中編7
  • 表示切替
  • 使い方

メモ紙

wallpaper:1063

オレは、

やらなきゃいけない事を、すぐに忘れる。

だから、

リビングのパソコン机の上には、

メモ紙が置いてある。

そうして、ペタペタと貼り付けておく。

それを見て、

「あ、そうだった、

次の仕事の事で、〇〇さんに電話しなきゃ

いけないんだった」

と、思い出す。

全く、、、

オレの記憶力はどうなっているんだ?

と、自分でも呆れる。

( 、、、昔、聞いた事があるな、

次から次に、新しい情報が入ってくると、

古い情報は追い出される、と。

いやいや、全て古い情報では無い。)

毎朝、

仕事に行く支度をし、

机の上に、

何枚も張り付いているメモを見る。

( あー、今日は〇〇会社に電話か、

あとは、、、

午後からの会議の資料を、

会社に持って行く、と。

よし、これで忘れてないな?)

そうして、オレは会社に向かう。

スムーズに行く。

separator

そんな毎日を過ごしていた、ある朝。

いつもの様にメモを見た。

「部長に、報告書だ、

あ、と、は、、、

、、うん?

何だ?この携帯番号は?

名前が書いてないし、、、。

ヤバいっ、大事な電話番号かも知れない、、)

会社に出勤し、

とりあえず、部長に報告書を出した後、

その番号に電話する。

( どこの取引先だ、、、?)

コールが鳴る。

オレは、ドキドキする。

『コチラは、留守番電話サービスです。

ピーッと言う、、、』

( 、、、留守電、かぁ、、、

とりあえず、名前を入れておくか、)

「あっ、もしもし、

私、××会社の、Aと申します。

ご連絡を頂いたようで、、。

電話に出られずに、申し訳ありません。

また、お電話をさせて頂きます。

失礼致します。」

その日の夕方、

携帯を見ると、留守電が1件入っていた。

聞いてみる。

、、、、、、、、、

無音。

もう1回、聞いてみるが、静かなものだ。

( あっ!)

オレには珍しく、

今朝の、電話番号のメモ紙を思い出す。

その相手かも知れない、と思い、

折り返し電話をしてみるが、出ない。

( 何だ?

まぁ、大事な要件なら、

また掛かってくるだろう、、)

そうして、家路を急ぐ。

separator

アパートに着き、

サッとシャワーを浴びると、

部屋のソファに、沈み込む様に座り、

そうして、深い溜め息が出た。

( 今日も、" 働き蟻の法則 " の中で、

オレは、2割の存在の蟻、、だったな。

そのうち、認めてもらえれば良いけど、、。)

缶ビールを開ける。

面白くないテレビを、ボーッと観る。

明日は、休みだ。

特に、予定も無い。

( 、、、明日は、

久しぶりに、飲みにでも行こうかなぁー、

誰か、誘ってみるかー )

何気なく携帯を手にして、電話帳を開く。

ピックアップしてみる。

( アキ、、石崎、、イトウ、、、、)

そうして、

" は "

の所まで来た時に、

オレは、うん?と思った。

『ひとみ』

と言う名前が、登録されている。

( 、、、誰だ?)

オレは、

とりあえず、登録したままにしといて、

松田に電話した。

コールが鳴る。

「はい、」

松田の声だ。

「おぅ、久しぶり! 元気か?

あのさ、明日の夜って、ヒマ?

久しぶりに、飲みに行かねぇ?」

「久しぶりだなぁ、

良いよ!明日は、俺も空いてるし。」

とりあえず、

7時に、駅前で落ち合う事になった。

そうして、

オレが、気分良く、

携帯の画面を消そうとした時、

留守電が入っている事に、気付く。

(うん?

もしかしたら、あのメモ紙の相手かも。)

留守番を聞く。

無音。

しかし、

何かが、聞こえた様な気がした。

もう1回、

留守電を聞いてみる。

今度は全く、何も聞こえない。

オレは気味悪くなり、

留守電を、2件とも消去した。

separator

次の日、予定通りに、

7時に駅前で、松田と会った。

とりあえず、

近くの居酒屋へ入り、

お互いに、近況報告する。

松田は、高校の時に仲良かったヤツ。

一緒に青春を過ごした。

思い出話にも、花が咲く。

そんな雰囲気の中、

いきなり、松田が喋り出した。

「なぁなぁ?

高校ん時にさ 、

" 松浦ひとみ " って、いただろ?」

「、、、え?

、、松浦、、、?

あー!いたわ!!暗くて、地味なヤツだろ?」

「あいつさ、死んだらしいよ?」

「、、、えっ?何で?」

「何かさー、

オレも、詳しくは知らないんだけどな?

付き合ってた彼氏に、暴力とか?金とか?

まぁ、そう言った関係で、

自殺?したとか、しないとか?

噂だけどな。

殺されたとかって、話もあるし 笑。」

「そうなんだ?」

「でも、松浦って、

お前の事、好きだったじゃん?」

「えっ!!ウソだろっ!?」

「知らないのは、本人だけ〜 。

ま、こんな話、止めようぜ?」

「そうだな、、」

オレは、何となく、後味が悪かったが、

「すいませーん!生中1つー!!」

松田の、その一言で、

彼女の事は、消え去った。

separator

それからは、

何軒ハシゴしたか、覚えてない。

気付いたら朝で、

自分の部屋のベッドで、寝ていた。

頭が痛い、気持ち悪い、、

( オレ、ちゃんと家に帰ってたんだ、、

つーか、昨日、

どんだけ飲んだんだよ、、、)

思い出せない。

そして、頭痛薬 & 胃薬も効かない。

しかし、

オレは、自分の体調に耐えられず、

仕方無しに、迎え酒をした。

少し、落ち着く。

( あ、松田、大丈夫かな、、)

携帯を探し、松田に電話をしようとした時、

留守電が入っている事に気付く。

( 松田かも、)

留守電を聞く。

( 、、、はっ?)

オレは、携帯を投げ捨てた。

留守電には、、

昨晩の、オレと松田の会話が入っていた。

同じ所を、巻き戻し、巻き戻し、、。

『、、あいつ、死んだらしいよ?

(キュルキュルキュル、、)

、、あいつ、死んだらしいよ?

(キュルキュルキュル、、)

、、あいつ、、、、』

まるで、

昔ながらのカセットテープを、

巻き戻したり再生したり、、

そんな感じだった。

オレは、すぐに松田に電話する。

「コチラは、留守番電話サービスです。

ピーッとい、、」

オレは、電話を切る。

落ち着け、オレ。

その瞬間、

携帯の画面に、留守電のマークが表示された。

聞いてみる。

無音。

もう1度、聞いてみる。

『、、た、れ、、く、て、、、

てえ、、ぼ、、、、、おと、、こ、、

、のし、、た、わ、、、

キーッ!キキッ!キヒ、、ククッ、、、

(キュルキュルキュル、、)

、、た、れ、、く、て、、、

てえ、、ぼ、、、、、おと、、こ、、

、のし、、』

オレは、

速攻、携帯の電源を切り、

暫く考えた。

( 、、、、、。

、、もう1回、聞いてみる、、か、、

何か喋ってるような気が、したし、、、)

イヤだけど、

もう1回、留守電を聞いた。

更に、もう1回聞く。

( やっぱり、何かを喋ってる、、、

同じ言葉、繰り返してるし、

でも、何を言ってんだ?)

オレは、自分自身の事でさえも、

気持ち悪くなり、留守電を聞くのを止めた。

そうして、

自暴自棄と言うのか?

この際だし、気になっていた、

『ひとみ』

に、電話を掛けた。

「、、、はぁ、ぃ、、?」

ダルそうな声の、男が出る。

「あ、あのー、、、」

「、、お前さぁー、朝っぱらから何、、?」

声の主は、松田だった。

「あっ、松田か?

ごめん、掛け間違えた、」

電話は、プツッと切れた。

( 、、、何だ?

何が、どうなってんだ!?)

オレは、

テーブルに貼ってあるメモ紙を、

もう1度、見に行く。

よく見てみる。

何回も、見てみる。

( 、、、あっ、、)

末尾の数字だけが、

『ひとみ』の番号と、違う。

オレは、

メモ紙に書かれている電話番号に、

電話した。

「こちらはるすばんでんわさーびすですぴーという、、」

オレは留守電を入れた。

「この留守電を聞いたら、連絡下さい」

separator

暫く経ち、携帯を見る。

もちろん、電話も掛かってきて無いし、

留守電も入っていない。

ひとまず、ホッとした、

次の瞬間、留守電マークがついた、

「、、、え!?

オレ、留守電になってないし、、、」

携帯を壊そうと思った。

しかし、大事な連絡先が入っている。

もはや迎え酒などは、関係無い。

ビールを、もう1缶、飲み干した。

自分で自分に、勢い付ける。

留守電を聞く。

『、、こ、レか、ラわ、、タしは、

、シ、ぬケれ、ドミ、、ちヅレ、にシ、、タい、

ひ、トガイ、、る、、、

、、そ、レはこ、、ノルす、でンヲ、、、

、キ、いテい、ル、、おマ、えだ、、、

(キュルキュルキュル、、)

、、こ、レか、ラわ、、タしは、

、シ、ぬケれ、』

「うわぁーーっっ!!」

オレは、

携帯を、思いっきり投げた。

携帯は、壁にぶつかり、転がった。

見ると、

液晶にヒビが入っている。

オレは、思いっきり、携帯を踏み付けた。

そうして、

その日の内に、新しい携帯を買いに行った。

separator

それから、

半年程、経った頃だろうか。

会社の食堂で、

昼飯を食いながら、何気無く携帯を見る。

( うん?

、、何だ?このマーク、、、)

押してみる。

留守電のマークだった。

オレは、それを聞かずに消去する。

何故なら、

新しい携帯を買いに行った時、

オレは、

留守番電話サービスを、付けなかったからだ。

Normal
コメント怖い
10
9
  • コメント
  • 作者の作品
  • タグ
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信
表示
ネタバレ注意
返信