中編3
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歪んだ道路から・・・

静岡の知人から聞いた話です。

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地元では有名。

幼稚園の頃に友達と一緒に紫色の雲を見た記憶がある。

どういう訳かその紫雲はずっと見ているとすぐに消えてしまう。

ある日その紫雲の上に青白い肌をした子供の顔が覗いていた。

誰か居る!

あの雲の上には人が登れるんだ!

あれきっと遊園地なんだ!

そう誰かが言った。

あ!道路が歪んでる!

別の誰かがまた言った。

道路があり得ない歪み方をしていた。

昔、嵐か何かで橋がぐねぐねと波打ってるビックリ映像があったけれどああいう感じ。

その日の天気は快晴だったけど。

あの歪んだ道路から紫雲に登ってみようよ!

きっと道路から紫雲に行けるんだよ!

何人かの子供達は歪んだ道路に向かって走り出した。

自分も行きたかったけど遊び疲れてたので一休みしながら様子見していた。

程なくして紫雲に登った多くの子供達が空からこちらを見下ろしていた。

皆一様に青白い顔をしていた。

何か不気味だ!

どうして誰も戻って来ないんだ?

誰かが恐怖を感じると一斉に皆にそれが伝染した。

あれはきっと登っちゃいけない雲だったんだ!

呪いの雲っだったんだ!

地獄の雲なんだ!

きっとみんな死んじゃったんだ!

にげろー

蜂の子を散らす様に皆一目散に家へと逃げ帰った。

自分も皆と一緒に逃げたけども一度だけ振り返ってしまった。

一人の子が青白い子供達に手を捕まれあの歪んだ道路へと引き擦られていた。

タカシ君だった。

タカシ君は泣き叫んでいた。

自分は気が付くとその子の所に駆け出していて青白い子供達を突き飛ばしていた。

「ありがとう!ありがとう!ヒロシ君!」

無事に逃げ出したタカシ君は涙で顔をぐちゃくちゃにしながらお礼を言ってくれた。

自分は青白い子供達に羽交い締めにされながら意識を失った。

その後に雲の上で青白い子供達が誰かに怒られているのを見た記憶がある。

「なんて事をしたんだ!これはイタズラじゃ済まないんだぞ!分かっているのか?」

みたいな物凄い剣幕でとても怖かった。

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でもその中で自分だけはその誰かに褒められていたと思う。

「ヒロシ君、君はタカシ君を助けたんだね偉いね。君はすぐに地上に戻してあげるね。」

そういう風な事を誰かに言われたと思う。

それが自分の持っていた前世の記憶。

二度目の幼稚園児をやってた頃に思い出した。

近所の人気者であるタカシ兄ちゃんに「貴方はあの時のタカシ君ですか?」と確認したら最初は何も言わなかったけども凄く驚いた様子だった。

タカシ兄ちゃんによるとあの日、紫雲に連れて行かれた子供達は存在自体が消えてしまったとの事だった。

当事者達は鮮明に覚えていたが最早どうする事も出来なかった。

中には紫雲の怪談を広めて危険なものだと一生懸命周知させようとしていた子も居たらしいが。

今でもタカシ君とは親友だ。

タカシ君は自分を今でもヒロシ君と呼ぶので今の父母を困惑させている。

ヒロシとして産まれ育った家を訪れた事もある。

前世の父母は元気そうで安心した。

自分についての記憶は完全に欠落していたが・・・

父母は一卵性の7つ子を授かっていた。

気のせいかも知れないが彼等は一様に顔色が青白く無表情にこちらを見つめていた。

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彼等はまるであの時の・・・・

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