中編5
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街灯の男

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1年程、前の話だろうか。

近所の親戚の家に、

母から用事を頼まれて行った時の話。

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私は、親戚のおばちゃんが、

あまり、好きでは無く、、

( はっきり言おう、キライだ。)

用事を済ませて、

さっさと帰ろうとした。

その時、

「もう、夕方やし、

うちでお夕飯、食べていって!」

( でた。

あぁー、だからイヤなんやよなぁー。)

丁重にお断りしたものの、

私の手には負えない。

「美味しいですねー、この煮物!」

私は煮物がキライだ。

「そうやろー?

おばちゃんの得意料理なんや!

どんどん、食べてな?」

その後は、コーヒーやら何やら出されて、

結局、帰るのが9時過ぎになった。

私も、そろそろ限界に達していたので、

「もう、こんな時間ですし、失礼します。」

「気を付けてな。また、おいでや?」

そんな言葉は、もう耳には入ってこず、

私は、

苦痛から逃れるかの様に、親戚の家を後にした。

(おかん、

自分も、おばちゃんの事をキライやからって、

私に用事を、頼まんといて欲しいわ。

次からは、絶対に断る!断固として!)

そう思い、

プンプンしながら、家に向かって帰った。

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近所と言う事もあり、

私は歩いて行ったのだか、辺りはすっかり暗くなっていて、街灯の灯りだけが、

やけに目に付いた。

すると、

道の先の街灯の下に、人が歩いていた。

なんの不思議も無い事だ。

私が、そのまま歩いていると、

おかしな事に気付いた。

まだ、その人は街灯の下を歩いている。

明らかに、前へ進んでいない。

ずっと街灯の下で歩いている。

(、、あれっ?

まだ、おるわ。

足踏みしとる様に見えるんやけど、、。)

近付くにつれて、

その人の容姿が、分かってくる。

背はあまり高くないが、

中肉中背の男性。髪は、黒くて短い。

グレーのダボッとしたズボンに、

黄土色に近い茶色の上着。

(しかし、、

あいつは何故、足踏みを、、、?)

かるく怖かったので、

私はその道を左に曲がり、別の道から帰る事にした。

、、あれっ?、、、

道を曲がった先の街灯の下に、さっきと同じ男がいる。

歩いているかの様に見えるが、

しかし進まず、また足踏み状態。

( これは、、、)

私は、男がいる街灯の道を、

途中で右に曲がった。

、、、。

その道の先の街灯にも、男がいる。

やはり、歩いているのに進んでいない。

これは、ヤバいと思った。

( でも、アイツは今、あそこにいるし、

それなら、、、)

と、道を引き返した。

、、無駄だった、、、。

やはり、街灯の下にはあの男がいる。

私は、かなりの恐怖と、

それに加えて、

何故に携帯を持って来なかったのか、

私の大馬鹿野郎!と、かなり苛立ち、

そして、焦っていた。

こんな時に限って、他の通行人はいない。

( どうしたら良いんやろ、、、)

私は、自慢の頭の良さ (ウソ) を駆使して、

街灯を避けながら、どうにか家に帰れないかと考えた。

とにかく、

街灯に、辿り着かなければ良いんだから、、、

考える。

考える。

その間も、前の街灯には男が歩いている。

暫く考え、そうして私は、道順を決めた。

まず、ここを右に行って、そしたら街灯があるから、その直前を左に。

そして、、、

最後は、塀を登らなければならないと言う、

かなり過酷なプランだったが、

これしか家に辿り着く方法が無い。

もちろん、街灯の正確な位置なんて把握してない。

だけど仕方無いのだ。

曖昧な記憶を頼るしか、、、。

私は、プラン通りに進む。

( よし、よし、)

上手く行っていた。

順調に進んでいるはずだった。

しかし、

ある角を曲がった所で、私は愕然とした。

私が知らない内に、

そこには、新しい街灯が立っていた。

( 、、、えっ?

いつの間に、、できたん、、?)

勿論、男は歩いている。

私は、先に行く事も、引き返す事も出来ずにいた。

つーか、何なん!?この男!!

段々と腹が立って来た。

その時に、ふと、

( 私が、その男の横を、

普通に歩いて行ったらどうなるんやろ?)

変な考えが生まれた。

極限状態の私は、ゆっくりと街灯に近付いた。

そうして、

男の背中がはっきりと分かる所まで来た時に、

その男は、歩きながら、

ゆっくりと、こちらを振り返ろうとした。

( 見ちゃいけないっ!)

何故だか分からないが、

私はそう感じて、ダッシュで戻った。

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私に残されている道は、2つ。

1つは、よその民家に侵入しつつ家に辿り着くか、

もう1つは、、、絶対にしたくない、

男の横を、ダッシュで走り抜けるか、だ。

しかし、ヤツも歩いており、

それがいつ、ダッシュに変わるかも分からない。

私は、不法侵入者を選んだ。

命には変えられない。

明らかに、あの男はおかしい。

この世の者なのか、、、。

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そうして、私は民家から民家へと、

街灯がある道路側は通らずに、忍びの者の様に、渡り歩いた。

やっと家が見えた。

走って家に入ろうとした、瞬間、、、

、、あぁ、、、そうなんや、、、。

絶望が生まれた。

家の玄関にある、玄関灯の下に、

アイツは居た。

我が家には、他に出入り出来る所は無い。

もう、パニックになり、

近所迷惑も考えず、

電気の明かりが見える部屋の窓に向かって、

大声で叫んだ。

「おかーんっ!!

聞こえるけーっ!?

玄関のとこの灯り、消してーっ!

ねぇー!!

玄関の灯り、消してーっ!!

早くーっ!!

( あっ、、、ヤバい、、、)

おかーんっ!!

玄関から、出て来んといてや!!

絶対に、灯り消すまで、外に出てきたら

ダメや!!

分かったかーっ!?

とにかく、

今すぐに消してーっ!!

絶対に、外に出て来んといてーっ!!」

その間も、

ソイツはうちの玄関の前で、歩いている。

( ヤバい、、、ヤバい、、、)

その瞬間、

フッと玄関灯が消えた。

そして、おかんが出てきた。

「あんた!何があったんや!?

こんな夜に大声出して!どしたん?」

私は泣いていた。

泣きながら、おかんに抱きついた。

おかんは、それ以上何も言わず、私を連れて家に入った。

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翌日、おかんに昨晩の話をしてみた。

おかんは、あまり話さなかった。

( 後に、何故あの時に、

あまり話さなかったのかと、

理由を聞いてみたら、

おかんが逆に、かなり怖くなってしまったらしく、恐怖で喋れなかったらしい。

ちなみに、おかんは、

そう言った類が苦手である。)

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その後、私は、夜道が怖くなってしまい、

暫くは、夜の外出が出来なかった。

とりあえず今は、大丈夫だが。

しかし、

あの男は、何をしたかったんだろうか?

そして、一体、何者だったのか、、、。

あの時に、男の顔を見ていたら、どうなっていたのだろう?

何か、とんでもない事が起きたのだろうか?

考えればキリが無く、

私も、あれからはあの男と会っていないので、

どうでも良いや、と片付けてみる。

しかし少しだけ、今でも街灯が、苦手だ。

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