二十代の頃。眠っていると、しょっちゅう金縛りに遭っていました。
金縛りは科学的に解明されていると分かっていても、最中は怖くて苦しい。
この時ばかりは、お経に縋って頭の中で唱えたり、キツく目を閉じてひたすら耐え、
必死に抵抗してやり過ごしていました。
そうしている間に意識が無くなって、朝になっていたり、金縛りが解けて安堵して寝る事もありました。
金縛りって、疲れますよね。
体を動かせないのに力が入るし、圧迫に負けた時が何か怖くて力を抜けない。
今日も来るのかと思うと、寝るのが億劫になっていました。
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また金縛りに遭った夜。
これから始まる毎度の流れにうんざりして、初めて抵抗するのを止めようと思いました。
(あー!もう、面倒くさい!取り憑くんでも何でも好きにしろ!)
と、いるのかどうかも分からない者に思い、パタリと力を抜いて無抵抗になりました。
何かに押されるような気持ち悪い感覚があるのですが、
(もういい!勝手にしろ!)
と、そのままにした所。
解けて寝たのか、意識がないまま寝たのかは覚えていませんが、朝になっていました。
その日から、金縛りに遭った記憶がありません。
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全く根拠のない偶然の方法ですが、
"来るなら来やがれ!"という気持ちになったから、遭わなくなったのか。
"来るかも"という恐怖心を抱えて眠っても、眠りが浅くなって金縛りに遭いやすそうですよね。
後は疲労が少なくなったか、加齢(…うっ。)
かもしれません。
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この話を職場の同僚にした所、面白がって、笑って聞いてくれました。
彼女は金縛りの経験は無いそうですが、旦那さんがよく遭うそうで、夜中に隣でうなされていると言っていました。
旦那さんから、
"すごく苦しいから、金縛りに遭ってたら起こして"
と言われており、気付いた時は起こしていたそうです。
うなされてる間は、すごく苦しそうで、呼吸が出来ていないように見えるとの事。
…でも彼女は、旦那さんとケンカをした夜は、"ざまぁ見ろ"と、起こさずに眺めているそうです。
(反対に、子供が夜泣きしていた時は、熟睡中の旦那さんに腹が立ち、子供の泣き声を耳元で聞かせて、起こしていたそうですが。)
私の我流の方法も「教えよっかなー。どうしよっかなー。それで金縛りに遭わなくなって、弱みが無くなっても嫌だしなー。うーん。考えてみます。」
と、笑っていました。
…金縛りより妻の方が、怖くて強いのかもしれませんね。
作者パンダ13
何となく覚えのある殿方各位。
妻は、ひっそり仕返ししているようですよ。