中編7
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助けてくれたのは、誰?

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この話は、

投稿するに当たり、

かなり、かなり、躊躇した話です。

前作の、『たのしいゆうべ』との、

関連性の有無は、

正直、私にも分かりませんが、

真剣に、読んで下さる方に、

読んで頂きたい話です。

私としましては、かなりの出来事でしたので。

勿論、全て実話です。

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その日、

私は、大量の洗濯物を抱えて、

2階から下りていた。

洗濯物のせいで、足元は見えず、

足の感覚だけで、

板張りの階段を下りていた。

( いつもの事だが。)

我が家は古いので、

階段も急だし、

床板も、踏む度にギシギシ音を立てるし。

、、、そうして、、

それは、

一瞬だった。

「っ、あっ!、、」

気付いた時には、

私は、階段から落ちていた。

大量の洗濯物に、埋もれている私。

( あ〜、阿呆やなぁ〜 )

立ち上がろうとした、

その時、気付いた。

( 、、、あれっ? 右足、、、?)

倒れたまま、右足を見てみる。

私の右足首からは、何かが飛び出ていた。

( 、、、っ!?)

階段から落ちたはずみで割れた床板が、

右足首に、刺さっているようだった。

足首から見えた板は、

5センチくらい?の幅で

10センチくらい?飛び出ていた様に思う。

周りの洗濯物は、

みるみる内に、赤く染まっていく。

( 板、が? 足から出とるんけ、、、?

床板が、割れて、?

足に、刺さっとるん、け、、?)

一瞬、頭が真っ白になった。

しかし、不思議と痛みは感じない。

そうして、

かなりパニックになった私は、

右足首に刺さっている、

その板を、抜こうとしてしまった。

それが、良くなかった。

泣きながら、、痛みに耐えながら、、、

やっと、足首から板を抜いた、

その瞬間に、

恐ろしいくらいに大量の、

ドス黒い血が、溢れ出して来た。

( やばい、、、)

私は、叫んだ。

「おかーんっ!!」

何度も、何度も。

すると、突然に目の前が暗くなった。

意識はあった。

誰かが、、、

1メートルほど離れたところで、

じっと私を見ている。

( 、、うん?

おかんか、、? 何で、眺めとるん?

早く、助けてや、、)

それから5分程、経ったろうか。

その人は、

ゆっくりとした、

かなりの大きな足音を立てて、

何処かへ行ってしまった。

すると、

また、大きな足音が聞こえてきた。

何やら、私の右足首に巻いている。

その大きな足音は、ゆっくりと立ち去り、

そして、大きな音を立てながら、

ゆっくりと戻って来て、

また、私の右足首に、何かを巻く。

それが、2度、繰り返され、

3回目に、何かで足が包まれた。

一瞬だけ、、、

必死に何かをしている、おかんの顔が、

カメラのフラッシュのように、

見えた気がする。

遠くから、声が聞こえて来た。

、、、

、、、、、、

、、K、、?、、、Kっ!?

分かるかっ!?」

私は、何となく頷く。

私は、立とうとしたらしい。

頭がクラクラして、

全身の力が、入らなかった。

そして、意識はプツンと途切れた。

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次に気付いたのは、

病院だった。

看護師さんらしき人の、声が聞こえる。

「、、、、、

、、Kさんっ!!大丈夫ですよー!!

今、先生に診てもらいますからねー、

Kさん!!

しっかりして下さいねーっ!!」

ついでに、看護師達の、

「ねぇ、、

この出血の量、、ヤバくない、、、?」

と言う、

あまり知りたくない情報まで、

耳に入って来た。

そうして、

私の目の前は、また、真っ暗になった。

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次に気付いたのは、

また、看護師さんらしき人の、声。

遠くの方から、聞こえてきた。

「、、、、、、

、、して、、、

、、Kさん!!、、して、、、!!

、息、してっ、、、!!」

暗闇から、ハッと意識が戻る。

しかし、1秒後にはまた、

眠ってしまったかの様に、意識は遠のいた。

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「、、Kさん!!、、Kさんっ!!

、息、、してっ!!」

何度、言われたろうか。

その時、

遠くで、医者の声が聞こえた。

「ヘモグロビン検査して!!

輸血準備っ!!

血管焼いても、血、止まんないから!!

あと、止血の点滴、打って!!

早くしろっ!!」

医者らしき人の、急迫した声を聞きながら、

私は、それとは、相反して、

薄れてゆく意識の中、

(『死ぬ』って、

急に、寝ちゃうみたいな、

そんな感じなのかなぁ、、

そうして、そのまま、真っ暗になったまんま。

それも悪くないなぁ、、、

別に、生きてても、良い事ないし、

親に迷惑かけるし。

ただ、、

唯一の気掛かりは、

大好きな、犬ちゃんの事だなぁ、、、

まぁ、おかんがいるから、

大丈夫だ、ろ、、、)

そうして、私は、

また、真っ暗闇の中へ、

意識と共に、消えて行った。

今、思えば、

まるで、寝る前に、

本を読みながら、、考え事をしながら、、

いつの間にか、寝てしまった感じ。

何度も、何度も、

看護師さんが、

暗闇から引っ張り出す。

しかし、

次の瞬間には、暗闇に戻り、

『無』になる。

自分で自分を、見失う、、、

上手く説明できないが

そんな、感覚だったんだろうな、と、

思い出しながら、今、書いている。

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そうして、

私は、明るい光で、目を覚ました。

( 、、、、、、、

、、、ここは、、、どこだ、、?)

隣には、

看護師さんが、

心配そうな顔をして、私を見ていた。

「Kさん!?気が付いた?」

私は軽く頷く。

「良かったー!!

今、先生を呼んで来るから、待っててね。」

私は、動こうとした。

「あー、Kさん、動かないで!!

今、止血の点滴、してるから!」

暫くして、

猿の惑星に出てきそうな 、

( 30代くらい?の男性。お気の毒に、、、)

医者が来た。

「僕の事、分かりますか?」

私は、首を振った。

「お母さん、呼んで来て。」

すぐに、おかんが来て、

そうして、順を追って説明された。

傷の状態、、

病院で行った処置など、、。

猿の惑星が言った。

「応急処置が、良かったんですよ。

お母さんが?」

「あ、はい、、、」

「とりあえず、念の為、

今晩は病院で、休んでいって下さい。

明日には帰れると思いますから。」

「ありがとうございました。」

おかんが、そう言うと、

猿の惑星は、去って行った。

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次の日、

無事に帰って来れたのだが、

かなりの炎症を起こしてしまい、

私の右足首は、2倍に膨れ上がった。

歩く度に、かなりの激痛。

一応、病院から松葉杖を借りたが、

松葉杖をマスターする前に、傷は治るな、、

と思う程、松葉杖は難しかった。

( ちなみに、

100均で、杖を買ってみたが、

役立たずで終わった、、、ごめんよ、、)

そうして、

3回目に、処方された抗生物質で、

私の右足首は、やっと落ちついた。

完全に治ったのは、

半年以上、経ってからだった。

今も、私の右足首には、

外側13センチ、内側10センチほどの、

( 今、物差しで測ってみた。)

傷跡が、生々しく残っている。

夏などに、

半ズボンを履いていると、

傷跡を、皆が見る。

被害妄想とかじゃあ無くて、視線で分かる。

「痛々しいわねー」

などと言った、

余計なお世話な、 ヒソヒソ声が耳に入る。

でも、私は気にしない。

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私は、たまに考える。

あの時の、大きな足音の人は?

誰だ?

おとんに、その事を話した。

おとんが言うには、

それは、『家神様』だと。

『家神様』は、

古い家であればある程、

その足音は、ゆっくりと、大きくなるらしい。

「おとんはな、

家神様が、Kの事を、

助けてくれたんじゃないかって、

思っとるんや。

神さん棚に、手を合わせんとな。」

私の聞いた足音は、かなり大きかった。

そうして、ゆっくり歩いていた。

確かに、私の家は古い。

私は、『家神様』に、

助けられたのかも知れない。

勿論、おかんにも。

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その後、暫く経ってから、

おかんに聞いてみた。

「ねぇ、おかん、

何で、あん時、何もせんと、

じっと見とったん?

すぐに、手当てしてくれんだやろ?」

おかんは言った。

「あんた、何を言うとれん!

おかん、すぐに行ったよ!

そしたら、あんたが大変な事になっとったし、

おかん、びっくりして、、、

急いで、バスタオル巻いて、

でも、血ぃ出るし、ゴミ袋被せたんや!

そん時に、

おかんが呼んだ、救急車が来たんやよ?」

( うん、、、?

私の記憶と、違うんやけど、な、、、)

そうして、おかんに、

大きな足音の事、

手当てらしき事をして貰った事、

などを話してみた。

おかんからは、

自分の娘の体験談であるにも関わらず、

「こわ〜い、もう、話さんといて!」

と言う、罰当たりな返事が返ってきた。

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今回の出来事によって、

30年前の、『たのしいゆうべ』の事を、

思い出した訳だが、

関連性が、あるのか、ないのか、

私にも、よくは分からない。

しかし、30年越しの、

私の右足首に纏わる、不可思議な体験談を、

この場をお借りして話せた事で、

私自身、何となく、

踏ん切りをつける事ができたように思う。

それで、良しとしよう。

( 、、うん、たぶん、、、。)

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