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私が大学時代。
様々な恐怖体験をさせてくれた、
ボロアパートでの出来事を、
また1つ思い出したので、書き込ませて頂きます。
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ある晩、私はいつものように、
ベッドで寝ていた。
何時かは覚えていないが、夜中だったと思う。
急に、お腹が痛くなった。
(お腹が、痛いっ、、、)
かなりの、かなりの、激痛だった。
そりゃ、目も覚めるし、
救急車、呼ばんなんかも、、、と。
それくらいの激痛だった。
そして、
身体を動かそうとした。
が、動かない。
私は、俗に言うと " 金縛り " に、よく遭う。
(動けん、、、またか。
こんな時に、やめてくれ。)
私は、
焦りまくった。
お腹は痛いが、動けない。
(どうしよう、、、)
以前、お話をしたのだが、
私は、身体が動かない時でも、視覚は働く。
目を開けてみた。
当たり前だが、痛いお腹の方を見る。
(、、マジか、、、、、)
私は、
その目線の先から、
目が離せなくなってしまった。
私のお腹の上には、
小さなお婆さんが、、、座っていた。
カーテン越しの、
月の明かりに照らされながら、
きちんと正座をしていた。
30センチくらいだったように思う。
深紫色の着物だった。
髪も、白髪だが、
後ろで綺麗にまとめられており、
俗に言う、
山姥的な感じとは程遠かった。
暗闇の中では、
その小さなお婆さんが、
目を開けているのか、閉じているのかは、
分からなかった。
顔も色白く、、いや、青白く、
しわくちゃだった。
私は、暫くの間、そのお婆さんを見詰めていたように思う。
ただ、、
お腹がすごく痛かったので、
早く消えて欲しかった。
私が、あまりの激痛に耐えかねて、
その婆さんに、
文句を言おうとした時だった。
それは、
一瞬の出来事。
ヒュッと、
小さなお婆さんの顔は、
私の顔ギリギリまで、来た。
私は、お婆さんと、
わずか1センチ程の近さで、
顔を合わせ、
しかも、確実に目が合っている。
お婆さんの目は、
はっきりとはしているが、
黒目が灰色っぽかった。
私は、耐えきれずに目を瞑った。
(ヤバい、、どうしよう、、、)
私が目を瞑っている間も、
そのお婆さんの、痛い程の視線を感じる。
恐怖とは、、こう言う事だ、、、
その当時は、そう思っていた。
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それから、
どのくらい経ったのか、、、。
私は、じっと目を瞑っていたのたが、
ある瞬間に、
スーッと、お腹が痛くなくなった。
(あのババァが、居なくなったのかも)
恐る恐る目を開けた。
さっきまでお腹の上に居た、あの婆さんは
居ない。
(良かったぁ、、
とりあえず、電気つけよ、、、)
そう思った時だった。
ベッドから降りようとして、私は愕然とした。
私のベッドの右側に、
その小さなお婆さんは、
さっきと同じように、きちんと正座をして座っている。
(何だよ、こいつ、、、)
電気は、ベッドの右側にある。
婆さんが、ベッドの横にいるので、
電気をつけようにも、つけに行けない。
ただ、先程と同じ様に、
その小さなお婆さんは、
月の明かりで、
気味悪く照らし出されている。
最初は、私は身動き一つ出来ずに、
固まったままだったが、
(、、私の性格ですね、、、)
「おぃ、ババァ!
言いたい事があるんなら、早う言えや!」
と、喋ったつもりが、
声が出てなかった。
出したいのに出ない、、、。
昔、小学校の時に、
夏休みで、解放になっていた学校のプール。
そこで溺れかけた時の、あの感じ。
喉が詰まる。
息を吸うには、吐かなきゃいけない。
うまく、吐けない、、、。
私は、
声を出せない代わりに、
咄嗟に、枕を投げつけた。
闇雲に手当り次第に物を投げつけてみた。
、、、
、、、、、、。
婆さんは、相変わらず正座している。
私が投げつけた物は、
全て後ろの方に飛び散っていた。
(おぃ、ババァ、、早く消えろよ、、、)
小さな婆さんは、俯いていた。
声が出せないので、心の中で文句を垂れた。
(あんた、何?
つーか、誰なん!?
何で、私のとこに来たん?
悪いけど、私は何も出来んしな。
他所に行ってくれるか?
聞いとんのか!?
あぁ!?
出てけっつっとるんじゃぁ!!
早うせぇや!この、くそババァがぁ!!)
私は、
感情的になると、
方言が出る事に気付く。(冷静な見解)
そして、
口の悪さにも拍車がかかる、らしい、、、。
どうでも良いけど。
婆さんは、暫く俯いていたが、
そして、ゆっくりと私を見た。
目が合う。
私は、絶対に目線を逸らさずにいた。
しかし、
婆さんの顔は、かなりの形相だった。
私を、怨み殺そうくらいの睨み方だった。
般若なんて、ちょろいくらいの、
今までに見た事の無い、恐ろしい形相だったように思う。
( 、、、私は、ちょい怯んだ。)
しかし、
少し残念そうな顔にも、見えた気がした。
私は、かなり、かなり怖かったが、
心の中で、婆さんに言った。
「おぃ、婆さん、
ここに、あんたが居られても困るんや。
助けてくれる人んとこに、行きや?」
すると、
婆さんの顔が、段々と、
黒やら灰色やらの絵の具を、
ぐちゃぐちゃに混ぜたようになってきた。
黒いとこ、灰色のとこ、、、。
少しだけ、、白いとこ。
( 気味悪ぃ、、、)
そう、私は思ったが、
すると、
混ざった色は、どんどん黒く変わり、
そうして、部屋の暗闇に溶け込んでいった。
私は暫くの間、呆然としていて、
今更ながら襲ってくる恐怖に、身体を動かせなかった。
ふと、
(、、、婆さん、帰ったんか、、、)
そう思い、部屋の電気をつけた。
その後は、
中々寝付けなかったが、
知らぬ間に寝てしまったようだった。
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次の日の朝、大学に行く為に起きる。
( かなり頑張って起きる )
今日は、1時限目からなのに、
昨夜の事もあり、寝不足だ。
しかも私は、とてつもなく寝起きが悪い。
(なので、
「朝、電話で起こして!」と頼んでも、
友達や、後輩までもが、イヤがって、
断られる率100%だった、、くそぅ、、、)
ボーッと、茶を飲む。
『おはよぅ、、』
誰かに挨拶された。
部屋の隅っこからなのか、耳元でなのか、
それは記憶は無い。
ただ、外から聞こえた声では無く、
明らかに、私の部屋の中から聞こえた。
若い女性の声だった。
しかも、可愛さアピールみたいな声だった。
寝起きが悪い私は、
(朝から、爽やかに挨拶すんじゃねぇ!)
と、1人でブチ切れ、
当然、無視。
( おぃ、ねーちゃん、
朝にな、、2度と、爽やかな声で、
『おはよっ?うふっ♡』とか言うなよ?
今度言ったら、瞬殺。)
私は、そう思いながら、
さらに機嫌を悪くしつつ、大学に向かった。
作者退会会員
短編にしようと思っていたのですが、
少々、、? いや、長くなってしまいました。
今回の話は、
実話9割、脚色1割って、感じです。
よろしければ、読んでやって下さい。