はじめて大阪へ遊び行った時の話
7月も終わり子供たちは夏休み
夏休みの思い出つくりとしてはじめて家族が大阪のU〇Jへ一泊二日の予定で遊びに行った
5月の終わりにおふくろが珍しく家族で旅行をしたいと言い出した
もちろん子供たちは大賛成
おふくろは大阪へ行きたいと言ってきた
あそこのU〇Jへ行ってみたいとの希望
家族全員が目が点になった
まさか・・・の発言なのだ
疑問に思った楓がおふくろに質問をしていた
「幼少の時は両親が忙しくて家族で旅行などは一度もなかった
私が「どこかお泊りして遊びたいという」と母親は怖い顔をして「今の財政で旅行などできるわけない」というような感じで言われたのよね
あの私の母親のことですからね・・本当に家族旅行というものをしたかったのよ
ぜひあの時の夢を叶いたいのよね」とおふくろはため息をつきながら話してくれた
「おふくろ・・・行こうよ・・・」
「ばっちゃ!!行きたいんだぞ!!」
家族全員が「行きたい」と大賛成だった
費用はそれぞれが出し合うことになった
おふくろは笑顔で泊まるホテルを探し始めた
しかし・・・なかなか予約が取れない
大坂にはたしかにおふくろの財閥系のホテルはあった
しかし、そこも予約で埋まっていた
ネットでいろいろと調べてなんとか家族分の予約が取れそうな旅館を見つけた
家族分・・・・
総勢・・・12人・・・それぞれを各部屋にわけるとして・・・6部屋ほど
これは・・・ちょっとな・・・いろいろな組み合わせをおふくろは考えていた
4人部屋を3つカナちゃん親子のために2人部屋一つ
なんとか4つあればいけるかな
条件に合う宿泊施設を何とか探したようだ
U〇Jから車で2時間ほどの所
レンタカーの予約もした
2台の車を予約をした
F子やS君も大賛成
オヤジがうっかり?いやわざとな・・・和尚様に家族旅行の話をしてしまった
和尚様も行きたいとおふくろに電話があったそうだ
おふくろは激怒してオヤジを説教をしていた
お寺さんも忙しいのに和尚様を誘ってどうするんだという感じ
総勢13人
旅館は川のすぐそばの静かな感じのようだ
旅館のまわりにはおみやげやさんがたくさんある
わたしはネットでその旅館のことを調べた
なかなかの評判だった
建物自体は古かったけれど部屋の写真を見る限りはそんなに古いとは見えなかった
あちらの女将さんも13人ものお客の予約でうれしそうな声だったとおふくろは言っていた
宿泊料金も普通
料理もいい感じに見えた
7月の末ごろの予約が取れた
旅行の前日
F子とS君が来た
旅行の準備で大忙し
1泊二日の短い旅行だけど12人分の荷物はすごい
できるだけ必要な分だけに荷物をまとめた
出発は夜中の1時ごろにしていた
レンタカー2台に荷物を全部載せた
やはり・・・後ろは荷物の山
途中でコンビニにより弁当やお菓子・ジュースなど買い込んだ
12人の人間がゾロゾロとコンビニへ入るのだからほかの客は唖然としていた
F子は周囲を特に警戒をしていた
顔ばれしないかと心配をしていた
まぁ・・・サングラスと薄化粧だから・・おそらくばれることはないだろう
ひさしぶりにF子のすっぴんをみて思わず笑うところだった
全然・・・変わっていない・・・すっぴんは・・・かわいいとはおもうが・・・
思わず・・ブッとなりそうだった
S子も同様で・・・思わず笑ってしまった
「あ!!!パパ、笑ったんだぞ、失礼なんだぞ!!F子ちゃんに言いつけるから!!」と
ブスッとした顔になっていた
「アニキ!!!S子ちゃんから聞いたよ、失礼だよ!!それに私の時も笑いをこらえていたでしょ、ちゃんと見てたんだからね!!乙女を笑うなんで・・・最低!!」
「いや・・・そのぉ・・・ごめん・・」
と謝ろうとF子の手を握った
「きゃ!!もう!!触らないでよ!!バッチイ!!アニキ!!ベェーーッ」と怒られた
女は恐ろしい・・・化粧をしたら別人だ
U〇Jの開園まで時間があったのでブラブラと街を散歩した
S君はとにかくパシャリパシャリと撮りまくっていた
はっきりといって2時間待ち3時間待ちって何なの?
私とS君とオヤジはその看板を見て唖然としたよ
「あほか・・・こんなもん待ってられやしない・・・」とS君
とりあえず私たち3人組はフラフラと園を歩いた
はっきりといってつまらん・・・こりゃ・・・私たちは合わない
お昼は合流して昼食を共にしたがまた昼食後は別れてフラフラと歩き回った
夕方になり集合場所へ全員集まった
子供たちは満面な笑顔ではしゃいでいた
忘れ物はないか確認した後に旅館へ車を走らせた
旅館へは1時間ほど遅れて到着した
女将が出迎えてくれた
すでに夕食の準備もできていた
大部屋には料理が並んでいた
オヤジとS君と私の部屋は和室の落ち着いた感じ
外を見ると川が流れていて川のせせらぎが聞こえた
さてと大部屋に行くかな
それぞれの部屋から大部屋へ移動した
どうやらお客は私たちだけのようだ
子供たちの喜びよう
おふくろは満足気に料理を見ていた
やっと幼い頃の夢が叶ったと喜んでいた
およそ30分後に和尚様も来た
和尚様も加わり夕食時は大賑わい
女将も久しぶりに大所帯のお客様を迎えたと言っていた
夕食も終わり
露天風呂へ
楽しい時間はあっという間に過ぎていった
後は寝るだけ
しかし・・・・
ドタドタと廊下を走る音がした
「じっちゃ!!パパ!!大変!!!」と楓が飛び込んできた
「どうした?」と私
「あのね!!ちょっと部屋に来てほしい!!」
私たちは楓の後を追って子供たちの部屋へ行った
「あ!パパ・・・ちょっと・・・」
「どうした?」
「あのさ・・・外を見てたら・・ほら・・あの木の下からこっちを覗いてる人がいるでしょ?」
「どれ・・・え・・・たしかに・・・なんだろうね」
「ずーとだよ・・・少し気味悪い・・・」
「だよな・・・オヤジ、一緒に来い」
「おう!!」
私とオヤジは急いで木の下へ向かった
「あれ・・いないぞ」
窓から匠が何か叫んでいた
「パパ!!!消えたよ、消えたんだよ!!」と聞こえた
「うそだろーー、消えるわけがない・・・オヤジ・・そこらへんを探してこい」
「おう、わかったぜ、すこし周りを見てくるぜ」
おやじはフラフラと周辺を探し回った
「いねーーぞ、どこいきやがった!!」
「だから!!パパたち!!消えたんだって!!」と大声で匠が怒鳴っていた
「とりあえずは部屋へ戻ろう、オヤジ」
「そうだな」
部屋戻った
「あのさ、パパたちが部屋を出た途端に消えたんだよ
もうびっくりしたよ」
「うそだろ・・・消えた?」
「そう!消えた・・・」
どういうこった・・・
「こりゃ・・・幽霊ですかいのぉ・・・」
「まぁ・・・消えたとなれば・・・幽霊かな・・・」
「まぁ・・子供たちはもう寝たほうがいい」
「何も起きなければいいけどな・・・」
やはり・・・・
子供たちの部屋からラップ音が鳴り響いた
「何々・・・何か音がしたよ・・・」
「聞こえた・・・」
もう子供たちはパニックになった
「じっちゃ!!!」と言いながら楓がオヤジの部屋へ走りこんできた
「じいちゃ!!!起きて!!!すぐに部屋来てよ」と楓は半べそをかいていた
「お・・・どうした?・・・今起きるからな」とオヤジは体を起こして楓を見ていた
「じいちゃ・・・部屋で何か音がする・・・何かを感じるよ・・一緒に来てよ」と楓の目には涙が出ているのを見てオヤジはさっと子供たちの部屋へ行った
私も後からついていった
「じっちゃ・・・今さっきね・・・部屋のどこかしらから・・・音がしたんだぞ」と葵も今にも泣きそうな顔をしていた
「葵の言うとおりだよ、じいちゃ・・・」と仁もびっくりしていた
「じいちゃがいるから安心していいぞ、もう寝ないと明日がつらいぞ」とオヤジは子供たちにやさしく言った
「うん!!!」と子供たちは納得をして布団に入った
ギシッ・・・ビシッ・・・トントン・・・
確かに物音がした
「なんだ?今の音は・・・」とオヤジのびっくりした声
「なんか・・・この部屋じゃなく・・・隣の部屋から聞こえたような・・・」
「たしかに・・・でもよぉ・・隣って空き部屋だろ・・・」
「あぁ・・・たしかに空いている・・・俺、女将さんのところへ行ってくるわ」と私は急いで女将さんを呼びに行った
ところが・・・フロントには誰もいないし女将さんの部屋にも行ったが返事がない
これは困った・・・
私は仕方なしに部屋へ戻ってきた
「女将さん・・・いなかった・・・フロントにもいなかったし・・もう夜中だから自分たちの家へ帰ったのかな・・・」
「え・・・帰った?ありえんぞ・・・どこか用事でいなかっただけだろ」
「かもしれないけどな・・・」
とりあえずは私は各部屋の様子を見に行った
特に異常はなかった
あるとすれば隣の部屋だけ・・・
しかし・・・隣の部屋にはもちろんカギがかかっているので女将さんを連れてこないといけない
もう時間は夜中の1時過ぎだ・・・
もう1度私はフロントと女将さんの部屋へ行ってきた
しかし・・・誰もいなかった
もう家に帰っていないのかもしれない
「オヤジ・・・いなかったよ・・・どうする?」
「どうしようもないだろ・・・とりあえずはここで子供たちを見守るしかないぞ」
「オヤジ、すまないが廊下で寝ててくれ・・というか廊下にいてくれ」
「おう、わかってるぜ・・廊下にいるぞ」とオヤジは部屋を出て廊下で座り込んだ
「あのぉ・・わしはなにをすればよかろう?」と和尚様が来た
「いやいや、和尚様はお客さまだからこの部屋にいてください」
「わかりもうしたわい」
やはり・・・隣の部屋から物音がする
「和尚様・・・隣からなんか音がすんですけれど・・・」
「たしかに・・・でも隣は空き部屋でしょ・・・」
「そうなんです・・・しかし・・・誰かがいる気配がするんですよね」
「確かめたいですわい・・・女将さんがいないとなんとも・・・」
「そうなんです・・・いないんですよ・・・」
結局・・・気にはしたものの一夜が過ぎた
何も起きなかった
目が覚めて周りを見たが特に何も変わってはいなかった
子供たちも起きてきてはしゃいでいた
女将さんが部屋に来て朝の挨拶をしてきた
私は女将さんに昨日の夜の出来事を話をした
一瞬・・・女将さんの顔が嫌な顔になったのをはっきりと見た
また笑顔になり話を聞いてくれた
私は恐る恐る女将さんはどこに行っていたのかを聞いてみた
女将さんの言い分は用事があり家に帰っていたとのこと
本当にそうなのか?私は少し疑問に思えた
お客を残し自分の家へ帰るのだろうか?
たしかに客は自分の家族だけなのだが・・・
さてと・・・お昼にはこの旅館とお別れだ
おふくろはやっと自分の思いが叶って満足気だ
家へ帰る準備でバタバタと忙しい
お昼近くになり私たちは女将さんや従業員さんに見送られて旅館を出た
旅館を出たときにどこからかチリンチリンと鈴の音が聞こえてきた
私は「えっ!」と思った
オヤジや和尚さんも聞こえたのか周囲を見回していた
気のせいかと思いそのまま車に乗り込んだ
どんどんと旅館が遠くになっていった
子供たちはいい思い出が出来て車の中がうるさかった
ところが・・・私は・・・背筋にゾクッと冷たいものを感じた
私は霊感はゼロ・・・風邪をひいたのかと思った
オヤジと和尚様も後から聞いたのだがやはり背筋にゾクッと感じたと言っていた
家に無事着いた
私は寒気に襲われていた
完全に風邪を引いたなと思い風邪薬を飲んで少し横になった
2、3時間ほど寝たのか少しは体が楽になった
どうも・・・私はなにか変な・・というか・・・PCのスイッチを入れ何気に旅館のWEBを見た・・・私は・・・気づいていなかった・・・日付を・・・
私は・・目が点になってしまった・・・「うそだろ」とつぶやいた
WEB上の日付を2度3度見直した・・・・
2年前に更新が止まっており・・・「え・・・2年前・・・」と思いつつ
その旅館について検索をした
私は凍り付いてしまった・・・・
2年前に廃業していたのだ
え・・・廃業・・・そんなはずはない・・・
たしかに旅館はあったし女将さんや従業員さんもいた
おいしい料理も出てきた
私はふとスマホの写真を見た・・・・全然写っていなかった・・たしかに旅館の全景や周りや部屋を写した・・・食事をしてる時も写した
そんなはずはない・・・
もう狐に包まれた思いだ・・・狐?・・・・え・・・まさか・・・狐に化かされた?
私は急いで客間からリビングへ行きS君に話をした
S君はびっくりしてカメラを手に取り確認をした
写っていなかった・・・
あれだけ写していたにもかかわらず一枚も写っていなかった
「え・・・うそだろ!!あれだけ、俺、馬鹿みたいに写したんだぞ・・・」とS君はびっくりした声を上げた
みんなびっくりしてS君を見た
「Sおじさん!どうしたの?」と楓が聞いてきた
「いや・・・そのぉ・・・」と口を濁してしまった
私はおふくろに話をした
おふくろの顔が徐々に血の気が引いていくのが分かった
おふくろは慌ててその旅館に電話をした
通じない
「通じない・・・そんな・・・」とおふくろは茫然としていた
全員が化かされた・・・いや夢を見ていた?
私はスマホでさらにその旅館について調べた
今は廃墟で廃墟マニアや幽霊屋敷として有名になっていた
いろいろな怪現象が起きており
ラップ音や人の声が聞こえたとか・・・
家族全員が・・・特に子供たちはショックが大きかった
みんな信じられないという顔
おふくろが「あっ!!!!」と大きな声を出した
「わたし・・・会計をすませていなかった・・・」
そう言えばそうだ
なぜか事の流れで・・・そのまま旅館を出たんだ・・・
てっきりおふくろが会計を済ませていたと思っていた
作者名無しの幽霊
なんとも不思議な体験だった
あれがいわゆる「狐に化かされた」と言うのか・・・
それも家族全員だ
おふくろの夢が・・・こんな目に合うとは・・・・
後日・・・私とオヤジでその旅館を見に行った
やはり廃墟だった
現実を目の当たりにして茫然とした
一体・・・どういうこった・・・