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短編2
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ハズレの自動販売機

とある友人から聞いた話。

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彼は長距離トラックの運転手をしている。その仲間内で、有名な自動販売機があるらしい。

人家もまばらな田舎の国道などでは、休憩用に路側帯を広く取っている箇所が所々ある。そこには大抵自動販売機が設置されており、中にはそれが五、六台並んでいるのも珍しくはない。

そんな、とある田舎町のとある休憩所には、ハズレの自動販売機があるという。

五台並んだ自動販売機の、右から二台目が「そう」だという。見た目はなんの変哲もない自動販売機だ。

なにがハズレなのかといえば、選んだ商品がその通りに出てこないことが度々あるのだという。

真夏に温かいおしるこが、真冬にはキンキンに冷えたスポーツドリンクが出る。喉が渇いているのにトロリとしたコーンスープが出る。コーヒーが飲めない者にはコーヒーが、炭酸が飲めない者にはコーラが、甘いものが苦手な者にはいちごミルクが出るという。

これだけでも十分嫌がらせなのだが、当たり付きでもないのに、いらないジュースが一気に数本ゴロゴロ出てくることもあるそうだ。

そしてハズレの飲み物が出たときだけ、自動販売機が喋るという。妙に甲高くイントネーションが狂った機械独特の声で、

「ざんねん、ハッズレ〜! まったきってね〜〜‼︎」

そして、キャハハハッと、そこだけ生身の人間のように笑うらしい。

その自動販売機のことを知っていても知らなくても、初めてそれに遭遇した者は、その声を聞いて必ず固まってしまうという。

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「ただの機械の故障じゃないのか? そんな傍迷惑な自動販売機、さっさと販売元に連絡して撤去して貰えばいいじゃないか。それとも、連絡先も書いていないような古いやつなのか?」

私が呆れてそう言うと、友人は無精髭を撫でながら返した。

「大手メーカーので、ちゃんと連絡先も書いてるよ。中には実際に連絡した奴もいたらしい」

「それなのに、変わらないのか?」

「モノは変わったのかもしれんが、ハズレは相変わらずだ」

「じゃあ、そんなの使わなきゃいいじゃないか。一緒に並んでる他のやつは普通なんだろ?」

そこで友人はニヤリと笑った。

「実はな、あそこの自販機でハズレに当たると、ツキが回ってくるんだよ。競馬やパチンコで大勝ちしたり、宝くじで億を当てた奴もいたらしい。だかみんなあそこで買いたがるんだ。最近じゃ、アタリの自動販売機なんて呼ぶ奴もいるよ」

なんじゃそりゃ。

「お前もあるのか」

「あるぞ、一回だけな。その直後に行ったパチンコで、凄いことになった」

「それはそれは」

「でも、一回だけなんだよなぁ。何度もあそこは通るけど、狙っていくと普通の自動販売機なんだよ。中には、あれに一万円つぎ込んだけど、目当てのコーヒーしか出てこなかった奴もいるってよ。なんでかなぁ」

なんでもなにも、それが普通で当たり前だ。

私がそう言うと、友人は悔しそうに髭を撫でた。

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自分もその自販機で買いたいです😃
声聴いてみたい。
しかし、実際聴いたら、怖いんだろうなぁ😱

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