中編6
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天狗を見に行く

こんばんは。足立です。

ただ今リアルタイムでコードを書き終わりました。

倒れるかと思いました。

ではでは、思い出したので投稿します。

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今回する話は、俺が高校の時1年半ほどお世話になったカラオケバイトの店長との話だ。

不思議な縁はあるもので、店長もかなり霊感というものがあるらしく俺以上に色々あってきたそうな。

店長は30代前半だが、若禿だった。

そのため、あだ名は若様。

色々と底が知れない不思議な人だ。

俺のバイト先は自転車で北千住方面に走り20分ぐらいの近場だ。

店長はとても気さくで、その頃はお店が儲かっていたため、

良く他の人と旅行にも連れ行ってもらったりもしていた。

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このお店が儲かっていたのは実は店長の力によるもので、

親戚の人にお店の店長を半ば無理やりやらされていたらしいが、

店長が最初に来た時、元々建物を建てるべきではないほど禍々しい土地だったしい。

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というわけでやっぱりカラオケのバイト中は色々不思議な事が起きた。

特に朝のお店のオープンに入った時は、かなり怖い経験をした事がある。この時も店長に助けてもらったが、

どうやらカラオケ屋の作りにも問題があるらしい。

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カラオケ屋に一度幽霊などが入ると構造上抜けにくくなって、そういうものが溜まってしまうらしい。

その為、心霊番組とかでもカラオケ屋がよく紹介されていのはそういう背景があるからだそうだ。

ましてや、バイト先のお店は元々ヤバイ土地の上に立っていた為、たちが悪い奴らが多いとの事。

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ある日、怖い思いをしながらもバイトを続けていた俺だが店長からあるお誘いを頂いた。

それは、

今週の土曜、天狗のいるお寺に行くんだが付いて来るかい?

というものだった。

俺はオカルトが好きなので二つ返事で付いていくことにした。

店長が言うには、北千住から電車などを乗り継ぎ3時間半ほど。

その神社には朝の4時には着くようにするらしい。

なので、お寺の最寄り駅に最終電車で行き、そこから歩く事になった。

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この時の季節はまだまだ秋に入りかけた時期で、昼間は心地いいが夜になるとそこそこ冷えた。

そのため、俺は厚着をし、若様と話しながら電車に揺られる。

ちょうど、12時くらいにお寺の最寄り駅に着き、遅くにやっていたお店でお腹を満たしつつ時間を潰し、1時半にお寺に向かい出発した。

店長によると、早すぎてもダメで、遅すぎてもダメらしい

ちょうど3時から4時半ごろがベストという事。

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また、誘われたその日に色々と注意を受けていた。

まずほとんどの人はある境に入った途端、気分を悪くするという。

しかし帰りの電車の最中では治るだろうとの事。

次に、一人では行かない約束で今回は連れて行くというものであった。

この他にも諸々注意を受け、意外と天狗に会うのは厳しいんだなと馬鹿みたいに考えていた。

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そんな注意を思い出しながら、夜の道を店長の後について歩いていく。

外灯はまばらで周りに家は数軒しかなく、田んぼや畑がある道を一定の速さでついて行った。

歩いてる最中、子供の笑い声や姿が畑の中に視野の死角からチラッと見えたが、店長が気にしなくていい。と言っていたので黙々と後について行く事にした。

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駅から随分歩き、ちょうど4時頃にお寺に到着。

いつもは優しい店長が、駅から歩き始めると徐々にピリピリと気を張っているように感じ、目的のお寺が見えてからも、

俺に着いてこい。

と言うだけだった。

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俺は今でも朝方の厳かなお寺の空気をはっきりと覚えている。

空は日の出前でまだまだ暗いが濃い紫色が徐々に空に染み出していた。

神社は木々に包まれている様で、石段は木々を分けながら本堂に伸びている様に見えた。

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石段を登り、本堂を通り過ぎ整理されていない道を店長のライトを頼りに歩いていく。

途中、お経の様なものや鐘の様な音が聞こえ、非日常的な感覚が体を刺激した。

俺がそんな事を考えている時、どうやら目的の場所に着いたらしい。

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店長が着いたぞ、と言った場所の目の前には

大きな神木の様な木があり、俺の腰ぐらいまである石柱がその気を囲む様に立っていた。

一応竹で作られた柵の様なものが周りにしており入られない様になっていた。

どの石柱も太く、俺の腰ぐらいまである先が尖っていているそれらは人工物のように見える。

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俺はそのオブジェクトをもう少し先で見ようと一歩足を踏み出した瞬間、本当に気分が悪くなったのだ。

注意を思い出しどこが境になっているんだろうと足元を見るが特に境になっているわけでもなく、倒れそうなほど気持ち悪くなってしまった。

しかし、不思議と吐きそうな不快感ではなく、恐怖などで心拍数が上がってしまった時の様な不快感が俺を襲った。

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店長はそんな俺を見て、

無理せずこの場に座っていなさい。

とあのピリピリまとっていた空気はどこに行ったんだと言いたくなる様な優しさを醸し出していた。

俺が座っていると、店長は特にする事もなく、ただ目を閉じ息を深く吸い少し集中している様に見えた。

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どれほど、時間が経っただろうか。気持ち悪さが一向に引かない俺はとても長い時間に感じたが、店長はいきなり俺の方を見て、

よし、帰ろう。

と言ってきた。俺は直ぐに賛成。

正直、天狗のての字も見れなかったし、

ただ体調を崩しただけという散々な結果で終わった。

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多分、その目的地を出発したのが4時40分頃だったと思う。

来た道をライトを頼りに引き返し、時々聞こえる音には気持ち悪さで特に何も感じなくなっていた。

5時頃にはお寺の外に出て、そこから歩いて駅に向かう事に。

駅まで歩いて1時間半ほどでこの時はマジでぶっ倒れるかと思いました。

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駅に着くころには太陽が昇り、電車はまだ来ていなかったがお寺の中にいた頃よりは気分もマシになっていた。

電車は7時頃駅に到着し、店長とたわいもない話をしながら電車に揺られていた。

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駅を3つほど過ぎた頃にはなんと気分も良くなり快調と言えるまで回復。

この時はほんとなびっくりし、

店長は実は妖の類なのではないかと思うほどであった。その後、俺はお店のオープンの手伝いにまで出て、昼頃には家に帰る事になった。

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この時、店長に色々と話を聞くことができた。

まず、店長は月に一度、あのお寺に赴くらしい。いつも一人で深夜から朝方の間に行くようだ。

また、あそこには本当に天狗がいて、お寺に入った時から見られているとの事。俺は何も感じなかったが店長は何か感じているのかも知れない。

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そして、気分を悪くしたのは天狗の波長によるもの。また、穢れている人間や霊感があまりない人に起こるらしい。

そして、境というのが天狗のいる世界と人間界との境目であり、その境界は人によってまちまちとの事が、難しい事を言っていてとてもすぐに理解出来る様な話ではなかった。

店長がここに行くのは気の浄化の様で、ここに行くと全てをリセットできるらしく、新しいもう一人の自分がうちから外に張り付くらしい。

俺を連れて行ったのは、よくバイト中に霊障が起きるからだそうだ。

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確かに俺は見える分他のバイトの人より、色々恐怖体験をしてきた。

どうやらあまりにも別の波長が俺に合いすぎて、バイト中の俺の周りにはいつも色々な波長が出ていたらしい。

今回俺が気分を悪くしたのはそれらが影響したからだと話してくれた。

また、しばらくは天狗の力で俺には周りから霊的な力は受けないとの事。

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これでバリバリこのカラオケ屋で働けるな。と若様は笑っていた。

俺はこんなやばいとこ直ぐ辞めてやる、とこの時心に決めた。               終わり

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小話だが、幽霊を見るのに一番簡単な方法は死角であると俺は思っている。

死角というのはある境から見えなくなる部分のことで霊界と繋がっているではと言われたりもしている。

現に俺は小さい頃よく、この死角に霊が映っていた。

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一番簡単に見るには夜中の丑満時に部屋を暗くし、外の月明かりが部屋に入るようにする。

その後、部屋全体をぼーと不感で見るようにし、視野の死角もぼーと眺める。

そうすれば次第に何か、蠢くものが捉えられるようになり、はっきりピントを合わせられるようになると思う。

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これはあくまで俺が小さい時に無意識でやっていたもので、今はやらなくても見えてしまうのでやっていない。

この方法で何が起きても責任を負いかねるので、興味本位でやってはいけない。

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