【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

東村さんの語り(住んでいたアパート)

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

東村さんの語り(住んでいたアパート)

俺の友人にね。俳優やってる東村さん(仮名)って方が居るんですよ。

彼はね。自転車乗ってる時、警察官に二人乗りしてたって言われる事があったらしいのです。当然、二人乗りなんてして無いんですよ。

この世のモノでは無い何かが居たのですかねぇ。

そんな不思議な体験がある東村さんが、昔住んでたアパートの話しを聞かせてくれました。

separator

東村さんが昔住んでたアパートは、昭和の情緒溢れる物件でしてねぇ。台所に湯沸かし器があったりしたんです。今ではあんまり見かけなくなりましたよねぇ。

そこに家族四人で住んでたんです。

ある日の事。

妹さんが一人で留守番して居ました。

お兄ちゃん(東村さん)は学校で、お母さんはお買い物に行ってる。

一人ですからね。

心細いわけだ。

とりあえず、寂しさを紛らわす為に宿題をやってました。

すると、台所の辺りから話し声が聞こえてきたんです。

あ、お母さんと、お兄ちゃんが帰って来たのかな。

妹さんは思ったんですね。

でも、宿題が終わって無い。

宿題が終わって無いのに、台所の所で話ししている二人の所に行ったら怒られるかもしれない。

そう思った妹さんそのまま宿題を続けていました。

妹さんが宿題を終えるのとほぼ同時に玄関のドアが開きました。

買い物に行ってたお母さんと、途中で会った東村さんが帰って来たんですよ。

妹「あれ?今帰って来たの?」

母「そうよ、どうしたの?」

妹「さっきね。宿題やってたら、お台所て話し声聞こえたから、てっきりお母さんとお兄ちゃんが帰って来てお話ししてるのかって思ったの」

東村「何言ってるんだよ。学校帰りの途中で母さんと会ったから一緒に帰って来たんだぞ。外の話し声とかじゃないのか?」

でもね、東村さんが住んでたのは、アパートの二階なんですよ。

外からの声にしては、大きかった。

でも、言われてみれば、台所から聞こえる声にしては小さかった様な気がする。

妹さんもね。気のせいと思う様にしたんですよ。

そんなある日の事。

他の家族が出掛けてましてね。東村さん、部屋に一人留守番していました。

お風呂でのんびりと湯船に浸かってその日の疲れを癒してました。

このお部屋ね。古いせいか、風呂場の扉の立て付けが悪くなってまして、少し隙間が出来るんですよ。

ふと、台所の方を見ました。

湯沸かし器ってね。

ガスの不完全燃焼が起きる可能性があり、大体のご家庭が窓を少し開けておくんですよ。

その開けた窓から、頬がやつれた女性がジッと東村さんを見てるんですね。

でも、東村さん。

あぁ、誰か覗いてるな。

男の風呂なんて覗いて楽しいのかなぁ。

とか考えてました。

風呂から上がって台所の方を見ると、その覗いてた女性は居なくなってました。

そんな感じで、少し不思議な事は起きて居たのですが、決定打的な事は無かったんですね。

変な音はしてても、古い建物ですからね。

家鳴り位にしか思わなかった。

でもね。

ある日、突然押し入れの天井が抜けたんです。

そうすると、びっしりとお札が貼ってあった。

その部屋ね。そのアパート内でも家賃が安い理由はこれだったんですね。

流石にそれを見て、東村さん達引越しました。

東村さん。今は一人暮らししてるんですけどね。

たまに実家に帰る事ありまして、そのアパートの近くを通る事あるんですよ。

借り手付かないみたいだって言ってましたね。

そしてね。アパートを外から見て、あの窓から女性が覗いてたなぁ。

なんて思ってたんですが、一つおかしな事に気づきました。

東村さんが住んでたのは2階なんですけど、その窓の下には、屋根とか無いんですよ。

だから、そこから覗くって事は宙に浮いてなければいけない。

覗いてた女性。この世のモノでは無かったんですね。

あの時気付かなくて良かったって、東村さんは話してました。

Concrete
コメント怖い
2
4
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ

@天津堂
東村さんご自身もですが、お父さんも細かい事は気にしなかったそうです。彼も今思えばって感じで話してくれました

返信
表示
ネタバレ注意
返信