中編3
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おかんの洗車

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この話は、100%実話です。

脚色などは、全く、ありません。

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ある日、朝、起きると、

家の前から、何やら音がする。

何気無しに、見てみると、

おかんが、私の車を洗車していた。

(、、、? そんなに車、汚れてたか、、?)

おかんに聞く。

「ねぇ、何で車、洗っとれん?

何か、汚かったけ?」

「あー、

昨日あんた、友達と福井の方に行ったやろ?」

「うん、恐竜博物館。」

「どの道で行ったん?」

「えぇ?

私、道知らんし、友達が運転しとったけど、

山道やったわ。

かなりの。

変な、川とかも流れとって、

本当に、山道って感じや。

道路も、コンクリじゃ無くて、砂利道やしな。

やけど、近道や、とか言うて。」

「ふ〜ん、、」

「えぇ?何なん?」

「あぁ、

やし、車が汚れとったんやなぁ、と思って。

まぁ、キレイになったさかいに。」

「う、うん、ありがと。」

そうして、

おかんは家に入って行った。

( そんなに汚れとったん?

もう絶対に、車は貸さん!!)

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それから、何年も、何年も経ち、

おかんと、

他愛も無い事を喋っていたのだが、

何故だか、あの時の、車の洗車の話になった。

「私、山道走っとって、

車がそんなに汚れるとは、

全然、思わんかったわー。

松ヤニとか、そう言うんかなぁ。」

おかんは、

「そうかも知れん、ねぇ、、。」

と言ったが、何だか歯切れが悪い。

「えっ?

何なん? 何かあったんけ?」

「あっ、何もないよー。」

「何かあるやろ?」

「、、、。

まぁな、、

あれからだいぶ、時間もたったし、、。

あんたが福井から帰って来た、次の日の朝な?

おかん、朝刊を取りに行くがに、外出てん。

まぁ、あんたの車は、

家の前に、あるんやけど、な。」

私は、黙って聞いていた。

「そんで、おかんな、

何か、車が汚れとるなぁって、近づいてん。」

おかんは、黙り出した。

「えっ、何なん? 言うてや!?」

「、、、。

あんた、びっくりせんか?」

「せん。やし、言うて?」

「、、、おかんが、車に近づいてみてな、

初めて分かってん。何で、汚れとるんか。

あのな、、、

あんたの車の、後ろのガラスやら、

他のとこにもな、

、、、人の手形?って言うんか。

手のひらの跡がな、

すっごい沢山、付いとったんや。

あんた、その日に帰って来たの、

夜やったし、分からんかったんやろけど。

おかん、びっくりしてな?

それで、あんたが起きる前に、消さな、

思うて、、、。

やし、あん時に、

あんたの車を、洗っとったんや。」

私は、いくら昔の事とは言え、

怖くて何も喋れなかった。

( えっ?

誰が付けたんけ!? あの山道で、か、、?

気持ち悪いんやけど、、、)

しかし、

そんな事を、おかんに聞いても仕方ない。

「ねぇ、おかん、、

その後にも、そんな手形付いとった時って、

あったか?」

「あぁ、その後は無いよ。」

「、、、。

おかん、ありがと、、。」

「もう、昔の話やがいね!

こんなん、忘れようさ、なっ?

おかんは、強いんやさかい、

そんなもん、

プップップッーって、追い払うわ!!

なーんも、怖い事なんて無い。」

私は、頷いた。

( 私の強気は、おかんに似たのかも知れない。

いや、似たんだろう。)

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今でも私は、その車に乗っている。

もう随分と古くなったが、私の相棒だ。

居なくなると、困る存在。

おかんも。

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あひるさんの実話大好きで毎回楽しみ読ませていただいてます。
これからも応援させて頂きます。(^^)

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