ある会社員の男に起きた話だ。男は会社帰りに同僚と酒を飲んでいた。
いつもの居酒屋で酒を飲み、店を出た時には夜の10時を回っていた。
店を出たところで同僚とは別れてそれぞれの帰路についた。
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1人になった男は「たまには別の店で飲んでみよう」と思い、適当に夜の街を散歩した。
建物と建物の間に灯りが見えたので光に引き寄せられるがまま男は光の下に向かった。
近づくと綺麗な看板を立てたバーがあった。
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大通りにある店とは一風変わって幻想的な雰囲気がある店だった。
男は通学路に従わずに帰る少年のような気持ちになりながら店に入った。
中に入ると今まで見たことのない美しい女性が立っていた。
彼女は「いらっしゃいませ」と頭を下げた。
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女性のあまりの美しさに男は目を奪われて体が少し固まってしまった。
少し間を空けてから男は「初めて来たもので緊張してしまいまして席に座っても構いませんか?」
と尋ねた。
女性は「はい。今は他のお客様がいませんのでカウンターの方へどうぞ」
美しい笑顔を見せて男を案内した。
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「ご注文は何にしますか?」
「おすすめのお酒をお願いします」
「かしこまりました。少々お待ちくださいね」
男は酒を待つ間、店内を見回してみた。女性があまりにも綺麗だったから気づかなかったが、内装もお洒落なものだった。
壁はオレンジのレンガで作られていて床は落ち着いた色のカーペットが敷かれていた。
灯りは明るすぎず暗すぎずといった情緒ある雰囲気を演出している。
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男が絵画を見るように内装を夢中で見ていると
「お待たせしました。こちらが当店でおすすめのお酒でございます」
そう言って美女がお酒を出してくれた。
水色の澄んだ色をした綺麗なお酒だった。
男は少し口に含んでゆっくりと味わって飲んだ。
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「いかがでしょうか?」
「実に美味しいお酒ですね。初めて飲みました」
「そうでしょうね。このお酒、私がブレンドしたカクテルですのよ。おそらく私以外には作れませんわ」
美女は品のある自信を帯びた声でそう言った。
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「なるほど。それは凄いですね、良いお酒が飲めて僕は幸せです」
「そう言ってもらえて私も嬉しいですわ」
「また時間のある時にゆっくりと楽しみたいので今日は帰ります。お会計をお願いします」
男はお酒を飲み干してポケットから財布を取り出そうとした。
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「お金はいりませんわ」
美女の意外な返事に男は戸惑った。
「ですが、そういう訳にもいかないでしょう。お金をきっちり払わないと僕の気持ちが収まりません、払わせてください」
男は真面目な性格だったのでそう申し出た。
「お代はいただきますわ。でもお金ではございませんの」
「それではどうしたらよろしいですか?」
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「私とキスをしてください」
あまりにも非現実的で非常識なお願いに男は驚いた。
しかし、真面目と言っても男である。美女が自分に唇を差し出すのにキスしない選択などあるはずもない。
「分かりました。そうしましょう」
男はキスすることを受け入れた。
「ありがとうございます。今準備しますわ」
女はカウンターから出てきて一枚ずつ服を脱いでいった。
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男は腰につけた自分のものを熱くさせながらその様子を見ていた。
「お待たせしました。私の体を抱きしめてください、そして私の中にお客様の熱いのを入れてください」
男の理性は消えていた。逆らうことなんてできるはずもない。
男は服を脱ぎ捨て女に飛びついた。熱く硬くなったものを女の奥深くに挿れ、右手で美女の後ろ頭を持ち左手は腰に巻きつけてキスをした。
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キスした瞬間、声も出ないほどの激痛が男にはしった。男は絶命した。
美女と男は抱き合ったままの体勢で天井へ持ち上げられた。
建物なんて意に介さず、上へ上へ強い力で持ち上げられていった。
男と女の行方は誰一人として知りようがない。ただ一つだけ分かることは地球の外に出たということだけだ。
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これはどこかの星の誰かさんの夕食でのことだ。
「お父さん、今日は大物が釣れたんだってね!」
「ああ、やはりあのエサはよく釣れる。今日は坊やの好きなオスが釣れたよ。さあお食べ」
「わーい、お父さん大好き。僕も一緒に釣りに行きたいなぁ」
「あら、生で食べるの?骨があって危ないから坊やに身を取ってあげるわね」
「ありがとうお母さん!」
作者カボチャ🎃