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短編2
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監視者

shake

ドンドンドンドンドン

扉を叩く音で目が覚めた。

誰だよ日曜の朝っぱらから…

「Mさん!いるんでしょ??」

ドンドンドンドン

お隣さんだ。

M「はい。どうされましたか。」

「あんたさぁ。夜中にうるさいんだよ。壁ガリガリガリガリ。爪で引っ掻いてんだろ。ほら、爪。ボロボロじゃん。」

自分の爪を見た。たしかにボロボロだ。

でもこれは、昔から爪を噛む癖があるからであって、決して壁を引っ掻いていたわけではない。それに、私が帰ってきたのはついさっきだ。夜勤明けなのだから。

とにかくその旨をお隣さんに伝えた。

「そんなわけねえだろ。夜中2時くらいから朝方までずーーっと鳴ってて寝れなかったんだから!!もうやめてくれよ!」

軽く舌打ちをして、お隣さんはそそくさと部屋に戻っていった。

寝ぼけていた私は、たいして反論もできなかったことにイライラし始めた。

壁?んなもん誰が好んで引っ掻くかよ。

一応、お隣さんちに面している壁を見てみた。傷一つない綺麗な白の壁。思えば、ここに越してきてから我ながら綺麗に使えているなと感心するほどに。爪痕なんて微塵もない。だとしたらお隣さんが聞いた爪の音はなんだったんだろう。

深くは考えずに、睡眠の続きを取ることにした。

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翌日、朝から外が騒がしかった。

玄関先でなにやらドタバタと人の出入りする音がする。

窓から外を見ると、パトカーと救急車がアパートの前に停まっていた。

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ピンポーン。

1人の警官が扉の前に立っている。

M「はい。どうなさいましたか?」

「あ、Mさんでしょうか。〇〇県警の者ですが、昨晩2時頃にお隣の方が部屋で殺害されていまして、少しお話をお聞きしたいのですが…」

えっ。殺害!?お隣さんが!?

そんな…音も声も何も聞こえなかったぞ!?

M「わ、分かりました。」

私は、昨日異音がするとお隣さんが訪ねて来たことや、昨晩は静かだったことなど答えられることは全て話した。すると警官が、

「犯人は捕まってますのでご安心を。通報者も犯人でしたので。頭いっちゃってるんですよ。壁の中に隠れてたみたいなんです。いつからいたのかは分かりませんが。目は血走ってるし、風呂入ってないのか身体中臭くて、爪なんて剥がれ落ちて、指先ボロボロでしたから」

警官が去った後、ふと壁が気になった。

部屋中の壁をくまなく見ていた時、風呂場の壁に1ミリ大の穴が空いていることに気づいた。穴を除いても暗いだけで何も見えない。同じような穴がトイレの壁、そしてベッドを置いている部屋の壁にもあった。

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これはあくまで私の想像だが

壁の中にいた【ヤツ】は、壁の中を自由自在に這いずり回り、私たち、いや、このアパート全体の住民を監視していたのではないだろうか。

風呂やトイレ、そして寝室を覗き、息を荒げていた【ヤツ】の存在に気づいたのが私だったらと思うと、今でも恐ろしい。

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