【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編7
  • 表示切替
  • 使い方

助けてくれたのは、誰?

wallpaper:1063

この話は、

投稿するに当たり、

かなり、かなり、躊躇した話です。

前作の、『たのしいゆうべ』との、

関連性の有無は、

正直、私にも分かりませんが、

真剣に、読んで下さる方に、

読んで頂きたい話です。

私としましては、かなりの出来事でしたので。

勿論、全て実話です。

separator

その日、

私は、大量の洗濯物を抱えて、

2階から下りていた。

洗濯物のせいで、足元は見えず、

足の感覚だけで、

板張りの階段を下りていた。

( いつもの事だが。)

我が家は古いので、

階段も急だし、

床板も、踏む度にギシギシ音を立てるし。

、、、そうして、、

それは、

一瞬だった。

「っ、あっ!、、」

気付いた時には、

私は、階段から落ちていた。

大量の洗濯物に、埋もれている私。

( あ〜、阿呆やなぁ〜 )

立ち上がろうとした、

その時、気付いた。

( 、、、あれっ? 右足、、、?)

倒れたまま、右足を見てみる。

私の右足首からは、何かが飛び出ていた。

( 、、、っ!?)

階段から落ちたはずみで割れた床板が、

右足首に、刺さっているようだった。

足首から見えた板は、

5センチくらい?の幅で

10センチくらい?飛び出ていた様に思う。

周りの洗濯物は、

みるみる内に、赤く染まっていく。

( 板、が? 足から出とるんけ、、、?

床板が、割れて、?

足に、刺さっとるん、け、、?)

一瞬、頭が真っ白になった。

しかし、不思議と痛みは感じない。

そうして、

かなりパニックになった私は、

右足首に刺さっている、

その板を、抜こうとしてしまった。

それが、良くなかった。

泣きながら、、痛みに耐えながら、、、

やっと、足首から板を抜いた、

その瞬間に、

恐ろしいくらいに大量の、

ドス黒い血が、溢れ出して来た。

( やばい、、、)

私は、叫んだ。

「おかーんっ!!」

何度も、何度も。

すると、突然に目の前が暗くなった。

意識はあった。

誰かが、、、

1メートルほど離れたところで、

じっと私を見ている。

( 、、うん?

おかんか、、? 何で、眺めとるん?

早く、助けてや、、)

それから5分程、経ったろうか。

その人は、

ゆっくりとした、

かなりの大きな足音を立てて、

何処かへ行ってしまった。

すると、

また、大きな足音が聞こえてきた。

何やら、私の右足首に巻いている。

その大きな足音は、ゆっくりと立ち去り、

そして、大きな音を立てながら、

ゆっくりと戻って来て、

また、私の右足首に、何かを巻く。

それが、2度、繰り返され、

3回目に、何かで足が包まれた。

一瞬だけ、、、

必死に何かをしている、おかんの顔が、

カメラのフラッシュのように、

見えた気がする。

遠くから、声が聞こえて来た。

、、、

、、、、、、

、、K、、?、、、Kっ!?

分かるかっ!?」

私は、何となく頷く。

私は、立とうとしたらしい。

頭がクラクラして、

全身の力が、入らなかった。

そして、意識はプツンと途切れた。

separator

次に気付いたのは、

病院だった。

看護師さんらしき人の、声が聞こえる。

「、、、、、

、、Kさんっ!!大丈夫ですよー!!

今、先生に診てもらいますからねー、

Kさん!!

しっかりして下さいねーっ!!」

ついでに、看護師達の、

「ねぇ、、

この出血の量、、ヤバくない、、、?」

と言う、

あまり知りたくない情報まで、

耳に入って来た。

そうして、

私の目の前は、また、真っ暗になった。

separator

次に気付いたのは、

また、看護師さんらしき人の、声。

遠くの方から、聞こえてきた。

「、、、、、、

、、して、、、

、、Kさん!!、、して、、、!!

、息、してっ、、、!!」

暗闇から、ハッと意識が戻る。

しかし、1秒後にはまた、

眠ってしまったかの様に、意識は遠のいた。

separator

「、、Kさん!!、、Kさんっ!!

、息、、してっ!!」

何度、言われたろうか。

その時、

遠くで、医者の声が聞こえた。

「ヘモグロビン検査して!!

輸血準備っ!!

血管焼いても、血、止まんないから!!

あと、止血の点滴、打って!!

早くしろっ!!」

医者らしき人の、急迫した声を聞きながら、

私は、それとは、相反して、

薄れてゆく意識の中、

(『死ぬ』って、

急に、寝ちゃうみたいな、

そんな感じなのかなぁ、、

そうして、そのまま、真っ暗になったまんま。

それも悪くないなぁ、、、

別に、生きてても、良い事ないし、

親に迷惑かけるし。

ただ、、

唯一の気掛かりは、

大好きな、犬ちゃんの事だなぁ、、、

まぁ、おかんがいるから、

大丈夫だ、ろ、、、)

そうして、私は、

また、真っ暗闇の中へ、

意識と共に、消えて行った。

今、思えば、

まるで、寝る前に、

本を読みながら、、考え事をしながら、、

いつの間にか、寝てしまった感じ。

何度も、何度も、

看護師さんが、

暗闇から引っ張り出す。

しかし、

次の瞬間には、暗闇に戻り、

『無』になる。

自分で自分を、見失う、、、

上手く説明できないが

そんな、感覚だったんだろうな、と、

思い出しながら、今、書いている。

separator

そうして、

私は、明るい光で、目を覚ました。

( 、、、、、、、

、、、ここは、、、どこだ、、?)

隣には、

看護師さんが、

心配そうな顔をして、私を見ていた。

「Kさん!?気が付いた?」

私は軽く頷く。

「良かったー!!

今、先生を呼んで来るから、待っててね。」

私は、動こうとした。

「あー、Kさん、動かないで!!

今、止血の点滴、してるから!」

暫くして、

猿の惑星に出てきそうな 、

( 30代くらい?の男性。お気の毒に、、、)

医者が来た。

「僕の事、分かりますか?」

私は、首を振った。

「お母さん、呼んで来て。」

すぐに、おかんが来て、

そうして、順を追って説明された。

傷の状態、、

病院で行った処置など、、。

猿の惑星が言った。

「応急処置が、良かったんですよ。

お母さんが?」

「あ、はい、、、」

「とりあえず、念の為、

今晩は病院で、休んでいって下さい。

明日には帰れると思いますから。」

「ありがとうございました。」

おかんが、そう言うと、

猿の惑星は、去って行った。

separator

次の日、

無事に帰って来れたのだが、

かなりの炎症を起こしてしまい、

私の右足首は、2倍に膨れ上がった。

歩く度に、かなりの激痛。

一応、病院から松葉杖を借りたが、

松葉杖をマスターする前に、傷は治るな、、

と思う程、松葉杖は難しかった。

( ちなみに、

100均で、杖を買ってみたが、

役立たずで終わった、、、ごめんよ、、)

そうして、

3回目に、処方された抗生物質で、

私の右足首は、やっと落ちついた。

完全に治ったのは、

半年以上、経ってからだった。

今も、私の右足首には、

外側13センチ、内側10センチほどの、

( 今、物差しで測ってみた。)

傷跡が、生々しく残っている。

夏などに、

半ズボンを履いていると、

傷跡を、皆が見る。

被害妄想とかじゃあ無くて、視線で分かる。

「痛々しいわねー」

などと言った、

余計なお世話な、 ヒソヒソ声が耳に入る。

でも、私は気にしない。

separator

私は、たまに考える。

あの時の、大きな足音の人は?

誰だ?

おとんに、その事を話した。

おとんが言うには、

それは、『家神様』だと。

『家神様』は、

古い家であればある程、

その足音は、ゆっくりと、大きくなるらしい。

「おとんはな、

家神様が、Kの事を、

助けてくれたんじゃないかって、

思っとるんや。

神さん棚に、手を合わせんとな。」

私の聞いた足音は、かなり大きかった。

そうして、ゆっくり歩いていた。

確かに、私の家は古い。

私は、『家神様』に、

助けられたのかも知れない。

勿論、おかんにも。

separator

その後、暫く経ってから、

おかんに聞いてみた。

「ねぇ、おかん、

何で、あん時、何もせんと、

じっと見とったん?

すぐに、手当てしてくれんだやろ?」

おかんは言った。

「あんた、何を言うとれん!

おかん、すぐに行ったよ!

そしたら、あんたが大変な事になっとったし、

おかん、びっくりして、、、

急いで、バスタオル巻いて、

でも、血ぃ出るし、ゴミ袋被せたんや!

そん時に、

おかんが呼んだ、救急車が来たんやよ?」

( うん、、、?

私の記憶と、違うんやけど、な、、、)

そうして、おかんに、

大きな足音の事、

手当てらしき事をして貰った事、

などを話してみた。

おかんからは、

自分の娘の体験談であるにも関わらず、

「こわ〜い、もう、話さんといて!」

と言う、罰当たりな返事が返ってきた。

separator

今回の出来事によって、

30年前の、『たのしいゆうべ』の事を、

思い出した訳だが、

関連性が、あるのか、ないのか、

私にも、よくは分からない。

しかし、30年越しの、

私の右足首に纏わる、不可思議な体験談を、

この場をお借りして話せた事で、

私自身、何となく、

踏ん切りをつける事ができたように思う。

それで、良しとしよう。

( 、、うん、たぶん、、、。)

Normal
コメント怖い
8
9
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信