以前、先輩から聞いた『首無しライダー』のSさん(以後佐々木さん)(仮名)別の話しを話してくれました。
佐々木さんが以前某有名チェーン飲食店で働いて居た時の話しです。
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佐々木さんが働いていたお店に新人として、白石君(仮名)が入って来ました。
彼ね。霊感が強いんですよ。
もちろん、お店では隠していたんですがね。
そのお店、不思議な事が起きるんです。
それは、オートロックになっているバックドアのチャイムが鳴るんですよ。誰も押してないのにね。
夜働いてるスタッフはそれを知ってますからね。気にしない。
でもね、佐々木さん気付いたんですよ。
普段は、そのチャイムの音小さく聞こえる。
でもね、白石君が居るとハッキリ聞こえる。
そのお店ね。22:30に閉店して、後片付けするんです。
スタッフは0時上がり。給料日なんかは、近くに5時まで空いてる居酒屋チェーン店あるので、飲みに行く事あるんです。
その日、仕事の後に飲みに行く事になってまして、佐々木さん、音がハッキリ聞こえる理由を知る為に、白石君を誘いました。表向きは、白石君の歓迎会って事にしてね。
佐々木さんがお店に起きる怪現象の話し切り出したところ、お酒が入ってますからね。白石君自分は霊感が強い事を話してしまったんですよ。
あんまり良い事ではありませんが、そのお店。飲みの他に、近県のとある霊園に肝試しに行くんです。
そこに今度白石君を連れて行ってみようって話しになりました。
そして、その当日。
いつもなら、22時から閉店の30分って中々に忙しい。
閉店20分前からはテイクアウトのみでね。それの前に入ったお客さんが中々帰らなかったり、作って無いもの注文されたりとかが多いんですよ。
その日はそんな事無く、すんなりと作業が進んだ。
皆はね。呼ばれてるのかななんて話していたんですよ。
そして、霊園に着きました。
その霊園ね。ものすごく広くて、周ったら1時間以上は掛かりそうなんです。
その日のメンバーは、社員の田村さん、アルバイトリーダーの黒田さん、佐々木さん、バイト先輩の川上君、白石君ってメンバーです。田村さんが大きな車を持ってまして、その車でここまで来たのです。
入り口から入って、深夜の墓地を周るんですが、特に変わった事は無く、途中で手入れがあまり行き届きて無い墓所は嫌な雰囲気があった位なんです。
ふと、白石君が立ち止まった。
白石「ここから先は進まない方が良いですね。引き返しましょう」
それを聞いた黒田さんがちょっとした悪戯心を出してしまったんですね。
黒田「だってよ。おい、川上、一人で進んでみろよ。飯奢ってやるから。俺達先に入り口に戻ってるぞ」
川上「良いですよ。先に帰ってて下さい」
ニヤニヤしながら、そう答えたんです。
そうしたら黒田さんは本当にメンバー連れて入り口まで戻ってしまったんですね。
10分位経てば戻って来るかなと言う軽い気持ちでだったんですけどね。
10分、20分経っても川上君が戻って来ない。
そこでね。佐々木さん、気になって白石君に聞いたんですよ。
佐々木「白石、なんであそこで引き返す用に言ったんだ?」
白石「見えなかったんですか?丁度川上さんが向かった方向から、ナニカが歩いて来てましたよ。危険は無さそうだったんで、止めませんでしたけど」
それを聞いてまずいと思った黒田さんと佐々木さんが探しに行ったんですが、川上君が戻って来るかも知れないってことで、田村さんと白石君はその場に残りました。
敷地が広いですからね。初めて来た白石君を残したんですね。
携帯電話が普及する前の事ですから、この様な形を取ったのですよ。
最短ルートを使い、川上君と別れた場所まで行きましたが、姿が見えない。
黒田さんと佐々木さん、とりあえず入り口に戻りました。
これからどうしようかって話してたんですね。
そんな時、タクシーが止まったんです。
タクシーから出て来たのが川上君だったんですね。
ただ、顔が真っ青。
近くに自販機があったので、佐々木さんがコーヒー買って渡したんですよ。そうしたら、川上君。自分が体験した事を話し始めました。
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皆と別れてから、道を歩いてたわけですよ。
敷地も広いですからね。道幅も広い。
川上君、道の端を歩いてたんですが、逆側の端にお婆ちゃんが歩いて来た。
川上君ね。そのお婆ちゃん、散歩してるのかと思った。
墓場を散歩コースにするなんかスゲェな。
あ、もしかしたら、お爺ちゃんが先にお墓の中なのかなぁ。
とか、考えてた。
暫く歩くとまたお婆ちゃんとすれ違った。
あれぇ?さっきのお婆ちゃんかな。
いくらなんでも、違うよなぁ。
でも、服装同じだった気がする。
怖くなって振り返れない。
川上君もこの場所に来た事あるから分かるんですよ。そろそろ裏の出入り口がある。
ここから去ろうと思って、足を早めた。
するとね、真後ろ、耳元からこう聞こえたって
『どこへいくんだい?』
お婆ちゃんみたいな声だったんですね。
川上君走って裏の出入り口から出た。
丁度タクシーが通ったので、正面に友達待たせてるってドライバーに言って正面入り口までタクシーで来たんですね。
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そんな事があったとはいえ、川上君は無事に戻って来たわけですからね。帰る事にしたんですよ。
車に乗ってね。
霊園を後にしたんですよ。
霊園の付近は寂しい道なんですよ。
でもね、暫く進むと県道に出る。
県道まで来れば、道は明るくなる。深夜と言えど、開いてるお店は有りますからね。
ただ、そのまま県道を進むと県の奥に繋がっているのです。
なので途中左折して、国道に入るんですよ。
助手席に座って居る佐々木さんが気付きました。
ホテルのネオンが目印なんですが、その場所に来たんです。
佐々木「田村さん、左折」
ハンドル握ってる田村さんも気付いたんですね。
左折したんです。
普通ならね。横道入ると少し寂しい道が続くんですが、この時は違ってた。
寂しい道が続くんですよ。
道なりに進むと、その内、塀の様な物が見えてきました。
霊園に戻って来てしまったんです。
流石に、みんな驚きます。
それはそうですよね。
また、霊園に引き戻されてしまったんですから。
するとね。白石君が全員を車から降りる様に言うのです。
全員降りたら、何やら印を結んで何やら唱えた。
そしたら、他のメンバーの背中を3回叩いた。
白石「もう、大丈夫。帰りましょう」
と言いました。
次はちゃんと、帰れたんですね。
お店で解散となりました。
そこで、帰る方向が一緒だった白石君に佐々木さん聞いたんですよ。
佐々木「なあ、白石。さっき霊園で何やったんだ?」
白石「お不動さんの力借りました。印結んで不動明王の真言唱えたんですよ」
佐々木「スゲーな。そんな事も出来るのか?」
白石「いいえ?俺はそっちに関しては素人ですよ?」
佐々木「でも、無事に帰って来れたじゃん?」
白石「霊が与える影響って多くて1/3程度って言われてるんですよ。だから、俺は何もしてないです。何かやってる様に見せただけなんですよ」
佐々木「何で霊園に戻されたんだと思う?絶対道合ってたはずなんだけど」
白石「あぁ、ちなみに、1回目と2回目、曲がる道違ってましたよ。ホテルのネオンが目印なんですね」
佐々木さんビックリしたんですよ。自分達は確かにホテルのネオンで曲がったって思ってましたからね。
白石君とは見てるものが違ってたんですね。
佐々木さん。こんな体験談も話してくれました。
作者蘭ユウジ
イニシャルでは、わかりづらいと思い、Sさんから、佐々木さんと変えました。この話しも前に聞いた話しです。