S君が夕食時に興味深い話をしだした
「あのな・・・俺の知り合いの人から聞いた話だけどな
その人の家のそばにある竹林があってここ10年間で子供が4人ほど消えたんだってその人は話してくれたんだけど・・・」
「おっちーー!!Sアニキ、4人って・・・」とS子はびっくりした顔になっていた
「そう・・・4人もな・・・・それでその竹林を捜索したんだけど見つかることがなかったそうだよ」
「うそだろ・・・」と私
「それで俺は思ったんだけど誘拐されたんではと思ってるんだよ」
「あり得るよな・・・」と私もそう思った
「うん・・でもその人は「S君、誰もがそう思うよな・・・でもな・・誘拐ではないんだよ・・・」と言うんだよ」
「誘拐じゃないのかい?」と私は少し驚いた
「そう・・なにせその竹林の広さがほぼ100メートルしかない
その周りは確かに道路だけどな・・・子供たちはその竹林の中で遊んでたんだよ
それでその中の一人が「○○ちゃんがいない」と大騒ぎをはじめてほかの子供たちもその子がいないことに気づいてあたりを探したんだが見当たらない」
「え・・・遊んでるうちにいなくなったのか・・・でも・・・その子が勝手に竹林から出て行ったんじゃない?」と私
「いや、違う、みんな近くて遊んでた、気づいたらいなくなってたというパターンなんだよ
だから一人でもいなくなった時点でわかると思うけどな・・・まぁ・・小さい子だから夢中になってたら周りは見てないからな・・・」
「まさに神隠しだな・・・でもな・・・やはり・・誘拐の線が濃いよな・・・」
「まぁな・・でも身代金などの電話はなかったんだよ・・・」
「え・・それは・・・」と私
「それから大人による捜索をしたんだよ。でもな100メートルしかない場所だからものの30分ほどで竹林全部を捜索したんだが見つかることはなかった
大人たちも困惑したらしく「もしかして・・・誘拐」ということで警察へ連絡をして警察も竹林を捜索したのだが見つけることができなかった・・・本当に「神隠し」にあったんではないかと言うことになって一時大騒ぎになったんだよ」
「神隠しか・・・・あり得そうであり得ない・・・人間が忽然と消えることは昔からあるけどどうもなぁ・・・」と私は首を傾げた
「それから3年後にな・・・その当時にいなくなった子供の服が見つかったんだよ・・」「ええええ!!!どういうことだよ?子供は見つからなかったんだろ、なんで服があるんだよ」と私や家族はびっくり
「だろ・・・服が見つかって子供が見つからない・・・」
私はふと思った
もしかして・・・竹・・・竹は成長が早い
いや・・・でもな・・・一気に成長するとはいえ・・・
私の頭の中は
遊んでておそらく座って遊んでたとしてそのあたりに竹が生えていて
ちょうどうまい具合に子供の後ろから竹がどんどん成長していき背中の中に入り服に引っかけたまま子供と一緒にどんどん成長していったんのではと・・・・声を出そうにも首あたりに服がからまって声が出ずにそのまま窒息死・・・まさかな・・・子供たちが遊びはじめてから気づいた時間がどのくらいなのかだな・・・
「おい!F・・・今お前が考えたことがあってるのかもよ・・その人もな・・竹が関係してるんじゃないかと話してくれた・・・どんどん成長していき死んで白骨化して服だけが地面へ落ちた・・でも・・・月日がな・・その白骨化したかもしれない骨が見つかっていないんだよな・・」
「うそーーー、マジかよ・・・まさかな」と私は驚いた
家族も唖然となった
「おっちーー!!そんなことあるの?・・・」とS子の顔が蒼白になっていた
「パパ・・・その話・・・本当なら・・あたち・・怖いんだぞ」と葵が目をまんまるにして私を見ていた
「カナも・・・なにか・・背中を触られた気がした・・」とカナちゃんもおびえた顔になっていた
「Sおじさん・・・そういう話はやめてほしいよ」と楓の抗議
「え・・あ・・ごめんごめん・・・雰囲気壊しちゃったね」とS君は頭を下げた
「まぁいいや、その話の続きは夕食が終わってからしようや、Sちゃん」とオヤジは何か気になることがあるようだ
夕食は終わり
S君・オヤジ・わたし・娘3人は仏間へ集まった
「あれれ・・楓ちゃんたち、大丈夫?」とS君が優しく語りかけた
「おじさん!!怖いけど聞きたい、じいちゃんたちがいるから大丈夫」と楓は嬉しそうに答えた
「そっか・・・」といいながら話の続きをした
「やはり・・・というかその線が怪しいよな・・・神隠しなどまずありないとおもう」と私
ガタン
「え・・・今、仏壇の方向から音がしたんだぞ、パパ」葵は仏壇を見ていた
「確かに聞こえた・・・」と私は気になり仏壇の扉を開けた
別に異常はない
「しかしよ・・・死体というか骨が完全になくなるとは思えんぞ
どうもなぁ・・・竹の件もいい線はいっているとは思うが・・・」とオヤジは考え込んでしまった
いくら竹の成長が早いといってもいきなり一気に成長するとはおもえない
でも服だけなのか?ズボンはどうした?
「S君・・・服は見つかったけどズボンなど他に着ていたものは見つかったの?」と質問をした
「いや・・・ほかには・・・聞いてないな・・・確かにな、服だけみつかって他が見つからないのはおかしいよな・・・」とS君は腕を組み下を向いた
「やはり・・神隠し・・・異次元の出入り口があるのか・・・」とオヤジがボツリとつぶやいた
その線は私たちならもう色々と経験してきた
あり得る話だ
偶然にも異次元の穴に入ってしまったのかも
というかその竹林の土地がちょうど異次元の出入り口になっているのかも
「パパ・・・わたしもそう思えるよ・・なにかね・・・パパたちの話を聞いてるときになんとなく小さな子供の声がするんだよね・・空耳なのかなと思って耳を澄ましたんだけど・・やはりね・・小さな声で何を言っているかわからないけど・・・聞こえる」と楓は耳を澄ませながら話してきた
「え・・・子供の声・・・パパは聞こえないけどな・・」と私は驚いた顔をして楓を見た
「カナ・・・楓おねえちゃんの・・後あたりから・・・人の気配を感じる・・・」とカナちゃんは楓の方向を見て話しだした
「え・・・後ろ・・・カナちゃん・・・私には気配を感じない・・・」と楓はびっくりして後ろを何回も見た
カナちゃんも楓と同じくらいの霊力はあると思う
昔の子供の時のF子と同じだ
時折・・何かを感じるらしく体調を壊す
もちろんオヤジや私も傍にいて看病をするけれど本当にかわいそうだと思う
葵が特に心配そうにカナちゃんの手を握っては「大丈夫なんだぞ、葵がいるんだぞ」と語りかけている
「こりゃ・・・ちょっとな・・・香を焚くか・・・・」とオヤジは線香に火をつけた
部屋中に線香のにおいが充満した
だいぶ部屋の空気が軽くなったように感じた
「カナ・・・だいぶ息ができるようになったよ、じっちゃ」と小さな声でつぶやいた
「私もだいぶ楽になったような気がするよ」と楓も大きくを息を吸ったり吐いたりしていた
「おい!一応1階と2階の廊下でいいから線香を持って歩いてこい」とオヤジは私に言ってきた
「そうだな、行ってくるかな・・・」と線香を手に持ち部屋を出た
「パパ、私もついていくね」と楓が後ろからついてきた
「うん・・・まぁ・・・自分の家だよ・・・楓」と言うと
「うん・・・実は・・部屋に宿題を取りに行こうかなぁと思ってたところ・・」と小さな声で言ってきた
「そっか・・一緒に行こうな」
「うん・・・えへへへ」
2階から順に歩き娘たちの部屋の中を線香の煙と匂いで充満させて1階へ降りた
「パパ・・ありがと」と言って先に仏間へ戻っていった
「行ってきたぞ、オヤジ」
「ありがとよ、念のためにな・・・これで家の中は少しは軽くなったはずだ」
「一度・・・その現場へ行ってみたいな・・・Sちゃんよ」
「おやっさん・・やはり気になっているんですか?」
「まぁな・・・色々と考えているんだが・・・一番いいのは現場を見ることだからな・・・」
「たしかに、オヤジよ、現場へ行ってみようよ、S君、その人に連絡してほしい」
「OKOK!明日に聞いてみるよ」
1週間後にS君からその人から「OKをもらった」と電話が来た
その人もやはり気になっていて一人ではその竹林の中へ入りづらいらしく「丁度よかった」と話したらしい
さらに1週間後の土曜日にその竹林へ行くことになった
3人娘たちがどうしてもついていくということで私としては本当は連れて行きたくはない
特に楓が「パパ!!私たち3人娘を連れていってほしい」と強く言ってきた
「あ・・でも・・怖い目にあうよ、いいの?」
「それは・・・嫌だな・・・でもパパやじいちゃがいるもん、怖くないもん」と言い出してきた
娘の強い意志?を尊重して連れていくことにした
まぁ・・大人ばかりだと道中、つまらないだろうと思う
当日、朝から快晴
案内役のBさんの家へ向かった
オヤジの提案で私の車とS君の車2台で行くことになった
やはり3人娘たちを連れてきて正解だった車中は賑やかになった
まぁS君は一人で運転をしてたけれど・・・
Bさんの家へ着いてBさんが出迎えてくれた
少し楓の様子がおかしい
いつもなら真っ先に前へ出て挨拶をするのに今回だけはなぜか私の後ろへ隠れた
今まで人見知りすることは無かったのに・・・・
Bさんが「家へ上がるように」と笑顔で迎えてくれた
今までのあの竹林のことについて話をしてくれた
「でわ・・例の竹林へ行きましょう」
Bさんの家からおよそ1km先にある
歩きながらBさんの話を聞いた
いろいろと噂のある竹林ということはわかった
楓が私の後ろに回ってBさんを見ていた
「楓、どうした?」と小さな声で聞いてみた
「パパ・・・今はちょっと言えない・・パパの後ろから付いていくから・・」と小さな声で答えてきた
私は何かしらの不安要素を覚えた
人見知りのしない楓が私の後ろからついてくるということは楓にはBさんは何かが見えてるということなのだろうか
おしゃべりしながらあっという間に竹林へ着いた
「え・・・竹林というから整然と竹が生えているかと思ってた・・何これ・・竹藪じゃないかよ」とオヤジのびっくりした声
本当に竹藪だ
下の草がボウボウ・・・竹が単に伸びていますという状態
「いや・・・あの事件・・・というか4例目の後に立ち入り禁止なってしまい誰も竹林を整備しなくなったんですよ・・・今じゃこんな有様です・・・」と寂しそうな顔をしていた
「これじゃ・・・どこから中へ入るんだよ・・・無理だぞ、オイ」とオヤジの嘆き声
「私も久しぶりに来たんですけど以前よりさらにひどくなってます・・一応・・ここら辺あたりに入口があったんですけれどね」とBさんは指をさした
どうみても中へは入れない
中の様子が見たいから来たのだ
「とりあえず、この竹藪の周りを回ってみよう」と私は提案した
およそ100メートル四方の竹藪
たしかに周りは道路に面していた
ゆっくり歩きながら竹藪を見て回った
((たすけてーーー・・・・その人から離れて・・・))
「え・・・パパ・・・今・・竹藪のほうから何か声がしたよ」と私に小さな声で話してきた
「え・・・何?声?・・・パパには聞こえなかったよ・・・」と小さな声で楓の耳元で答えた
「聞こえなかったの、パパ・・・女の子の声のようだったけれど・・空耳かな」と楓は首を傾げた
カナちゃんが私の傍に来た
「お・・じさん・・この竹藪・・カナ・・・怖い・・」と顔をうつむいて私に言ってきた
この2人が何かしらの気配を感じてる
私はこの場にいてはダメなような気がしてきた
「もうそろそろお昼だから・・・どこかのお店へ行きましょうか」
「おお!お腹が減ってはな!」とオヤジはお腹をパンッと叩いた
ちょうど角に中華料理店があった
昼食はそこで取りBさんと別れた
「オヤジ・・・今日は帰ろう・・・楓とカナちゃんが何かを感じたようだから」
「そっか・・・ここにいると危ないな・・帰るか」
「おやっさん・・・俺、もう少し、この竹藪のことを近所の人から聞いてくるわ」
S君と別れ早々に家路についた
「楓・・・体調はいいのかい?」
「うん・・パパ・・・あの竹藪から・・何か・・・すごい気配がしたよ・・声も聞こえたし・・」
「カナ・・・も・・・何か変だよ・・・」
「すげぇーーな、2人とも・・すごい能力だぜ」
「俺は全然感じなかった」
「パパ・・鈍感だから・・・」
「あはははは・・・」
「あのな・・せがれよ・・あの竹藪な・・・はっきりといってやばいぜ、それとあのBさんな・・ありゃ・・・生身の人間じゃないのだが半分は生身なんだよな
生霊とは違う・・・半分人間で半分は幽霊・・・それを楓ちゃんは見抜いたんだよ」
「じっちゃ・・・うん、そのとおり・・でも自信が無かったからパパの後ろへ隠れてあのおじさんを見てた・・・でもどうみても普通の人じゃない・・・」
「え!うそだろ・・・・どういうこと?理解できん」
「せがれよ、人間というのは肉体の中に霊魂が入ってる
それで人間として生きてるんだよ・・・人は死ぬと肉体から霊魂が離れていく
その離れた霊魂がある程度この世に留まっていずれ天国か地獄かに行くことになる
ところがなかなか成仏せずにこの世に留まってるものが幽霊というわけだ
あのBさんは逆で霊がこの世に留まって肉体があの世へ行ってしまったんだよ」
「えええ!!なんだそりゃ・・・理解できん・・・肉体って・・・あの世へ行けるのか?」
「あぁ・・・おまえらや俺も・・・天国へ行ったろ・・・ただ・・・俺らはきちんとした肉体(霊)で天国へ行ったんだよ・・・だからきちんとこの世へ戻ってこれた・・・ところがBさんは肉体だけがあの世へ行ってしまい霊魂がこの世に留まってしまって中途半端な状態となってるんだよ・・・あの世へ行った肉体は絶対に腐らない・・永遠に肉体はあの世で存在し続けるんだよ・・・あの世にいる肉体はあの世の連中からは絶対に見えない・・つまりずっと孤独なんだよ・・・この世のBさんの霊魂はどこへ行っていいのか迷ってる・・しかし、この世の人はBさんの霊魂がはっきりと見えてるわけだ・・・だからこの世のBさんは「生きてる」と勘違いしてる・・・
そういう状況を作ったのがあの竹藪だよ
あの竹藪のどこかにこの世とあの世を繋ぐ場所があるはずだ
それが子供4人が失踪した真相だよ
つまり子供4人はあの世へ行ってるんだよ
あの世で子供4人は生きてるはず?(死んでるはず?)だ
探し出すのはほぼ無理だろうな
可哀そうだがあの失踪した子供4人は永遠に子供のまま生きていく?(死んでいく?)ことになる
Bさんも永遠にあの状態・・・俺や楓ちゃんやカナちゃんの力では何もできない
出来るとしたら創造神だけだろうな
この世とあの世を作った神だ」
「おやっさん・・・さすが・・・」といつのまにかS君が帰っていた
「いろいろと聞いてきたんだけど・・あの竹藪は元は神社が祀ってあって火事で全焼になったようだ、それから誰も手を付けずに荒れ放題
それと子供4人の失踪は本当のようだよ、神社があったときにね
4人目の失踪の後に全焼したらしい
その火事の焼け跡に死体が出たらしい
どうやらこの神社や竹林を毎日掃除をしていたおばあさんだということだよ
放火を見られたので口封じに殺されたのではないかと近所の人の話
それとBさん・・・どうやら・・・その火事が起きた時に近くにいたらしい
近所の人たちはBさんが放火し口封じをしたんじゃないのかと疑ってるみたい
警察もBさんを連行していったらしい
ところが証拠が無く釈放されたと言っていた」
「ちょいまち・・・もしかして・・・死んだのはBさんじゃないのか
放火したのはそのばあさんかも・・・でも矛盾だな・・・死んだのはばあさんだし
第3者が放火をしているところをBさんとばあさんに見られて殺した・・・・
ばあさんは恐らく逃げ遅れて火の中に放り込まれた
Bさんは・・・逃げまわっているうちにあの世とこの世の境目に入ってしまった
それで・・Bさんはあんな状態になってしまった
一応筋は通るよな・・・・」とオヤジはブツブツと言ってた
まとめると子供たちは肉体のままあの世へ入ってしまった
Bさんの肉体はあの世へ行き霊魂はこの世で留まってしまった
そのあの世とこの世の境目が必ずあの竹藪のどこかにある
放火魔はまだ捕まっていない
おそらくあの世とこの世の境目は焼けた神社辺りだと思う
しかし、楓やカナちゃんの話だと近づくのは非常に危険と言っている
今回はここまでだな
後、Bさんだ
Bさんをどうやって説得させるかだ
本人は生きてると思っているからな
Bさんを成仏させたい(もう死んだのも当然なのだ、肉体から霊魂が抜けたらもはやその体は単なる器だから)
しかし、その方法がわからない
作者名無しの幽霊
今回の件は本当に驚いた
肉体だけがあの世へ行く?・・・オヤジの話を聞いて「嘘だろ」と思った
それと4人の子供たち、永久にずっと子供のまま
Bさん・・・
全然普通の生きてる人間としか思えない
あれが霊魂だって・・・信じられない
今回はこれ以上は無理ということで断念をしたけど真相を知りたいという思いが強い
しかし・・・私たちの能力では無理だということ
なんとも後味の悪い終わり方になった