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咄嗟の?それとも必然の?

中編4
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咄嗟の?それとも必然の?

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その日も、

いつもと変わらない、同じ朝だった。

パパが、

ワイシャツのカフスボタンを留めながら、

2階から下りて来る。

「おはよう。」

「パパ、おはよー!」

朝食の、スクランブルエッグ、ベーコン、

サラダを食べながら、

5歳の息子と、7歳の娘が、楽しげに言う。

7歳の娘は、トーストにバター、

そして、5歳の息子はジャムを塗っていた。

「あらっ、

パパ、今日は早いのね?

ごめんなさい、

今すぐに、朝食を用意しますから、、、」

「そんなに、慌てなくても良いよ、」

と、コーヒーを飲みながら、パパは言う。

「学校はどうだい? 」

パパは、にこやかに娘に聞く。

「うん!楽しいよ?

お友達も、いっぱいいるし!

あっ、ねぇ、、パパー、

私ね、、、

ピアノ、習いたいんだけど、、、良い?

ママがね、パパに聞いてからじゃないと、

ダメだって言うから。」

娘は上目遣いで、パパを見る。

「うん、もちろん良いよ?」

「ホント?パパ、大好きー!!」

娘は、パパの首に腕を回して抱きついた。

「幼稚園は、楽しいかい?」

パパは、息子に聞く。

「ボクね、今度ね、お遊戯会で、

主人公をやる事になったんだ!

パパ、凄いでしょ?」

「そりゃ、凄いな!

パパもお遊戯会、見に行くよ?」

「ホント?パパ、大好きー!!」

息子は、パパの首に腕を回して抱きついた。

3人は、すこぶる楽しげで、

暖かい雰囲気に包まれていた。

突然、

「あれ? ママ、遅いね、、、?

パパ、ちょっと見てくるね、」

パパが席を立つ。

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「ママー?」

台所では、ママが目玉焼きを作っていた。

「遅くなって、ごめんねー?

パパ、目玉焼きは半熟が好きだから、

かるく蓋しないと、ねぇ、、?

でも、ベーコンはね、

いつものように、

カリカリにしといたから!」

「ママ、いつも、ありがとうな。」

「やだぁ、何!?

どうしたの、急にー??」

ママは嬉しそうだ。

「あっ、

目玉焼き、、もう、良い頃かなぁ? 」

ママが蓋を取る。

「うん、もう良いと思うよ?」

パパは、にこやかにそう言うと、

火を強火にし、

ママの頭を掴んで、顔面をフライパンに、

押し付けた。

これでもか、と言くらい強い力で。

「ジューーーーッ!!」

生肉が焼ける音がする。

煙も出る。

変な匂いもする。

ママは、手足をバタバタさせる事しか、

出来なかったようだ。

しかし、

そんな状態でも、ママは何か言っている。

「何?上手く聞こえないよ?

どうして欲しいの?」

ママはまだ、何か言っている。

パパは、苛立ったようだ。

すぐそこにあった、メモ用のボールペンで、

ママの両耳をぶっ刺した。

そして、ママの顔を全体的に焼くように、

色んな角度から押し付けた。

少し前までは、バタバタしていたママも、

時期に動かなくなった。

パパが手を離すと、ママはドサッと倒れた。

顔は、顔じゃない。

鼻は、どこに行ったんだ?

全体的に黒いが、

顔の皮が剥がれて、

赤く、そして白みがかった部分もある。

所々、ダラダラと何かが流れ、

焦げ付いてる皮膚もある。

生え際の髪の毛など、とうの昔に無い。

両耳からは大量の、どす黒い血。

これだけで、ママが死ねたのは、

熱された油からの肺の火傷、

ちょうど、口元に当たっていた、

目玉焼きからの窒息死、

両耳に刺されたボールペンなど、、、

に、よるものなのかも知れない。

パパは、

まだ燻っているママの顔を見て、

少しだけ、笑う。

そして、ママのその頭を、

まるで、汚い物かの様に掴み上げた。

手には、焦げた髪の毛がつく。

「汚ぇっ!!」

すぐ様、流し台の洗い桶につけた。

「ジューーーーッ!!」

煙が上がる。

あたかも、熱したフライパンに、

急に水をかけたかの様な、音と、煙。

そして、気持ちの悪い、匂い。

夥しい程の血液。

遠くから、

娘と息子の声が聞こえる。

「ママー、焦げ臭いよー、

パパの朝ごはん、

失敗したんじゃないのぉー?」

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暫くして、パパが戻って来た。

「何かね、

パパの朝ごはん、

失敗しちゃったんだってー!」

「やっぱりー?」

2人が無邪気に笑う。

「ほら、ママって料理が得意だろう?

いつも美味しいよな?

だけど、料理、失敗してさ、

ママ、かなり落ち込んでるんだよね。

だから、

そっとしておこう?

分かるだろ?

パパは、もう、

仕事に行かなくちゃいけないから、

お前達も、学校と幼稚園に行きなさい?

1人で行けるよ、な?」

「うん、

ママは可哀想だけど、

今日の夕飯、シチューだって言ってたし!」

「行って、て、来、きまぁす、ぁす!!」

2人揃って元気に挨拶をして、

飛び出して行った。

パパは、カフスボタンを外しながなら、

考える。

さて、

どうするかなぁ、、。

やっぱ、あいつかな、、、。

携帯を手に取る。

「あっ、もしもし?

悪いんだけどさ、会議の資料がさ、、、

、、うん、うん、、、

部長にはちゃんと、

オレから言っておくから。

、、うん、悪ぃな、

タクシー代は出すからさ、

本当に、こんな事まで頼んじゃって、

申し訳ないな、、。

じゃ、また後で。」

パパは、知らず知らずに、鼻歌が出る。

オレは、、、

カリカリのベーコンと、シチューが、

昔から嫌いだ。

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