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※ この話は、実話です。
一切の脚色は、ありません。
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小学生の時に友達の家に、遊びに行った。
いつも、
「こんにちは。」
と、挨拶しても、誰からも返事は無い。
ただ、私達がいつも遊ぶ部屋の、
隣の部屋には、こちらに背を向け、
いつも縫い物をしている、友達のお婆さんがいた。
背中を丸めて、いつも暗がりで、
縫い物をしていた。
子供ながらに、不気味だった覚えがある。
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ある日、いつもの様に、
友達の家に遊びに行ったのだが、
どうしても、トイレが我慢出来なくなり、
「おトイレ、かして?」
と言った。
友達は、「うん、廊下の奥や。」と、
軽い感じでそう言われたのだが、
私は行きたくない気持ちで一杯だった。
何故なら、友達の家は古く、
トイレがある方は、真っ暗な廊下の突き当たりだ。
あまり、行きたくは無い。
ミシッミシッと、廊下を歩く度に、
床の軋む音がする。
( 電気は無いんやろか、、、)
そして、トイレに着き、
未だに、ぼっとん便所であるトイレで、
用を足そうとした。
私は、焦る一方だった。
怖かったから。
すると、トイレの扉の向こうから、
小さい声が聞こえて来た。
( 何や、、、?)
用を足すのも忘れ、耳を澄ませる。
、、、、、、、、、
『、、、けて、いや、、、
しィて、こ、、そ、か、、、』
( 何なん? 怖いんやけど、、)
私は急いで、友達の名前を呼んだ。
しかし、
友達の部屋からは、
あまりにもトイレは遠く、声は届いてない。
その間にも、変な声は聞こえてくる。
私は、息を潜めた。
段々と、その声が何を言っているのかが、
分かってきた。
『あァて、、わ、、や、
し、て、お、、か、、、』
、、、、、、、、
『あぁ、て、、かわ、や、
しー、ィ、て、お、、そか、ァ、、、』
、、、、、、、、
『あァーて、かわ、や、ぁ、
し〜ィめてお、そか、ァ、、、』
、、、
『あァ〜て、かわ、い、、ぁ、
しぃ〜、めてお、とそか、ァ、、』
、、、
『あぁ〜けて、かわいやぁ、
しィ〜め、て、おとそかァ、、、』
、、
『開ァ〜けて、可愛やぁ、、、
閉ぃ〜めて、落とそかァ、、、?』
、、、、、、、、、
( 何や?これ、、、)
私は、限界だった。
思いっきり、トイレの扉を開けた。
死ぬかも知れない、と思ったし。
すると、、、
トイレの前は、そこには、
友達のお婆さんが、立っていた。
ニッコリと、
いや、私には、
ニタァと、笑っている様に思えた。
「開けてくれたんやぁねぇ〜」
私は、
ダッシュで友達の部屋に戻ったが、
今あった出来事を、言えなかった。
友達のお婆さんやし、、、。
ドキドキしてた。
早く家に帰りたかッた。
( 怖い、、、。今のって一体、何や?
何の歌なん、、、?
早くトイレから、
出て来いって言う歌、か?)
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すぐに家に帰り、
産まれた時から、ずっと、
此処の地元に住んでいるおとんに、
この事を聞いてみたが、
「そんな歌は、知らん。」
と言う。
おかんが心配して、
「次から、家で遊ぶまっしや?」
と、言ってくれたが、
しかし、その友達は、
他人の家では、遊ばないのだ。
いくら、
「今日は、私の家で遊ぼっさ!」
と、誘っても来ない。
一旦、友達の家に遊びに行き、
部屋で、中学生のお兄さんと喧嘩し、
そして、怒り狂った顔で、
「外で遊ぼうさ、」と、促される。
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私は思った。
( 、、確か、、、
友達のお婆さんって、
富山の、、田舎の方から、お嫁に来たとか、
友達が言うてたな、。
そこの、歌なんやろか、、、?
よく分からんけど、怖かった、、、
やけど、
これからは、あんまし、
友達ん家に行きたくないなぁ、、、。
お兄さんも怖いし、お婆さんも怖いし。)
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それ以来、
私が、その友達の家に遊びに行っても、
絶対に、トイレには行かない。
勿論、友達は、私の家には遊びに来ない。
でも、小学生の私にとって、
彼女は " 親友 " だった。
そうして、
いつものように、友達の家へ遊びに行く。
私達が遊んでいる、隣の部屋で、
お婆さんが背を向け、縫い物をしている。
作者退会会員
この話は、大分前に書いたものです。
またまた方言、連発です。
休みを良いことに、更なる投稿です。
何故なら、あひるは、、、
今、スランプでございますので、笑。
( 偉そうに、あひるめっ!)
ただ、この話は、脚色無しのお話です。