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これは、以前に投稿した、
「母が呼ぶ」の話に酷似しています。
全て実話です。脚色は一切、ありません。
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私は、おかんと台所にいた。
いつもの光景。
私は、最近、
孤独な老人かのように、植物を育てており、
まぁ、唯一、
本物の年寄りと、違う所と言えば、
年金暮らしじゃあ、無い所と、
ネットで、
育て方を調べる、、と、言う所だけだ。
( いや、しかし、
最近のお年寄りも、ネットとかしてるなぁ)
そんなご時世だ。
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今は、
7人、人種の違う植物達がいる。
各々に、名前を付けて、
(ちなみに、全員、
戦国時代を生きた人達の名前が付いている。
何故なら、
そう、何故なら、、、
男女問わず、私のツボにハマる、
カッコイイ名前、ばかりだから!!
、、、まぁ、
それだけの事、、なんですがねぇ。)
毎朝、
「幸村さん、おはよー」とか、
毎晩、
「お市の方、おやすみー」とか、
声を掛けて、可愛がっている。
、、、、、、。
( 今、こんな事を、書きながら、
自分で、自分が、ちょっと怖くなった、、
、、私が、本当の、『怖話』か、、?
、ヤ、ヤバすぎる、な、、
、、きっと、私は、
もう時期、死ぬんだ、ろう、、、)
そうして、
私が、そんな可愛い植物達の事を、
せっせと、ネットで調べている時だった。
おかんが、
「ちょっと、銀行行ってくるわー」
と、何気なく言う。
私は、植物達の調べ物に夢中で、
「、、、う〜ん、」
と、生ぬるい返事をした。
そうして、
おかんが出掛ける音が、
聞く気は無いが、耳に入ってくる。
どうやら、
おかんは、チャリで行ったようだ。
銀行までは、
歩いても5分はかからない。
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暫くして、
家の犬ちゃんが、
顔を上げて、急に唸り出した。
私は、携帯など放り出し、
「どしたん?」
と、この世で1番、
大好きで、大切な、犬ちゃんに駆け寄り、
声を掛ける。
目に入れても、痛くない程の溺愛ぶり。
( いや、、、
到底、目には入らないだろうし、
実際の所、痛いだろうし、、。
私の阿呆ーっ!!
この期に及んで、
そんな冷静な考えは要らんのじゃあー!!
とにかく、とにかく、
そのくらい、大好きと言う事なんですぅー。)
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そうして、
玄関の開く音がした。
家の玄関のドアには、鈴がついている。
私が、
アジアンテイストな店で買ってきた、
200円くらいの鈴。
レジの所に、大量に置いてあって、
「この鈴って、何か意味あるんすか?」
と、私が聞くと、店の人が、
「鈴は、魔除けの意味があるから〜」
とか、何とか言ってた鈴。
『チャリン、チャリーン、、』
微かに、鈴の音が聞こえる。
そうして、
「よっ、こらっ、しょと、、」
おかんの声と共に、
自転車の後部にある、
スタンドを立てる音がした。
「ガッ、チャ、ンッ」
( あ、おかん、帰って来たんかな、)
家の犬ちゃんは、おかんが大好きで、
おかんが帰ってくると、
いつもなら、
しっぽを、これでもかと振りつつ、
おかんを出迎える、の、だが、、、。
いつの間にやら、唸り声も止んでいて、
知らんぷりして寝ていた。
( 、、、? 変やな、、)
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それから、暫く経つが、
おかんは、台所に入って来ない。
( 何か、しとるんかなぁ、、、。)
最初は、
気にも留めていなかったが、
しかし、あまりにも遅い。
私は、自転車がいつも止めてある、
玄関の土間の方へ、見に行った。
( 、、、あれ、?)
自転車は、無い。
おかんも、居ない。
私は、おかんにLINEを送った。
『 ねぇ、今、帰って来たやろ?
そんで、また、どっか行ったんけ?』
返事は無い。
すると、その5、6分後に、
『チャリン、チャリーン、、』
「あー、疲れた、銀行混んどったぁー」
私は、すぐに玄関の方に向かう。
急に、犬ちゃんが嬉しそうに、
しっぽを、これでもかと振って、
玄関へ駆け出す。
「よっこ、らっ、しょ、と、」
おかんは、
自転車のスタンドを立てていた。
「ねぇっ!おかん! LINE、見た!?」
「あぁ? LINE、、、?
ほんなもん見てないわねー、
だって、おかん、
携帯、持ってっとらんもん。」
「おかん、1回、帰って来たやろ?
そんで、
また、どっか行ったやろ?」
「またって、あんた、、
どこ行くん?
行くんやったら、
そこにも行ってから、帰ってくるわね。
そんな2度手間な事、する訳無いやろ?」
、、、。
確かにそうだ。
そうして、
おかんに、LINEを見せた。
確かに、LINEのメッセージは、
送られていたが、
その時間は、銀行に居たと言う。
おかんは、番号札を持ち、
イライラしつつ、時計を見ていたそうだ。
「、、、えっ?
おかんじゃないんやったら、
じゃあ、
あん時、誰が帰って来たん?」
私は、おかんに、
素朴な疑問を投げかけた。
「そんなん、
おかんに聞かれても、知らんわ。
よく分からんけど、誰か来てんろ?」
「そう言えば、、、
家の犬ちゃん、
おかんが帰って来る時、
いつもは吠えんのに、
誰かが来る前に、唸り声あげとったわ。
その誰かさんが家に入った途端、
知らんぷりになったけど。」
おかんは、
かーなーり、不機嫌に言った。
「あー、おかん、
そう言う話は、嫌いやからー、
あんたも知っとるやろ?
やし、おとんにして。」
「、、、はいよー。」
私は、軽くいじけながら、
( ちぇっ、おかんめ、
チャッキー人形がカワイイって、
言うとったのにっ!!
おまけに、チャッキーの花嫁まで!!
実際に、映画を観てないから、
そんな事が言えるんですよ。
あんなのが、カワイイなんて、
信じられませんがねっ!!
神経、疑いますがねっ!!)
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その後、私は、
再び、携帯を見出した。
おかんは、昔から植木が好きで、
色々と育てていたので、聞いた。
「ねぇー、おかーん、
肥料って、もう、あげて良いんやよねー?」
すると、おかんが、
「私は、おかんではありません。
『ママ』です。
これからは、『ママ』と呼んで下さい。」
、、、、、、、、、。
( 、、この人、とうとう、
頭が、おかしくなったんか、、、?
脳みその皺が、、減ったの、かい、、?
、いや、、待てよ?
よぉーく、
考えてみるんだ、私。
もしも、
1度目に、帰って来たのが、
本物のおかん、やったとしたら、、、
今のおかんは、偽物、、か、?
『ママ』って呼んで、とか、
意味不明な事を、言い出すし。
、、私よ、、、どうする、、、?
本物か、どうか、
確かめる方法って、あるのか、、?
、うーむ、、、
、、本人しか、知らん事、、、)
そうして、
考えた挙句、私は言った。
「はい、
では、ママに、質問です。
家にいる、
私のパキラ ( 観葉植物 ) の名前は、
な〜んだ?」
「、、、えっ、
何や?急に、、、。
あんたの植物、多すぎて分からんし。
前から、
名前の看板、立てといてって、
言うとるやろー!」
私は、急かす。
「は、や、くー!!」
おかんは、、、
ママは、焦る。
「ちょっと待って!
今、思い出すし、急かさんといて!
、、、、、、、、、
、、、、、、
っ!!
分かったぁー!! 分かった!!
『帰蝶』やろっ!?」
「はい、正解です。おめでとう。」
「ほんで、何なん?」
「別にー。」
おかんは、
訳が分からない顔をしていたが、
しかし、私は、
自分を慰めるかのように、
犬ちゃんに言う。
「だって、
本当に誰かが、来たんやもんねぇ?
今のおかんが、本物やよねぇ?
、先生、、どう思う?」
先生は、こっちをチラっと見て、
私の手を舐めてくれた。5分くらい。
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その後、おとんに言ってみたが、
「あー、聞きたくないわー、
おとんも、歳取ってきたら、
そういう怖い話が、ダメになって来てん、
もう、言わんといて!」
( くそぅ、、、
私が、5歳くらいの時から、
毎晩の様に、ホラー映画を見せてたのは、
どこの、どいつですかねー?)
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そう言った事があり、
鈴を、玄関に付けていても、
魔除けにはならないと言う事が、
私の家では、立証された。
そうして、、、
おかんが2人いると言う、都市伝説。
作者退会会員
方言、すみません。
読みにくいと思います。