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タクシードライバーと交通事故 後編

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タクシードライバーと交通事故 後編

さて・・・轢き逃げの件に関しては落着はした

しかし・・・「根本的なことは全然解決していない」とオヤジは私に言ってきた

というのもCさんが交通事故を起こしたのはCさん自身ではないということだ

何言ってるんだろうと思った

死亡した女性に憑いていた霊がCさんを引き寄せ轢き殺した

とてもじゃないが私はオヤジからそのことを聞かされて正直「嘘だろ」と思った

オヤジ曰く「およそ1割ほどは霊の仕業で交通事故を起こしてる」と言い出してきた

例えば、直線の見通しのいい道路でなぜか事故を起こす場所とか

よく車が同じ民家に突っ込む事故とか

これは霊が引き寄せて事故を起こしてるんだという

今回のCさんの場合も同じで死亡した女性に憑いていた霊がCさんを引き寄せてその女性を轢き殺すように仕向けたのだ

そういう悪質な霊は宿主がいなくなったら新たな宿主を探すのだという

それで、一番危ないのはCさん

精神的に弱っている

Cさんの心の中に隙があると憑りつかれるとオヤジはすごく心配していた

一応、Cさんと奥さんには薬とお守りを渡した

しかし、この薬とお守りは私たち一族用の為、果たして効能があるかどうかわからないという

オヤジはその点をCさんに伝えた

Cさんも隙を作らないようにはするとは言っていたけれど・・・・

早めにお祓いをしないといけない

なかなか、和尚様のスケジュールが忙しくてお祓いができない

いっそ・・・Cさん夫婦をお寺へ連れて行こう

そのほうがいいと思いオヤジに話してみた

オヤジも賛成はしたが・・・ひとつ・・注意点が・・・車の移動は何かヤバイという気がするとオヤジは落ち着かない態度で話してきた

もし、車で行くのなら夜ではなく朝から出発したほうがいいかも

するとメンバーが非常に限られてくる

今回は楓を連れて行くのはやめようということになった

楓を連れて行くとなると必ず3人娘になる

車の台数を1台で済ませたい

お寺の宿泊客のキャンセルを待っているのだがなかなかキャンセルがない

もうお寺で泊まるのではなくホテルで泊まることにした

当日・・・朝早く起きて準備をしてCさん夫婦の実家まで迎えに行った

高速を入る前からヒヤリという出来事が3回もあった

こんなことははじめてだ

高速に入りしばらく走っていると後ろからピタッとなんとなく付いてくる黒い車

黒い車・・・いったい何だろう?

何か重要なことがあり和尚様のお寺へ行くときに必ずなぜか黒い車が現れる

ピタッと付いてくるだけで何かをするでもなし

ナンバープレートを確認しメモして運輸局へ調べてもらってもその番号は該当がない

つまり偽造ナンバープレートなのだ

だから黒い車の正体が全然わからない

慎重に運転をしながらお寺へ着いた

本堂へ行き和尚様が宿泊客に説法をしてる最中だった

その説法も終わりいつもの仏間で今までの経緯を和尚様に伝えた

段々と和尚様の顔が不安な顔になっていくのがわかった

「あ・・・なるほど・・・オヤジさんの言うとおりかもしれんですわい

今日はとりあえず・・え?ホテルを予約したんですか・・・そこのホテルをキャンセルしていつもの部屋が空いてるんでそこで泊ればいいですわい

え?確かに今日の宿泊客で満室ですわい

あ・・家内が満室と言ってしまったんですかの・・・」

「そうなんです・・・てっきりいつもの仏間も満室かと思っていました」

「ここはお客さんには絶対に貸しませんので何かあったらすぐにわしゃのところへ連絡をくださればいいですわい」

「さて・・・お祓いのほうは明日にしましょう・・・準備をしますわい」

和尚さまはそう言って部屋から出て行った

お昼過ぎに到着したので宿泊客の声がよく響いていた

本堂ではお寺に用事がある人が次から次へと仏さまに頭を下げていた

とりあえずは休憩

Cさん夫婦を隣の部屋へ案内をしここで泊る旨を話しをした

私も疲れたので少し横になった

疲れが出たのか寝てしまった

「おい、起きろよ」とオヤジの声というか空耳?

3時間ほど寝ていたようだ

仏間で夕食をとった

「オヤジ殿たち、道中で何か異変とかありましたかのぉ?」

オヤジは高速に入ってから一語もしゃべらくなった

代わりに私が答えた

私は高速へ入る前に3回ほど交通事故寸前(本当にヒヤリ・・・ほんの1秒ずれてたら間違いなく車と衝突と2回目の時は人を轢くところだった)まで起きたこと

高速に入り黒い車がついてきたこと

などを話をした

「そうですかいのぉ・・・これは・・・予断できませんわい・・・」と和尚様は顔を下に向けた

相も変わらずオヤジはダンマリ

「オヤジ殿・・・夕食時におさ(お酒)・・」と和尚様が言う前に

「和尚様!!」と強い口調で止めた

和尚様はびっくりして私のほうを見た

私は目で合図をした

和尚様も「あぁ・・」という感じの顔になっていた

オヤジが酒を飲まないときはすごく集中してる証拠

私も幼少のときにオヤジが酒を飲まないことについついオヤジに話しかけたことがあった

怒られるかと思っていたが口がニヤリとした瞬間に私はいつものオヤジではないと恐怖感を感じた

妹のF子もオヤジのニヤリの瞬間を見ていて大泣きをしたくらいだ

ちょっと言葉では伝わりにくいかもしれないけれど能面の笑ってるような笑っていないような口を開けたお面があるのだけれどあれに非常によく似ていた

今でも思い出すと鳥肌が立つ

今、オヤジはその状態なのだ

私は直感的に今回の件は相当ヤバイと感じた

とりあえずオヤジを仏間に残し隣の部屋へ移動した

和尚様は初めて見るオヤジの様子にびっくりしていた

3時間ほど過ぎた

「おい!!くそ坊主!!F!!」とオヤジのでかい声

Cさん夫婦と雑談していた

オヤジのでかい声で私は体が一瞬だが1CMは体が浮いた

和尚様と私は仏間へ行った

「あのな・・霊界通信で分かったことがある」

(え?・・・霊界通信?なんだそりゃ?)

「何が?」と私はオヤジの顔を見た

「大体のことはわかった・・・明日朝早くに戻るぞ」

「ええ??お祓いはどうするんだよ?」

「お祓いはすべてのことがわかってからだ、まずはCさんの家へ行って確かめたいことがある、後でCさんから家の鍵を借りてこい、F」

「まぁ・・・わかった・・・」と半分空返事

わたしはCさんに事情を話し鍵を借りた

オヤジは和尚様に何やら話をしていた

Cさん夫婦が仏間に呼ばれた

「Cさん方には2つ約束を守ってほしいです

1つ目は絶対にお寺の外へ出ないこととお寺にある墓場にはいかないこと

2つ目は夜はトイレ以外、仏間に絶対にいること

Cさん夫婦は少し不思議そうに頷いた

翌朝、私とオヤジは早急にCさんの家へ向かった

またもやオヤジのダンマリ

Cさん宅に近づくにつれてオヤジの顔が険しくなってきた

「もうそろそろCさん宅へ着くよ」とオヤジに言うと

「おう!!さて・・・」と言いながら前方を見ていた

Cさん宅に着いた

「オヤジ、開けるぞ」

「おう!!」

わたしはゆっくりとドアを開けた

ギィーー

部屋の中はきれいに整理整頓されていた

「やはりな・・・10体か・・・おい!!せがれ!!1体がおらんぞ」とオヤジのでかい声

「え?・・・何が足りない?」

「あのな・・この部屋には10体の霊がいたはずなんだ・・・おかしい・・・1体どこへいった・・・」

私はオヤジが何を言っているのがよくわからなかった

「もしや・・・おい!!くそ坊主に電話しろ」

「え・・・」と私は和尚様に電話をした

「おい!!くそ坊主!!Cさん夫婦は今どこにいる?」

「オヤジ殿・・・どうかしたんですかのぉ?・・・」

「理由は後で話す、Cさん夫婦を急いで仏間に連れてこい」

「はい!!」

「急いでまた寺へ戻るぞ」

とオヤジの顔が真顔になっていた

「オヤジ・・・ここにいる9体はどうするんだよ?」

「こいつらか・・・雑魚だから適当に塩をまいておけ」

「ええ??・・・雑魚って・・・」と言いながら言われた通り部屋中に塩をばらまいた

「ばらまいたよ」

「おお、OKOK・・・こいつらは単に引き寄せられただけだ・・・時間が経てば自然に消えるよ・・・それよりもこいつらを引き寄せた1体がCさんか奥さんか・・・どちらかに憑いてるぜ・・それと亡くなった女の子に憑いていた霊も恐らくCさんか奥さんかどちらかに憑いてる

こいつらは本当に性質が悪い・・・女子に憑いていたものはあれは異界の化け物だ

それと9体をまとめていた霊はあれも似たようなものだがどちらかといえば死神に近い

死神なら俺には無理だぜ・・・どちらにしろ・・・寺へ戻ろう」とオヤジの顔には焦りが漂っていた

「せがれ、楓ちゃんを迎えに行くぞ、どうしても楓ちゃんの力を借りないと無理かもしれん」

「おいおい・・今、楓は学校にいるぞ」

「「親の都合で」な感じで理由つけりゃいい」

「まぁ・・確かに・・・学校側も拒否はできん・・・わかったよ」

学校へ連絡をして楓を迎えに行った

「パパ!!!どうしたの?何かあったの?」とびっくりした顔で私に手を振った

「詳しいことは車の中でな」

「うん!!」

「ああ!!じっちゃ!!」

「楓ちゃん、すまん、じぃじぃに力を貸してくれ」

「もちろんだよ、じっちゃ!和尚様のところへ早く行こう」

「え?どうして和尚様のところへ行くってわかった?」と私は不思議そうに楓に聞いてみた

「うん・・・パパたちが迎えに来る前にね、おハルちゃんからね、「大きなお兄ちゃんたちが楓ちゃんを迎えに来るからね」と頭の中で響いた、じっちゃ、パパ、おハル・おアキちゃんが力を貸してくれるよ、もう安心だよ」とニコニコ顔で私やオヤジを見ていた

オヤジの顔が少し安堵の顔になった

お寺へ着きすぐに仏間へ向かった

Cさんの奥さんの容態が急に悪くなったらしく寝ていた

「急に何かをわめいて倒れてしまいましたわい・・・やはり・・・とり憑いていましたわい

 今から除霊をしますわい」

「その前にだ、くそ坊主!相手は2体だぞ

それも異界の化け物と死神に近い化け物だ

時間をかけていたら奥さんはあの世行きだ

かといってわしらでは恐らく無理だ

天界の力を借りないと無理かもな」

「な!なんと、2体も・・・それももはや普通の化け物じゃないですわい

わしゃとりあえずはお経を唱えますわい

オヤジ殿は2体の説教と奥さんからの追い出しをお願いしますわい

楓ちゃんはオヤジ殿の手を握ってくださればいいですわい」

楓は和尚様の言うとおりにオヤジの手を強く握った

「じいちゃ!!!あたしの力を貸すからね!安心して」

「おうよ!楓ちゃんの力は神や仏の力と同じに強い

天界のおハル・おアキちゃんたちも力を貸してくれる

必ず奥さんを助ける」とオヤジはでかい声で天に向かって吠えた

すざましい叫び声、怒声、奇声

化け物はこの世の言葉じゃない言葉を吐き

その度に奥さんの体はねじれ

背骨がぐにゃと曲がったように見えた

奥さんの声らしき、悲鳴

和尚様は黙々とお経をあげ、オヤジはブツブツと神の言葉を発していた

一進一退の攻防

Cさんはあまりの光景に嘔吐していた

線香の匂いと死臭の匂い

何とも言えない匂いが部屋中に広がった

奥さんは何度ものたうちして悲痛な叫び声を上げていた

その度にオヤジは奥さんの背中を叩き神の言葉を発していた

およそ2時間・・・一瞬にして静まり返った

ドドドドーーーン

ピカッーーー

ドーーン

ものすごい音が外から聞こえてきた

私は窓を開けた

空は土砂降り稲光が走っていた

私はふと山頂を見た

山頂の木々から火が見えた

木が燃えていた

お寺では叫び声や悲鳴、子供たちの泣き声が響いていた

庭で散歩していた人たちは慌てて本堂へ集まっていた

みんな、一様に空を見ていた

季節外れの大雨と雷

山の中腹あたりにいた人たちが慌てて下山していた

「何とか終わったぞ・・・一応な・・・あいつらを冥界へ突き落してきた

もう2度とこっちの世界へは来れないはずだ

ただ、1体の異界の奴は・・・もしかしたら・・・もともとあれは地球で生まれたものじゃない・・・どこかの宇宙で生まれた化け物だ・・・冥界など簡単に抜け出してくるかもな

とりあえずは・・・」とオヤジは疲れた顔でみんなに説明をした

楓も疲れた顔

和尚さまも

奥さんは静かに和らかな顔で寝ている

「わしゃ本堂へ行きますわい・・・説法をしてきますわい」と言い部屋から出て行った

本堂では少し騒動になっていた

それを鎮めるために和尚様は本堂のほうへ行った

「パパ・・・疲れたよ、眠いし」と楓が訴えてきた

ありがとな、楓・・・少し横になって寝てもいいよ」

「うん・・・」といいながら寝てしまった

私は楓の小さい手を握って「ありがとう」と小声で言った

Cさんも落ち着いたみたいで奥さんの傍に座っていた

Concrete
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@アンソニー
今回は楓の力を借りている
あのオヤジは生まれた時から化け物だよ
というか前世は相当な悪どいことをしてたにちがいない
だから現生は修行というか贖罪のために生まれたんだと思う

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