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この話は、大学時代の話で、
周りのみんなには、大笑いされた話です。
( まぁ、私がそんなキャラだと言うのもありまして、、、)
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ある夜、美術棟 ( 私は美術科でしたので )
その美術棟の、みんなが毎晩集まってる彫塑室へ、
向かおうとしていました。
なんせ、1人暮らしは寂しいですから。
その通り道に、図書館があるんですが、
図書館は高い建物で、
その屋上から、
飛び出り自殺した人がいると聞いていて、その自殺者が落ちた場所には、
未だに草が生えない、と言う変な噂がありました。
( 大学と言えば、建物も高く、
実際に、私の教育棟とは、かなり離れている、
工学部の建物では、
周りに高い場所が無い為、
朝、警察が来ていて、何かに、、、
まぁ、絶対に、亡くなった人にビニールシートを被せてあるのを見るのが、当たり前だったそうです )
そんな事も相まって、
非常に、通りたくない道でした。
とても近道なんですが。
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それで、私は運動場に入れる、
小さな鉄格子のドアから、運動場に沿って学校に向かう事にしました。
辺りは真っ暗です。
正直、怖い。
昼間の光景がウソみたいです。
怖いながらも、歌なんか歌いながら、ごまかしつつ、歩いていました。
( 彫塑室に行けば、みんないるし!)
そう思いながら暫く歩いていると、
後ろから、誰かが歩いてきます。
私は ( あ!他にも人がいるんだ )と、
一瞬、ホッとしました。
かなりのハイヒールの音でした。
コツ、コツ、コツ、、、
( 大学に用事があるんだろうけど、、、
教授の部屋のドアに、レポートの提出?
[ 教授の部屋のドアにはポストがあり、
夜中でも、レポートを出せる様にしてあります。
提出期限もありますので ]
でも、こんな時間にハイヒール履くか?
どんな、姉ちゃんだよ!?)
軽く苛立ちを覚えながら、
しかし、ハイヒールはついてきます。
何だか私は気味悪くなり、早足になりました。
すると、ハイヒールも、それについてきます。
( えっ?何?
もしかして、あの人も夜道が怖くて、
私について来てんの、かな、、、?
いやいや、そんな事、有り得んでしょ )
そんな自問自答をしながらも、
しかし、
何かが変です。
私には、それ以上は無理でした。
急に、走りました。
ハイヒールも走ります。
( ヤバい、、、)
そう思った時に、車が何台か駐車してある場所がありました。
私は、すぐさま車の隅に隠れました。
息を殺していると、ハイヒールの音が聞こえます。
コツ、コツ、コツ、、、
急に、
コツコツコツコツ、コツコツコツコツ、と、苛立った様な感じで、車の周りを回り
始めました。
私は、必死で隠れていました。
私が、そう言った類の話を知り過ぎていたからかも
知れませんが、
だけど、その時に、何故だか思い出したのが、
口裂け女でした。
" ハイヒールの音を鳴らしながら、
後ろからついてくる、、、
そして、振り返ってしまった人に、
『 わたし、キレイ、、、?』と、聞く、、、
その女はマスクをしており、
こっちが慌てて『キ、キレイ、、、』と答えると、
『これでもぉ、、、?』
と、マスクを外し、
口が耳まで裂けてる女が、ニヤニヤしてる、
『 整形手術で、
キレイになろうと思ったのに、
口が裂けるような顔になってしまってしまった、
その整形手術の先生が、ポマードをつけており、
今でも、口裂け女は、ポマードの匂いが怖い 』と "
そんな都市伝説的な、
話しか知りませんでしたから、
私は、他に縋るものもなく、
(ポマード!!ポマード!!)と、
かなりな勢いで、心の中で叫びました。
こんな事、有り得ない、、、
と思いながらも。
すると、ハイヒールの音は、コツコツ彷徨いてましたが、
大きな音で、
”コツッ!!” とハイヒールを地面にぶつける音がし、
「チッ!」と舌打ちをしたかと思うと、
コツ、コツ、コツ、、、と音は、
段々、遠くに離れて行きました。
私は怖くて、暫く車の陰から出られませんでしたが、
ある瞬間に、ダッシュして彫塑室に向かいました。
そして、ドアを開けた瞬間に、
「口裂け女に追いかけられた!!」
と、涙目で言いました。
そこにいた、友達や先輩、後輩、5、6人は、
一瞬、呆気にとられましたが、
「えっ?
アハハハ 、、、!!
やっぱ、
K (私の事です)の言う事、いつも面白いわ!!」
私が「ほんとだって!!」って、
必死に、さっき起きた状況を説明して、、、
しかし、話せば話すほど、笑いが広がって行くので、
何だか、(もぅ、良いや、、、)って、
気持ちになりました。
まぁ、その後は普通にみんなと、楽しんでましたし。
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ただ、当時は、みんなに笑われましたが、
今でも、あの時の恐怖と言うか、衝撃は、残っています。
それは事実です。
都市伝説的な存在である口裂け女には、色んな説がありますし、
私には、理解し難い範囲なのでしょうか。
私をあんなに追いかけて来たのは、一体、何なんでしょう?
得体の知れない者?物?に、追いかけられたのでしょうか?
ただ、私は、その後、
彫塑室に行く時は、図書館の前を通る事にしました。
作者退会会員