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短編2
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鳥居と奥の道

これは私が旅行先で見つけた鳥居のお話です。

私は旅行へ行ったら山道に入るんですよ、その地の自然に触れたりするのが好きですから、今回も例に漏れず駅前の観光センターで自転車を借りて参道に入ったんです。

暫く走ると開けた場所に出た、とても眺めが良い駐車場に着きました、そこに自転車を止めて町を背景にして写真を撮る、黄色の自転車の後ろに広がる町と山々、良い写真が撮れたと少し気を良くしてルンルン気分で山道を走っていたら、道の横に開けたスペースを見つけたんです、更にその奥に古ぼけた鳥居を見つけた。

そういう物を見つけたら入ってみたくなるのが人の性ですよね、その例に漏れず私は自転車をそのスペースに止めて鳥居に近付いてみた。

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…随分古いな。

と思わず言ってしまう位鳥居は年季が入った物だった、元々朱色だったであろう名残が僅かに残るばかり、何百年と前の物…と言う訳では無いだろうが少なくとも私より歳上なのは確かだった。

その鳥居の奥には普通ある筈の社や祠は無く、道と呼べるギリギリな位草花が生い茂った道が伸びていた。

早速その道に入る、草を足で掻き分けて進む、道自体は平坦で進みやすかったが如何せん草が邪魔だった。

もっと大掛かりな冒険を期待したがそんな事はなく、数分進んだ所で行き止まりになっていた。

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…なんだ、こんなもんか。

と思ったが、その行き止まりとなった小道に一輪の花が咲いてるのを見つけた。

と言っても物語に良くある不思議な花と言う訳では無い、何処にでも咲いてる名も知れぬ雑草、だけれど木々の隙間から降りてきた一筋の光に照らされていて綺麗だった、そこでその花の写真を数枚撮って戻る事にした。

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…‥記憶があるのは此処まで。

次に覚えてるのは自転車を止めた場所の広場で寝転がって空を見ていた所からだ、時刻は午後4時、入った時は12時立ったはずだったんだが寝てしまっていたのか。

速く戻らないとレンタサイクルの延滞が付いちゃうなぁとか考えながら、鳥居があった方を見ると…鳥居が無かった。正確には道はあるのだがその道には只立入禁止と書かれたフェンスとそれに虎色のロープが適当に括りつけられてるだけだった。

その道も覗いて見ると変で奥は急な坂になっていてとても人が準備も無しに入れる道では無かった。

カメラのメモリーを確認して見ると鳥居を撮ったはずの写真にはしっかりとフェンスとロープが写っていて、花の写真も無くなっていた。

夢だったのかな、もし夢じゃ無かったとしたらあの鳥居は一体何だったんだろう…。

今となっては知る術は無いんですけどね。

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