「心臓に疾患のある方はプレイしないで下さい」
(ゲーム開始時に出るメッセージ)
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俺は20代後半。
名前は思い出せない。
かなり暗い場所にいる。かろうじて少し先だけ見える。
どこにでもある家。なんとなくだが2階があるのがわかる。
ただ、暗いせいで自分の肌の色も分からない。
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「人生をやり直しますか?」
交通事故で死んだ時に聞こえた言葉だ。
思い出せた。俺はイエスと言った。
なんで俺が、死ななきゃいけないんだ。
こんなにも早く!
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次の瞬間!
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パタッ
何かが足元に落ちた。1冊のノートだ。
クリックして読んでみる・・・
ん? クリック? いや、今はどうでもいい。
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(※以下は日本語訳です)
「あなたは今、怪物がいる家に閉じ込められている。
あなたは悪魔を召喚し、怪物を退治しなければならない。
必要なアイテムを入手し、魔法陣に置くこと。
怪物はあなたを食い殺そうとしており、捕まってはならない。
成功率は1パーセント未満だ。
コツ:1 奴は全てを聴いている。
2 アイテムを床に落とすと大きな音が発生する。
(上手く利用せよ)
3 ベッド、クローゼット、ロッカーに隠れろ。
ロッカー以外は隠れる様子を見られないように。
集めるアイテム:6本のロウソク 紋章が書かれたメモ ナイフと己の血」
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唖然とした。
人生のやり直しだから試練みたいなもんだと思っていたが、
こんなに怖い、何より成功率1パーセント未満だと。
でも、
、、、
やるしかない。
それ以外の選択肢は無かった。
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とにかく暗い、だが俺の目の前はだいたい分かる。
まずは棚をクリックしていく。
初めの部屋には何も無かった。
ドアを開けると廊下に出た。
家中暗いが、構造は分かった。
狭くはない家だ。予想通り2階がある。
地下室とかあったら最悪だな...
とりあえず正面のドアを開ける。
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次の部屋には大画面のテレビがあった。
この画面から怪物が抜け出て来るのか?
そういうのは分かっていても怖い。
引き出しを開けると、ロウソクがあった。
手に持つと、画面の右側に
「DROP(落とす)」
1本ずつしか持ち運べない!?
成功率の低さに納得した。
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とにかく、次は魔法陣を探して...と、
カジャカジャ カジャカジャ キャビィビィ...
!!??
第六感で危険なものを感じた。すると
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そばにロッカーがあるのを見つけた。
HIDE(隠れる) をクリック。
バタン。
、、、、
キャビィビィ キャビィビィ ギャビビビ
ナニかがロッカーの手前で引き返して行ったようだ。
ロッカーは目と同じ高さに少し隙間があるだけなので、詳しい様子はよく分からないが、
しばらく隠れていると何も聞こえなくなった。
少し安堵して、探索を再開する。
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次の部屋にはパソコンがあった。
ベッドもあった。ここにも隠れられるようだが、
今ひとつ頼りないのは否めない。
「ロッカー以外は隠れる様子を見られないように」
その部屋の隅に目をやると、
あった。赤い魔法陣が。
六角形の星の角にロウソクを置く。
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2本目のロウソクはその部屋の引き出しにあった。
助かる。これも魔法陣に置く。
その部屋のもう1つのドアの先は浴室だった。
そして、洗面所の鏡に紋章のメモが貼ってあった。
クリックして取得。
浴槽にも隠れられるようだ。が、
どうしてもロッカーに勝る場所はない。
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よし、案外イケそうじゃないのか!?
そう思って、魔法陣に近づくと、
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まだ何もない。よし。
少し余裕が出てきたので、紋章をわざと落としてみた。
ドダン。。
!!ま、待て!
これも大きな音が出るのか!?
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カジャカジャ カジャカジャ
!? 音で寄ってきたか!
慌てて拾い、急いで魔法陣に向かう。
魔法陣の上で落とすと、紋章のメモは音もなく中央に安置された。
念には念を入れて、ベッドの下に隠れておく。
カジャカジャ カジャカジャ ・・・
すぐに聞こえなくなり、胸を撫で下ろす。
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さて、残りはロウソク4本と、あとナイフだ。2階に行ってもいいが、
それよりは1階を調べ尽くしておいた方がいいような気がした。
廊下の突き当たりにまだ部屋があったな。
そこに行こう。
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shake
開けていないはずのドアが開いている。ギョッとした。
もう間違いない。恐ろしい怪物。
一気に恐怖感が強くなる。
必然的に、棚を開くのも緊張する。
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3本目のロウソクは廊下の途中に置かれていた。
クリックして取得。
急げ、魔法陣へ。
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カジャカジャ カジャカジャ キャビィビィ...
怪物だ! 近いか!?
華麗なコントローラーさばきで魔法陣がある部屋へ向かい、
念のため、ロッカーに隠れた。
バタン。
キャビィビィ キャビィビィ ギャビビビ
よし、よし、今回もやり過ごした。
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怪物の音が前回より近い!
今回はロッカーの前を通りすぎて、浴室に行くようだ..
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shake
怪物 の 姿 は 怖 すぎた
人間の上半身と、下半身から下はちぎれ、2本の腕で這い廻るように移動する、ボサボサの髪と白く輝く目を持った人間のようなヤツ
shake
うわあああああああああああああああああ
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キャビィビィ キャビィビィ ギャビビビ
今回もやり過ごした。
思った通り怪物は浴室まで行ったあと、廊下の方へと消えていった。
が
こんな、見るのも怖い奴と鬼ごっこだと。
俺は絶望と恐怖で発狂しそうだった。
チクショウ、ドウニデモナレ。
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震えながら2階へ。
3つある部屋は寝室や子供部屋の類か。
4本目のロウソクは階段を上がって
すぐ前にある部屋の引き出しにあった。
奴に出くわさないか・・・勇気を振り絞りながら、
魔法陣に置いた。
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5本目のロウソクを別の部屋の引き出しから取得。
すると、
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この階にもロッカーを見つけた。
それだけで恐怖がだいぶ収まった、そんな気がする。
確かな隠れ場所はありがたい。
最短距離で魔法陣へ置く。
そして、
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あとは6本目のロウソクか。
悪魔の召喚だから、ナイフは最後となるだろう。
というより、最後に血を捧げなければヤバい。
場所はノーヒントだ。
2階をくまなく探したが、ない。
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待て、もう一部屋、確認していない。
1階の廊下の突き当たりだ。
降りるために階段へと移動。
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shake
ギョビピ!! うああああああああ!!
階段の下にいた怪物と目が合った!
見つかった!!隠れろ!
あの2階のロッカーに!!
バタン。
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ギイビイ!! ギイビイ!! ギギビピ
奴は俺の目前で、
悔しい、逃げられた、覚えておけ、
と言っているような声を上げ、
ぐるりと反転、ノソノソと這って行った。
グラフィックの質は低いが、
怪物のちぎれた下半身とそこの肉壁が見えた。
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た、た、助かった。
人間の凶悪犯などは強引にこじ開けるか、
出てくるまで待っているだろうが、
そこまでの知能はないのか。
距離的にはクローゼットの方が近かったが、
そこだと、隠れる様子を見られて捕まってしまう。
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「心臓に疾患がある方はプレイしないで下さい」
shake
俺は心臓をバクバクさせ、恐怖と戦いながら
1階の未調査の部屋へ。
倉庫、あるいは物置部屋のようだ。
6本目のロウソクが棚にあった。
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この部屋には隠れ場所はない。
怪物と鉢合わせたら...いや、余計なことは考えるな。
鮮やかな操作で魔法陣へ。
最後のロウソクを安置。
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あと一つだけだ。
ナイフだ。どこにある。
調べられる場所はもうない。
また全部調べろ!? それならもうやってられない。
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ふと、ある予感がした。
ナイフ。
→血を捧げる。
→手首を切る。
→<定番の場所>
もしかしたら。浴室か!? 浴槽に隠れられるという仕様も説明に無かった。
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音が聞こえないかを気にしつつ、
浴室へ。1箇所に変化があった。
赤い血が浴槽一面に張られ、かなり小型の、でも切れそうなナイフが
ぽっかりと浮かんでいた。
勘が当たった!
魔法陣へ。
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さあ、いよいよ大詰めだ。
念のため、部屋のドアをクリックして閉めておく。
魔法陣の上に立つと、
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shake
カジャカジャ カジャカジャ キャビィビィ...
まただ・・・ 近い。
どこだ。部屋のドアは閉めた。
ギィン
!!!
ドアが開けられた!ロッカーに隠れろ!
バタン。
すぐ側に怪物がいた。
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ギイビイ!! ギイビイ!! ギギビピ
もう少しだったのにと言ってやがるのか?
怪物は諦めてズリズリと這って行った。
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改めてドアを閉め、
魔法陣の上へ。
ナイフのDROP(落とす)が赤い文字でBLEED(血を出す)に変化した。
クリックすると、俺はナイフで効き手でない方の腕を切った。
そして、血がボタボタと
魔法陣の中央、紋章に注がれていく、、、
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周囲が赤い霧に包まれた。
俺ヲ呼ぶのは、お前カ?
悪魔召喚に成功した! クリアだ!!
これで、俺は人生をやり直せる。
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望みは何ダ? 叶えてやろウ ククククク
俺「この家にいる怪物をやっつけてくれ!!!!」
そウか それなら 俺ノ力で 簡単ナ事だ
部屋が明るくなってきた。俺は希望が湧いてきた。
まずハ俺の 本来の姿ヲ 見セないとな ククククク
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悪魔の姿は予想外だった。
あの怪物の姿をしていた。
ギョビピ!!
首筋に噛み付かれ、......
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GAME OVER
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どこかのミュージシャンも歌ってたな。
「やり直しが効く人生なんて望むかな?」と。
そう、初めから人生にやり直しなんてものは無かった。
あれは悪魔が、人間を騙すために用意したゲームだった。
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俺は薄々気づいていた。
少なくともあの世界はサバイバルホラーゲームだった。
死んだからもう関係ない話だけどな(苦笑)
作者三日月レイヨウ
ホラゲー好きな作者の体験談、というか出来事をミックスしております。
あからさまなグロ描写はありませんが苦手な方は注意して下さい。
駆け足で書いてしまったので後で加筆修正したい所存です。
余談ですがよく似た題名の某ラノベは読んですらいません。ご了承ください(・3・)