この世界がサバイバルホラーゲームだと俺だけが知っている。

中編7
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この世界がサバイバルホラーゲームだと俺だけが知っている。

「心臓に疾患のある方はプレイしないで下さい」

(ゲーム開始時に出るメッセージ)

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俺は20代後半。

名前は思い出せない。

かなり暗い場所にいる。かろうじて少し先だけ見える。

どこにでもある家。なんとなくだが2階があるのがわかる。

ただ、暗いせいで自分の肌の色も分からない。

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「人生をやり直しますか?」

交通事故で死んだ時に聞こえた言葉だ。

思い出せた。俺はイエスと言った。

なんで俺が、死ななきゃいけないんだ。

こんなにも早く!

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次の瞬間!

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パタッ

何かが足元に落ちた。1冊のノートだ。

クリックして読んでみる・・・

ん? クリック? いや、今はどうでもいい。

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(※以下は日本語訳です)

「あなたは今、怪物がいる家に閉じ込められている。

あなたは悪魔を召喚し、怪物を退治しなければならない。

必要なアイテムを入手し、魔法陣に置くこと。

怪物はあなたを食い殺そうとしており、捕まってはならない。

成功率は1パーセント未満だ。

コツ:1 奴は全てを聴いている。

2 アイテムを床に落とすと大きな音が発生する。

(上手く利用せよ)

3 ベッド、クローゼット、ロッカーに隠れろ。

ロッカー以外は隠れる様子を見られないように。

集めるアイテム:6本のロウソク 紋章が書かれたメモ ナイフと己の血」

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唖然とした。

人生のやり直しだから試練みたいなもんだと思っていたが、

こんなに怖い、何より成功率1パーセント未満だと。

でも、

、、、

やるしかない。

それ以外の選択肢は無かった。

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とにかく暗い、だが俺の目の前はだいたい分かる。

まずは棚をクリックしていく。

初めの部屋には何も無かった。

ドアを開けると廊下に出た。

家中暗いが、構造は分かった。

狭くはない家だ。予想通り2階がある。

地下室とかあったら最悪だな...

とりあえず正面のドアを開ける。

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次の部屋には大画面のテレビがあった。

この画面から怪物が抜け出て来るのか? 

そういうのは分かっていても怖い。

引き出しを開けると、ロウソクがあった。

手に持つと、画面の右側に

「DROP(落とす)」

1本ずつしか持ち運べない!?

成功率の低さに納得した。

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とにかく、次は魔法陣を探して...と、

カジャカジャ カジャカジャ キャビィビィ...

!!??

第六感で危険なものを感じた。すると

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そばにロッカーがあるのを見つけた。

HIDE(隠れる) をクリック。

バタン。

、、、、

キャビィビィ キャビィビィ ギャビビビ

ナニかがロッカーの手前で引き返して行ったようだ。

ロッカーは目と同じ高さに少し隙間があるだけなので、詳しい様子はよく分からないが、

しばらく隠れていると何も聞こえなくなった。

少し安堵して、探索を再開する。

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次の部屋にはパソコンがあった。

ベッドもあった。ここにも隠れられるようだが、

今ひとつ頼りないのは否めない。

「ロッカー以外は隠れる様子を見られないように」

その部屋の隅に目をやると、

あった。赤い魔法陣が。

六角形の星の角にロウソクを置く。

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2本目のロウソクはその部屋の引き出しにあった。

助かる。これも魔法陣に置く。

その部屋のもう1つのドアの先は浴室だった。

そして、洗面所の鏡に紋章のメモが貼ってあった。

クリックして取得。

浴槽にも隠れられるようだ。が、

どうしてもロッカーに勝る場所はない。

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よし、案外イケそうじゃないのか!?

そう思って、魔法陣に近づくと、

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まだ何もない。よし。

少し余裕が出てきたので、紋章をわざと落としてみた。

ドダン。。

!!ま、待て!

これも大きな音が出るのか!?

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カジャカジャ カジャカジャ

!? 音で寄ってきたか!

慌てて拾い、急いで魔法陣に向かう。

魔法陣の上で落とすと、紋章のメモは音もなく中央に安置された。

念には念を入れて、ベッドの下に隠れておく。

カジャカジャ カジャカジャ ・・・

すぐに聞こえなくなり、胸を撫で下ろす。

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さて、残りはロウソク4本と、あとナイフだ。2階に行ってもいいが、

それよりは1階を調べ尽くしておいた方がいいような気がした。

廊下の突き当たりにまだ部屋があったな。

そこに行こう。

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shake

開けていないはずのドアが開いている。ギョッとした。

もう間違いない。恐ろしい怪物。

一気に恐怖感が強くなる。

必然的に、棚を開くのも緊張する。

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3本目のロウソクは廊下の途中に置かれていた。

クリックして取得。

急げ、魔法陣へ。

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カジャカジャ カジャカジャ キャビィビィ...

怪物だ! 近いか!?

華麗なコントローラーさばきで魔法陣がある部屋へ向かい、

念のため、ロッカーに隠れた。

バタン。

キャビィビィ キャビィビィ ギャビビビ

よし、よし、今回もやり過ごした。

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怪物の音が前回より近い!

今回はロッカーの前を通りすぎて、浴室に行くようだ..

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shake

怪物 の 姿 は 怖 すぎた

人間の上半身と、下半身から下はちぎれ、2本の腕で這い廻るように移動する、ボサボサの髪と白く輝く目を持った人間のようなヤツ

shake

うわあああああああああああああああああ

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キャビィビィ キャビィビィ ギャビビビ

今回もやり過ごした。

思った通り怪物は浴室まで行ったあと、廊下の方へと消えていった。

こんな、見るのも怖い奴と鬼ごっこだと。

俺は絶望と恐怖で発狂しそうだった。

チクショウ、ドウニデモナレ。

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震えながら2階へ。

3つある部屋は寝室や子供部屋の類か。

4本目のロウソクは階段を上がって

すぐ前にある部屋の引き出しにあった。

奴に出くわさないか・・・勇気を振り絞りながら、

魔法陣に置いた。

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5本目のロウソクを別の部屋の引き出しから取得。

すると、

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この階にもロッカーを見つけた。

それだけで恐怖がだいぶ収まった、そんな気がする。

確かな隠れ場所はありがたい。

最短距離で魔法陣へ置く。

そして、

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あとは6本目のロウソクか。

悪魔の召喚だから、ナイフは最後となるだろう。

というより、最後に血を捧げなければヤバい。

場所はノーヒントだ。

2階をくまなく探したが、ない。

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待て、もう一部屋、確認していない。

1階の廊下の突き当たりだ。

降りるために階段へと移動。

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shake

ギョビピ!! うああああああああ!!

階段の下にいた怪物と目が合った!

見つかった!!隠れろ!

あの2階のロッカーに!!

バタン。

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ギイビイ!! ギイビイ!! ギギビピ

奴は俺の目前で、

悔しい、逃げられた、覚えておけ、

と言っているような声を上げ、

ぐるりと反転、ノソノソと這って行った。

グラフィックの質は低いが、

怪物のちぎれた下半身とそこの肉壁が見えた。

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た、た、助かった。

人間の凶悪犯などは強引にこじ開けるか、

出てくるまで待っているだろうが、

そこまでの知能はないのか。

距離的にはクローゼットの方が近かったが、

そこだと、隠れる様子を見られて捕まってしまう。

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「心臓に疾患がある方はプレイしないで下さい」

shake

俺は心臓をバクバクさせ、恐怖と戦いながら

1階の未調査の部屋へ。

倉庫、あるいは物置部屋のようだ。

6本目のロウソクが棚にあった。

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この部屋には隠れ場所はない。

怪物と鉢合わせたら...いや、余計なことは考えるな。

鮮やかな操作で魔法陣へ。

最後のロウソクを安置。

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あと一つだけだ。

ナイフだ。どこにある。

調べられる場所はもうない。

また全部調べろ!? それならもうやってられない。

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ふと、ある予感がした。

ナイフ。

→血を捧げる。

→手首を切る。

→<定番の場所>

もしかしたら。浴室か!? 浴槽に隠れられるという仕様も説明に無かった。

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音が聞こえないかを気にしつつ、

浴室へ。1箇所に変化があった。

赤い血が浴槽一面に張られ、かなり小型の、でも切れそうなナイフが

ぽっかりと浮かんでいた。

勘が当たった!

魔法陣へ。

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さあ、いよいよ大詰めだ。

念のため、部屋のドアをクリックして閉めておく。

魔法陣の上に立つと、

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shake

カジャカジャ カジャカジャ キャビィビィ...

まただ・・・ 近い。

どこだ。部屋のドアは閉めた。

ギィン

!!!

ドアが開けられた!ロッカーに隠れろ!

バタン。

すぐ側に怪物がいた。

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ギイビイ!! ギイビイ!! ギギビピ

もう少しだったのにと言ってやがるのか?

怪物は諦めてズリズリと這って行った。

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改めてドアを閉め、

魔法陣の上へ。

ナイフのDROP(落とす)が赤い文字でBLEED(血を出す)に変化した。

クリックすると、俺はナイフで効き手でない方の腕を切った。

そして、血がボタボタと

魔法陣の中央、紋章に注がれていく、、、

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周囲が赤い霧に包まれた。

俺ヲ呼ぶのは、お前カ?

悪魔召喚に成功した! クリアだ!!

これで、俺は人生をやり直せる。

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望みは何ダ? 叶えてやろウ ククククク

俺「この家にいる怪物をやっつけてくれ!!!!」

そウか それなら 俺ノ力で 簡単ナ事だ

部屋が明るくなってきた。俺は希望が湧いてきた。

まずハ俺の 本来の姿ヲ 見セないとな ククククク

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悪魔の姿は予想外だった。

あの怪物の姿をしていた。

ギョビピ!!

首筋に噛み付かれ、......

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GAME OVER

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どこかのミュージシャンも歌ってたな。

「やり直しが効く人生なんて望むかな?」と。

そう、初めから人生にやり直しなんてものは無かった。

あれは悪魔が、人間を騙すために用意したゲームだった。

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俺は薄々気づいていた。

少なくともあの世界はサバイバルホラーゲームだった。

死んだからもう関係ない話だけどな(苦笑)

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