異種格闘技戦

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『有尾両生類』

イモリや、オオサンショウウオの事。

みんな、知ってると思うけど、

彼らには、

かなりの再生能力が、あるんらしいんだ。

" トカゲの尻尾 " 的な、感じ？

身体の一部を、切り取っても、

また、生えてくる。

脳や、心臓の一部が破壊されても、

再生できるらしい、しね。

更には、

目の水晶体まで、再生できるらしいよ？

でも、その点、

ケロちゃんはね、

大人になると、その能力が落ちるみたい。

だけど、、もしね？

人間が、皮膚の表皮に怪我をして、

１週間で治るとしたら、

ケロちゃんは、半日で治すって。

勿論、傷跡も残さずにだよ？

凄いよね！

あと、イモリなんかは、ガンで死なないって。

新しい細胞を、再生出来る？とか、

先生が、話してるのを聞いたの。

でも、その理由は、

未だに分かんないって。

最近の科学は、

発達して来てるんだろうけど、

まだまだ、みたい。

人ゲノムは、解読されたみたいだけど、

イモリちゃん達のゲノムは、

人間の10倍以上あるらしくって、

今の『DNA 配列解析装置』？ だったかな？

現代のスーパーコンピューターでは、

到底、解読出来ないみたい。

難しいんだねー。

ちなみに、

『ゲノム』って言うのは、

各々の生物の持つ、

遺伝子情報を、ひっくるめて指す言葉らしいの。

それも、聞いた話だけどね。

あ、でも、

ケロちゃんの何種類かは、

ゲノム解読されてるみたいよ？

あー、

ごめんなさい。

私の、前置きが長くなっちゃった。

しかも、御託を並べちゃって。

でも、、、これはね、

現実に起こってても、不思議じゃあ無い話。

私の話を、聞きたい？

裏の裏に起きてる秘密。

聞きたい人にだけ、教えてあげる。

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私は、ある研究施設で働いてたの。

そりゃあもう、凄いセキュリティよ？

そこでの、私の立場はと言うと、

う〜ん、、、

下っ端では無いけれど、

かと言って、

先生の右腕って訳でも、無かったかな。

まぁ、実験は、

いつも、見させてもらってたけどね。

で、たまに先生は、私の方をチラッと見るの。

『よく見ておきなさい』

って、感じでね。

私、嬉しくってね？

期待されてる存在なのかもっ！！

だから、頑張らなきゃって思った。

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その研究施設は、

みんなも、もう、分かってると思うけど、

『再生能力』

についての、研究が行われていたの。

イモリやカエル、ウーパールーパー、、、

様々な動物で、実験を行っていた。

そもそも、

ゲノムが解読されていないのに、難しいよね。

でも、施設のみんなは、

" 両生類の再生能力を、人間に使えたら、、、"

って、『人間の為』に、頑張ってた。

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それから、

半年程、経った頃かな。

実験室に、見知らぬ人を見付けたの。

若い、20代後半くらいの男性。

どうやら、実験の協力者みたい。

金で釣られたのかな？

まぁ、私には、どうでも良い事だけど。

男性が、実験台に横たわる。

注射、、、たぶん麻酔。

その後、

麻酔が効いたのを確認して、

先生が、その男性の指を全部、切断した。

男性は、、、

『ゲノム編集』済みだろうね。

あ、『ゲノム編集』って言うのは、

ヌクレ、、何とかってヤツを使って、

思い通りに、遺伝子を改変させる技術？

らしいんだけど。

遺伝子組み換え？

これまで、持ってなかった性質を付加する。

男性は、ノックインされたのかな。

もはや、

人ゲノムは崩壊？してる、気がする。

だって、脊椎動物は、再生能力０だし。

よくは、分かんないんだけど、、、。

その後は、傷口は塞がすに、

強い麻酔を打ちながら、経過観察。

私は、いつも、その男性を見ながらね、

お気の毒にって、、、

思う訳、無いじゃない！！

クスクスッ、、

クククッ、、、。

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でも、、、

そうして、２週間くらい経った頃かな？

男性の切断された指から、何かが生えてきたの。

私、ビックリして！

ジーッと、見詰めちゃった。

有尾両生類の遺伝子が、上手く行ったのかもね。

確か、イモリだったかな？

でも、結局、指から生えて来た物は、

ただの、棒状の物だった。

熱とか加えたみたいだけど、ダメだった。

それでね？

先生が、更なる実験をしたの。

男性の手首の上の方を、切断したのよ。

右手だったかな？

で、その後ね、

どうなったと思う？

手首から、膨らみができてきたの。

何か生えてきたの。

私も、聞きかじった情報だから、

良くは分かんないけど。

『再生芽細胞』ってヤツ？

" 再生芽の膨らみ " って、先生は言ってた。

手首で切られたら、

そこから、また手首が生えてくるの。

まぁ、、

それも棒状の物でね？

言わば、失敗よ。

そうして、

先生は、更に、更なる実験を行ったの。

手首の再生芽をね、肘に埋め込んだのよ。

どうなると思う？

私、笑っちゃった。

肘から、手首が生えてきたの！

運良く、上手く行ったみたいで、

ちゃんと指も、５本あるのよ！

歪な形だったけどね。

『再生芽細胞』って、

自分の居た位置を、覚えているらしいの。

手首の再生芽細胞を、肘に移植すれば、

肘から手首が、、

肘の再生芽細胞を、肩に移植すれば、

肩から肘が、、

生えてきたりするの。

もう、おかしいでしょ？

キャハハハッ！！

先生は、

肘を切断して、胴体に埋め込んだりもしてた。

もう、ヤバいでしょー？

あ、ちなみに、

余談だけど、、魚もね？

尾びれを切ると、再生するらしいんだ。

聞いた話よ？ホントかどうか。

でも、魚の場合は、

切られた尾びれの長さを、記憶してるんだって。

そこが、違うところよね。

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そうして、その後も、

更に、先生は、実験を続けたの。

その男性の頭蓋骨を、

電動ノコギリで切り取り、中脳を取り出して、

また、頭蓋骨を元に戻した。

イモリは、脳みそを再生出来るから、

試してみたんじゃん？

ま、中脳は、

感情や運動をコントロールしてる所らしいから、

その後の、男性の状態は、

言うまでもないよね。

最後は、めちゃくちゃな物になってた。

目も、四肢も、脳も、心臓も。

目の水晶体なんて、

再生出来なかったし、

脳みそ、切り取られたまんまだから、

何も出来ないのよ。

糞尿垂れ流し、食事は点滴から。

でも、

実験の経過を見たいから、

オムツも何も、出来やしないの。

ずーっと、真っ裸。

しかも、

手足、幾つあんの？って感じ？

肩からやら、膝からやら、脇腹からやら、

何本も、何本も、何かが生えてた。

あ、でも、

その中の、２、３本くらいは、

きちんとした形をしてたと、思うけどね。

もう、私、可笑しくって！

笑い過ぎて、画面が揺れないか、

心配したくらいよ。

でも、結局ね、

その変な人間は、

ある日、何処かへ連れてかれたの。

お金を貰ったのに、使えずじまいね、

可哀想、、、

プーーッ！私、思わず吹き出しちゃった。

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その数日後、

新人の子が、入って来たの。

とても有能でね？

私が持っていないスキルを、沢山持ってた。

今まで、私が見てきた物は、

極秘資料になったみたい。

それで、、、

私は、クビになったの。

先生の為に、頑張って来たのに、

酷い仕打ちよね。

そう思わない？

次の実験も、私に見させて欲しかったなぁ。

いつも、いつも、

ずーーーっと、ずーーーっと、

寝る間も惜しんで、

24時間、絶え間なく、

レンズ越しに、見てあげてたのに、、ねぇ？

ま、あれよね？

人間の言葉を借りて言えば、

私よりも、性能の良いカメラに、

取り替えたって事？

見続ける事しか出来ない、こんな私だったけど、

廃棄される直前に、思ったの。

『あの先生は 異常。』

それだけは、、、

いくら機械の私でも、分かる気がする。