【重要なお知らせ】「怖話」サービス終了のご案内

中編3
  • 表示切替
  • 使い方

便所の落書き

町内会の日曜清掃、面倒ですよね。

せっかくの休日の朝に駆り出されて、少しでも寝て体を休めたいのに。

でも、家族で生活しているとそうも言っていられなくて、町内会の同調圧力っていうか強制的に参加せざるを得ないんです。

その日は近くの公園のトイレ掃除を担当することになったんですけど、年長の町内会長が張り切っちゃってトイレの落書きを全部綺麗にしようって…。

道具や薬剤を使ったって一日仕事じゃないですか。

もう、いい加減にしてくれって思っても、口に出したら村八分ならぬ町内会八分ですから…しぶしぶやりましたけどね。

そういう人に限って口は出すけど手は出さない、

「綺麗に消せてない」「ここにまだイタズラ書きが残ってる」

姑かっつーのって思いながら、「そうですねー」って掃除してた。

昼前に一通り終わって、掃除道具をしまっていると…用具入れにも落書きがあるのを見つけて「今からだと面倒だから放っておこうって」て思ったけど、一応確認はしてみると…。

イタズラ書きは、丸と棒で人型を書いて右足のとことに油性ペンで×って書かれてました。

「うわっ、なんだこれ」

変なものを見つけちゃったって思ったのと、もう一つ不気味なのは人型の頭の部分に何か文字が書かれていたこと。

日本語や英語じゃなくて、一番近いのは梵語というか模様みたいな文字みたいな感じ。

タイ語とかアラビア語とか見たことはあるけど、規則性がわからなくて文字として認識できない感じ。

何だろうなーと思いながら。もう掃除道具はしまっちゃったし放っておこっーて。

それから2週間くらい経ってから、また町内会の清掃。

毎月、町内会費を払ってるんだから業者に頼めよって思いながら、ほうきで掃いていると…口うるさい町内会長は車いすに座って、偉そうに指示を出している…。

何でも話を聞いてみたら階段を踏み外して、右足首を骨折したらしい。

「口だけ出して偉そうに…」とか、「ざまぁみろ…」と思っていたら、俺の目の前でのどにひっかかったタンを吐き出しやがった。

ベチョッ

イラっとしたところに「綺麗な環境が、健全な生活を作り出すっ」とか言い出したのでさらにイラついてしましました。

一通り終わらせた後、近くのトイレで手を洗っているとき、ふとイタズラ書のことを思い出して、用具室を見てみました。

右足に×が書かれている前回と変わらない状態。

なんだ面白くもないと思い、別に町内会長とは関係ないだろうと思いながら、お尻のポケットに入っていた油性ペンで右腕に大きく×って書いてやりました。

次の週末、町内会長姿はなく、話を聞いてみると原付にひき逃げされたとかで、右腕が痛めてしまったとのこと。

流石にイタズラ書が原因ではないだろう…とは思ったけれど、偶然にしても重なりすぎ…。

ちょっと怖くなって見たくはないけど夜、誰にも見られない時間に公衆トイレに確認しに行ってみました。

誰もいないのを確認し、トイレに入って用具室のドアを開ける。

「げっ…!」

思わず変な声が出てしまいました、自分が見た人型の落書きは右足と右腕…だけに左足、左腕、そして首に×の線がつけてありました。

明確な殺意を目の前にして、体中から変な汗が出てくるし足は震えて…、全てを見なかったことにしてその場から逃げ出しました。

その後の町内会長は…、どっかに引っ越しちゃいました。

同じ町内の人は「ケガも軽くて元気になってきたのに…」「遠方に親戚がいるなんて聞いてないけど…」と不思議がってましたけど。

私もずっと気になっていて…、人型を見た後に掃除業者に連絡したんです。

トイレの壁が汚れたまんまじゃ気分が悪いですからね。

Concrete
コメント怖い
1
6
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信