長編11
  • 表示切替
  • 使い方

黒い車と疑惑

度々登場する謎の黒い車

車体全体がすべて「黒色」で統一されている

しかし、どうやって前方が見えるのだろうか?

いつのまにか後ろからついてくる

そして、気づいた時にはもういない

いったい何だろう?

私は気になっててどうにか正体を暴こうとしたけれど結果的に何もわからない

私は家でオヤジと元捜査課長が酒を飲んでる時にこの黒い車の話をした

オヤジも相当気になっているらしく正体が知りたいらしい

元捜査課長は話を聞いてて「黒い車ね・・・偽造ナンバープレートね・・・」とつぶやいた

偽造ナンバープレートの件に関しては犯罪なので調べてみると言ってくれた

なかなか、この黒い車の正体がわからずにいた

目撃者が私たちしかいないこと

偽造ナンバープレートは誰でも付け替えができること

とにかく物証が少ない

私はさりげなく夕飯の時に黒い車の話をした

その時にF子が「え?黒い車?ママの社用車のこと?」と言ってきた

たしかにおふくろの社用車は車体の色は黒だが前方のガラスは透明だ

私は黒い車の特徴をゆっくりと思い出してみた

たしかに・・・おふくろの社用車の外見は似てる

でも黒い車のほうがなんとなく古いような気がする

一度、社用車を運転してるKさんに聞いてみよう

ちょうどS君のスタジオへ行く用事が出来たのでついでにKさんから聞いてみた

Kさんに黒い車の特徴を話をしたら明らかに顔色が変わったのを見た

「いえ・・お坊ちゃま(私、これでも財閥の長男・・自覚はないけどね)・・・

私は存じておりません・・」と下を向いたまま答えてくれた

私はこれ以上聞いても無駄だと思い頭を下げてS君のスタジオへ戻った

S君も気になっているらしく正体を知りたいと言い出してきた

とりあえず今日はスタジオで泊まろう

久しぶりに3人だが揃った

昔話や愚痴などを語った

ふと・・・出入り口に人の気配がしたような・・・

気のせいか・・・・

警備員の歩く足音や自転車の音

(1時間おきにパトロールしている)

は聞こえる

それとは別の気配がしたのだが・・・

もう夜も11時過ぎだ・・

この屋敷内は私たち(じぃやとばぁや)と警備員しかいない

おふくろたちは家に帰った

眠気もきたしもうそろそろ寝ようとした時だ

スタジオのドアノブがガチャガチャと鳴った

一同、びっくりしてドアのほうを見た

「たしかに・・・ドアノブの音がした・・・外に誰かがいるんだろうか・・・

俺、2階から様子を見てくる」とS君は階段を昇って行った

しばらくするとS君が戻ってきた

「いや・・・誰もいない・・・」と首を傾げた

別に外は風が強いわけではない

一体何だったんだろうか・・・

「もうそろそろ寝よう」と私はみんなに言った

「アニキたち、眠くなってきた、Sアニキ!!明日はきちんと写してよね!!」と少し怒った声で2階へ上がっていった

「なんかなぁ・・・最近、F子・・イライラしてるんだよな・・・」とS君

「何かあったんじゃない?」とS君に聞いた

「いや・・思い当たることはない・・・強いて言えば・・出来上がった写真がイマイチだけ・・」

わたしはふと気になり今日の撮影した写真を見せてもらった

「え・・・なにこれ・・・」と私でもわかるほど酷い出来上がり

全体的に白いモヤみたいなものがかかりモデルのF子に至っては像がブレていた

「カメラ壊れてるんじゃない?」とS君に聞いてみた

「それも疑ったよ・・・でもな・・ほかの撮影物を写したら綺麗に写ってた・・・

この昼間の写真だけがなぜか白いモヤがかかってるんだよな・・・それになんでF子だけブレてるんだろ・・単純にカメラの絞りとシャッタースピードがたまたまそういうことになったのかと思った

しかし・・・なんだろうな」とS君は何度も写真を見直しては不思議そうな顔をしてた

ギャァーーーーーーー!!!

すごい叫び声

「うわぁ!!なんだ!!!2階からだぞ!F子かぁ・・・」と私とS君はお互いの顔を見た

慌ててS君が2階へ駆け上っていった

「おい!!F子!!大丈夫か!!」とF子の部屋のドアを叩いた

「Sアニキ!!助けて!!!」とF子の悲痛な叫び声

「おい!F子、鍵を開けてくれ!!」とS君はドアノブをガチャガチャして開けようとした

「ごめん・・・開けるね」

F子が部屋から飛び出してS君に抱きついた

ちょうど私は抱きついた場面を見てしまった

「違う!違う!F子が部屋から出てきて飛びついてきただけ」とすごい剣幕でS君は否定していた

今更・・・別に否定をしなくてもいいけどな

「Sアニキ!!2階の窓に人影がぁ!!」とF子は自分の部屋の窓を指をさした

「人影?・・・2階だぞ、どうやって・・・んん??おい!!ちょっと待てや」とF子を優しく離して窓のほうへ急いで走って行った

窓を勢い良く開けて頭を外へ出してあたりを見回していた

「どうした?S君!」

「たしかにな、窓の外に人影があって恐らく俺を見たんだろな、慌てて姿を消した」とS君は少し怒ってた

そんな馬鹿な・・・2階はベランダはない

どうやって2階の窓から覗けるんだよ

「いや・・あのな・・完全に顔が見えたわけではないけどな・・あれは完全に「人」だと思う・・・でもな・・ここ2階なんだよ・・どうやって覗けるんだ?」

私とS君は外へ出てF子の部屋の窓を見た

人が立てるスペースはない

おかしい・・・

パトロールをしていた警備員が声をかけてきた

「あのぉ・・何かありましたか?」

私は今さっき起きたことを説明をした

「人影ですか?見てないです・・・屋敷内に怪しい人物が入りこんたんでしょ

パトロールをこの建物の周辺を重点的に見回りをします。何かありましたらすぐに連絡してください」と頭を下げて無線で本部と連絡をしていた

15分おきにパトロールすることになった

まだ賊は屋敷内にいると思う

北側の出入り口にいる警備員に特に警戒をしてくれるように頼んだ

屋敷内はとにかく広い

どこからでも入ろうと思えば入れる

F子は完全に怯えていた

私は正門にいる警備員に「今から帰る、不審な人物を見たら即刻警察へ連絡してほしい」と頼んだ

S君とF子を乗せて自宅へ帰ることにした

家に帰る途中に例の黒い車が後ろから付いてきている

「え・・・F・・・後ろから黒い車が・・・運転は慎重にな」と言われてバックミラーを見た

たしかに、後ろからついてきている

え・・・ちょっとまて・・何でライトを点けていないんだ

まさに黒い物体

確かにおふくろが乗る社用車に似ている

家からすぐそばの曲がり角をゆっくりと曲がった

「え・・・もういないよ・・アニキ」と後ろからF子の声

バックミラーを見た

黒い車はいなかった

ホッとした

もうすぐ我が家だ

車を家の出入り口あたりに停めた

その時だ・・・前方から

私の車の横をスゥッーーと黒い車がゆっくりと走って行った

「えええええ!!!!うそだろおお!!」と私は叫んでしまった

S君とF子も・・・もうびっくり顔

言葉も出なかった

いつのまに反対方向に黒い車はいたんだ

あの交差点まではついてきたんだ

あの角を曲がったのなら後ろにいないといけない

どういうこった・・・・

もう体が震えだして寒気がした

「おい・・・大丈夫か?F」とS君から肩をたたかれた

「アニキたち、早く家へ入ろうよ」とF子の震えた声

玄関前にS子がいた

「おっちーーー!!パパ・・・大丈夫?・・変な悲鳴を上げてさ・・・」とびっくりした顔で言われた

「え・・・今さっき、黒い車を見たからびっくりして叫んだんだよ・・」とわたし

「え・・黒い車?・・・わたし、見てないんだぞ・・・・」と真顔のS子

私とS君とF子はお互いの顔を見て唖然とした

S子は見ていないって・・・・そんなことはない・・・玄関からでもちゃんと見えてたはずだ

「おい・・・そういえば・・その車のエンジン音って聞こえてたっけ?」とS君が聞いてきた

あぁ・・聞こえていない・・・横を通るときに確かに静かにスゥーーと走って行った

車のことは詳しくはないが高級車ってエンジン音を出さないで走れるものなのか・・・

ますます・・私の背筋は・・・もう限界だ

「とにかくさ・・パパたち・・家へ入るんだぞ」とS子が催促をしてきた

リビングへ

オヤジが珍しくTVを見ていた

オヤジに今まで起こったことを話をした

「なに!!2階に人影??おいおい・・・おまえらは何をしてたんだ、もしもF子ちゃんの身に何か起きたら俺は絶対に許さんぞ!」と久しぶりの鋭い目

私とS君は蛇ににらまれたカエル状態になった

「パパ・・!!」

「黒い車がついてきたのか・・・ありゃ一体何なんだ・・俺もいろいろと調べているんだが全然わからん・・・○○(元捜査課長の名前)もお手上げ状態だぜ・・俺は思うに・・あの車って・・・もしかしたら戦前に造られた車かなと思う・・・俺も車の事はよく知らんけど・・・一応な・・・ネットでああいう車の検索をしたんだよ

似たような車は出てきたけど・・・でも違うんだよな・・・恐らく改造はしてるんだと思う

なにせ・・全部の窓がまっ黒けだからな・・・昼間はともかく夜はどうやって運転してるんだろうな・・・なに?ヘッドライト点いていなかったのかよ・・・おいおい・・・え・・・エンジン音が全く聞こえなかったのか・・・50年先の未来のエンジンを積んでいるのかよ(今じゃ当たり前に電気自動車は一般に普及していてガソリン車の方が珍しくなったよ・・でもね・・モーター音はかすかに聞こえるんだよ・・)

わからん・・・」とオヤジは頭を抱えた

私はあの車を写した写真をスマホから見ようとした

よく考えたらナンバープレートの部分しか写していなかった

あの車の写真が一枚もない

こりゃ困った

どうやってあの車の特徴を説明するんだよ

「F・・何をしてるんだよ」とS君

「いやね・・あの黒い車の写真をスマホに無いかなっと思って・・・ナンバープレートの写真はあったけどね」とスマホをいじくりながら答えた

「あ・・そうだよな・・俺も写してないわ・・・」と2人で腕を組んでどうするか考えていた

「おっちーー!!あの黒い車の写真?私も無いけど・・・イラストとかに描いたらいいと思うんだぞ」とS子が提案してきた

「そのイラストを誰が描くんだよ、S子」とS君はS子の顔をじっと見た

「う・・・ん・・・ああ!!いたよ、私の娘、楓ちゃん!!あの子なら上手に描いてくれるんだぞ」とS子は大きな声を出した

確かに!楓なら上手に描いてくれそうだ

みんな納得した

翌朝に楓にあの黒い車の特徴を描いてもらおうと頼んだ

「パパ、OKOK!!、学校から帰ったら描くからね」と言い家を出た

楓が学校から帰ってきて早速あの黒い車の絵を描きだした

ものの30分ほどで完成した

「パパ!!描いたよ、これ」と私に見せてきた

すごい!!似てる・・・これを見せながら説明ができる

「ありがと、これこれ!!楓、すごいな」と楓を褒めた

オヤジたちも楓のスケッチを見て驚いていた

「似てる!すごいな!」とみんなから褒められていた

「さすが!俺の孫娘だ!ワハハハハハ」と高笑いのオヤジ

「あんたさ・・・絵を描く才能はあるのかい?一族の中で絵を上手に描けるのは楓ちゃんだけだよ・・生まれつきの才能なんだよ」とおふくろの横やり

オヤジ以外は「プッ」と笑いだしそうになった

オヤジもろに撃沈

オヤジの言ってた通りに戦前に造られたとしたらあの屋敷で一番古くからいるじぃやとばぁやに聞こう

結果的に賊は見つからなかった

当分の間・・・スタジオでの撮影が出来なくなったS君とF子

写真の現像と整理は家ですることになった

屋敷と家の往復となった

スタジオの出入り口は24時間体制の警備となった

「くそ!メンドくせぇーー」とS君は嘆いていた

F子の身に何かあってからでは遅い

当分、私はリビングのソファか床にじかに布団を敷いて寝ることになった

2階の娘たちの部屋にしようかと思ったけれど・・S君が寝るからな・・まぁいいや・・と

会社の休みの日にS君と一緒に屋敷へ

じぃやは庭で盆栽の手入れをしていた

「じぃや・・お久しぶり・・元気そうだね」と私は声を少し抑えて言った

「誰じゃな・・・おおおおお・・・お坊ちゃま!!これは・・・」と言いながら

振り向きなおして頭を下げた

「じぃや・・・今日はちょっと聞きたいことがあって来たよ」と言うと

「じぃやにですか・・・では家で話しましょう」とじぃやは私とS君を家に招いてくれた

「ばあさん・・・珍しいお客が来たよ」と家に入りばぁやにむかって大声を出した

「じいさま・・大きな声を出さなくても聞こえてますよ・・・おおおお!!!

お坊ちゃまたち!!!」とヨロヨロと歩きながら私の手を握った

年を取ったな・・・あれだけシャキッと背がまっすぐで仕事をこなしていた

今は腰が曲がり・・・

「ばぁやも元気そうだ・・今日はね、この車について聞きたいことがあってきたんだよ」とじぃやとばぁやに楓が描いてくれたスケッチを見せた

「こ・・これは・・旦那様の車にそっくりじゃ・・・」とじぃやの驚いた顔

「え・・・おじいさまの車とそっくり・・・」

「そうです・・いや・・旦那様の車です・・懐かしいです・・・」

私はじぃやとばぁやに今までの黒い車について起きたことを話した

じぃやとばぁやは驚きの顔をしていた

「確かに・・・旦那様の車の前のガラスは黒かった・・エンジン音?・・・

あ・・確かに・・・音?・・確か・・エンジン音は聞こえなかったような・・・

若いときですから「すごい車だな」と感心していました

私もどうしたらあんな前のほうがガラスが黒いのに運転できるのか当時の運転手だったGさんから聞こうとしたら「旦那様にきつく車については他言無用」と言われて未だに謎です・・」とじぃやはスケッチを見ながら話してくれた

エンジン音が聞こえない車ってあの当時の技術で作れるのか?

今でもエンジン車はエンジン音が出るのに

それと真っ黒のガラスでどうやって運転できるんだよ

おじいさまの車だとしたら相当な年季が入ってる

しかし、見た目は確かに古いのだが車体はピカピカで新車という感じだ

まさか・・・車の幽霊ではないだろうな

大体のことはわかった

私たちは屋敷から家へ帰った

オヤジとおふくろに黒い車についてじぃやたちから聞いた話をした

「おふくろはこの黒い車を見てるんじゃないのか?」と聞いてみた

「あのね・・おそらくだと思うけど私が生まれた後すぐに車を替えたんじゃないかと思うの

私はこの黒い車については全然知らないのよ・・・

私が知っている車は今私が使ってるあの車なのよ

この前も言ったとおりにあの車については機密だからね

詳しいことは教えられない

しかし・・・なぜ・・今でも父の車が走ってるの・・・どういうこと?」とおふくろは不思議そうな顔をしていた

それから2週間後にとんでもないことがわかった

あの黒い車の正体がわかった

私たち一家は驚きとさらにあの一族に対して疑惑の念が強くなった

私たちを監視していた

おそらく2階の窓から覗いてた奴も・・・

私たち一族は5つに分かれている

まぁ・・・これ以上書くとなると長くなるので・・・

元捜査課長の顔の広さには驚いたよ

この情報を聞いておふくろは卒倒しそうになった

オヤジは怒り心頭だった

Concrete
コメント怖い
1
5
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ