フウリサマ

青森の知人から聞いた話です。

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俺の両親によれば10年以上前の体験。

俺の地元にはフウリサマという怪異が祭られている。

フウリサマは秘神であり卵の形をしている。

絶対に触ってはいけないという掟。

俺の弟は掟を破り一度だけこれに触ってしまったらしい。

らしいと言うのは俺には弟が居たという記憶が一切無い為。

両親は弟の事を覚えているらしく今でもトラウマだ。

両親から聞いた話によればフウリサマに触った者はフウリサマになってしまうという。

俺の弟はフウリサマに触って以来不思議な夢を見続けた。

自分がフウリサマの中・・・つまり例の卵の殻の中に居る夢だ。

弟によれば卵の中は温かく幸せな気分になれるという。

夢を何度も見るに従って弟は早くあの卵から産まれたいと願う様になったそうだ。

一週間で弟は蒸発してしまいかつての存在を知る者は両親を除き誰も居なくなった。

フウリサマの卵が割れている事に里の人が気付いて両親から話を聞いた神主様が弟を正式にフウリサマの転生として認めたのだ。

フウリサマは人と同じ位ある巨大なモモンガの化け物だと言われている。

今も地元の山に登ると異様な視線を感じる事がある。

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一度だけ目を合わせてしまった事があるが自分の弟だと分かっていても気持ちの悪いものだった。

神主様に言わせるとフウリサマは邪視の怪異でもあるので本来であれば発狂したり平気で犯罪を犯す様になったりと人格が崩壊してしまい兎に角タダでは済まないらしいが俺は肉親だから無事で済んでるのだそうだ。

フウリサマはいつか卵を産むらしい。

しかし今の神主様の祖父に当たるフウリサマの口伝を伝える方が戦災で運悪く亡くなってしまいどうやってフウリサマが子孫を残していたのか誰も知らないのだそうだ。

まさか人間の女性を襲うとかじゃねーだろうな？

モモンガと化した弟に怯える日が来るとは夢にも思わなかった。

自分の娘や妹が狙われたら堪ったものではない。

何かあった時の為の備えは大事だ・・・