長編9
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落ちたら、、、

大学の友人の話だ。

からかうのが好きなヤツで、

この話が、ウソかホントかは分からん。

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ある日、一緒に講義を受けてると、

そいつが消しゴムを落とした。

拾ってあげたのだが、数分後、また消しゴムを落とす。

そこまでは有り得るが、

そいつは、ペン、教科書、色んな物を落としまくる。

「ねぇ、あんたさ、

何で、そんなに物を落とすの?」

「分かんねぇよ、そんなの。

だって、落ちるんだもん。」

「拾ってあげる身にも、なってよー」

「ごめん、ごめん、

落とさない様にするから、、、。

だって、落ちたらさ、

拾わなきゃいけないじゃん?」

しかし、結局、

その講義中、ヤツは物を落としまくった。

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数日後、ヤツに呼び出される。

大学の学食で落ち合った。

「なに?どしたん?」

いつもは、チャラチャラしてるそいつが、

何時にもなく暗い顔をしている。

「何かあったんでしょー?」

すると、思い切ったかの様に話し出した。

「あのさ、

実は、あの後も、

ほら、一緒に講義受けたじゃん?

で、オレさ、物を落としまくってただろ?

自分の周りの物が、

すげぇ落ちるんだよ。

あっ!と思って、拾おうとするんだよ?

だけど、結局、落ちちゃう訳よ。

さすがに気味悪くなって。

自分が、病気なんじゃないのかな、とか、

怖くなってさ。

どうしたら良い?

K (私の事です) にしか、

こんな変な話、出来ないからさー」

(変な話は、

私にしか出来ないのかい!?)

と、少々ムカついたが、

彼は、かなり真剣な様子だし。

しかし、

私にしてみれば、

物が落ちるのをどうしたら良い?

と、聞かれても、答えようが無い。

( ニュートンに聞けっ!!)

と思いつつ、

一応、彼に聞いてみた。

「いつから、物が落ちる様になったの?」

「うーん、1ヶ月前くらい?

そん時は、今程、頻繁じゃあ無くて、

たまたまだ、って思ってたんだけど。

それがさ、

ここ2週間くらいの間に、

かなりの確率で、物が落ちる様になってさ。

拾うのも、面倒臭くなっちゃってね。

でも、だんだん気味悪くなって来て、、。」

「あ、そう。

全ての物に、ガムテープ、

もしくは、両面テープ、付けといたら?」

「お前さー、

酷い事言うなよー。

これでもオレは、かなり深刻なんだぞ?」

「分かったから、ゴメンよ。」

しかし、今までに、

物が落ちるのんだけど、どうしたら良い?

などと言う相談は、

受けた事が無いので、正直、困った。

とりあえず、

明日の講義が同じだったので、

隣で見てみる、と伝えた。

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次の日、私はヤツの隣に座り、

どれだけの物を落としまくるのか見てみた。

彼には、

「私は一切、拾わない」

と伝えてあった。

序盤早々、筆箱が落ちる。

その後、

シャーペン、消しゴム、マーカー、教科書、

ノート、、、

挙句の果てには、隣の座席に置いてあった、

彼のカバンまで椅子から落ちた。

( 何これ。

落ち過ぎなんですけど。)

明らかに、おかしな事に気付く。

彼が、触ったり、持ってたり、肘に当たったり、それ以外の物も、何かの拍子に落ちる。

私は、それを見ながら、

( 何でだ?)

と、考えた。

そして、彼に聞いた。

「あんたさ、家とかでも物が落ちるん?」

「うーん、、

家の方が頻繁に落ちるかも。

あ、今日さ、、、

家に来てもらっても良い、、かな?」

「あ、うん、

別に良いけど。つーか、何?」

「いや、大丈夫。

家に来て、何とかしてくれ。」

何が大丈夫なんだ?と思いつつも、

放課後に、

ヤツの家に行く事になった。

ちなみに、ヤツはマンションに住んでいる。

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「お邪魔しまぁーす、、、」

家の中は静か。

「誰もいないの?」

「う、うん?

いや、、いるよ、、、?」

「誰?」

「、、、、、、

あー、姉ちゃんが、、部屋にいる、だけ、、、

かな、、、」

「そ、そっか。」

私は、お姉さんの事を知られたくないんだと思った。

リビングに通され、暫く話していたものの、

一向に、肝心な話をして来ない彼に苛立ち、

「ねぇ、

何で私を家に呼んだん!?

何かして欲しいわけ??

何!?」

そう、私にブチ切れられ、

彼は暫く黙ったままだったが、

急に話し出した。

「あ、あのさ、

信じてもらえないかもだけどさ、

姉ちゃんって、、」

「何?」

「、、、、、、

実はさ、死んだんだ、、よね。

うちのマンションの屋上から、、、」

「はぁ?

じゃあ、何で、

この家にお姉さんがいる訳!?」

「居るのかは分かんない。

だけど、、、

オレがさ、物を落とす度に、

『ほうら、落ちた、、クスクス、』

『落とすのって楽しいよね? ね?』

とかさ、変な声が聞こえる様になってさ。

もう、オレさ、

物を落とさない様にって必死で、、

でも、、、

何故だか、落ちちゃうんだよね、、」

私は、何も言えなかった。

少しの沈黙の後、私は聞いた。

「お姉さんは、自殺?」

「うん、たぶん、、、」

「多分って何?」

「いや、正直、分かんないんだよ。

警察は、自殺だって言ってたけどさ、

遺書も無いし、その日も普通だったし。

彼氏とも上手く行ってて、

仕事でも、

『会議で、自分のプランが採用された』

って、かなり喜んでたし。

オレには、自殺する理由が見当たらないんだよ。」

「ふーん、そっか、、、」

「なぁ、どうしたら良い??」

( え? 知らんよ。)

と、思いつつも、

お姉さんの部屋を見たいと言ってみた。

ヤツはあまり気乗りして無い様子だったが、

結局、案内してくれた。

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「ここ。」

私は、ドアをノックし、

「失礼します」と、中に入った。

部屋の中を物色させてもらった。

すると、日記の様な物があり、

「あんた、この日記、読んだ?」

と、聞くと、

「うん、

姉ちゃんが死んでから、1度だけ。」

「私も、、見て良い?」

彼は黙って頷いた。

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日記を開く。

可愛らしい文字。

パラパラめくる。

日記の最後のページ。

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­­­­-- 9月13日­­ ­­--

「最近、物がよく落ちるんだけど、

ペンとか、財布とか、色々。

でも、うらやましいなぁって思うんだ。

落ちた物って、

落ちたら、

拾ってもらえるからね。

必要で大事な物なら、特に。

絶対に、誰かに拾ってもらえる。

でもね、私も、

誰かに拾ってもらえるの。

だって、アキヒロが、私を落としたから。

そしたら、拾ってもらえるでしょ?

私、落ちたんだもん!

嬉しいよね!」

、、、、、

私は、

うん?と思い、2、3ページ前に戻る。

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­­-- 9月10日­­ --

「今日、アキヒロと喧嘩した。

仕方ないよ。

だって、アキヒロが変な事言うから。

最初は優しかったのに。

ムカつくから、こっちからは

連絡してやんないんだ。」

­­­--­­ 9月11日 ­­­­--

「あれから、アキヒロからも連絡が無い。

私の事、キライになっちゃったのかな。

こっちから、連絡して謝ろうかな。」

­­-- 9月11日 ­­--

「電話してみたけど、出ない。

どうしよう。

私はアキヒロの事、大好きなのに。

とりあえず、メール送っといた。

アキヒロから、連絡がありますように。」

­­-- 9月12日 ­­--

「アキヒロから連絡が来た!

良かったー!

何か、話があるって言ってたけど、

もしかして、プロポーズ??

もう付き合って2年経つし、

私も、いい歳だしね!

ドキドキする。

でもさ、最近、

お前、変だよ、ってよく言われる。

それは、

アキヒロが結婚相手に求める

理想が高すぎるんだよ、きっと!

アキヒロには、私がピッタリだよね!」

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そうして、

13日の日記に戻る。

( 彼氏に捨てられたのか?)

「ねぇ、あんたさ、

この日記、警察も読んだんでしょ?

お姉さんの彼氏に対して、何か言ってなかった?」

「いや、言ってない、、」

「何で!?

アキヒロが落としたって、ここに書いてあるじゃん!?」

ヤツは黙っていた。

暫くして、話し始めた。

「あのさ、アキヒロって言う人は、

本当は、いないんだよね、、、

何か知らないけど、

ある日さ、姉ちゃんが嬉しそうに

『彼氏出来た!カッコ良くない?』

そう言って、写メを見せてきたんだけど、

でもさ、

姉ちゃんしか、写って無いんだよ、」

「何それ?

あんたのお姉さん、

精神的にヤバかったの?」

「いや、普通だったよ。

だから、、

何で、こんな日記とか、写メとか、

自殺とか、、、

分かんないんだよ。

でも最近、オレも物がよく落ちるし、、

変な声、聞こえるし、、、

オレも自殺しちゃうのかなぁって。

何か不安になってさ、

だから、Kに相談した訳なんだけど。

ごめんな、変な話を聞かせて。

ま、オレは大丈夫だから、、、。

気にせんといて、、、。」

、、、、、、

、、、

「アハハハ!!」

急に、ヤツが笑い出した。

「つーか、冗談だよ!

面白そうかなって、作り話したの!!

オレ、姉ちゃんとかいねぇし。

ちょっと、からかったんだよ。

ごめん、ごめん、許してちょ?」

「、、、」

「ね、ごめんて。」

「、、、、、、。

あのさー、

冗談で言っていい話と、悪い話がある。

あんた、救いようの無いアホだな!?

こっちは、

真剣に心配して、大損なんですけど?

今後2度と、私に話し掛けんな。

分かったか?

この、クソがっ!!」

そう言って、帰ろうとした時、

目の前にあった壁時計が落ちた。

壁時計が落ちるなんて、滅多に無い。

その時、女の声が耳元で囁いた。

「早く、拾ってね? クスっ、

だって、落ちたんだもん。

落ちたら、拾ってもらえるんだもん。

ね? ククク、、、

早く拾わなきゃ、、、ほら、、。

ダメでしょう?

、、、っ、

ダメだろっ!!

早く、拾えよっ!!

拾わねぇと、ダメだろーがっ!!」

最近は優しい声だったのに、

最後は、おぞましい声に変わっていた。

私は、黙ったまま突っ立ていた。

すると彼が、

「あ〜あ、また落ちた、、。

落ちたら、拾ってあげないと、、ね?」

と言い、壁時計を手に取ろうとした。

私は言った。

「落ちたままにしとけば良い、、」

「はっ?何で!?」

そう彼は、怪訝そうな顔をして言ったが、

私は、

「落ちても、、

必ず拾ってもらえるとは、限らないから、

ね、、?」

そう言うと、彼は黙った。

「もし、あんたの話が本当なら、、、

お姉さんの日記は捨てた方が良いし、

亡くなった人を、

いつまでも、必要以上に引きずっていると、

その思いが重た過ぎて、、

それが足枷となって、、、。

だから、、

その相手はずっと、天国には行けないよ。

つーか、

あんたさ、、、

お姉さん、、いたの?

さっきは、本当はいないって言ってたけどさ、

いたの?いないの?

ま、どうでも良いけどね。

その時計を拾うか、拾わないかは、

あんたが決める事だし、

私には、関係無いし。

じゃ、お邪魔しました。」

そう言って、私は彼の部屋を後にした。

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帰り道、

私には2つの疑問点が残っていた。

あの壁掛け時計は、

落ちる様に仕掛けられていたのか。

それと言うのも、

ヤツが見せてきた、お姉さんの写メは、

明らかに、細工がしてある様に見えたからだ。

しかも、

ヤツからお姉さんに関する話は、

1度も聞いた事は、無い。

そうして、もう1つ。

私の耳元で囁いた女は誰なのか、、。

私はハッキリと、自分の耳で聞いた。

とりあえず、ヤツの話も、どこからがウソで、

どの部分が真実なのかも分かりゃしないし。

だから、考えるのを止めた。

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数日後、講義の隣の席にはヤツがいる、

「ねー、Kさ、この前の課題、やった?」

「やったよー。」

「じゃあさ、、」

その途端、ヤツの教科書が落ちた。

( あぁ、彼は、

あの壁掛け時計を、拾ってしまったんだな )

何故か、そんな気がした。

彼の話が、ウソだったとしても、本当だったとしても、そんな気がした。

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