【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編4
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SNS

先日、私が喫茶店で聞いた会話。

残念ながら、自分の真後ろで話されていたことだったし、振り返ってジロジロ見るようなこともできなかったので、どんな人が話していたかまではよくわからない。

ただ、声や話しぶりから、どうやら高校生くらいの若い女性二人組だろうと思えた。

二人を仮にA、Bとしよう。

A「ねえ、『サトルくん』って知ってる?」

B「何それ?」

A「知らないの?結構、言ってるよ、みんな」

B「えー知らない」

A「ちょっと、怖い話なんだけどさ」

A「SNSでサトルくんと友達になると、ある日連れてかれちゃうんだって」

B「えー何それ。連れて行かれるってどういう意味?」

A「連れて行かれるって言ったら、連れて行かれるのよ。あの世に。」

B「こわー。でも、そんなん、友達にならなきゃいいじゃん」

A「まあ、そうなんだけど、世の中恐いもの好きっているじゃない?これって、友達の友達が体験したっていう本当の話なんだけどさ・・・」

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このあとのAの話を要約すると以下の通り。

恐いもの見たさで、サトルくんのIDに友達申請したC(男性らしい)は、試しにメッセージを送ってみた。

C「君は誰?」

サトル(以下、S)「サトルだよ」

C「本当にいたんだ」

S「いるよ」

そんな感じから始まり、普通にSNSのやり取りは続いていった。以外にもCとサトルくんは気が合って、趣味の話などを良くするようになった。Cも最初こそ、友人たちに

「サトルくんと友達になったぜ」

と冷やかし混じりに言っていたが、そのうち、本当にサトルくんとの会話を楽しみにするようになっていった。

同級生たちが、Cの異変に気づくのにそんなに時間はかからなかった。まず、授業中も、四六時中スマホを気にしている。先生に注意を何度も受ける。休み時間中はずっとニヤニヤしながらスマホを操作している。もちろん、登下校中は歩きながらずっとスマホを操作していた。

そんな姿を見て、周囲の友人も次第にうす気味悪くなってきていた。

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終いには先生にスマホを取り上げらてしまった。授業中、あまりにも堂々とスマホを操作していたためだった。

「返してくれよ!」

Cは柄にもなく先生に食ってかかった。

先生が説教をしだすが、全く聞かずに

「返せよ!返せよ!」と繰り返した。

最後には、涙声になり

「お願いだよ〜、返してくれよ〜返してよ〜」と半狂乱になってしまった。

ここにきて、周囲はやっとヤバさに気が付き始めたが、どうすることもできなかった。

噂だけが先走る。

「○組のCってやつがサトルくんと友達になって狂ったらしい」

「脇目もふらずにスマホにかじりついている」

「食事もとっていないんじゃないか?なんだかやつれたっていう噂」

「もうだめだ。あいつ、完全に憑かれている」

などなど。

噂はまたたく間に広がり、それとともに、Cが学校に来る頻度はどんどん減ってきた。

Cが学校に全く来なくなってしばらく後、CのSNSからいろんな人に一斉にこんなメッセージが流れた。

「サトルくんに会える、サトルくんに会える」

「サトルくんに会える、サトルくんに会える」

・・・

それだけが延々とタイムラインに流れてきた。不気味に思った友人たちは、次第にCのアカウントをブロックし始めた。

Cとは親友だと自認しているDだけは最後までSNSをブロックせずにいたらしい。

たまに、「どうしたんだよ」「大丈夫かよ」

と打ってみるが、帰ってくるメッセージはひたすらに

「サトルくんに会える、サトルくんに会える」

だった。

流石に、不気味に思い、また、通知がひっきりなしで迷惑でもあったので、Cからのメッセージの通知を切ってしまった。

数日後、ひさしぶりにCのアカウントを開いてみると、画面いっぱいに未読メッセージとして

「サトルくんに会える、サトルくんに会える」

と書かれていて、ゾッとした。

最後のメッセージを確認すると、そこだけ違っていた。

「6月22日」

そこで、タイムラインは終わっていた。

6月22日といえば、来週であった。Dはなんだか嫌な予感がしたので、Cの家を訪ねてみた。

Cの親が出迎えてくれたが、DがCに会いたいと言っても首を振るばかりだった。

「ごめんなさい。Cは部屋に閉じこもって全く出てこないの・・・」

Dは言葉がなかった。あの明るかったCがどうしたのだろう。

その後、DはSNSで何度かCに呼びかけてみたが、全く返答はなかった。

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B「それで最後はどうなったの?」

A「わかんない」

B「わかんないって?」

A「消えちゃったんだって」

B「え?」

A「だから、6月22日に、Cって人は家からもどこからも消えちゃったって。多分、サトルくんに連れてかれちゃったんじゃないかってこと」

B「こわ・・・」

A「今でも、行方不明らしいよ。それで、たった一回だけ、DのタイムラインにCからのメッセージが流れたんだって。」

B「え?なんて?」

A「サトルくんに会えた、って」

ここで、私は喫茶店を出なくてはいけなくなってしまい、名残惜しいと思いながらその席をあとにした。ちらりと見た感じでは、話をしていたのは、制服をきている女子高生二人組であった。

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