短編2
  • 表示切替
  • 使い方

人形供養

人形供養って知ってます?

お雛様や市松人形とかぬいぐるみ、身近に置いていた人が亡くなったとか人生の節目で、お寺に納めてお別れをするんです。

最近じゃ、アニメのフィギュアなんてのもちらほら見かけるらしいですよ。

うちも大掃除のときに箱に入っていた古い人形を見つけちゃって、そのまま燃えるゴミに…出しても良いんだけど、やっぱり人の形をしたものは抵抗感があって供養に出すことにしました。

人形は昔にお爺ちゃんが旅行に行ったときに買ってきた、遠山の金さんみたいな人形。スペースだけ取ってジャマな品物。そりゃすぐにしまっちゃうよね。

供養はお寺の境内に簡易的な祭壇を設けるんだけど、その人形の数にビックリしちゃいました。

数十体はあろうかという人形がうず高く積まれていて…、異様っていうか怖いっていうか。

お坊さんのお経の後、お焚き上げするんだけど、直前まで人形を離さないお婆さんがいて。

人形は女の子の日本人形、見るからに年数が経っているようで、結構ボロボロ…でもその分思い入れが強いんだろうね。

見てるとこっちもちょっと感傷的になってウルっとしちゃいました。

それでも仕方ないね…って家族になだめられて、お婆さんも人形を納めて…火がつけられたんだ。

チロチロと徐々に火が回っていって…さっきのお婆さんの人形の髪に火が付いた瞬間…、

「ギャーッ!」ってお婆さんが地面に倒れてのたうち回って、

「騙しやがって、裏切りやがって、ずっと一緒だって言ってたのに!!」

わめき叫ぶお婆さんを家族が止めるんだけど、どこにそんな力があるのかってくらい暴れてた。

男の人達(息子?)が羽交い絞めにして、強引にお寺の外に連れ出していったんだけど、会場はもう不穏な空気いっぱいで…。

しらけた感じで人形供養は終わっちゃいました。

Concrete
コメント怖い
0
8
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ