中編3
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トイレの話

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※ この話は、実話です。

一切の脚色は、ありません。

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小学生の時に友達の家に、遊びに行った。

いつも、

「こんにちは。」

と、挨拶しても、誰からも返事は無い。

ただ、私達がいつも遊ぶ部屋の、

隣の部屋には、こちらに背を向け、

いつも縫い物をしている、友達のお婆さんがいた。

背中を丸めて、いつも暗がりで、

縫い物をしていた。

子供ながらに、不気味だった覚えがある。

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ある日、いつもの様に、

友達の家に遊びに行ったのだが、

どうしても、トイレが我慢出来なくなり、

「おトイレ、かして?」

と言った。

友達は、「うん、廊下の奥や。」と、

軽い感じでそう言われたのだが、

私は行きたくない気持ちで一杯だった。

何故なら、友達の家は古く、

トイレがある方は、真っ暗な廊下の突き当たりだ。

あまり、行きたくは無い。

ミシッミシッと、廊下を歩く度に、

床の軋む音がする。

( 電気は無いんやろか、、、)

そして、トイレに着き、

未だに、ぼっとん便所であるトイレで、

用を足そうとした。

私は、焦る一方だった。

怖かったから。

すると、トイレの扉の向こうから、

小さい声が聞こえて来た。

( 何や、、、?)

用を足すのも忘れ、耳を澄ませる。

、、、、、、、、、

『、、、けて、いや、、、

しィて、こ、、そ、か、、、』

( 何なん? 怖いんやけど、、)

私は急いで、友達の名前を呼んだ。

しかし、

友達の部屋からは、

あまりにもトイレは遠く、声は届いてない。

その間にも、変な声は聞こえてくる。

私は、息を潜めた。

段々と、その声が何を言っているのかが、

分かってきた。

『あァて、、わ、、や、

し、て、お、、か、、、』

、、、、、、、、

『あぁ、て、、かわ、や、

しー、ィ、て、お、、そか、ァ、、、』

、、、、、、、、

『あァーて、かわ、や、ぁ、

し〜ィめてお、そか、ァ、、、』

、、、

『あァ〜て、かわ、い、、ぁ、

しぃ〜、めてお、とそか、ァ、、』

、、、

『あぁ〜けて、かわいやぁ、

しィ〜め、て、おとそかァ、、、』

、、

『開ァ〜けて、可愛やぁ、、、

閉ぃ〜めて、落とそかァ、、、?』

、、、、、、、、、

( 何や?これ、、、)

私は、限界だった。

思いっきり、トイレの扉を開けた。

死ぬかも知れない、と思ったし。

すると、、、

トイレの前は、そこには、

友達のお婆さんが、立っていた。

ニッコリと、

いや、私には、

ニタァと、笑っている様に思えた。

「開けてくれたんやぁねぇ〜」

私は、

ダッシュで友達の部屋に戻ったが、

今あった出来事を、言えなかった。

友達のお婆さんやし、、、。

ドキドキしてた。

早く家に帰りたかッた。

( 怖い、、、。今のって一体、何や?

何の歌なん、、、?

早くトイレから、

出て来いって言う歌、か?)

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すぐに家に帰り、

産まれた時から、ずっと、

此処の地元に住んでいるおとんに、

この事を聞いてみたが、

「そんな歌は、知らん。」

と言う。

おかんが心配して、

「次から、家で遊ぶまっしや?」

と、言ってくれたが、

しかし、その友達は、

他人の家では、遊ばないのだ。

いくら、

「今日は、私の家で遊ぼっさ!」

と、誘っても来ない。

一旦、友達の家に遊びに行き、

部屋で、中学生のお兄さんと喧嘩し、

そして、怒り狂った顔で、

「外で遊ぼうさ、」と、促される。

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私は思った。

( 、、確か、、、

友達のお婆さんって、

富山の、、田舎の方から、お嫁に来たとか、

友達が言うてたな、。

そこの、歌なんやろか、、、?

よく分からんけど、怖かった、、、

やけど、

これからは、あんまし、

友達ん家に行きたくないなぁ、、、。

お兄さんも怖いし、お婆さんも怖いし。)

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それ以来、

私が、その友達の家に遊びに行っても、

絶対に、トイレには行かない。

勿論、友達は、私の家には遊びに来ない。

でも、小学生の私にとって、

彼女は " 親友 " だった。

そうして、

いつものように、友達の家へ遊びに行く。

私達が遊んでいる、隣の部屋で、

お婆さんが背を向け、縫い物をしている。

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