短編2
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厄年

丑年産まれのNは今年が本厄の年らしく、正直過剰だと感じる程に身の回りの不幸を厄年のせいにする。

曰く、今年に入った瞬間待ち望んでいたイベントが中止になっただとか、ほんのちょっとでも外出すると晴れていた筈の天気が崩れ出しただとか、比較的新しいお茶碗が割れただとか、車に引かれかけただとか……

確かに不幸話に暇が無いのだが、いかんせん二言目にはお決まりのように「今年は厄年だから」と言い訳じみて吐き捨てるせいで、まだ1月だというのに、早くも職場の皆んなからウザがられている。

そのくせ、厄祓いのお参りを勧めると「それはなんか負けた気がする」などと言って頑なに行こうとはしなかった。

毎日毎日新しい不幸エピソードを披露するくせに、それに対して手を打たないという事で、「あの不幸話も殆ど作り話だ」という噂が立つと、一瞬で社内に広がったのには、流石に私も驚いた。

それだけ、不機嫌を振り撒くNは嫌われていたのだろう。

だが、そんなNの不幸続きがおそらく嘘では無い事を、同期の私だけは知っていた。

だから、私だけはNの話に毎日付き合ってやり、皆が避ける中、彼の仕事のフォローもよく受け持った。

いくら何をしても上手くいかないとは言え、ただひとりの同期に会社を辞められるのは、私だって嬉しくはない。

彼に辞められでもしてしまったら、私にだって不利益が被る。

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……なにせ、私だって厄年なのだ。

厄を擦り付ける相手が居ないと、少々面倒だ。

つまらない意地で厄除けにも行かず、会社には私くらいしか味方の居ないNほど、都合の良い身代わりは居ないのだから。

私は神社で貰ったヒトガタを、バレないよう彼のデスクの裏に貼り付けた。

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2人分の厄を背負うNに、馬鹿な奴だとほくそ笑みながら……

Concrete
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