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短編2
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百鬼夜行

百鬼夜行ってのはとんでもない数の霊が押し寄せてくる事の例えらしいが、俺は正確な意味は知らない。正確な意味を知りたければ、そのうちもっともらしい顔した怪異の専門家とやらが現れて説明してくれるだろう。

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なんだ兄ちゃん。そんな切羽つまった顔して。あ?俺に話だ?え、近い内に死ぬ人間を知る方法が知りたい?んなことわかるわけねえだろ。

あーでもこんな話を知ってるな。とある日付の満月の夜、それも遅い時間にこの町にあるどっかの教会の入り口を一人で見てると、真っ黒な服をきた人が一人、また一人と集まってくるらしい。何人いるかは知らねえが、その行列は夜が明けるまでつづくんだと。そこに拝礼にきた奴は、その年に亡くなる予定の人間だとさ。つまり、顔を見ることができりゃ知り合いが今年に死ぬか死なないかわかるんだな。うん。

そんな光景を見たいやつの考えなんか俺にはわからんが。もしあんたがそうなら一つ忠告だ。絶対に奴等には気付かれるな。絶対に音を立てるな。そうじゃなきゃあんたは恐ろしい目に会う。どんなめに合うかって?俺は体験者じゃねえからわかんねえよ。

人から聞いた話だ。嘘か本当かも知らねえ

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マスター、酒をくれ。暇でしょうがねえや。

なんだあんた。そんなこの世の終わりでもみたような顔して。そんな顔してたらうまい酒も不味くなる。話してみろよ。え、恐ろしい光景を見た‥?

ハッハッハ!こいつは傑作だ。まさかまさか。あれからそんなに時間が流れたのか。あー大丈夫だ兄ちゃん。そいつは約束を果たしただけだ。この近くに今は誰もいない古い城があるだろ。お前がみたのはあの城の主だ。あいつは別段悪い奴でも、かといって良い奴でもなかったんだけどよ。一つだけ間違っちまったんだ。そいつの話を聞かせようか。いや、大した話じゃねえんだがな。

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あー暇だ。なんか楽しいことねえかなあ。

あ?なんだガキ?ここはお前みたいな奴が来るところじゃねえんだが。おいマスター。こんな店にガキ入れたら警察がうるさいぞ。‥なに?俺に相談事があるって?

どこで俺の噂を聞いたか知らんが俺みたいな奴には関わらない方がいいぞ。なに?夜遅くに家の中に幽霊が入ってくる?しかも毎日?

おいガキ、住所教えろ。なんだ?個人情報?ガタガタ言うんじゃねえよ。確かな、記憶がただしけりゃその辺に「道」ってのがあんだよ。放っておくと少しばかり面倒なんだ。色々とな。

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マスター。これ飲んだら俺は帰る事にするわ。おっと。最後の客‥ってあんたか。あーこの生活も終わりかぁ。まあ仕方ねえな。しばらく前から俺の噂が広まっていたらしいから。まあ落ち着けってそんな怒んなよ。随分と長いこと俺を探したんだろ?今さら逃げも隠れもしねえよ。まだ酒が残ってんだ。この一杯くらい飲ませてくれよ。その間に俺の話をして良いか?そんなに長い話じゃねえから。

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