中編4
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通報が多い部屋

通報が多い部屋があった。それはあるマンションの一室である。

他の部屋に住む人たちが頻繁に警察へ通報するのだ。

内容としては「物音が聞こえる、怒鳴り声や叫び声が聞こえる。お皿が割れるような音もする」

といったところだ。

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その日もマンションの住人から問題の部屋のことで通報があった。

警察はパトカーで駆けつけた。

しかしいつものことながら解決はできなかった。

確かに叫び声や物音、怒鳴り声に皿の割れる音が聞こえてくるのだが警察は部屋に入ることができなかった。

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どういうわけか知らないが、ドアの鍵をカチャッと開けても開かないし、強行作戦で窓ガラスを割ろうとハンマーで叩いても割れなかった。

いつものことだった。

そこで開けるために何かヒントを得ようと部屋の中の声を聴診器を当てて拾っても何を言っているのか分からなかった。

(怒鳴ったり叫んだりしているのは確かだが、、、)

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困った警察はバカバカしいとは思いつつも、ある手段を取った。

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それはお寺の住職に来てもらいお祓いのお経を読んでもらうというものだ。

物理的に侵入できないのは霊の仕業だろうと考えたのだ。

さっそく警察は近くの寺へ行き住職にお願いした。

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住職は快く引き受けてくれて、警察はパトカーで問題の部屋まで連れて行った。

住職は部屋の前でお経を読み始めた。

読み終わって警察が鍵を開けてドアノブに手をかけると簡単に開いた。

警察は本当に霊的な作用で開かなかったことを知った。

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警察は5人いたが、安全のために部屋に突入するのは勇気ある警官1人と住職だけとなった。

後の4人は何かあった時に救出するために外で待機となった。

念のため、警察は無線を繋げて部屋に突入した。

もちろん、ドアは開けたままにしている。

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部屋に入ってすぐ

「助けてください!助けてください!」と部屋のどこかから聞こえてきた。

声のする方へ警察と住職が向かった。どうやら押し入れの中から出ているようだった。

「バン!バン!」「助けてください!ここから出してください!」と必死に中の人は叫んでいる。

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「今助けます!」と警察がドアに手をかけようとしたら

「おやめなさい!!」と住職は大声で止めた。

「なぜですか?!」と警察が驚いたように訊くと

「ご覧なさい。ドアの隙間にお札が何枚も挟まっているでしょう」と静かに答えた。

「あ、本当だ」と警察が言うと

「この押し入れの者たちは誰かに封印されているのでしょう。理由は分かりませんが危険です。」

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「ではどうしたら良いのですか?」と警察が尋ねたが

「分かりません」と住職は答えた。

そうしていると「キュウッバタンッ!!」とドアが強く閉まる音がした。

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警察と住職は嫌な予感がして急いで玄関に向かったが、その予感は的中した。

玄関のドアが閉められていたのだ。開けようとしても開かない。

警察が慌てて「おい!どういうことだ!誰か閉めたのか?!」と無線で訊くと

「いえ、急にものすごい力で引っ張られるようにして閉まりました!」と外の仲間は言った。

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「いいから早く開けてくれ!中に閉じ込められてしまう!」と必死に訴えた。

「分かりました!ただいま開けます!」と仲間は言ったが一向に開く気配がない。

「これは不味いですね」と住職が重々しく言った。

「どう不味いのです?」警察が尋ねると

「私たちは今、現実世界と隔離された場所にいます」と答えた。

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「いやっでも、無線は繋がっているしそんなことないですよ!」と警察が焦りながら言ったが

住職は「無線の声をちゃんと聞いてご覧なさい。違和感があるはずです」と言った。

警察は耳を当ててじっくり聞いてみると仲間の声であるが他人と喋っている感覚になった。

耳を凝らして聞いていると無線の奥で

「ふふふ、ふふふ」と不気味な笑い声がひっそりと聞こえた。

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警察は「うわぁ!」と叫び無線から耳を離した。

「分かりましたか?どうやら私たちは本当に閉じ込められたようです」住職は静かに言った。

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警察も住職も外がどうなったかは知る由もなかった。窓ガラスを開けようにも開かないし、窓ガラスは真っ黒に塗られていて外が見えなかった。

水で洗い流そうと思い、蛇口をひねれば黒い液体が流れてくるばかり。

部屋の椅子で割って出ようとしたが、何度叩いても割れなかった。

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住職が様々なお経を読んでも全く通用しなかった。

2人は完全に閉じ込められていた。

そんな状況であっても時間が経つと腹は減るもので何か部屋の中に食料はないかと探した。

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冷蔵庫らしき箱の中を見ると大きな肉が置いてあった。

空腹でたまらなかった2人はそれを調理することにした。

部屋の電気はつかなかったがガスの火は点いてくれた。

ガスの火だけを頼りに真っ暗な部屋の中からフライパンと皿を探しそして見つけた。

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適当なところまで肉を焼き皿に乗せ、2人は肉を食べ始めた。

食べていると警察は口の中でおかしな何かの感触がした。口から出してガスの火をつけて、その「何か」を確認した。

警察は悲鳴を上げた。

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外にいるはずの仲間の1人の名刺だった、、、

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するとこの肉は?

もちろん仲間のものだろう。

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警察は肉を取り出した箱の中をじっくり目を凝らして見た。

箱の奥から両手で肉が次々に置かれていくのを見た。

その両手が出てくる先は隣の部屋からであった、、、

Concrete
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