってる」

  K「動物?野犬?」

T「早くきてくれ。やばい」

(すぐライン電話が入る)

T「おい、なにか聞こえるんだ。わ、笑い声・・・?聞こえないか?(電話を中空に向けている様子。特に何も聞こえない)」

K「何も聞こえないぞ」

T「こっちへ、こっちへって言っている・・・」

K「何も聞こえないぞ。自分の声が反響してるんじゃないか?落ち着け。警察には通報した。」

T「だんだん近づいてくる、来るな・・来るな!!」

(電話が切れる)

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このあと、何度か俺からラインを入れるが全く既読にならない。電話もしてみたが、通じなかった。俺は、もう一度110番に電話をし、友人と連絡が取れなくなったことを更に伝えた。

警察は、俺にもSトンネルに来るように要請してきた。足がなかったので、産まれて初めてパトカーに乗り、Sトンネルに向かった。

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Sトンネルのそばには見覚えのあるTの車が乗り捨ててあった。警察官二人と、俺とでトンネルに入ったが、トンネルは30メートルほどで終わり、トンネルの向こうは旧道が途切れたままになっていた。Tの姿はどこにもなかった。

俺は、ラインのやり取りを警察官に見せ、電話のやり取りについても覚えてえいる限り仔細に伝えた。最後まで警察官たちは俺たちがいたずらをしていると思っていたらしいが、Tの車が乗り捨ててあることなどから、やはり事件か事故が起こったのだと判断してくれたようだった。

その夜、一通り捜索したあと、夜が明けてから更に大々的に捜索をしてくれた。

しかし、Tはついに見つからなかった。

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俺が一番不思議なのは、Tが言う「落書き」がトンネルのどこにもなかったことだ。写真まであるのだから嘘ではない。

あの夜、Tに何が起こったのか。そして、Tはいったいどこに入り込んでしまったのか?

Tの消息はまだつかめていない。

Concrete
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@ししなべ  & イカスミさん
いつもコメントありがとうございます。
鈍行並でもいいので、末永くご愛顧願います。

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最近怖バナをチェックしていなかったイカスミです。
気付いたらたくさん投稿されていて見きれません汗汗
とりあえずかがりさんのやつを見てみたのですが今回もとても面白かったです!!
なんかまともな感想書いてないけど次回も期待してます!!(プレッシャー笑

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