中編3
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郵便物

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これは、私がいつも書き込ませている話とは、

かなり違う、心霊的な怖い話ではありません。

人間的な心理と言うか、、、

ゾッとした話です。

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大学時代に、夜、いつもの溜まり部屋にいました。

その時、その部屋には、

ある男の先輩と、2人きりでした。

その先輩が、ある瞬間に、ぽつりと言いました。

頭文字を取り、Wさんとします。

「 まだ、来るんだよねー 」

私は、

「 え? 何が来るんですか?」

と、当然のように、Wさんに聞き返しました。

「 いやぁ、郵便物、、、」

うん?と思い、

「 普通、郵便物は来ますよ 」

と、言うと、W先輩は、

自分宛の郵便物じゃ無いんだよと、意味不明な返事をします。

ますます、えっ? になり、

「 じゃあ、誰のですか?」

と、聞きました。

すると、先輩は、

「 オレのアパートの部屋に、前に住んでた

ヤツのだよ 」

と言うので、

「 その人、引越しする時に、転居届を

出さなかったんですかね?」

と、答えると、

W先輩は、苦笑いしながら、

「 死人に転居届は、出せないでしょ?」

と言いました。

私はますます、えぇっ?です。

私が困惑していると、

「 いやぁさー、

その人さ、今のオレの部屋に住んでた時に、

死んだらしくてさ、

オレも、引っ越した後に聞いたんだけどね 」

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先輩の話によると、

その方は体育系の方で、川で泳いでた時に、

事故で亡くなられたそうです。

「 ご家族の方が、きちんと手続きとか、

されなかったんですかね、、、

でも、Wさんは、

亡くなった方の郵便物が届くのって、

気味悪くないんですか?

私だったら、絶対に無理ですわ 」

と、私がちょっと不気味そうに言うと、

W先輩は、また苦笑いしながら答えました。

「 ま、来たら、捨てりゃ良いしね 」

と、かるく笑っていました。

私は、

( あー、そんな性格だから、

今でも住んで居られるんだろうなぁ )

と、妙に納得したと言うか。

でも、やっぱり、

誰かに言いたかったんだろうな、と。

学生街なので、アパートは沢山ありますし、

私のアパートも、ボロアパートでしたから、

過去に何人もの方が、

住んでは出て行き、住んでは出て行き、

そのアパートの部屋は、そうして来たんだと思います。

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それから、しばらくして、

私は、煙草を吸おうと、アパートの窓を開けました。

今までは、全く気付かなかったのですが、

何となく気付いてしまいました。

窓の、左側の柱に ” 猪〇 ХХ ” と言う名前が、

ナイフかカッターで、

彫られているのを。

衝撃的だったので、

フルネームは覚えていますが。

きっと以前、私の部屋に住んでた人なんでしょう。

私は、それすらも不気味に感じました。

何で、自分の名前を彫るの? と。

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W先輩は、

特に、気にしてはいない感じでしたが、

実際に、亡くなられた方宛の郵便物が、

今でも届くのは、正直、気味悪かったんだと思います。

Concrete
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